クラウド・プロバイダーと契約するときに確認したい“5つのポイント”
導入企業が教えるパブリック・クラウド・サービスの選び方


http://www.computerworld.jp/topics/cloud/150449-1.html

2009年06月15日 Beth Schultz/Network World米国版 の記事。

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、クラウド・プロバイダーとの契約時に確認すべき事をまとめた記事です。そのままです。(笑)

なので、以下、ポイントを列挙します。

(1)現在利用しているアプリケーションは使えるか?
(2)データの“地理的な”保管場所はどこか?
(3)データ保護のための対策は?
(4)どんなサポート・メニューを用意しているか?
(5)サービスを解約した後はどうなる?


の5つになります。

(1)についてですが、先進IT専門のコンサルティング企業HyperStratusのCEO、バーナード・ゴールデン(Bernard Golden)氏によると以下の注意点があるとあります。

「アプリケーションのアーキテクチャによっては、利用できるクラウド・サービスが制限されるケースもある」

まぁ、当然と言えば、当然ですが、これは、導入時の確認事項でまず、サービス利用者もサービス提供側の内容を確認しなさいと言うことを指しています。
ビジネスを行っていく上では、重要な事ではありますので、無闇にやっても想定していたアプリケーションが使えないとなるのは、目も当てられないと言うことになります。

「Alphaアーキテクチャのコンピュータ上で稼働するアプリケーションを使いたいとしても、Alphaバイナリのアプリケーションを実行できるクラウドはきっと見つからないだろう」(ゴールデン氏)。

と言うように、アーキテクチャ上の問題点も指摘している。
この辺は、正直、クラウド・コンピューティングを導入する以前の問題でもあるビジネスの基本中の基本でもあるので、確認しないのが悪い気がしますが……

さらに、パワーズ氏は、IaaS(Infrastructure as a Service)についての注意点としてもう一つ、上げていることがあります。

「IaaS(Infrastructure as a Service)を利用する場合は、“マシン”がダウンする可能性を考慮してアプリケーションを設計する必要がある」(パワーズ氏)

これも十分に設計上で考慮されるべき事であるのは、確かでしょう。
IaaSの仕様によって、どのようなタイミングで”マシン”がダウンするのか知っておく必要があると言うことにもなります。
ダウン後の対策を聞く上でも知っておくべき事柄なので、確認をすべきこととなります。

また、開発者側に「実装プロセスをひと通り確認すべきだ」とアドバイスもあります。
ハイテク・コンサル企業CIMIのCEO、トム・ノレ(Tom Nolle)氏曰く、以下の通りです。

「全体像を理解するには、簡単なフローチャートを作成するのがよいだろう。クラウドに乗せるためのアプリケーションの要件確認、要件を満たすデータ・ソース、そしてデータの流れや動作などをチャートに書き出してみると、全体的なデータの流れが見渡せるようになり、ネットワーク上での脆弱性を把握して対応策を立てることができる」(ノレ氏)。

要は、クラウド・プロバイダーに対して、全体像を理解する為の簡単なフローチャートを要求しておいて、アプリケーションの要件確認やデータ・ソースの認識あわせ、データの流れなどを把握する工程を説明をしっかりと受けなさいと述べています。
これも至極ごもっともな意見です。

逆に言うと、この様な提示を言われる前にやれるクラウド・プロバイダー(この場合は、クラウドサービス業者でもいいでしょう)は、一つの難関を突破できる事を指しています。
普通にビジネスを考えていけば、相手を安心させる資料として提示するべきものですから作って、当然のものでしょうが、意外にこれが出来ないところが多いのが、現在のIT業界ではないでしょうか?


(2)についてですが、Adaptivityのビショップ氏は以下のように提言しています。

「プロバイダーは、正確なデータセンターの所在地やシステム/ネットワークの詳細な構成情報を提供したがらないだろう。だがユーザーには、少なくともシステム間通信に必要な情報、仲介のメカニズムについては正確に教えてもらう権利がある」

当然と言えば、これも当然の権利であるのですが、記事にもあるように明らかにしないクラウド・プロバイダーも多いといいます。
実際、日本のASP提供会社には、データの保存場所を教えないところもあると聞きます。
これは、ちょっと論外のように私には、感じています。

クラウド・プロバイダーは、サービス利用者に対して、データの保管場所は明確に提示するべきである。と個人的見解では、思っています。
これは、会計監査上も重要なことですから、これらの問題は、この先なくなっていくことだと思ってはいるのですが、少なくともその様な、非協力的クラウド・プロバイダーに対しては、サービス利用者は導入を見合わせることお勧めいたします。

このデータの保管場所は、記事にあるように、論理的ではなく、地理的に明確に提示するべき事柄と思うので、クラウド・プロバイダーを選ぶ際の大きな目安になると考えると良いのではないかと思います。

因みに、「Amazonのクラウド・サービスでは、データの地理的な保管場所をユーザー自身が指定できる。ヨーロッパあるいはアメリカの複数のエリアから選択することが可能」との事で、導入企業側からするとデータの現状を把握しうる良いサービスともいえます。


(3)については、(2)と被る部分も多いが、Eli Lillyのパワーズ氏は、「コンプライアンスに関する問題」でも地理的要素は以下の点で十分注意が必要だった旨を述べている。

「法規制によってデータの保管が認められない地域が定められているため、当社ではデータの地理的な所在を把握しておかねばならない」

これは、地域によって、その法制度が違うので、十分に把握する為にも導入企業は、データの保管場所は把握しておく必要は重要と述べている。
要は、日本企業の場合、もしクラウドサービスを利用するならそのデータは何処に保全されているのか知って置き、且つ、その際の法的対策を考慮しておきなさいと言うことになる。

別の側面から見ると日本のクラウド・プロバイダーにとっては、地理的優位性がある事を指している。

コンプライアンス要件の次に考慮すべきが、セキュリティ要件となるが、

「…クラウドへのサービス実装を検討するうえでは大きな懸念事項になる。事実、我々もいまだにクラウド上に保管できるデータとそうでないデータの区分け作業を続けており、希望するデータをすべてクラウド上に移動できているわけではない」(パワーズ氏)

と述べているように、何でもかんでもクラウド上に載せるのもどうかと思うとの考えで、ある程度のデータの仕分けを行う必要はあるとも述べている。
この点は、いきなり全部重要項目も載せるには、やはり問題があると思われるので、十分にデータを精査して、社外秘データは何なのかを選別しておく必要は、あるでしょう。

他にも、以下についての注意点があげられている。

「クラウド環境においてセキュリティ要件を満たすためには、データの転送や保管の際にセキュア・プロトコルを用いた暗号化を適用したり、クラウド・プロバイダの提供するアクセス制御機構を入念にチェックしたりすべき」

セキュリティの適用には、十分な考慮は欠かせないとの専門家の意見があるとの事です。

以下は、データ保護対策については、記事を読んでいただきたく思うが、結局は、ビジネス上の契約事項であり、確認すべき内容であると思う。
そもそもこれらの抜けがあること自体が、問題なのだが、クラウド・コンピューティングの開発となるとより一層のセキュリティへの注意が必要になることは確かでしょう。


(4)については、クラウド・プロバイダーのサポート体制についての確認なのだが、この部分もビジネス上の契約前で確認すべき点で、クラウド・コンピューティングだからと言うイメージはない気がするが、注目すべき点があるので、以下に抜粋すると…

「プロバイダのサービスを精査したうえで、次のような質問をしてみればいい。『貴社が主張しているサービス・レベルをどのように証明してくれるのか?』、『我々の要求の本質を理解しているか?』、『どんな種類のレポートが、どんなレポート・ツール経由で提供されるのか?』、『違約金については規約で定められているか?』。こうした質問の大半は、かつてアウトソーシング契約に明記されていたものだ」(ビショップ氏)

要は、「SLA」であり、それがしっかりとしている契約として明記がされる必要があると述べている。
根本的な話ではあるが、この様な極当然の契約も米国では、まだまだ浸透していないのかと疑いたくなるが、逆に、日本のクラウド参入企業が提示出来るのか?といわれると何処まで可能なのかも疑わしくも思う。

ただ、言えるのは、これらはクラウド・コンピューティングだからではなく、通常のビジネス契約でも当然、確認するべき事で敢えて、クラウドだからですと言うことでもない気もしないではない。
そもそも、要件を提示できない企業と契約など結んではいけないのだ。


(5)については、意外に重要な点ではあると思う。

要は、解約規約は、どうなっているか?である。
コンサルティング会社Thinkstrategiesの取締役、ジェフ・キャプラン(Jeff Kaplan)氏は、「アプリケーションのポータビリティ(移植性)も考慮すべき」と言っているが。。。う~んとそこは思う。
それよりの以下のコメントの方が重要である。

「データをクラウドに置く場合、それを“取り戻す”方法についてもあらかじめ検討しておく必要がある。そのプロバイダ専用の開発言語で書かれたアプリケーションの場合はなおさらだ。これは、自分を窮地に追い込まないための自衛策だ」(キャプラン氏)。

要は、解約時にデータソースなどは、入手できるようにしっかりと契約で確認しておくようにと言うことである。

この至極当然なビジネス契約がクラウド故に曖昧模糊の状態ならば、即刻、改善すべきだが、クラウド・コンピューティング故にと言うより、これはビジネスをやる上での重要な確認事項に入るものであり、法的な遵守するならば、十分に考慮されて当然のものだと思う。

これは、導入側も当然考慮するべきことだが、それよりも目線を変えて言うならば、IT業界の者は上記(1)~(5)は、最低でも直ぐに提示出来るようにしておくべきことなのではないかと思う。

もし、今現在、そこまで考慮できていないクラウド参入企業があるならば、即刻、対策を練るべきだと思う。でないと、大きなダメージを逆に受けることになるからである。
$yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-富士通四国システムセンター
※富士通四国システムセンター

富士通四国システムズ、四国のクラウド拠点として「富士通四国システムセンター」を始動

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100402-00000042-inet-inet

http://japan.internet.com/busnews/20100402/16.html

4月2日17時11分配信 japan.internet.comの記事。

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書くと、富士通四国システムズが、事業統合を行いつつ、クラウド事業に乗り出すにあたって、「高知システムセンター」から「富士通四国システムセンター」に名称変更し、これまでの事業にあわせて、「仮想化サーバー環境を利用したオンデマンド型のクラウド」もやりますよと言う内容。

「富士通四国システムズ」のHP
 ↓
http://jp.fujitsu.com/group/shikoku/

上記記事の内容のプレスリリースのページ
 ↓
http://jp.fujitsu.com/group/shikoku/release/20100401.html

「富士通四国システムズ」は、「富士通」の100%出資会社で、子会社に当たります。
事業内容は、「システムインテグレーション」「パッケージソフトウェア」「アウトソーシングサービス」「システムコンサルティング」などを中心に行っているようです。

特に今回は、「アウトソーシングサービス」の「インターネットデータセンター(IDC)」を統合し、今後、急速に展開されると思われるクラウド・コンピューティングの備える目的がありそうです。

サービス的には、通常のIDCと変わりなく、充実した設備と「大量出力帳票の印刷や加工、仕分け、郵便局への持込までトータルサービスをご提供します。」とあるので、帳票関連の設備も備えているようです。

サービス内容は今度は、

「SaaS メニューを拡充し、業種・業務アプリケーションも含めたオンデマンド型のソリューションを提供していく」

とあるので、より充実したSaaSメニューで対応を図る方針であると思われます。

「オンデマンド」って何?って方は、以下参照。
 ↓
http://e-words.jp/w/E382AAE383B3E38387E3839EE383B3E38389.html

今回、私が注目しているのが、富士通の動きが徐々に加速度を増していると思われる点です。
実際、各大手ベンダーと呼ばれる企業は、今、こぞってクラウド事業に参入し、その独自色のサービスの模索を行っている最中ですが、そのなかでもNECに次、富士通の出方が最近、急速になっています。

社内の内部でゴタゴタがあった割には、迅速な動きにクラウド・コンピューティングのその脅威が迫っていると考えた方がいいのかもしれません。
多くのベンダー企業では、クラウドに対しての企業への売り込み方でどのようにしていくのか、サービスをどう提供するのか、注目したいところです。

所有から利用へ……然程、大きな意味はなさそうなこのフレーズには、実は、日本ベンダー企業のみならず日本IT産業全体の命運と言いますか、流れを変える何かが潜んでいる事は確かです。

それらの事をこの様な、記事で読み取る必要が日本IT関係者には必要な時代になっていると思います。
5人の業界キーパーソンが語る「クラウドのセキュリティが悩ましい理由」

http://www.computerworld.jp/topics/cloud/177789-1.html

2010年03月27日 Ellen Messmer/Network World米国版 の記事。

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書くと、クラウド・コンピューティングで、常に話題に上がるセキュリティに対する今もっとも最先端に行く、IT業界の企業のTOP5名の発言を集めたものです。ポイントは、いくつかあるが、

(1)クラウドそのもの情報提供が少ないのが問題
(2)セキュリティとしての鍵(暗号化導入)の問題
(3)ハードウェアそのものの安全性の問題
(4)クラウド・コンピューティングの利用者教育体制の問題
(5)それぞれのクラウドサービス業者間でのセキュリティの互換性の問題


と5つの切り口で書かれている内容です。

コメントの内容のメンバーは以下の5名。

(1)MicrosoftのCEO(最高経営責任者)、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏
(2)Trend MicroのCEOであるエヴァ・チェン(Eva Chen)氏
(3)RSAのプレジデントであり、EMCの取締役副社長も務めるアート・コビエロ(Art Coviello)氏
(4)McAfeeの社長兼CEOのデイヴィッド・デウォルト(David DeWalt)氏
(5)Symantecの社長兼CEO、エンリケ・サレム(Enrique Salem)氏


(1)に対しては、クラウドと呼ばれるネットを介した性質上の解り難さが、混乱を招いているから要は、出来うる限り、情報を提供するれば自ずと不安は解消されるだろうとの見解である。
これは、その通りであって、クラウドの仕組みが雲の中あるかの用に語源から来ているからその仕組みがわからず、ユーザが既に身構えていると解釈できる。
実際、その様な状況である事は確かで「わけが解らないものに投資してセキュリティとかどうなの?」と不安を抱くことは当然である。
以下に、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏のコメントを抜粋すると---

「(略)…時点での問題は、(クラウドの中で)起きていることをユーザーがまったく知らないということだ。ユーザーがクラウドの状態を知り、その情報に基づいてクラウドを容易にコントロールできるようなツールや技術の開発も、また重要なのである」

実に、その通りであると思う。この様な、ユーザーに情報を提供する事の重要さが不安を解消する第一歩であることは確かだ。
とは言え、「Microsoft」が言えるかな…とか思うけど。。。(笑)

(2)に対しては、「Trend Micro」らしい回答かなぁ~とも思える。
以下、エヴァ・チェン(Eva Chen)氏のコメントを抜粋すると---

「(略)…例えばホテルに泊まるとき、安全のためにドアに鍵をかけるのはごく当たり前だ。クラウド・コンピューティングも、ホテルのように一時的な“間借り”をしているにすぎない。したがって、そこにはきちんとした鍵が存在しているべきなのである」

確かにその通りで、安全性には”鍵”が、常に必要で、その鍵が全てのクラウドサービス業者にまんべなくあるのかと言われると、ややどうだろうか?と疑問符は付く。
サービス提供口上では、考慮されているとして、果たして、インフラ上ではどうだろうか?
DB領域の隔離や改竄などされないように考慮されているだろうか?
十分に監査に堪え得る状態にデータは保存されているだろうか?
この点は、(1)と結びつく重要な内容であって、「SAS 70 TypeⅡ」や「監査18号」に対応する能力を持ち合わせているのかなどとも大きく絡んでくるところである。

J-SOX法が、一時、SEの間でも話題に上がったが、内部統制上必要不可欠なシステムが確実にクラウドサービス上にも確立されているのか?は、セキュアな部分でコアな問題である。
これは、SEがクラウド・コンピューティングを何らかの形で導入する場合、避けては通れない重要な課題であると言う指摘は、ごもっともなことである。

(3)に対しては、「ハードウェアそのものの安全性の問題」を課題としている。

この件では、以下のアート・コビエロ(Art Coviello)氏コメントに注目したい。

「(略)…大きな課題としては、管理性が挙げられる。あらゆる制御機能を管理するには、セキュリティ・ポリシーをビジネス・ポリシー全般に統合し、それらを調和させて円滑に機能するよう図らねばならない。…(略)」

いわば、いかにハードウェアを「SLA(Service Level Agreement)」に落とし込めるかに掛かっている気がする。要は、利用者との合意をいかに取り付けるのか?に集約される。
ハードウェアの技術は、常に日進月歩であり、半年もすればそのハードウェアは、老朽化したものであるからそのハードウェアの性能を保証しうるものは「SLA」しかなくのなると言うことである。
ここは、重要な点でSEとして理解しておかなくては、いけないことであると思っている。
コメントの指摘は、ハードウェアの課題としているが、それは精度とかではなく機能としてのレベルをどこで妥協点を見出し、現時点での最善のサービスを提供しうるのかを理解しておかなくてはいけない事を回りくどく指摘されていると言っていい。

ハードウェアの進歩と言うことで、問題を放り出してはいけないと言うことである。それを踏まえつつ、今後のクラウド・コンピューティングの開発は考えて、サービス提供をする必要があると捉える事が出来る。

(4)に対しては、「クラウド・コンピューティングの利用者教育体制の問題」が課題として挙げられている。

これも、非常に示唆に富む内容である。
この件では、以下のデイヴィッド・デウォルト(David DeWalt)氏コメントに注目したい。

「(略)…自らのデータがベンダーの管轄下に置かれるケースがままあるからだ。彼らは、こうした貴重なデータ資産の支配権を手放すことにとまどいを覚えている。諸問題の源はこの点にあると言えよう。…(略)」

支配権と言う表現がどうだろうかと思うが、法的解釈は置いといて、ユーザの誤解している諸問題の根源がここらにあるだろうとの仮定は、殆どあっていると思われる。
人間の心理学的に自分から物が離れると不安になるのは当たり前で、支配圏下外にあるならば、常にその確認をしたい気持ちが出る。
これは(1)の情報の公開の違った形で表現されたコメントと言っていいかもしれない。
ただ、視点はユーザに、その様な不安を解消する為の情報公開の手段(=操作なり知識)を教育する仕組みがサービスとして必要だといっていると解釈が出来る。

従来で言うところの開発導入工程の教育なのだが、クラウド・コンピューティングの場合も同じく教育をしっかりと行い、不安な要素を解消すべきである述べていると捉えられる。

この場合のコメントは、クラウド・コンピューティング云々よりも、IT業界の開発として機能=操作=教育でいいのか?と言う根源的問題も突きつけられているようにも思う。

(5)に対しては、「それぞれのクラウドサービス業者間でのセキュリティの互換性の問題」の課題となる。

これは、今後、クラウドサービスを展開していくならば、必ず、出てくるだろう大きな問題のように思う。

以下、エンリケ・サレム(Enrique Salem)氏のコメント抜粋---

「(略)…最後に重要なのは、組織が以前から所有しているソリューションとクラウド・ベースのセキュリティ・サービスを連係させることだ。組織が異なるITモデルを使いこなし、両者のメリットの恩恵を得るには、こうした互換性が肝要になる」

これは、クラウドサービス開発を行っているとそのセキュリティの違いをいかにして今後、吸収もしくは、互換性を持たせるのかを課題としてあげている。
SSO(シングルサインオン)などの技術などあるが、これが全てにおいて、互換性があるならそれでも良いが現実のシステム間のセキュリティポリシーは、全く違うものであるし、その構造も異なる。
そうなるとそもそもの利点であるクラウドサービスを組み合わせた、システム作りに何かしらの問題が出てくる。
それが、それぞれが違うベンダーだった場合は、どうであろうか?

この点は、まだまだ、クラウド・コンピューティングの仕組みが統一化されていない現状では、開発時点でクッションになる媒体を噛ませる等してそれぞれが当分は、開発を行うしかないのが現状だろう。
要は、SEはこの点で開発上のリスクとして、しっかり認識しておかなくてはいけないことであると言うことである。

クラウド・コンピューティングにて、それぞれの著名な企業のTOP5名が、セキュリティ面での問題をコメントした記事であるが、述べていることは極当然の事であり、どのように今後、なって行くかは、正直なところクラウド・コンピューティングの普及度次第であろうと思う。
その普及度によっては、進展も違うのであるから、結局、現場の人間が上記、コメントの課題を意識しつつ、サービスとはそもそもなんなのか理解し、技術面もしかり、利用者の求めるサービスとは?と自問しつつ、課題をクリアにしていくしか暫くはないのではないだろうか?
MSの新たなデータセンター構築手法--コンテナ方式の一歩先へ

http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20411205,00.htm

2010/04/01 07:30 [Ina Fried(CNET News)翻訳校正:川村インターナショナル]の記事。

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、マイクロソフトのDC(データセンター)の構築手法は、コンテナ方式で、且つ、一歩進んだやりかたでっせ、従来の建築方式より半分の費用で出来ますよ的な内容。

「Microsoftの将来のデータセンターは、トレーラーパークのような形になるだろう。」

$yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-コンテナDC1
※Microsoftの将来のデータセンターを構成するプレハブ式ユニットの概念実証バージョン。

とどこかの記事で読んだことがあったが、実際、コンテナ方式ってどんなのだろうと思ったが、ホントにコンテナだったのにビックリしました。
確かに、これなら構築には安価だし、設置も早い。尚且つ、ラック設備も工夫すれば素早く取り付けられる。建物なんか要らないなぁ~と思う。

冷水方式も出来るとあるので、従来のガチガチの建物型のDCとのイメージは相当違う。
1つの「ユニットは400台から2500台までのサーバを収容でき、200kWから600kWの電力供給が可能。」とあるので、結構な装備が可能と言うことになる。
ユニット一つを一名の技術者で4日あれば全て設置は可能だとか。

実機への起動設定などは、自動化もされていると思われるが、その辺は、触れられていないので解らないが、かなり省エネを意識したDCの発想であると思われる。
これならコンクリートの土台さえあれば、何処でも設置が可能であるからある意味、場所は選ばない。

$yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-コンテナDC3
※Steve Ballmer氏が米国時間3月4日にワシントン大学で講演した際に展示された新ユニット。
Microsoft


米国のDCになると巨大であるが、故に片田舎に作られる事も多いが、マイクロソフトのこの手のDCの構築方式ならば何処でも作れるし、且つ、移動も可能となる。
それ自体がいいのか悪いのか別として、画期的と言えるかもしれない。

「この新しいアプローチの採用によって、Microsoftでは新しいクラウドコンピューティングに対応するキャパシティを用意する時間を、従来型データセンターインフラストラクチャの半分に短縮できるとともに、建設コストも大幅に削減できる。そのため、デンターセンターに多額の先行投資をしてから需要が出るのを祈るのではなく、柔軟に拡張していくことが可能になる」(Timmons氏)

と関係者が言うように拡張には柔軟に対応できるところが、今後のこの方式の魅力でもある。
IT資産化としての固定費が提供側で緩やかに決めれるので、それがクラウドサービスの価格競争で有利に働くからだ。

$yamasan007の勝手にクラウド・ニュース解説!-コンテナDC2
※新ユニットは400台から2500台までのサーバを収容でき、200kWから600kWの電力供給が可能。
Microsoft


この方式がDCの主流になるとは言えないが、この様な柔軟な発想が出来ない限り、日本のクラウドベンチャー企業は、価格競争では勝つことは厳しいだろう。
故に、日本ベンダーとしての地理的優位性とサービスの特異性で差別化を計る必要がある。

それが、今、日本IT業界にもっとも求められている事だとこの様な記事にも思う。
クラウドの潮流からは、逃れられない。
企業のIT部門は、何から着手すべきか。


http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/a00c/105178/

日経BP社の記事

<以下、私個人が勝手に解説している内容です。間違っているなら気軽にツッコミしてね。>

ザックリ書きますと、クラウドと言っても企業が導入する場合、その過程に非常には、様々な課題が山積している。ましてや、その課題が見えていない場合もある。そこで、日本ヒューレット・パッカード株式会社は、「クラウドディスカバリーワークショップ(CDW)」というクラウドの利点などを最大限に引き出す“ロードマップ策定支援サービス”をやっていますよと紹介する内容。

クラウドの導入において、企業でコスト削減を目標だけにやるにしてもそれが、ホントに企業内でのコンセンサスが取れているのか?など、導入までの課題は多い。

それを一つ一つ明らかにしながら解とコンセンサスを共有しながら、企業のクラウド導入と運営をスムーズにして行こうと言うのが狙い。

従来で言うところの上流工程と変わらないと言えばそうだが、その「クラウドディスカバリーワークショップ(CDW)」が良いと思われるのは、明確なロードマップと進行が経験とノウハウを積んだHPの人間が行い拡散しがちな議論をまとめていくところだろうか。

サービスとしていうならここも大きな差別化であって、個人向けとは違うクラウド導入のサービス形態といえる。

以下内容を一部抜粋--日本HP社のTコンサルティング部シニアコンサルタント宮原猛氏曰く、

「企業が,自社のビジネス目標に合致したクラウド戦略を描くには,情報収集や関係者間での調整を考えると大変な労を要します。そこでHPがご提案するのが,ワークショップ形式によるクラウド環境実現へのロードマップ策定です」

「企業が,自社のビジネス目標に合致したクラウド戦略を描くには,情報収集や関係者間での調整を考えると大変な労を要します。そこでHPがご提案するのが,ワークショップ形式によるクラウド環境実現へのロードマップ策定です」。

この工程でのワークショップ形式は、導入時の入り口でしっかりとコンセンサスを得る上で重要な作業であり、必ず、やっておくべき内容です。
そこをノウハウとして提示している日本HP社のサービスは、定型化して、スムーズに進む様にしているベストな方策ともいえます。

「CDWをご活用いただく最大のメリットは,包括的かつ集中的に議論を行い,短期間でクラウド実現に向けた基本構想を策定できることにあります」(宮原氏)。

ロードマップに沿った形で、全体像を俯瞰しつつ、議論が拡散しないように、短期間でクラウド導入へ向けて行うサービスそのものが大きなメリットであることは、確かです。

議論は、基本的に導入プロジェクトのキーパーソンが参加の上で、行い以下の9つの内容で主に行われるとあります。

【What’s Cloud?】
(1) Setting the Scene(全体認識の統一)
(2) Cloud Concept(クラウドコンセプト・自社最適化の方針)
(3) Transformation Journey(IT環境の変革プロセス)
(4) Cloud Service Portfolio(サービス化すべきメニュー)
(5) Cloud Financial and ROI(収益モデルと投資対効果)

【How to Cloud?】
(6) Cloud Infrastructure(インフラストラクチャー構想)
(7) Cloud Service Management(サービスマネージメント構想)
(8) Cloud Security and Availability(セキュリティと可用性の実現)
(9) Governance and Organization(組織体制とガバナンス)


それぞれの細かな内容は、リンク先の内容を読んでもらうとして、このようにクラウドを企業が導入時点での課題を様々な角度から議論を重ね積み上げてコンセンサスを得て行く工程そのものは、実際の実機導入や設定などより重要であるのは、意外に知られていない。

そもそも導入企業側は、多くがIT企業ではない場合が多く、キーパーソンがその重要性に気付いていないことが殆どで、従来のサーバを自前に持つ程度と同じレベルで考える傾向にある。
ただ、実際に進行していくと現場との認識のズレが発覚し、それでも既に予算が付き、ある程度の投資もしてしまっている事もあり、仕方なく慢性的、惰性的に導入をしてしまう企業も多い。

今回の日本ヒューレット・パッカード株式会社「クラウドディスカバリーワークショップ(CDW)」が、その様な惰性的なシステム導入を打破しうるものであるとは、言い切れませんが、少なくとも惰性的に行われてしまい現場では殆ど遣われることのない機能がごまんとあるシステム(=クラウドサービス)が導入される事は、幾らかは回避されるサービスなのではないかと思います。

個人向けクラウドと企業向けクラウドを同列に見る傾向にある昨今のクラウド論議で、重要なのは二つは、実は異なる意思決定で行われるので、後者の方がどうしても難しいと言うこと。

後者は、企業と言う人間の集合体であるから、必ず、導入時に多くのコンセンサスを必要としますからその仮定での、課題は個人以上に解決に時間がかかります。
また放置してしまうと後半になればなるほど、その課題のリスクは重くなり、導入が遅れる原因にもなってしまい当初想定より、コスト増加を招く悲劇になりかねません。

そんな企業向けのクラウド導入のロードマップを策定し、運用しつつ、クラウド導入の上流工程をまとめていく日本ヒューレット・パッカード株式会社の「クラウドディスカバリーワークショップ(CDW)」は、他のクラウドサービス業者に対して大きな差別化を生むサービスである事は間違いないでしょう。

コモディティ化などが騒がれていますが、このようにサービスの切り口を細やかに見ていくと差別化の要素は、多く存在している。
特に企業向けでは、殆ど無限に近いものがあります。
価格競争をやる前にいかに顧客の要求である「結果をこう出したい!」を聞き出し、最終的に適切なサービスを提示することが出来れば、クラウド狂想曲を飛び出して、最後まで演奏し切り、必ず勝ち抜けるはずです。

決して、サービス=機能ではないと言う事を念頭に置きつつSEは、クラウド導入などには挑むべきと今回の紹介記事を読み強く感じます。