【こだわり】ポルシェ911スピーカーシステム/ツィーター | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

少し「オーディオ」っぽい話です。

カーオーディオのツィーターにどのよ
うな役目を割り振るかは、システムを
構成する人によっていろいろな手法が
あるようです。

“カーオーディオの”と括ったのは、
ステレオの音源を聴くのに位置関係の
条件が、いわゆるホームオーディオに
比べて極端に悪いということを言って
います。

すなわち、着座位置が左右のスピーカ
ーの片側に寄りすぎている、左右どち
らのスピーカーとの距離も数十センチ
から1.2mくらい程度と近い、メイン
スピーカーとツィーターの位置が当た
り前のように数十センチ以上離れてい
る場合がほとんど、というような事々
です。

着座位置による左右のアンバランスは
音量に差をつければ解決できると考え
ている人が多いですが、これは80%く
らい間違いです。例えば離れている距
離が一方が10m、もう一方がが3mの
ように大きな絶対値で、しかも小さめ
の音で音楽を聞くのだということであ
れば、左右の音量差は相当に大きな違
いになると思います。けれども、40セ
ンチと100センチのようにどちらも耳
から近く、しかも屋外ではなく閉ざさ
れた車内では比較的小さな音量でもそ
れが耳にに到達するまでに大幅に減衰
してしまうようなこともありません。
つまり、そもそもそれほど大きな左右
の音量差は生まれにくいということです。

さらに言うと、音量差を調整しても、
それぞれのスピーカーの位置関係は変
わらないので、音像は全てのスピーカ
ーの中心点に結ばれます。

ということはつまり、もしツィーター
は高音域だけ、メインスピーカーはツ
ィーターが受け持つ音域を除いた低い
音域だけのように切り取ってしまうと、
受け持っている音域ごとの音像の位置
が異なってしまうことになります。
993のスピーカーレイアウトであれば、
シャカシャカいう高音域は胸の高さで、
そこから下の音域は膝の高さで、それ
ぞれ車両の左右真ん中あたりに別の音
像を結ぶことになります。

カーオーディオのDSP機材がとても
発達しているのは、このような車内特
有のオーディオ環境の劣悪さが理由だ
と思います。つまりアンバランスを補
正することで得られる効果がとても大
きいわけです。余談ですが、ホームオ
ーディオのサウンドセッティングを機
材の選定も含めて相談されているので
すが、ホームオーディオ用のDSP機
材というのは本当に数が少ないです。
自宅内に建てられた音響設計ばっちり
のホールでのサウンドセッティング、
新しい知見の獲得と仕事の可能性を秘
めた挑戦だと思うので、心して掛かり
たいと思います。

話が逸れました。


理屈の話をマジでしてしまうと止まら
なくなるので、993のツィーターの話
をします。



RSなどの硬派なスポーツモデル以外
の殆どの993には、ドア内装にツィー
ターが取り付けられています。前方と
いうより、左右という感じの位置です。
NBロードスターと似たような位置です。
ツィーターの向きも車内に傾けられて
いて、わたしの使い方的には決して悪
い位置ではありません。

わたしの使い方というのは、実はちょ
っと変わっていて、一般的なセッティ
ングのセオリーには従っていません。
すなわち、クロスオーバーネットワー
クでツィーター=高音域、メインス
ピーカー=ツィーター以下の音域とい
う風に分けることはしていません。

メインスピーカーは、基本的に全音域
を鳴らしています。ユニットに直付け
している簡単な電子回路で、ツィータ
ーとのなじみの良さを調整はしていま
すが、基本はフルレンジとして使いま
す。

なぜなら、例えば993スピーカーシス
テムで使用するスピーカーユニットは、
世界中にごまんとあるユニットの中か
ら、空冷ポルシェのドライビング雰囲
気をもっとも高めてくれるユニットと
見初めて決めたものなんです。羽毛が
そよ風で軽々と浮かび上がるような、
重量ゼロ感の繊細な音のニュアンスが
素晴らしいだけでなく、スポーツカー
らしい加速を味わっているときに、そ
の気持をさらに加速してくれるような
力強さも備えています。

ツィーターが受け持つので……みたい
な理由で、メインユニットの高音域を
スパッと切り落としてしまうと、そ惚
れ込んで選んだその評定が、すっかり
消え落ちてしまうんです。

わたしの音作りは、まずメインスピー
カーのユニットを徹底的に見極めて、
その音色をどこまで引き出せるかとい
うところが起点なんです。



写真は、993スピーカーシステムの開
発のいちばん最初に行ったスピーカー
ユニットを選ぶための鳴らし比べの様
子です。

やっとツィーターの話です。

メインユニットは決まった。選んだそ
のユニットの音色を徹底的に引き出す
こともうまくいった。ではツィーター
には何をしてもらいましょう。

ツィーターには、音楽を聞く人の意識
に軽い錯覚を覚えてもらうために働い
てもらう、というのがわたしの「カー
オーディオ」でのやり方です。

車内を満たす素晴らしい音色のほぼ全
ては、メインスピーカーから溢れる音
です。そのようにして満たされた音楽
空間に、“ココですよ”という位置情
報を小声で囁いてもらう役割りをツィ
ーターに受け持ってもらいます。この
塩梅がとても難しいのですが、あから
さまに“ここにツィーターがあります
よ”ということを意識されたらセッテ
ィンは失敗です。かといって音楽を聞
いている意識の中に静かに入っていっ
て、いろいろな効果、というか一種の
錯覚だと思うんですけど、そういう効
果を引き出すための鳴らし方をする必
要はもちろんあります。



そのような効果を得るために、いくつ
かの工夫をしていますが、その中でと
ても大切なことは、実はいわゆるセオ
リー通りのツィーターっぽくない鳴ら
し方をさせることだったりします。

わたしは、ツィーターとしてはかなり
低い音域までワイドレンジで鳴らした
うえで、他のユニットとの釣り合いを
調整するのですが、993用でも同じ方
法を採っています。この先はいくら説
明をしてもわかりにくいと思うので、
このへんで止めておきますが、メイン
ユニットとツィーターの間を音が入っ
たり来たりするような違和感も回避で
きます、みたいなことはイメージしや
すいかもしれませんね。

DSPを使うときは、パソコンの画面上
でセッティングデータを入力しますが、
DSP機能を持たない一般的なパワーア
ンプを使う場合に備えて、今述べたこ
とを実現するための回路の値を決めな
くてはなりません。まだ、そこまで到
達してないですが、この辺りの数値か
なというイメージはあるので、2週間
ほどもあれば決められると思います。



そしてもちろん、yamaguchiスピーカ
ーシステムのお約束ではありますがツ
ィーターの交換に際して車両に一切の
加工も改造も加えていません。必要に
応じて、ねじ穴1つを増やすこともな
く、完全に元に戻せます。純正のまま
のインテリアで楽しめるというのも、
こだわっているポイントです。

光の当たり加減によって、純正ツィー
ターカバーの奥にうっすら浮かび上が
る特別なセットアップのためのツィー
ター、自己満足度はかなり高めです!







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なので、スピーカーシステムの話、ク
ルマの話、はるかにたくさんの発信を
しています。簡単な動画ですが、スピ
ーカーシステムの音を車内で録音した
ファイルも、Facebook内にはたくさ
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山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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