中央区では、令和元年9月に首都高速道路都心環状線築地川区間の上部空間を覆蓋化する「築地川アメニティ整備構想」を取りまとめました。本構想と東京高速道路KK線再生方針や築地市場跡地の再開発等の連携による新たな歩行者空間や緑化空間の創出に向け、令和3年7月に「銀座・築地周辺みどりのプロムナード構想」を策定しました。
先般、首都高速道路㈱から提示された三吉橋から万年橋区間の覆蓋化構造物等の概略設計の結果を踏まえた築地川アメニティ整備構想の整備の考え方及び事業の進め方等が示されました。また、首都高速道路の大規模更新と連携した築地一丁目地区再開発事業の計画概要が報告されました。既存公園と連続した面的なアメニティ空間や歩行者通路を整備します。また、築地二丁目地区再開発事業と連携することにより、アメニティ空間と日比谷線「築地駅」をつなぐ地下歩行者ネットワークの整備や沿道の緑化による緑のネットワークの形成等にも取り組みます。
築地川アメニティ整備構想について
首都高速道路㈱が新京橋連結路の整備に合わせて実施する築地川区間(約1.5㎞)の大規模更新と合わせて、道路上部に人工地盤等を設置して覆蓋化し、緑地や広場などのアメニティ空間を整備する計画です。アメニティ空間では、年間を通じて様々なイベントの開催を想定しています。大規模災害時には一時避難場所にするなど、防災活動拠点としても活用していきます。また、Park-PFIの導入を視野にいれています。
概略設計によれば、先行して、北から順に三吉橋、亀井橋、祝橋、万年橋の4橋が架かります。覆蓋化の対象は亀井橋を含む約80m、祝橋を含む約100mを想定しています。延長100m以上を覆蓋化する場合、非常用施設等のトンネル設備が必要となり、それら設備を設置する新たなスペースの確保が難しいため、非常用設備等のトンネル設備が不要となる範囲(延長100m未満)を覆蓋化します。
亀井橋と祝橋は既存の覆蓋化構造物とつながっており、構造物の上には亀井橋公園と祝橋公園があります。更なる覆蓋化により、亀井橋公園は約1.6倍、祝橋公園は約2.4倍の広さになります。覆蓋化できない範囲は、プロムナードの連続化を図るため、三吉橋と亀井橋公園、亀井橋と祝橋公園、祝橋と銀座公園を結ぶ三つの歩行者通路(幅員約3.5m)を設置します。
先行区間のスケジュールは、令和4年度から三吉橋~祝橋区間、令和6年度から万年橋まで範囲を広げる予定です。南側の万年橋~新尾張橋は、高速晴海線の都市計画見直しや采女橋周辺のまちづくりとの連携を検討しています。
中央区の財政負担は約58.5億円(全体費用約630億円)を見込んでいます。築地一丁目地区の開発協力金をプールした中央区首都高速道路地下化等都市基盤整備基金を活用します。令和5年度予算では、三吉橋〜祝橋区間の覆蓋化構造物等の概略•詳細設計費として約1.7億円、令和6年6月補正予算では、三吉橋~万年橋区間の覆蓋化に関連する設計費等として約1.5億円を計上しています。今後は、首都高速道路㈱と連携する基本協定等を締結し、2035年度の完成を目指しています。
築地一丁目地区再開発事業について
築地一丁目地区再開発事業の所在地は、中央区役所の裏手、築地警察署の向かい側です。計画概要は、旧電通の跡地であるA街区に事務所・店舗・文化交流施設等が入居する地上32階・地下3階(高さ約180m)のオフィス棟を建設します。B街区には、サービスアパートメントや高齢者福祉施設等が入居する地上24階・地下1階(高さ約100m)の居住棟を建設します。文化・交流施設については、劇場などのエンターテインメント施設の導入を計画しています。
当地区では、築地川アメニティ整備構想への協力や新京橋連結路の新設に伴い用地取得の対象となる特別養護老人ホーム等の受入施設を整備するなど、都市再生や持続可能な地域社会の実現に寄与する計画となっています。また、帰宅困難者支援機能の整備等の防災機能の強化や太陽光・自然エネルギー等の活用、雨水再利用・雨水貯留等の環境負荷の低減にも取り組みます。今後、都市計画の内容全般に関する関係機関との協議が概ね整った段階で、都市計画法に基づく手続きを進めることになります。令和8年度から解体工事、令和13年度に竣工予定です。
築地二丁目地区再開発事業について
築地二丁目地区再開発事業の所在地は、日比谷線「築地駅」のある新大橋通りと平成通りに挟まれた区域です。みずほ銀行やドラッグストア、100円ショップなどの商業施設がある場所です。まちづくり方針として、「築地駅」を中心とした歩行者ネットワークの整備、地下鉄出入口の新設、業務・商業機能の導入、大規模交流広場の整備、駅前防災力の強化、環境負荷の軽減など、安全安心を確保した質の高い都市機能の更新を図ります。
築地と東銀座を分断していた首都高の蓋かけにより歩行環境が改善するとともに、まちの連続性や回遊性が高まります。ゆくゆくは築地市場跡地の開発や東京高速道路KK線再生方針との接続、隅田川に続く広域的な歩行者中心の水とみどりのネットワークの形成など広域的な賑わいの創出が期待されます。築地・東銀座地区一帯の開発機運が高まる一方で、長期間にわたり一定のエリア内で複数の工事が行われるため、工事日程の調整や工事車両の分散、粉じん・騒音対策など、住民生活に十分に配慮するよう求めます。
▽築地川アメニティ整備構想2019.9
https://www.city.chuo.lg.jp/documents/5167/tukiji.pdf
▽銀座・築地周辺みどりのプロムナード構想2021.7
https://www.city.chuo.lg.jp/documents/5165/promenade.pdf
▽東京高速道路(KK線)再生方針【東京都】
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/kk_arikata.html
▽関連ブログ「築地2丁目地区まちづくり協議会の開催」2022.9.1
https://ameblo.jp/yama-rie/entry-12759841936.html
▽建設通信新聞2024.9.5