以下長いです。ヒマなオタクの人限定かも。
このところストラトのあのエアー感のあるサウンドについて考えていました。
まず初めに自分が目指した音はなんだったのかって話ですが、こちらの動画になります↓
この Jimmy Wallas 氏の目指すストラトの音が欲しかったのです。
自分で PU を Dancun SSL-1 や GOTOH ST-Classic 等ビンテージモデルを試してみましたが結局エアー感は得られませんでした。
あのエアー感はどこから来るのかって考えたとき、以下のどれか、あるいは全てが影響してると考えています。
・PU(ピックアップ)
・弾きこまれた木材の経年による「枯れ」
・ネック材
・指板材
・指板R
・フレット
・ギター側VTの設定
・アンプおよびその設定
・弦
・弾き方
おそらくこれらの要因が複雑に絡み合ってるんだと思います。なのでどれか一つだけ要件満しただけでは欲しい音が得られないと考えています。ただ、影響度の大きさはあると思います。
で、これまで個人的に試した範囲では、PU、ネック材、指板材あたりが重要と考えています。おそらくメイプルワンピースのネックではエアー感は出ないか、出ても軽微と思います。
理由は材の密度というか硬度が関係してるからと考えています。
こちらに比較動画があります。毎度お馴染み Chris Buck くんです。
6:30あたりから視聴するとわかりやすいです。
僕も両方のタイプの指板のストラト持ってますが同じ印象です。メイプルワンピースの方が音がまろやかです。
上記の「SSL-1だけでは物足りない」で実験しましたがメイプルワンピースの ST-57 で SSL-1 入れてVポッドを 500k、コンデンサーをネック側だけ 0.022uFにしてハイパスフィルターかましてみましたが、鈴鳴り感は増したもののエアー感は得られず。
結局音痩せしちゃってる感じがしたのでノーマルに戻しました。
その後自分の好みも少し変化して、Jimmy Wallas より John Mayer の使ってたストラトの音みたいなのが欲しくなりました。PU は SSL-1 から TEX-MEX に換装しました。
その辺はこちらに書きました↓
でですね、先日ふと気がついたんです。
あのエアー感のある音のするストラトって全部ローズウッド指板だよな、と。で、ちょっと徘徊したんだけど、やはりメイプルワンピースではエアー感乏しい。
まあエフェクター等電気系設定である程度近づけられるとは思うけど、多分これじゃない感がすると思う。
じゃなんでローズウッド指板だとエアー感が増すのかというと、これは個人的な素人考えですけど、ローズウッドの方が密度が高く硬いため音の伝搬速度が速くエッジの効いたドンシャリ系の音になりやすいからと思います。
なのでメイプルワンピースの ST-57 でなんぼ頑張ってもあの音は出ないんです。
そしてここからが重要なんですが、それに加えて指板Rが重要なことに昨夜気がつきました。
あのエアー感のあるビンテージストラトってほとんど '62 のローズウッドのモデルです。そしてその指板Rって7.5" なんですよ。
かなりきついです。
で、さらにですね、これは有名な話なんですけど当時の弦の仕様も絡んでくるんです。ストラトが誕生した 1950年代後半は3弦まで巻き弦だったらしいのですが、その影響で3弦のポールピースを突出させてるらしいです。
いわゆるスタッガードタイプの PU です。
1962 ORIG PRE CBS SLABOARD FENDER STRAT PICKUPS
その物理的な話は割愛しますが、スタッガードは弦と指板Rの仕様から生まれたものであり、現在主流のよりフラットな指板Rの機種に取り付けた場合には逆に3、4弦のゲインが上がりすぎると容易に想像がつきます。
つまり SSL-1 等高価なビンテージタイプの PU を取り付けてもビンテージライクな音にならない、エアー感がしない一番の原因これなんじゃなかという仮説です。
現在 Fender社製ストラトの主流は 9.5" = 240R が主流ですが、それにスタッガードタイプの PU を搭載した場合 7.5" = 180R に比べてどのくらい弦に近づくか(=矢高)を以下のサイトで計算してみました。
すると、7.5" と 9.5" ではネックPU近辺で 0.42mm もの差があるんです!
7.5"(190.5mm) = 1.98mm
9.5"(241.3mm) = 1.56mm
0.42mmも弦に近いんです。0.42mm って大したことないように思いますが、PUの微小な磁界からすると結構大きいです。
つまり、9.5"R 以上のフラットな指板のギターにスタッガードつけてもビンテージライクなトーンにはならないってことです。
というかむしろ逆効果。その辺わかりやすい図解がこちら↓
ちなみに Fender Japan 時代の 1962 仕様は色味とかマテリアルはそれっぽくしてますが、細部が結構当時もののライン流用仕様で指板Rは 9.5" だったりします。
なので 当時もののストラトにつけてもビンテージライクなトーンにはならない訳です。
訂正:
その後こちらのブログで
Fender Japan のストラトは 7.25" だというご指摘をいただき、当時のカタログ(1989〜2003)を確認したところ Fender Japan のストラトライン(STモデル)はほとんど 7.25" でした。
僕の確認が甘かったです。大変失礼いたしました。
Fender Japan ST57 1993年製 + Fender TEX-MEX
さて、じゃあどうするかって話ですけど、一番手っ取り早いのはフラットタイプのPUで出力低いやつにすることでしょうか。
ただ、そうは言っても 9.5" ってそれなりにカーブはきついので、3、4弦のポールピースは少しは出してやった方がいいような気がします。
SSL-1 だと3弦のポールピースを引っ込めてみたら良いと思うのですが高価なので勇気が要ります。
おそらく一番いいのはポールピース高が変えられるネジ式のやつにすることですが、エアー感は得られてもトーンが違っちゃう可能性もあるんでわざわざ買うのも気が引けます。
ということでとりあえず自作の PU で実験してみようと思います。
ちなみに Steve Vai なんて430R=17"Rでもうほぼフラットです。速弾き系テクニカル派ギタリストは、よりフラットな指板を使いますからスタッガードとは無縁と思いますね。
いずれにしろ 7.5"R の指板のギターでかつ3弦が巻き弦でなければスタッガードタイプの PU は不要と思います。
以上、スタッガード不要論でした。
何かのお役に立てば幸いです。
つづく