2023年6月3日 時の流れの中で。
昨日から大荒れの天気で朝はまだけっこう降っていた雨が今はあがり、いいお天気になってきました。
これからは「です・ます調」と「だ・である調」をブログによって切り替えていくことにします。
6月10日が時の記念日なので、この時期は何となく時間について考えてしまいます。
私たちは誰もみな限られた時間の中を生きています。
5月21日日曜日、かねてから闘病中だった高校時代からの友人M君が亡くなりました。
今年2月のブログでふれた「昔日の思い出を共有する同級生」(そのブログはこちら→2023年2月16日冬来たりなば春遠からじ)です。
2年前(そのブログはこちら→2021年11月29日応援するともらうもの)や4年前(そのブログはこちら→2019年9月5日YOKOHAMA COOL NIGHT / 日常のRAKUEN)のブログでもとり上げています。
昔の彼はおとなしくて控えめで真面目な高校生で、ツッパリ(ヤンキー?)ではないものの正反対のやんちゃで不真面目なデキの悪い高校生だった私は3年間同じ教室で過ごしたにもかかわらず、ほとんど会話した記憶がありませんでした。
何しろ彼は幼少期から大学まで馬術を嗜(たしな)むお坊ちゃま世田谷ボーイなのです。
言うまでもなく世田谷というと高級住宅街のイメージですが、私が子供の頃父の仕事の関係で住んでいたことがある中町は、世田谷の中でも最もジミな地域です。
そんな関係では卒業後も顔を合わせる機会はなく、お互い忙しくしているうちにあっという間に何年も時は流れてしまいました。
4年前共通の友人から彼が入院していることを耳にし、誘われて一緒にお見舞いに行ったときは何を話していいか分からず戸惑ってしまいました。
それからLINEで毎日、日常的な一言二言を交わすようになりました。
しかしその内容といったら挨拶、天気、行ったところ、食べたものなどいい年したオヤジ同士にしてはぎこちない意味のなさ過ぎるものでした。
たまにスタンプを送ってもスベッた自信満々で自己嫌悪に陥(おちい)ったり…。
そして彼から心温まるスタンプが届いてホッとしたり…。
そんなことを繰り返しているうちに次第に話題も増え、やりとりが楽しくなっていきました。
音楽はA.O.R(アダルト・オリエンティッド・ロック)、奥様を愛しクルマとドライブと犬好きで食の中でも季節のフルーツに敏感、食器にも造詣(ぞうけい)が深く庭の植生で移り行く季節を愛(め)でる彼は昔の気質そのままに大人になっていました。
しかしお互いに社会に出て成長していたのでしょう、思いのほかやりとりが盛り上がるので私がこの関係を「不思議な縁だね」というと「なんだかおかしいね」と言ってくれていました。
共通の友人が野球好きであまり興味のない彼に無理やりWBCを見せていて、一緒に応援してくれていたので優勝したときは共に歓びを分かち合い盛り上がりました。
今年3月に亡くなった故坂本龍一氏と同じ病気だった彼がかなり悪くなってしまっていたにもかかわらず希望退院してきていた3月30日、ご自宅にお見舞いに伺いました。
痩身(そうしん)の彼が更に小さくなったような気はしましたが、声を失っていたにもかかわらずホワイトボードで精力的に筆談してその時はそれなりに元気そうでした。
しばらくして彼が希望したので私のクルマでドライブすることになりました。
遠出はムリなので近所を一まわりしたのです。
私の幼少期の思い出深い駒沢公園から千歳通りへまわると桜並木が満開で、走行中の車内からサンルーフ越しにお花見してとても喜んでくれました。
大好きなドライブを美しい満開の桜が頭上を流れゆく下で、じんわりと噛みしめるように味わっている彼の姿が印象的でした。
別れ際に「また会おう」とガッチリ握手したのが忘れられません。
それが最後になりました。
その後容態が悪化して入院した彼を5月21日(日)にお見舞いに行く予定だったのですが、直前に奥様から連絡が入りキャンセルされました。
そのとき彼は旅立ったのです。
5月25日(木)講義を持つ専門学校の1学期中間試験の試験監督を終え、その足でお通夜に向かいました。
その安らかなお顔を拝見し、きっと苦しむことなく息を引き取られたのだと確信し安堵しました。
「M君、今までありがとう。
何となく気恥ずかしくてきけなかったんだけど、きっといつもこのブログを読んでくれていたね。
君と出会いなおしたのが4年前だったからコロナの3年が丸々かぶってしまい、あまり会えなかったけど毎日のやりとりは楽しかった。
今まで僕たちは同じ時の流れの中を生きてきた。
君が先にそちらに行ってもう会えなくなってしまったことはさみしいけど、僕もいずれ必ずそこへ行く。
そちらでは同級生ではなく君が先輩だからよろしく頼むよ。
たくさん土産話を持って行くから楽しみにしていて欲しい。
だから今、さよならは言わない。」