スコーンを食べると、歯がキシキシする!
その原因は何か?
対策はあるのか?
解決すべく、まずはベーキングパウダーから学んでいきたいと思います…!
(その中でも「炭酸ガスの発生」に的を絞ったお話です)
※最初に申し上げますが解決していません😂
基礎情報、それに基づいた素人的考察…その覚書…程度にご覧頂ければと思います…🙇💦
料理研究家さんや化学研究者の方々に解明して頂きたいんです本当に切実に…!
ベーキングパウダーとは?
主な成分
├ガス発生剤 (炭酸水素ナトリウム)
├酸性剤 (d-酒石酸水素カリウム、d-酒石酸、フマール酸、グルコノデルタラクトン(G.D.L.) など)
└保存剤 (遮断剤) (コーンスターチ、小麦粉 など)
炭酸水素ナトリウム (重曹)
├pH (目安):8.3
├水を加えて加熱すると炭酸ガス (二酸化炭素) と炭酸ナトリウムを発生させる
├加熱すると炭酸ナトリウム、炭酸ガス (二酸化炭素) 、水に分解される
(2NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2)
└しかしその場合、アルカリ性の強い炭酸ナトリウムが生成されるため、炭酸水素ナトリウムを単品で使用する場合は複数の欠点がある
✽炭酸水素ナトリウムを単品で使用する場合の欠点
├膨脹力が弱い
├人体の酸性胃液 (胃酸) を中和して、消化機能を低下させる
├小麦粉中のフラボン色素を黄色に変え、菓子等の色を損なう (抹茶なども変色させる)
├苦味がある
└アルカリ臭を発し、味等が落ちる
酸性剤
├炭酸水素ナトリウムを酸性物質で中和することで上記欠点を抑える
├酸性剤を加えることで常温でも炭酸ガスが発生する
(NaHCO3+HCI→NaCl+H2O+CO2)
├その際塩化ナトリウム (NaCl) も発生する
(つまりアルカリ性剤に対して対応量の酸性剤を加えることによってpHが中性になり、衛生上の問題も解決され、発泡力も強くなり、上記の欠点は解決される)
└目的によって効果の違う酸性剤を使用することによってガスの発生を速くしたり、持続的にすることもできる
※塩酸は液体なので実際には使用されないが、目的に応じた各種の粉末酸性剤を単品または組合せて使用する
※それぞれの効果は下記「常態による分類」参照
※それぞれの詳細は下記「酸性剤」参照
├第一リン酸カルシウム (酸性リン酸カルシウム) (pH3.4)
│(2NaHCO3+Ca(H2PO4)2→Na2HPO4+CaHPO4+2H2O+2CO2)
├d-酒石酸
│(2NaHCO3+C4H6O6→C4H4O6Na2+2H2O+2CO2)
├d-酒石酸水素カリウム
│(NaHCO3+KHC4H4O6→KNaC6H4O6+H2O+CO2)
├グルコノデルタラクトン (G.D.L.)
(NaHCO3+C6H10O6+H2O→NaHCO3+C6H12O7→C6H11O7Na+H2O+CO2)
└塩化アンモニウム
(NaHCO3+NH4Cl→NaCl+H2O+CO2+NH3)
保存剤 (遮断剤)
├保存中に、炭酸水素ナトリウムと酸性剤が空気中の水分に触れて反応しないようにしている
└膨らます作用には関係無い
原材料や取り扱いによるベーキングパウダーの分類
├一剤式ベーキングパウダー (合成膨張剤) ←一般的なもの
├二剤式ベーキングパウダー (合成膨張剤)
└イスパタ (アンモニア系合成膨張剤)
ガス発生の状態による分類
├速効性ベーキングパウダー
├遅効性ベーキングパウダー
└中間性、持続性ベーキングパウダー ←一般的なもの
速効性ベーキングパウダー
├低温でよく溶ける酸性剤を利用
├そのため常温でも炭酸水素ナトリウムと反応して速くガスを発生する
├非常に速いもの:d-酒石酸 (常温で全てのガスを発生する)
└適度に速いもの:第一リン酸カルシウム (常温で全ガス量の1/2~1/3が発生する)
遅効性ベーキングパウダー
├高温でよく溶ける酸性剤を利用
├加熱されなければガスの最大発生が行なわれない
├適当に遅いもの:ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸ナトリウム
└非常に遅いもの:グルコノデルタラクトン (G.D.L.) 、または焼ミョウバンを含むもの (常温ではほとんど発生せず、炭酸水素ナトリウムとの反応には加熱が必要)
✽ミョウバン
├硫酸アルミニウム
├よく聞く「アルミフリー」とは、このミョウバン不使用のもの
└2018年に厚生労働省により規格基準が改定されている
(焼ミョウバン・焼アンモニウムミョウバンの使用量が、アルミニウムとして、菓子、生菓子又はパンにあっては、その1kgにつき、0.1g以下でなければならない <2018年11月30日付 平成30年厚生労働省告示第407号>)
⚠️未だにミョウバン添加のベーキングパウダーを使用している店舗はアルミフリーのベーキングパウダーへ変更すべきです
中間性、持続性ベーキングパウダー
├近年の一般的なベーキングパウダー
├速効性と遅効性の酸性剤を組合せたもの
└総ガス量の1/3~1/5を常温で発生させ、残りを加熱で発生させる (ダブルアクティング)
適するベーキングパウダーの種類
├速効性:生地が柔らかいもの、生地の処理時間が短いもの、目が粗いもの、焼成温度や生地温度が低いもの、油脂を多く使用したもの、生地の粘度が高いもの(他の添加物による)、亀裂が不要のもの…など
└遅効性:生地が硬いもの、生地の処理時間が長いもの、目が細かいもの、焼成温度が高いもの、油脂が少ない (or不使用) のもの、生地粘度が低いもの (他の添加物による) 亀裂を必要とするもの…など
使用量の目安
├お菓子の種類や配合材料の特性と量によって変わる
├一般な使用基準量:小麦粉に対して2.0~5.0%
├薄力粉よりも強力粉は膨脹剤を多く必要
└生地の混ぜ方によっても上下する
(混ぜ方によって生地の膨脹が違うため、膨脹の少ないものにはそれを補うために膨脹剤を多く使用する必要がある)
使い方
└小麦粉をあわせてよくふるい、膨脹剤を均一にすることが重要
(ふるうことにより小麦粉の粒子をほぐして空気を含ませることでより膨らみやすくなるのと、生地中に膨張剤を均一に行き渡らせる必要があるため)
保存方法
├容器を密閉状態に保ち、湿気を避ける
└直射日光や高温多湿を避ける
※酸性剤 (全て参考値)
*第一リン酸カルシウム (CaH4P2O8)pH3.4
├ベーキングパウダー、醸造用添加剤、飼料添加剤などに使用される
├溶解性:水及び酸に可溶、エタノールには不溶
└(30℃の水100グラムに対し1.8g、熱水では分解)
*d-酒石酸 (C4H6O6)
├溶解性:水及び熱エタノールに可溶
│(水に易溶 (0℃の水100gに対し115.04g) )
└融点:約170℃
*d-酒石酸水素カリウム
└溶解性:水、エタノールにほとんど溶けない、熱水にやや溶けにくい、無機酸、アンモニア水及び水酸化アルカリ溶液に可溶
*グルコノデルタラクトン
├豆腐やチーズの凝固剤として使用される
├溶解性:水、アルコールに可溶
│(20℃の水100mlに対し59g、アルコール100gに対し1.0g)
├pH:3.5
└融点:151〜155 °C (分解 192〜202℃)
*酸性ピロリン酸ナトリウム
├別称:ピロリン酸二水素二ナトリウム
├食肉品質改良剤、乳化剤、pH調整剤などに使用される
└pH:3.8〜4.5
*塩化アンモニウム
├溶解性:水に可溶、エタノールに溶けにくい
│(0℃の水100mlに対し29.4g、100℃100mlに対し77.3g)
├pH:4.5~5.5
└融点:520℃
==========
ちなみにriberaで使用しているベーキングパウダーはもちろんアルミフリー
<成分>
炭酸水素ナトリウム … 25.0%
グルコノデルタラクトン … 18.0%
酸性ピロリン酸ナトリウム … 15.0%
第一リン酸カルシウム … 10.0%
d-酒石酸水素カリウム … 6.0%
ステアリン酸カルシウム … 1.0%
コーンスターチ … 25.0%
*原産国:国内製造
*使用基準:カルシウムとして食品の1.0%以下
*使用量 (目安):小麦粉300gに対し10g
…つまり
✽ガス発生剤 … 25.0%
✽酸性剤 … 50.0%
✽保存剤 (遮断剤) … 25.0%
(参考値) ガス量:104ml以上、pH:6.2~7.2
酸性剤めっちゃ入ってる〜
と感じたかもしれませんが、日本のパティスリーでよく使われているベーキングパウダーです
この中で、冒頭に書いた「歯のキシキシ」の原因で怪しいとしたら
*第一リン酸カルシウム
*ステアリン酸カルシウム
…あたりかなぁと思っているのですが…どうでしょう…?
料理研究家の皆様、どうでしょう?
「研究家」の名にかけてぜひ解明して頂きたい

化学研究者の皆様どうか教えて下さい知り合いにいたら絶対しつこく細かく原子レベルで聞くのに…!
ちょっと正解でした!↓
もう1つ有名なアルミフリーベーキングパウダーは
<成分>
コーンスターチ(遺伝子組み換えでない) … 41%
炭酸水素ナトリウム … 30%
第一リン酸カルシウム …29%
*原産国:アメリカ
*使用基準:カルシウムとして食品の1%以下
*炭酸ガス発生 (目安):水分との反応で70%、加熱で30%
つまり
✽ガス発生剤 … 30%
✽酸性剤 … 29%
✽保存剤 (遮断剤) … 41%
(参考値) pH:6.625
ガス発生剤と酸性剤がほぼ同量ですね
コーンスターチめっちゃ入ってるやん
(コーンスターチ pH:4.3〜4.8)
自宅と同区にスコーン専門店があって、そこのスコーンは卵使用という理由もあるかもしれませんがよく膨らんでいるスコーンなんです
すごく美味しくて歯もキシキシしないので、割と気に入ってるんですが…
残念なことに、私も夫も食べると毎回必ずお腹を壊すんです…
(一緒に摂取する飲み物はコーヒーや紅茶、それに使用する乳製品も様々なものを試しましたが…)
素材の管理を怠っているとは思いたくないので、考えられるとすると上記アメリカ産ベーキングパウダーを大量に使用しているのかな?と思っていました
上の方〜〜〜に書きましたが、炭酸水素ナトリウムの特徴として「人体の酸性胃液を中和して、消化機能を低下させる」という点があり、「酸性剤により中和する」ことが可能です (pH)
なので、必ずしも「酸性剤が少なければ良い、安全」とは限らない、ということなのではないかな…と思っていたのです
しかし、調べてみると単純にベーキングパウダーとしてのpH値だけで見ると問題無さそう…
しかしアメリカ人と日本人では胃酸の性質が違うので、「第一リン酸カルシウムのみ使用」という点が何か影響しているのか…?
そもそもベーキングパウダーによる違和感を感じる場合、その成分以外での原因となる可能性として…
✽ベーキングパウダーの量が多い
✽保存中にベーキングパウダーの反応が始まっていた
✽生地の焼成が足りず、中和反応が不完全な状態
✽残存する物質への反応
…など…があります
✽量が多い
├過剰摂取になる、という意味もありますが…
├過量使用状態になると成分が反応しきれない場合がある
├または、炭酸ガスが生地外に抜けてしまう場合がある
└ミックス粉 (ホットケーキミックスなど最初からベーキングパウダーが混ざっているもの) などへの対策としては、レモン汁など酸性のものを加えて中和すると良い
※その場合化学反応が速く進むので生地を休ませず焼成した方が良い
✽保存
├ミックス粉の場合、虫除けなどの理由で「冷蔵庫で保管すべき」という情報があるが、冷蔵庫保管をすると、使用するときの室温との温度差で袋内に水滴が付着し、そこから既に化学反応が始まってしまう場合がある
└ジッパー部分に粉が挟まらないよう注意して密封し、冷暗所での保管が望ましい
✽中和が不完全、残存
├使用するベーキングパウダーに含まれる酸性剤の性質によって、反応が異なる
└それに合わせて生地の保存・焼成タイミング・温度を工夫する
(上記「ガス発生の状態による分類」および「酸性剤」参照)
…つまり、上記アメリカ産ベーキングパウダーであれば第一リン酸カルシウムの性質に合わせた焼成を考えれば良いだけだが、riberaが使用している国産ベーキングパウダーは異なる性質を持つ酸性剤が複数含まれているため、繊細な調整が必要になるのでは…?
もしくは、調整しきれず残存する可能性が高くなりやすいのでは…?
アメリカ産ベーキングパウダーのように使用されている酸性剤が少ないベーキングパウダーを選び、他の材料で少し酸性に傾けてみるのも一つの手段でしょうか?
しかしスコーンにヨーグルトやレモン汁を加えるなど、配合の工夫をしてもキシキシへの影響は感じたことがなく…
配合の工夫と併せて焼成タイミングや温度・時間等を工夫してみれば、もしくは…?
それはあまりにも単純すぎる考察でしょうか…🤔
↓少し解決
冒頭に申し上げた通り、現時点では解決せず
😓
誰か化学的に解明して教えて…!
時間や気持ちに余裕があるときに、ベーキングパウダーを各種揃えて焼成タイミングや温度・時間など、数パターンで検証してみましょうか…
夫にこの話をしたら「もう研究者だよね」と笑われ
私は一体どこに向かっているんでしょうか(笑)
==========
……………大丈夫ですか?

楽しい楽しい化学のお話でした

自宅でお菓子作りをする時は、上記の暗号文(笑)は一切気にしなくて大丈夫です!
楽しむことが何より大事!
けれど、製造・販売をするならば必ず理解していなければいけません⚠️
(上記もかなりかいつまんだもので、全てではありません)
化学物質なので、食べた人の健康を損なう危険があるからです
現に、日本でもベーキングパウダーが原因の集団食中毒事件が過去に発生しています
先日書いた「知識は力なり」
正しい知識を得て正しく取り扱えば、無闇に恐れることはありません
無知ほど恐ろしいものはないです
ベーキングパウダーの話ではありませんが、
先日我が家でもヒヤッとした事件がありました
パン屋さんのパンが購入できるオンラインサービスで購入したパンの原材料欄を見ると
「小麦粉、牛乳、バター、砂糖、塩、イースト」と、とてもシンプルな素材だったため、娘 (2歳4ヶ月) にいつも通り与えたところ、娘が一口食べてから食べ進まない様子…
「美味しくなかった?」と、私が食べてみてビックリ
これ、絶対アーモンドパウダー使ってるやん!!!



表面の生地がめっちゃアーモンド味でした…
幸い娘はアレルギー体質ではないため問題はありませんでしたが、アーモンドにアレルギーがある人なら最悪の場合死んでいます
(娘は私に似たのか味覚が敏感で食べ慣れないものはあまり食べないので食べ進まなかっただけなようです、アーモンドはまだ与えたことが無いので)
以前アーモンドアレルギーの方の話を聞いたことがあるのですが、とあるお店のマドレーヌで死にかけたらしく、その方は「今までマドレーヌを食べてアレルギーが出たことなんて無かったから、アーモンドが使われる場合があるなんて知らなかった」と仰っていたそうです…
普通に販売されている物でも、味覚が鋭い人が食べればハッキリと分かるのに表示されていないことが、実はかなり多いです
(個人店のクッキーやパウンドケーキやマドレーヌは、本っ当に、とっっても多いです)
そして、味覚が敏感な人や作り手はアーモンドの味をハッキリと認識出来ますが、一般的な消費者はわからない (気付けない) ので、食べてしまいます
(上記の人もそうですし、試食していただいてる方々も「アーモンド有無の味の違いとか全然わからない」と言う方が多いです)
「コクを出すためにアーモンドパウダーを使ってるけど、他店に真似されたくないから秘密だもん❤️」なんて馬鹿な発想で食品の販売を行ってはいけません
「食品表示法」というものがきちんと存在するので、かならず理解して、きちんと守った上で、販売を行いましょう!
本日もとてもとても長くなりました
最後までお読み下さりありがとうございます🙇❤️