【こだわり】ポルシェ911スピーカーシステム/リアスピーカー | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

リアスピーカーの役目は、何でしょう

か。具体的なイメージを、お持ちでし
ょうか? そこにあるから鳴らすとか、
メーカーがつけているんだから必要な
はずとか……では、役目についての考
えが盛り込まれていませんね。

音楽に包まれている感じとか、車内が
音楽で満たされるからとかいう意見は
きっと多いと思います。

いいですよね、車内で音楽に包まれて
いる感じ。

では、音楽に包まれるって、どういう
感じなんでしょう?

コンサートを観に行ったとします。ス
テージで歌う大好きなミュージシャン
の歌声がホールを満たし、総立ちの大
観衆の熱気も相まって最高な夜になり
そうです。

ちょっと待ってください。

そうなんです、歌声は眩しく照らし出
される前方のステージの方から、ライ
ブの熱気は肩が触れそうなところで踊
り狂う誰だか知らない隣の観客も含め
て会場全体から、大きな炸裂音が聞こ
えた屋根の方からキラキラの紙吹雪が、
みたいに方向性がとても大切なんです。
ステージの上で客が大騒ぎして、振り

返ったはるか後方から歌声が聞こえる

ような位置関係がありえないのはもち
ろん、歌声も歓声もドラムもベースも
ギターもサウンドエフェクトもまるっ
と会場中に団子で鳴っているような感
じでは、かなり興ざめだし、そのうち
聴き疲れてくると思うんです。音楽に
包まれるとひと言で言っても、実は四

方八方で同じ音が鳴っている渦中に居

ればいいというわけでは、ないんです。



わたしが車内で創りたい音楽空間にお
いて、リアスピーカーの役目はとても
はっきりしています。


リアスピーカーの役目は、フロントス
ピーカーの奏でる音楽世界のサポート
です。まず、フロントスピーカーで、
圧倒的に素晴らしい音楽世界を創り上
げます。音楽は前から聞こえてきます、
眼の前で繰り広げられるエンターテイ
ンメントです。この段階でショボイ感
じにしか仕上げられなかったら、その
後に何をやってもダメです。挽回不能
なんです。

こだわってこだわって、目の前にトキ
メクようなとろけるような踊り出しそ
うな音楽を表すことができたとします。
ここで初めてリアスピーカーの出番で
す。

左右に拡がる最高に心地よい“ステレ
オ”の音楽世界に、前後方向の音の動
きを引き出して、平面を立体にしまし
ょう。そのときに、どういう音要素に
もっと手前に浮かび上がってほしいで
すか。ボーカルとかサックスフォンや
ギターのソロとか、ハッとする効果音
とか、そういう音要素に浮かび上がっ
てほしいと、わたしなら考えます。ド
ラマーがドラムセットを抱えて花道を
進んでくるとか、歌姫の前に被って四
六時中演奏しているベーシストとか、
そういうのは普通じゃないと思います
から。そしてもちろん、すべての演奏
者たちが、自分よりも後ろに行ってし
まったとかいう感じも、嫌です。

そのためには、フロントスピーカーと
リアスピーカーが同じ音で鳴っていて
はダメなんです。もし車内の四隅で鳴
っている音が完全に同じだと、音像は
車内のど真ん中で小さな塊になってし
まいます。そうならないための鳴らし
分けをするわけです。

音源はステレオでしょうから、左右の
鳴らし分けの情報は音源が持っていま
す。前後の鳴らし分けは、リスナーが
創ってやる必要があります。

いくつかの方法の合せ技で、わたしな
りの前後方向の広がり感や音楽空間を
作るのですが、最初の一歩的に肝心な
ことが、素で鳴らしたときにどういう
音が聞こえてくるリアスピーカーとし
て仕上げるかということだったりしま
す。

facebookで少し前に紹介した動画のリ
ンクを貼っておきます。

【911リアスピーカーサウンド比較動画】





詳しい解説は、以下のブログの後半に
詳しく書いてありますので、そちらを
参照してください。

【911リアスピーカーの音作り
 こんなところにこだわりました 解説】



極めてシンプルに言えば、フロントス
クリーンの辺りで左右に拡がる面状の
音楽景色の中から、目の前に浮かび上
がらせたい音要素が印象的に鳴る仕組
みを背後に置いてバランスよく鳴らす
ということです。最終的にはDSPを
使って精緻な調整をしてゆくことにな
りますが、まず素手鳴ったときにそう
いう傾向が生まれやすい環境を、サウ
ンドデータではなく物理的な動作をす
る仕組みの中に盛り込んでおくという
ことを、今回のポルシェ993用リアス
ピーカーでやりました。





ほぼ全面的にイメージしている音楽空
間実現のための機能をデザインした結
果こうなりました的なカタチです。

オーバル型の純正スピーカーの取付穴
を使いますが、スピーカーユニットは
左右の両サイドにオフセットしてセッ
トします。背後での左右の広がり感を
少しでも演出したいと考えてのことで
す。911特有の強く傾斜したリアウイ
ンドウにフロントシートのための後方
情景を生み出すパラボラ効果を期待し
ています。少しガラスが共鳴する音が
出るかもしれませんが、その調整はこ
れからです。もっとずっとガラスに近
いW124やW126のフロントスピーカーで
相当鍛えられましたので、この調整は
なんとかなるでしょう。

今回リアスピーカーに、W124用、W126
用、W201/123用以来のペーパーコーン
のユニットを選んだことが功を奏して、
甘い声色をフロントシートに座る2人
の目前にフワッと浮かび上がることに
なるはずです。



取り付け性にも徹底的にこだわりまし
た。

空冷911のリアトレイは、樹脂製の部
品にスポンジ付きのビニールレザーを
貼り込んだものです。とても簡素な感
じで、シアシートの背後にポンと置い
てあるだけみたいな構造です。

従って、取り付け面だけをどれだけし
っかり作り込んでも、スピーカーユニ
ットの表から裏から盛大に出てくる音
が車内で混じり合ってスカスカかつう
るさい音になってしまいます。今回製
作する911スピーカーシステムmodel
993では、もちろんエンクロージャー
を備えさせてあります。前出のテスト
音源の狙いすました感のある音表現に
は、このエンクロージャーの形状や容
量が大きく起因しています。というわ
けで、エンクロージャーの写真はまだ
公開しません。



純正のスピーカーカバーがピタリと取
り付けられるように、相当細かい機械
加工が入ったCFRP(ドライカーボン)
製のトップボードを創りました。その
トップボードと一体化するように、リ
アスピーカー本体を取り付けます。ス
ピーカのコーン紙面からトップボード
の前面までの距離が少しできてしまう
ので、トップボード、バッフルボード
ともに音の出口にテーパー加工を入れ
ました。

きっと、こんなにしっかりと取り付け
られる空冷911用のリアスピーカーは、
911の半世紀以上の歴史の中で初めて
だと思います。少なくともわたしは、
これまでに見たことがありません。

そしてもちろん、ここまでの取り付け
に際して、大切な愛車にねじ穴1つの
加工も改造も加えていません。必要と
あらば、いつでも取り外して完全に元
の純正状態に戻せます。





リアスクリーン越しに見えるリアスピ
ーカーのメッシュカバーの下、左右非
対称の位置にちらりと見えるスピーカ
ーユニットの銅製センターキャップ、
個人的にはゾクッとするほど格好いい
と思うんですが、皆さんの目にはどう
映りましたでしょうか。





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してください。ブログよりも更新が楽
なので、スピーカーシステムの話、ク
ルマの話、はるかにたくさんの発信を
しています。簡単な動画ですが、スピ
ーカーシステムの音を車内で録音した
ファイルも、Facebook内にはたくさ
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山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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