夏の暑さをしのぐことに使ったり、ガスコンロが普及する前までは炭の火おこしに使いました。
扇風機やクーラー、ガス器具が普及した今となっては、日常生活でこのように使われることは少なくなりました。
しかし現在でも、屋外ではバーベキューの火おこしなどに使われています。
また、夏の風物詩としてはまだまだ現役で、お祭り、花火大会では、今でも多くの人が団扇を持ち歩いています。
とはいえ、竹と和紙でできた手作りの団扇は生産が減り、機械生産の安価なプラスチック製の骨のものが主流となっています。
主に、店舗やキャンペーンの情報を印刷したものが広告として配布されたり、人物やキャラクターを印刷したものが販売されています。
団扇の原型は古墳時代に中国から渡来した翳〔さしば〕というもので、団扇の柄を伸ばしたような形をしていました。
10世紀ごろに、小型の翳を団扇と呼ぶようになます。扇ぐことにも使われましたが、主に、公家・役人・僧侶の間で、威厳を正すために顔を隠したり、虫を払う道具として使われました。
竹と和紙でできた団扇は、室町時代末期に製造が始まり、送風の能力が大幅に上がりました。
江戸時代に入ると、団扇は庶民へ広く普及します。
扇いで暑さをしのいだり、炊事の火起しなどに使われると同時に、浮世絵を印刷したものが量産されることで、見て楽しむという使い方も加わりました。
一方で、引き続き威厳を正す用途でも使われ、高名な絵師によって絵が描かれた芸術品も多く生まれています。
店の名や、映画の俳優を印刷した広告としての団扇が製造されるのは明治に入ってからです。
その後、昭和30年代頃から、扇風機・クーラーの普及により、実用面での使用は大幅に減少しました。