NDロードスター・スピーカーシステムについて(6) | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

前回の「ツィーターについて」までは、
NDロードスター・スピーカーシステ
ム本体についてでした。今回は、サブ
ウーファーについてです。


【魁(KAI)NDサブウーファー】



わたしが創るスピーカー・システムは、
どのモデルも基本的にサブウーファー
との組み合わせを前提にサウンドデザ
インをしています。聴かれる音楽の種
類によっては、必要ないという方もい
らっしゃいますが、できればぜひ、と
考えています。

サブウーファーに懐疑的な印象を持っ
ている方は、とても多いと思います。
実は、わたしもその一人でした。低音
だけ切り離して、メインスピーカーと
違う場所で鳴らすなんて。しかも、例
えばトランクの中なんて、聴いてる場
所よりも後ろなんてあり得ない、と。

ところが、ではその他にどうやって低
音再生の課題を解決できますか? と
問われれば、妙案がない。

クルマの中に、腹に腰に響くような重
低音を鳴らせるスピーカーを取り付け
られる場所なんて、ないんです。

17センチユニットをドアに取り付け
る? 以前も書きましたが、ドアの戸
袋はビシッと低音を鳴らすエンクロー
ジャーとして見立てるには、あまりに
アバウトです。そもそもドアは、2つ
のヒンジとドアキャッチの3点でボデ
ィに取り付けられていて、その他の面
は柔らかいシール材でぐるりと囲われ
てます。ボディから浮いていると言っ
てもいいわけで、時に強く時にじんわ
りと体に伝わる重低音の実現にはかな
り厳しいと言わざるを得ません。耳に
聞こえる低音感ではなく、体に伝わる
重低音の話です。

対して、ボディにしっかりと固定され
たサブウーファーは、耳に聞こえる低
音感とともに、体を躍動させてくれる
"響き”が音楽の雰囲気を最高に盛り
上げてくれます。

サブウーファーを車両後方に設置せざ
るを得ないあの頃系メルセデスや、N
Aロードスターでは、ヘッドユニット
などのタイムアライメントという機能
を使うことで、音像定位をフロントの
スピーカーシステムと重ねて、前方か
ら聴こえるように調整しています。ひ
と昔前は常識的な価格帯の機材では音
痩せがひどく、よいものはめっぽう高
価でしたが、この数年、そこそこ手頃
な価格帯でも質のよい音質のタイムア
ライメント機能を備えた機材が充実し
ています。これを利用しています。


NDロードスターでは、BOSEサウ
ンドシステムに装着されているサブウ
ーファーが、とてもよいです。

助手席の足元という位置は、低音だけ
後ろから聞こえてくるという不自然さ
がありません。タイムアライメントに
頼らずとも、前方にきちんと音像定位
する低音が得られます。

ボディフロアにしっかりとねじ留めさ
れているので、体に伝わる重低音もい
い具合に実現しています。

しかもさすが純正、内装材の裏側に収
まっていて、インテリアデザインをま
ったく邪魔していません。

NDロードスター・スピーカーシステ
ムでは、このサブウーファーとの組み
合わせで、めいっぱい素敵な音楽環境
を創ることにしました。


なかなかよい仕事をしてくれるBOS
E純正サブウーファーですが、音質的
なことを言うと、感動的だ! という
トキメキにはほど遠いと言わざるを得
ません。でも基本はしっかりしていま
す。丁寧に手を加えれば、まだまだ上
が狙えます。

まず筐体のペコペコ感をどうにかしな
ければならないと思いました。

型からコロンと転がり出たままの樹脂
製量産品なので、指で叩くとペコペコ
のポコポコな音で響きます。そのまま
の状態で鳴ってるサブウーファーの音、
よく聞いてみてください。木魚のよう
なポーンポーンという箱鳴りがしてい
ることに気づくはずです。



まず、内部に制振処理を施して、筐体
の響きを抑えました。格好がいいこと
はすごく大切だと思っているので、外
側に手を加えることは考えませんでし
た。とても手間が掛かるのですが、内
側から処理する方法を探りました。

処理前と処理後の響きは、こういう感
じに変わります。





これで、まず前準備が整いました。

ここから、イメージに近い音づくりを
してゆきます。イメージというのは、
スピーカーシステムの素敵な響きを邪
魔せず、もちろんむしろますます盛り
上げてくれる素敵なパートナーとして
の低音担当ユニットです。

サブウーファーの音を創るのではなく、
スピーカーシステムを核とした全体の
サウンドを高める担い手としての音づ
くりです。

いろいろ考えましたが、バスレフ式の
ポート穴を塞いで、サブウーファーも
密閉型とすることにしました。

ご存じの方も多いと思いますが、バス
レフ式のエンクロージャーは、特定の
周波数を共鳴させて音量を稼ぐポート
と呼ばれる筒状の音の出口を持ってい
ます。測定器で測ったわけではないの
であくまで聴感上の感想ですが、80
Hzあたりをグンと持ち上げているよ
うに感じました。この辺りの周波数は、
ロックやポップスを再生するときに、
低音として意識しやすい帯域です。量
感豊かな感じに鳴るのですが、うまく
やらないとブーンブーンと耳につく感
じの帯域でもあります。

そして、共鳴器を付けているわけです
から、どうしても音の歯切れが悪くな
ります。

この2つのありがたくない特性を、ポ
ートを塞いで止めてしまおうと考えま
した。

ただBOSEがきちんと設計して盛り
込んだポートを塞いでしまうというこ
とは、まずポートで稼いでいた帯域で
の音量を確実に下げてしまいます。そ
してこの程度の小さな容量のエンクロ
ージャーを密閉式にすると、サブウー
ファーユニットとのマッチングがとて
も難しくなります。大きな音量で鳴ら
すと、エンクロージャーに閉じ込めら
れた空気の強い脈動がユニットの振動
に派手に干渉して、バサバサボソボソ
という変な響きが出る帯域が出てくる
心配があるんです。


↑写真は、試作中のもので、赤と黄の
配線もテスト用のものです。


マッチングのよいサブウーファーユニ
ットを探しました。たくさん聴き比べ
て、あるユニットに辿りつきました。
抜群によいです。切れ味の鋭さと尾引
き感の消滅という当初の狙いを実現し
ながら、小さな音量から爆音のような
音量まで、バサバサボソボソと破綻す
るところがありません。

この状態でも十分によかったのですが、
さらにもう一手、保険を掛けておきま
した。エンクロージャー内に跳ね返り
の波動を散らして、サブウーファーユ
ニットの背面をカタマリになった波動
が時間差でボコンと押し返しにくいよ
うな手を加えておきました。まるでお
まじないのような方法なのですが、聴
感上は一定の効果があった、ような気
がします。


以下の動画は、スピーカーシステムの
マウントベースがまだ木製だった頃に
収録した開発記録用のものですが、サ
ブウーファーを仕上げると、低音の量
感そのままに音楽全体がクリアに聞こ
えるんだなということを感じてもらえ
ると思います。(いまはさらにクリア
で、しかもバランスよく、音量感も豊
かに鳴っています)

【テスト中サウンド記録ファイル】


3つの再生条件を繰り返していますが、
詳しい説明は以下のブログにあります。
ご興味があれば、ぜひご覧ください。
音質のよいヘッドフォンであれば、実
車での雰囲気がよりよくわかると思い
ます。


【ブログ・その1】


【ブログ・その2】


【ブログ・その3】



BOSE製のサブウーファーを改造
(外観はそのままですし、取り付け方
法も変わりません)して仕上げたサブ
ウーファーを「魁(KAI)NDサブウ
ーファー」と呼ぶことにしました。


BOSE仕様車にお乗りの方には、お
乗りのNDロードスターのサブウーフ
ァーユニットを送っていただき、魁
(KAI)NDサブウーファーとして仕
上げて返送します。制振処理にけっこ
う手間が掛かりますので、3週間ほど
のお預かり期間になると思います。費
等は、サブウーファーユニット等の必
要な部品代も含めて、5万円です。

BOSE非装着仕様車にお乗りの場合
は、まずBOSEサブウーファーをご
用意いただかなくてはなりません。純
正部品として、3万円ほどで購入でき
ます(こちらで手配することもできま
す)。筐体が割れていなければ、もち
ろん中古でも構いません。サブウーフ
ァーユニットは交換しますので、ユニ
ットに不具合が出ていても構いません。
そして、BOSE非装着仕様車の場合
は、サブウーファーを鳴らすためのパ
ワーアンプも必要になります。自信を
持ってお勧めできる機材構成を見つけ
出してお知らせしますので、もう少し
待っていてください。


次回、「NDロードスター・スピーカ
ーシステム、できたよ!」
と題して、
こつこつネチネチ1年掛けて完成させ
た「NDロードスター・スピーカーシ
ステム」のまとめを書いて終わりにし
ます。


追伸:
第2ロット、10セットの製作を決め
ました。1つひとつ手作りですので、
お届けはお申し込み先着順に4月中に
ギリギリ間に合うかどうか、という感
じですが、ぜひお申し込みください。
本日時点で、8セット残っています。


以下のサイトからお申し込みいただけ
ます。

【NDロードスタースピーカーシステム】 





山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
webTV「モーター日本」
Twitter / nineover
facebook / Yamaguchi Munehisa