障害者の生活の質の向上について
本区では、近年の人口増加に伴い、障害のある方は増加傾向にあります。障害者の高齢化や障害の重度化、医療的ケアを必要とする人の増加などにより、支援ニーズは多様化しています。ニーズの多様化とともに、障害福祉サービスだけでは支援が困難な、家族の高齢化や孤立、困窮など複合的な課題を抱えるケースが増えています。どんなに重い障害があっても、住み慣れた地域で最期まで当たり前に暮らすことができる環境整備は、すべての住民の安心感につながります。親亡き後も障害者が生涯を通じて自分らしく暮らし続けられる支援体制が求められています。
中央区における障害者施策の現状について
本区では、障害者手帳交付者数が増加傾向にあり、今後も障害福祉サービス等の需要の拡大が見込まれます。令和7年4月時点における障害者手帳交付者は4,752人となっています。障害種別においては、身体障害者手帳交付者は2,957人で、肢体不自由と内部障害が全体の84.5%を占めています。愛の手帳交付者は562人で、このうち中・軽度の知的障害者が全体の71.4%を占めています。精神障害者保健福祉手帳交付者数は1,233人で、精神障害者の定義が広げられたことで大幅に増加しました。
また、障害がありながらも障害者手帳を所持していない指定難病や発達障害者の支援ニーズも拡大しています。東京都の難病患者医療費助成を受けている難病患者は1,827人で、国庫補助対象348疾病、東京都補助対象8疾病ともに増加傾向です。
障害福祉サービスの充実について
障害者が日常生活や社会生活を安心して営むことができるよう、障害者総合支援法に基づき、多岐にわたるサービスが提供されています。令和7年度行政評価によると、令和6年度における障害福祉サービスの決定者数は3,382人、給付額は約24億1,710万円であり、いずれも年々増加しています。障害者の地域生活を支える居宅介護や移動支援、就労支援等のニーズが高まる一方で、都心区の賃料の高さや人材確保の難しさから事業者の参入が進みにくく、ニーズに応じたサービス基盤の整備が課題となっています。サービス利用者の増加や障害の重度化等に対応しうる安定したサービス提供体制の確保が望まれます。地域生活を送る上で欠かせないサービスが「制度あってもサービスなし」とならぬよう努める必要があります。
自分らしく暮らし続けられるための支援体制について
国の脱施設化政策のもと、本区においても「入所施設から地域生活への移行」を推進していますが、施設入所者の高齢化や障害の重度化等により、その実績はゼロで推移しています。障害者やその家族の将来に向けた悩みのひとつとして、「親亡き後の暮らし」があげられます。援助を必要とする障害者が自分でできることを増やしていくために、早い段階から生活スキルを身に着ける受援訓練や学んだスキルを確認する家庭内訓練に積極的に取り組む必要があります。
令和6年度に開設したグループホーム「リヴェール月島」では、短期入所用に加え、体験用の居室で自主的な生活を体験できる環境が整備されました。体験居室等を活用した受援訓練を通じ、親亡き後も安心して暮らせる基盤づくりを期待します。
また、区内入所・入居施設が不足する中で、居住地特例制度を利用して本区を離れて暮らしている障害者がいます。入居系の施設利用者の約6割は居住地特例により区外施設に入所しています。すべての住民の暮らしを見守る責務の観点から、遠方で暮らす施設利用者を孤立させることなく援護していく必要があります。
能力が発揮できる就労支援について
法定雇用率の段階的な引上げに伴い、東京都全体の障害者雇用数は年々増加しています。令和7年6月時点では、26万人を超え、過去最高を更新しました。一方で、法定雇用率を達成している企業は2.3%にとどまり、中小企業ほど達成率が低くなっています。
近年、障害者雇用のミスマッチに悩む企業が「障害者雇用代行サービス」を頼ることが問題視されています。障害者を雇う企業に代わって働く場を提供するビジネス自体は法令違反とならないことから、国はガイドラインの策定を進めています。障害者がやりがいと希望をもち、安定して働き続けられる環境整備が求められます。
就労のミスマッチという背景から制度化された「就労選択支援」については、就労アセスメント手法の活用により適切な進路選択が期待できる一方で、選別となることが心配されています。障害者本人の意思を尊重し、働く場や働き方の選択肢が広がる取り組みが重要です。
情報アクセンシビリティの向上による社会参加の推進について
障害者差別解消法の改正や障害者情報保障法の施行など、心のバリアフリーをはじめ、共生社会の実現に向けた動きが進んでいます。すべての障害者があらゆる分野の活動に参加するためには、情報の十分な取得・利用や円滑な意思疎通が極めて重要です。実態調査報告書によると、障害福祉サービスでの困りごとについて、いずれの障害者も「サービスに関する情報が少ない」、「利用方法が分かりづらい」と回答していることから、社会参加の土台となる情報保障をより一層進めていく必要があります。
また、社会における障害者に対する差別や偏見はなくなりつつありますが、障害に対する理解や配慮が十分なされているとはいえません。地域主催イベントの参加状況について、「参加したことがない」と答えた身体障害者・難病患者は60.9%、知的障害者は50.6%、精神障害者は70.5%と、いずれも高くなっていることから、障害者が参加しやすい環境づくりが望まれます。毎年、健康福祉まつり等を通じた地域交流や相互理解を推進していますが、地域行事における合理的配慮の提供やユニバーサルデザインを取り入れた運営により、障害者と地域住民が出会い交流する機会を広げていくべきと考えます。
おわりに
障害福祉の大きな目的は、地域で当たり前に暮らし続けられる社会を実現することです。地域社会の一員として関わるためには、行政だけではなく、民間企業、福祉事業所、住民、そして障害者本人とその家族が、互いを尊重し、共に支え合う仕組みが求められます。
障害福祉については、地域で自立して暮らす障害者が多いほど、積極的にサービスを充実させている自治体ほど、財政負担が大きくなる傾向がありますが、障害者が地域で心豊かに、より充実した生活を営むことができるよう、十分な予算措置を要望しました。本区が「障害者にとって、選択肢の多いまち」となるよう取り組んで参ります。

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