小山田圭吾氏と百人斬り裁判
この本買いましたが、大方あの時見ていたとおりなんですが、著者が炎上の旬を過ぎた後に当事者証言を聴いて集めて裏とりしていて、南京事件の百人斬り裁判的な趣がありますよね
戦時中に記者に取材された将校がウケ狙いで「百人斬り競争」とか与太話で話したら、内地で盛り上がっちゃって大人気になり、取材を受けるうちにどんどん殺害数が増えていって、敗戦後にGHQに捕まって記事を証拠に戦犯として処刑されてしまうやつ。
枝葉の議論で日本刀の殺傷性能についての議論が発生して、百人斬れる斬れないで山本七平や司馬遼太郎が参戦してくるんですが、はっきり言って不毛です。
南京事件否定派が司馬遼太郎を引いて「日本刀は何人も切れない」と言い出せば、「粗悪な軍刀だから切れないだけで、真正の日本刀なら切れる」とか左翼方面が言い出して、南京事件は否定しないけど日本刀は切れるよ派が「江戸時代以降の新刀や昭和刀は粗悪だが室町時代の古刀や一部の名刀なら切れる」とかずっとやってる。
軍隊には修理班が随行してるので、武器は修理しながらとっかえひっかえやるから切れ味や耐久性は関係ないし、戦争に行けば戦闘や残虐行為は避けられないし、兵士なら誰しもやってることではある。
問題は戦場の残虐行為を自慢話にしたこと、それを英雄として祭り上げてしまったことです。
それで死刑が相当かというと、もてはやした日本人全員死刑になってしまうけど。
実戦で切れ味と耐久性で最も優れていたのは、粗悪の代名詞にされている昭和軍刀の興亜一心刀です。通称満鉄刀。
全員間違い。
小山田氏の記事が本当に言いたいことは、与太話を誇張して記事にまとめた奴にも責任あるだろオメーだよ、ってことなんですが、はっきり書くとその人も火刑台に引きずり出すことになるので奥歯にものを挟み込んだ状態ですんドめしていますよね。
正直インフォデミックとして全部ネット社会のせいにしていた先行の本より、小山田氏から「私が露悪的な語り口でインタビューに答えてしまったのは事実ですし、それを長年放置してきたのも自分なんです。だから誰かが悪いのではなく、自分が一番悪いのだと思います」と引き出した点で圧勝しています。
インターネットのあるなし関係なく、人々の梶原一騎的なおもしろ講談志向が核心なので。
面白ければ正義、数字がすべての多数決っていう。
だいたい『吉原百人斬り』だって実際に斬ったのは数人だけどウケが良いから百人斬りになってるくらいで、江戸時代からこんなんですよ。
小山田氏もその時はそれでシブヤ系オサレPOPからキャラ変して、露悪サブカル界隈に祀られて虚構から利益を得ていたので、東京オリンピックで高いつけを払わされたということで仕方ないところはあるんですが、小山田氏をダークサイドの暗黒卿に祀り上げた人はこの先も不発弾を抱えたままになるので、どっちが最悪かといえば小山田氏のほうがマシではあります。
小山田氏は問題の核心について認識して反省したんだから、この件は完全に終わり。
メタルでもありますよ。あのバンドは教会に放火したらしいとかそういうイメージで売るの。
っていうか『デトロイトメタルシティ』の虚構の帝王クラウザーさんの中の人・根岸がコーネリアス風なのって一面の真実ですよね。
クラウザーさんの予言が的中したんだーっ!!
百人斬り裁判もそうですが、おだてられて時局に乗ってリップサービスすると、突然手のひらクルーで地獄に落とされることがあるので、変にウケを狙わないことと自分の情報コントロールを誰かに預けないことが重要ですね。
自分の手綱を他人に渡すな。
何で急激に小山田圭吾バッシングが収束したかといえば、2022年のバレンタイン事変で『美女ゲーマー(当時)』の谷加奈さんにターゲットが移ったからです。
谷さんのリアルタイム配信の視聴者にはスポーツ新聞の記者がダマで紛れているので、言葉とネタには気をつけてほしいです。
谷さんも人にサービスしようとして、思ってないのに相手の望んでいることを言ってしまう癖があるので。
小山田さんは、割と歌の上手い谷さんと『バレンタイン事変』とかユニット組んで音楽活動したらいいんじゃないでしょうか。
東京事変のパクリみたいでだめか。
通りすがりからは以上です。
最近の秋田書店刊
安定の守備範囲。
『大巨蟲列島』
敵が虫に寄生された人間という形で絵面がよくあるゾンビ物になってきてしまいましたが、甘い展開がなく味方側が容赦なくぶっ殺されるのは良くも悪くも秋田書店。
話の脈絡はあるもののすぐエロに突入するあたりに、昔のPC-98のエロゲを思い出します。
河原崎家的な。
ぼちぼち売れてるらしいのはいいんですが、ただでさえ世間に嫌われている昆虫へのヘイトが高まりそうで複雑。
『巨蟲山脈』
こちらは稲穂師匠が登場する本州側。
刃牙の巨大カマキリもし戦わば、を対戦カードを変えつつ延々続ける昆虫最大トーナメント。
稲穂師匠は昔、昆虫採集先の山岳武装ゲリラから習ったので銃器も扱えるとか『サイカチ』から設定引きずってて、『巨蟲列島』シリーズのスピンアウトとして読み始めた層を置き去りである。
(藤見泰高・カミムラ晋作『サイカチ』2巻 秋田書店刊)
(藤見泰高・カミムラ晋作『ベクター・ケースファイル』3巻 秋田書店刊)
稲穂師匠が出てきてしまうということは、『サイカチ』直系世界観ということで、別作品とはいえあの世界が先々バイオハザード化するみたいで真夏氏たちが心配になります。
かといって真夏氏出したら棒で巨大昆虫を操るヒーロー物になっちゃうしね。『サイカチ』と『ベクター・ケースファイル』で昆虫アベンジャーズ結成しても誰もついてこれない。
今年は気温と湿度が高いせいかカブト・クワガタの当たり年らしくて、玄関によく飛んで来るので保護活動が忙しいです。
まさに飛んで火にいる夏の虫。
『まどわせないで矢守くん』
チャンピオン本誌に載ってたら惜しまれつつタンコーボンダシタイナ号が発進していたような作風ですが、WEBではニッチな元気玉を集めて生きていける様子。
ひばりくん以来の途中で描けなくなりがちな設定だけど大丈夫?
なんで女装してるんだかかわからんヒロイン♂️との恋愛的なのは、だいたい未完や性別ウヤムヤにしてフェードアウトしているぞ。
美少女キャラの記号で盛らずに可愛く見せるバランスは秀逸。
漫画のせいじゃないんですが、女子制服で夏休みデビューしてトイレで汚水ぶっかけられたりスカート切られたりひどいイジメにあった友達思い出すので、ほんわか甘い展開を素直に楽しめないところはあります。
何度繰り返しても幸せになれないのに、また夢を繰り返すのかという個人的なカルマが評価を辛くさせてしまう。
世の中全部こうだったらいいのにね。
またBL雑誌購入、もはや定期購読
また本誌を買ってしまいました。
掲載作品全部読んでます。
BLは過当競争が厳しいのか、背景世界や取り扱う題材が個性的。よくある学園モノがない。
漫画は読者の半径300mから始めろとは言いますが、腐女子の周りには同性愛者のマフィアや獣人がうろついてるんですかね。
特に好きになってしまったのは、花畑を出す魔法に逃げずに国土の緑化に励む『緑土なす』。
ケモノ異種間BLという業の深さがすごい『ボクの旦那様』。馬をちゃんと描く奴に悪いやつはいない。
絵が昔の少女漫画みたいでいい。
銃器の描写が秀逸な『裏切り者のラブソング』。
銃器をちゃんと描く人は青年誌でも数えるほどしかいない。指トリガー警察もニッコリ。
うちにある本物にしか見えないベレッタM92Fを編集部に送ったら警察に通報されますかね。実銃パーツで盛ってますが合法です。
『愛も憎しみも沈黙の中で』は絵に手慣れ感はないんですが背景までこねて描いてる熱量がすごくて、全ページこの調子で描いてると命の危険がありそう。
元の原稿はフルカラーだったりしません?
昔のロリコン漫画誌はエロ要素入れれば何でも許されたので、SFやファンタジー、ガンアクション何でもありで色んな才能が飛び立っていきましたが、いまはその役割をBL雑誌が担ってるのかもしれないですね。
そして俺たちの(誰だよ)『ララの結婚』。
アウラ氏、轟沈。
お節句はしたことあったけど恋した事はなかった。
恋を知り失恋を知る片想いのフルコース。
ラムダン氏にしても村のため、家業のため、世間のため、王家のための結婚ばかりで、純粋に二人のための結婚だけがない。
このままではタイトル回収できず愛人エンドになってしまう。
お前それでいいのか?って幼馴染と村人総登場するのが良かったですね。
頑張れ、タシ氏(覚醒)。
岩塩鉱山の近くには油田があることが多いぞ。
塩が枯れたら次は石油王だ。
しかしガソリンエンジンが実用化されるまで油田は迷惑でしかないのが問題だ。
石材屋としてあと100年頑張れ。
ルカ氏は拾われ者のイグナ氏に『我ら国を持たない流浪の民』『同胞』とか言ってるし、ただの宿無しではなくロマ族っぽいですよね。
ラムダン氏は空気が抜けてしまったし、アウラ氏は失恋で飲んだくれてしまったので、伏線回収はルカ氏の行動力に託すしかない。
いやほんとにここからどうやってまとめるんですか。
この物語を決着させるには、もう遥か東にあるというBL天国目指して日本に来るしかなくない?
17世紀頃、ロシア系コサックが極東のアムール川あたりに入植してたんすよ。
グリナザ族も迫害を逃れて東の方へ旅立っているかもしれない。
17〜18世紀の日本は鎖国してるし、秀吉の朝鮮出兵のせいで明と国交断絶してるけど、琉球を介して長崎から入国できそう。
ためこう先生、この原稿終わったら沖縄行くって言ってたし、休暇なのに仕事を見つけてしまうやも。
もう祝福されて旅立って日本海に達して立ち尽くす二人をアウラ氏が船で迎えに来る絵が見える気がした。
もともと『ララの結婚』て『日本書紀』のヤマトタケルと『とりかへばや物語』を掛け合わせたようなところがあって極めて日本的なストーリーなんですが。
さらに最近マッチョ化が激しいウルジ氏がどーもあの方に似てるんですよ。
その人は……
短髪?
実家が太い?
筋肉ムキムキ?
美少年と付き合いたい?
極端な性格?
それってもしかして……
三島由紀夫。
ラムダン氏は美輪さん。
美輪さんがあの時よしよししてあげれば、切腹なんてしなかったかもしれない。
美輪さんに振られたので自衛隊の基地を占拠して切腹しちゃう三島超先生を愛さずにいられない。