【こだわり】ポルシェ911スピーカーシステム/フロントスピーカー | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

ようやく、フロントのメインスピー
カーの話です。


空冷ポルシェ用のスピーカーシステム
を作ることに決めたとき、もちろんい
ちばん最初に考えたのは、フロントス
ピーカーにどういう音楽を奏でてもら
おうか、ということでした。

空冷ポルシェを所有したことはないの
ですが、雑誌への執筆の仕事を多くし
ていた頃、数え切れないくらいの台数
の新旧の空冷ポルシェを運転する機会
をいただきました。ポルシェに限らな
いのですが、若かりし頃のこのような
経験は今となっていろいろなことの役
に立っています。独特なドアの開閉の
音から、車内の匂い、エンジンを始動
したときに最初に感じる音と振動、そ
してもちろん市街地、高速道路、峠道
を存分に走る時の振動や音を思い出せ
ることが、空冷ポルシェにはどのよう
な音楽空間が相応しいのか、どのよう
な音振条件をクリアしなければならな
いのかというようなことをイメージす
る欠かせない助けになっているわけで
す。

この辺の話は、本気で長くなりすぎる
ので、スピーカーシステムユーザーが
集うミーティングを企画したり、
YOUTUBEとかで話せる機会を設けない
といけないなぁと思っています。



というわけで、ここではさくさくと先
へ進めましょう。





【こだわり】のツィーター編でも書い
たように、わたしの場合、クルマのオ
ーディオ装置における主役は、絶対に
フロントの、しかもメインスピーカー
なんです。

サブウーファーと組み合わせることと
か、リアスピーカーとの組み合わせと
か、BassPLUS+とか、いろいろなスピ
ーカーや機材を兼用しているじゃない
かと思われるかもしれませんが、それ
らの使用は、すべてメインスピーカー
の奏でる音楽の質をどれだけ高められ
るかの一点に向いています。ごく近い
関係で共働きしているツィーターにし
たって、同じことです。

例えば低音のことでいえば、たかだか
17センチほど(自動車においてはとて
も一般的です)のスピーカー取付穴に、
目一杯大きなスピーカーユニットを装
着したところで、いったいどれほどの
低音再生が実現できるのか。どんなに
頑張っても良好な結果が得られないの
であれば発想を変えたほうがいいよね
と、なりますよね。そこで、メインス
ピーカーを取り付けるために空いた穴
の位置では、音楽のど真ん中を表現す
る音域の再生に集中してもらって、低
音の再生はもっとそれに相応しいやり
方で補完しようと考えたわけです。

低音再生から解放されたメインスピー
カーは、低音域の信号でバサバサと揺
すぶられることもなくなり、そのスピ
ーカーユニットが持ってるいちばん魅
力的な音色を邪魔されることなく出し
てくれるようになります。


911スピーカーシステム model 993で
も、もちろんこの流儀に従って開発を
行いました。メインユニットとツィー
ターの構成は、NDロードスター用と同
じです。ただし、もう少し大人っぽい
しっとり感があるといいなと意識しな
がらつくりました。そして、ロードス
ターよりもさらに聴き疲れしないよう
な方向で仕上がるようにも気を遣って
います。幌車のロードスターよりも気
密性が高く、メルセデスW124よりも室
内容積が小さなポルシェ911では、や
りたい放題の音作りをしていると必ず
車内にいるのが疲れるような聴き疲れ
感が出てきてしまいます。そうならな
いような工夫をしています、というこ
とです。東京から名古屋、大阪あたり
までズバッと走り切る間中、全身で浴
びるような音楽の聴き方をしていて
も、到着してすぐにカラオケに行ける
くらい耳へのストレスが少ないイメー
ジです。

もし助手席にゲストが乗っているとし
て、そのお相手を孤独な気分にしない
ような楽しい会話は、とても大切なド
ライブマナーです。あの頃系メルセデ
スやロードスターで経験されている方
にはイメージしてもらえると思うので
すが、かなりの音量で音楽を再生して
いる走行中の車内でも、不思議なくら
い会話が成り立つのも、yamaguchiス
ピーカーシステムの音作りの特徴で
す。もちろん、空冷911用でも同じ効
果を期待してください。

もう1つ、フロント、リアともにエン
クロージャーを備えているyamaguchi
スピーカーシステムは、車外への音漏
れが極めて少ないという特徴も備えて
います。

音量を上げるとうるさい、音量を下げ
ると何を演ってるのかわからない、気
がついたら耳鳴りがしていた、街宣車
のように音を撒き散らすのが恥ずかし
い……。

こういう状況から、まるっと解放され
ます。それどころか、これまでどんな
に高級なリムジンでも車内で経験した
ことがないような音楽といつも一緒で
す。そういうものを目指しました。

フロントスピーカーの完成度を、どこ
まで目標のイメージに近づけたかで、
すべて決まってしまいます。今回も
しっかりと成功しました。まるっと1
年間掛かりましたけど。


最後に、車両にねじ穴1つの加工や改
造を加えることもなく取り付けるため
の構造を実現することが本当に難しか
ったです。仕上がったものを見れば、
ひょっとしたら「ふーん」程度のこと
かもしれませんが、いったい何枚のス
ケッチを書いて、手作りの試作品をあ
てがって諦めて、また振り出しに戻っ
てを繰り返したことか。こちらもうま
くいきましたので、インテリアのデザ
インも含めて愛車にまったく手を加え
ることなく存分に音楽を楽しんで、も
し取り外す必要が生じた時は、跡形な
くスルッときれいに取り外していただ
けます。


PORSCHE 911 スピーカーシステム
model 993
“圧巻”の理由は、ここにある。




今回はそういう話をしたつもりです
が、うまく伝わりましたでしょうか。





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なので、スピーカーシステムの話、ク
ルマの話、はるかにたくさんの発信を
しています。簡単な動画ですが、スピ
ーカーシステムの音を車内で録音した
ファイルも、Facebook内にはたくさ
んあります。鑑賞だけならアカウント
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山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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