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「検事の矜持」

検事の矜持  中尾巧

中央公論新社 2023年2月刊

本体価格 1500円

 

著者は検事出身で、数多くの著作をものにしている。

1947年生まれで、ネット情報によると、「関西検察」と

評されている。

 

ただ、大阪地検特捜主任検事証拠事件時の大阪高検検事長

ともあり、所管の大阪地検から改ざんの事実の報告は受けて

いないとされているそうだ。

 

「矜持」という書名に惹かれて読む気になったが、内容に

ついては、「矜持」らしいものは読み取れなかった。

 

検事の矜持って、裁判所の判断が誤っているとしたときに、

それを糺すのが本筋だと思うが、本書で出てくるのは、

警察官から拳銃を奪い2人を殺めた件で、「死刑か無期懲役か」

(P186)についてであった。

 

犯罪自体は明らかなので、争点は量刑にあった。裁判所は死刑を

回避して、無期懲役としたが、検察側の論理としては、犯罪の

実態からすれば、死刑が相当とというのであろう。

 

量刑の判断も、検察の矜持に関わるのかもしれないが、

狭山事件での警察・検察の「でっちあげ」を知るブログ評者と

しては、検察の矜持は、新たに明らかになった証拠や鑑定書を

 

これまでの経緯を踏まえたうえで、採用することだろう。

本件は警察・検察のでっちあげなので、量刑の判断とは

重要度が違う。

 

これまでの検察の誤りや不十分さを認めて、真実に向き合おう

というのが、本当の検事の矜持であろう。

 

先般の袴田事件において、裁判所は矜持を示して、警察・検察が

証拠をねつ造した可能性さえ指摘した。こういうのを「矜持」と

いうのだ。

 

本書を読んで、検察への怒りが再燃してしまった。

 

えん罪狭山事件

狭山再審開始を求める運動はますます高まってきているが

えん罪狭山事件冤罪 狭山事件 (sayama-jiken.com)によれば

6月8日に三者協議が開始されたようだ。

 

検察側はまたしても、鑑定人尋問もインク資料の鑑定も必要ないと

主張したようです。検察官は3月末で交代しており、検察の頑なな

態度は一ミリも動いていないといえる。

 

 

狭山署名を東京高裁に提出

毎日新聞などでも報じられているように、51万筆の署名を

東京高裁に提出した。えん罪狭山事件のホームページより

以下に引用。

 

代表として、提出は、評論家・佐高信さん、作家・落合恵子さん、

落語家・古今亭菊千代さん、ルポライター・鎌田慧さんと石川早智子さんらが。

狭山事件「早期再審を」 異例の51万筆署名 支援団体、高裁に提出 /埼玉 | 毎日新聞 (mainichi.jp)