写経屋の覚書-なのは「じゃ、今回で『本市に於ける朝鮮人住宅問題』はお終いだから、はりきっていくね」

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        B 家賃の滞納
 さらに家賃の不払を原因とする争議にして未解決のもの七二九件につき期間別に家賃滞納を観察するに、次表に見る如く一ケ月以上三ケ月未満のもの二三六件、三ケ月以上六ケ月未満のもの二三八件をかぞへ、結局家屋の賃貸借に連繋して常に問題となりがちである六ケ月未満のものが四七四件にして総数の半ば以上を突破してゐることは、一ケ年以上も家賃を滞納してゐるもの五二件にも及んでゐることと共に注意に値する。

出身道3ケ月未満6ケ月未満1年未満1・半年未満2年未満2・半年未満3年未満3年以上
全南132137823616575420
全北413-----8
慶南4657401251--161
慶北29231297-1182
忠南9711----18
忠北56-1---315
平南131-----5
平北2-------2
咸南--1-----1
咸北-1------1
京畿823---1-14
江原--1-----1
黄海-1------1
2362381445928699729


写経屋の覚書-フェイト「家賃滞納の半分強が半年分以内分なんだね。一旦滞納するとなかなか支払いが追いつかなくなるのかな?」

写経屋の覚書-はやて「不況やし、失業でもして安定収入がなくなったらそうなるん(ちゃ)う?そやけど、全羅南道出身者の滞納者がむっちゃ多いんやね」

写経屋の覚書-なのは「絶対数は多いんだけど、割合の問題になるから、出身道別の戸数内訳を見ないことにはどうとも言えないんだよ。で、ありがたいことに出身道別戸数内訳と家賃滞納戸数の割合を示した表が続いて載っているんだよね」

 次表によつて在住朝鮮人住居総戸数に対する家賃滞納戸数の割合を見るに八・二%即ち一割弱が家賃を滞納してゐることになり、更にこの割合を各出身道別に観察すれば全羅南道が第一位の一五%を占めてゐるが、この事実は南鮮地方が歴史的伝統及び地理的環境の複雑なる要素を多分に有することを想起せしむるに足るものである。
 戸数家賃滞納戸数百分比
全羅南道3,99523,4518,35131,80242015.0
全羅北道5733,5411,1254,66681.3
慶尚南道2,1078,9354,75313,6881617.6
慶尚北道8354,4251,5325,957829.8
忠清南道3571,8655772,442185.0
忠清北道2401,2984041,702156.2
江原道11551517268710.8
京畿道2981,4956322,127144.6
黄海道9346715760411.0
平安南道9758522180655.1
平安北道652938938223.1
咸鏡南道8745316261511.1
咸鏡北道652379333011.5
8,92747,56018,24865,8087298.2


写経屋の覚書-はやて「朝鮮人全体やと8.2%が家賃滞納やけど、全羅南道出身者は15.0%、倍近くあるやん。これは確かに高い数値やで」

写経屋の覚書-フェイト「でも、『南鮮地方が歴史的伝統及び地理的環境の複雑なる要素を多分に有することを想起せしむる』っていうのはどういうことなのかな?」

写経屋の覚書-なのは「朝鮮南部、特に全羅道が貧しかったことだけを指すんだろうね。当時は済州島も全羅南道所属だったし」

写経屋の覚書-はやて「巷間よお言われる全羅道や済州島への歴史的な差別感や蔑視いうんは指してへんのかな?」

写経屋の覚書-フェイト「全羅道・済州島への差別?」

写経屋の覚書-なのは「ああ、その話ね。後三国時代、全羅道に割拠した後百済が慶尚道の高麗に最後まで抵抗したので、高麗初代王の王建が遺言の中で全羅道の人間を重用するなと言ったのが起源とか、済州島は流刑地ということもあったりしたので低く見られていたとかいう話なの」

写経屋の覚書-はやて「全羅道の方は九姓漁戸の起源伝説みたいなもんやなぁ」

写経屋の覚書-なのは「ま、そうでなくても、ソウルを軸にしての一極集中の伝統による地方の相対的貧困、各道間の交流不活発、地域対立特に慶尚道と全羅道の激しい対立って問題がずっとあったからねぇ…」

写経屋の覚書-フェイト「作者は、NAVERやエンコリ、あるいはヤフー掲示板でも、慶尚道の人間が「全羅道やつらごみだ」なんて罵る場面を見たことがあったそうなんだけど、そういう背景があったんだね」

写経屋の覚書-はやて「大韓民国になってからは、大統領の朴正煕・全斗煥は慶尚北道、盧泰愚は慶尚南道出身やったから、よけいに全羅道の人は反権力感情を持ったんかもしれへんね。光州事件もそういう背景があるんかもね」

写経屋の覚書-なのは「じゃ、最後は結語だよ」

       四 結語
 近年加速度的に増加しつつある朝鮮人の内地移住、殊に労働者階級の都市集中が各方面に著しい脅威を与へてゐることは上述した如くであるが、彼等の多くは下級農業労働者であり朝鮮本土におけるその生活はまことに惨めなものであるから、内地の生活標準が高ければ高いほど彼等の移入を招来するは当然である。
 要するに朝鮮人の渡来は失業の移入を意味し、斯くて均衡を失せる労働需給の関係は刻下の失業問題に一段の重要性を加へつつあるが、一面失業問題以上に彼等をなやましつつ日増しに社会問題的色彩を深め行くものに朝鮮人の住宅問題、即ち常に来住朝鮮人の増加による失業群の簇生と因果関係に立つ彼等独特の家賃難又は借家難の問題がある。
 之を要するに在阪朝鮮人住宅問題の重要性を強めるものは来住朝鮮人の増加であるが、しかも本問題をして更に一層悪化内攻せしむるものは彼等の失業その他による家賃の滞・不納であり、その乱暴不潔な居住振りであり又驚くべき多数の群居生活によつてそこに醸さるべき幾多の犯罪、不道徳、不衛生である。従つて本問題の解決方法としては、先づ積極的には漫然内地に渡来する朝鮮人をその本土に踏みとどまらしむると共に既に移住せるものに対してはその生活水準を向上せしむる必要があり消極的には人口の過剰より生ずる危険と弊害を未然に防止する必要がある。

写経屋の覚書-はやて「解決方法として『積極的』と『消極的』の2つを提示しとるんやね」

写経屋の覚書-なのは「『積極的』のほうは『漫然内地に渡来する朝鮮人をその本土に踏みとどまらしむる』と『既に移住せるものに対してはその生活水準を向上せしむる』の2つが挙げられてるんだけど、次の段落で詳しく説明されてるんだよ」
 
 朝鮮人の約八割弱は自作兼小作乃至小作人であるが、内地渡航者について見るも亦七、八割方は一般に朝鮮人労働者の名において呼ばれてゐる農民または農業労働者である。而してこれ等下層農業者階級の朝鮮における生活いかんといふに、彼等のある者は一日僅かに二十銭内外の賃銀で九時間乃至九時間半の労働に従事してゐる有様で、これを火田民又は土幕民の生活に比するもはるかに低く更に失業苦になやみつづけてゐる在阪朝鮮人労働者の収入及び生活状況に対比するも尚ほ余程劣つてゐるが、この彼我の開きこそは所謂朝鮮人労働者の大多数を絶えず内地殊に主要都市に誘引する原動力であり而かもこの傾向は恰も水の低きにつくと同じであるから、朝鮮本土においてこれ等の階級を保護善導するの方法として小作制度を改善し或は失業救済事業を企画して彼等の生活より不安と脅威を取り去らない限りは、百の渡航阻止策も畢竟するに雪をかついで井戸を埋むるの愚に終り在阪朝鮮人の住宅問題は依然その暗影を広め行くであらう。

写経屋の覚書-フェイト「『漫然内地に渡来する朝鮮人をその本土に踏みとどまらしむる』の具体的施策として『朝鮮本土においてこれ等の階級を保護善導するの方法として小作制度を改善し或は失業救済事業を企画』を挙げているんだね……あれ?どこかで聞いたような感じがするよ。獄長日記だったかな?」

写経屋の覚書-なのは「そうなんだよフェイトちゃん。獄長日記の「朝鮮人移住対策の件(一)」・「朝鮮人移住対策の件(二)」で触れられている昭和9年『内甲第149号 朝鮮人移住対策ノ件』にある「朝鮮内に於て朝鮮人を安住せしむる措置を講ずること」とか漫然渡航の「諭止」ってあたりだよ」

写経屋の覚書-はやて「あー、これかー。朝鮮内で雇用を創出して労働力を吸引するんやな。その施策の一つが朝鮮北部の重工業の開発やったんやな」

写経屋の覚書-なのは「朝鮮北部では、当時は商品作物としての稲作が無理だからね。工業を起こすしか選択肢がなかったんだよね。で、次は『既に移住せるものに対してはその生活水準を向上せしむる』のほうだよ」

 第二は在阪朝鮮人の生活水準を向上せしむる問題であるが、まづ都市生活の調和ある進化をのぞむならば、職業、性、居住様式及び教育程度が正常なる状態において向上調和さるべきである。しかるに今在阪朝鮮人のそれ等について見るに、職業では官公吏其の他〇.四%、商業〇.七%、職工三四.五%、その他の労働者三二.〇%で特に目立つのはその他の労働者に含まれてゐる土方及び雑役が多数を占めてゐることであり、男女の割合では男七二%、女二八%となつてゐる。更に居住様式は上述する如く驚くべき多数者の群居生活によつて常に都市生活の正常なる進化をさまたげてゐるし、教育程度は文字を解せざるもの五四.四九%、尋小中途退学二一.三一%、尋小卒業一六.八七%といふ風で、それ等のいづれもは都市生活の調和ある進化換言すれば在阪朝鮮人の生活水準を向上せしむる所以でないから、これ等総べてを正常なる状態にもち来たすための努力が要る

写経屋の覚書-フェイト「…結局、具体的にはどうすればいいのかな?」

写経屋の覚書-なのは「んー、内地にあうかたちに生活指導するしかないよね」

写経屋の覚書-はやて「なんや、同化政策とか皇民化政策とかいわれるやつやんwww」

写経屋の覚書-なのは「そうなんだよねぇ…内地各地で昭和7、8年ごろから内鮮人援護団体が増加していくのもそれが理由の一つなんだろうねぇ…」

写経屋の覚書-フェイト「ここで見た『本市に於ける朝鮮人住宅問題』の提言と獄長日記にある朝鮮総督府の施策が一致しているのは偶然なのかな?」

写経屋の覚書-なのは「どうなんだろうね。時系列順としては『本市に於ける朝鮮人住宅問題』が朝鮮総督府に影響を与えたってことになるんだろうけど、根本的な解決策を考えていったら同じ地点に到達したってことかもしれないよね」

 終りに人口の過剰より生ずる危険と弊害の問題であるが、断るまでもなく都市住宅政策の眼目は労働者階級の住宅標準を現在より低下せしめないことである。しかるに人口の過剰は経済的負担能力の低下及び文化的差異と相結んで群居を促し群居生活は往々にして住宅標準を低下せしめる最大要素となり得るから、先づ一戸内における最低の居住人員を制限すると共に人口の過剰を防止するための住宅供給が考慮さるべきであり、これ等のことは過密居住、住宅過密が在阪朝鮮人住宅問題の中核をなす現状において特に然りとする。

写経屋の覚書-はやて「最後は、とにかく住宅供給を増やすっちゅう一番直接的な手段やな」

写経屋の覚書-なのは「住宅建設と不良住宅の改良っていうのは昭和初期からの大阪市の一大施策になるんだよ。市内の環境劣悪な土地にある住宅をどんどん改良していくの」

写経屋の覚書-フェイト「その環境劣悪な土地と朝鮮人居住地が重なっていることが多かったんだろうね」

写経屋の覚書-なのは「うん。ま、順調に行ったかどうかは別の話になるんだけどね。じゃ今回はここまでにするね。次回は『大阪市住宅年報』の昭和7年版を見る予定だよ」

大阪に於ける朝鮮人問題(1)  大阪に於ける朝鮮人問題(2)  大阪に於ける朝鮮人問題(3)
大阪に於ける朝鮮人問題(4)  大阪に於ける朝鮮人問題(5)  大阪に於ける朝鮮人問題(6)
大阪に於ける朝鮮人問題(7)  大阪に於ける朝鮮人問題(8)  大阪に於ける朝鮮人問題(9)
大阪に於ける朝鮮人問題(10) 大阪に於ける朝鮮人問題(11) 大阪に於ける朝鮮人問題(12)
大阪に於ける朝鮮人問題(13) 大阪に於ける朝鮮人問題(14) 
写経屋の覚書-なのは「今回も『本市に於ける朝鮮人住宅問題』だよ」

写経屋の覚書-第120号_14
写経屋の覚書-第120号_15
写経屋の覚書-第120号_16


       三 住宅争議の真相
 朝鮮人住宅問題の中、借家難と相関連して都市生活の一脅威となりつつあるものは住宅争議である。而してその原因は家賃と借家人の不正行為、換言すれば家賃の支払、敷金の不納、無断転貸及び契約違反の四種に分類することが出来るし、又間接的はに(ママ)家賃の弾力性と支払能力、直接的には家賃支払意思の有無にその原因を求むることが出来る。即ち所得の少額なるがために相当の家賃を支払ひ得ざるものが存在すると同時に、他方所得を住居費に支出するを好まざる者の存在を忘れては到底朝鮮人住宅争議の真相に触れることは出来ないであらう。
 昭和四年一月より九月に至るまでの在住朝鮮人住宅争議に就いて見るに、次の争議一覧表に示す如く総件数一六一〇中、六六%に達する一〇四七件は家賃不払、敷金不納を原因とし、家賃支払能力と支払意思の欠けてゐることが如何に住宅争議の主因を為してゐるかが明白に窺はれる。
 更に住宅争議の原因中第一位を占むる家賃不払に就いて詳細なる観察を進めるに、総件数九一七中、立退料を給付したるもの一五四件、未解決のもの七二九件に及んでゐることは、住宅争議の悪化と解決の至難さを如実に示すものと解釈して差支へあるまい。
 
        A 争議の原因

(昭和四年一―九月府特高課調査)   

 解決未解決
 立退料給付給付せず居据
家賃不払154161872991757
敷金不納561115751579
無断転貸684610321714
契約違反12123714230219
其 の 他6137171
405301191,0561,610100


写経屋の覚書-はやて「…家賃不払いだけで917件!?1ヶ月に100件、1日に3件以上の割合なんてむっちゃすごいやん!」

写経屋の覚書-フェイト「でも、「家賃不払」「敷金不納」って、ほんとうに借家人が悪意を以て踏み倒しているケースもあるだろうけど、払いたくても払えないっていうケースもあるのかもしれないよ。全面的に借家人だけが悪いかどうかは速断できないじゃないかな?」

写経屋の覚書-なのは「たしかに情状酌量の余地があるケースもあるかもね」

 上述する如く住宅争議の原因中借家人の正当ならざる行為に帰すべきものに無断転貸と契約違反がある。今その両者について見るに、解決二七四件未解決二四五件、解決の内容は立退料を給付せるもの一八九件、給付せざるもの二件、居据り八三件にして結局金銭給付による解決が大部分を占めて居る状態である。
 要するに住宅争議が民事事件として簡単なる解決を望み難い結果勢ひ金銭給付に依る解決の方法を採るに至りこの傾向は極端なる借家難と相俟つて益々悪化し、中には内地人家主の朝鮮人借家人に対する感情を逆用して常習的に立退料をせしめるべく借家を転々するものさへ見るに至つた。そしてこのことが如何に善良なる家主階級を脅威するの甚しきかは、左にかかぐる新聞記事が最も雄弁に説明してゐる。

(昭和五年三月二十二日大阪毎日新聞所載)  

昭和五年五月廿日午後六時ごろ大阪天満の薬種行商人藤原義夫の妻と称する四十歳位の女が、東淀川区豊崎東通三の一五煙草商原安恵所有の同町南通四ノ六〇の空家を借りに来て敷金六十円を置いて立去つた。が翌日同借家には前記の藤原でなく鮮人数名が移転して来てゐるので、家主は約束が違うとて退去を求め表戸を釘づけにしたところ間もなく十数名の朝鮮人が押しよせて表ガラス戸を破つて侵入した。
家主側の話
あの人達には気の毒ですが朝鮮人に貸すと家を荒される上に附近の借家人が段々減るので、朝鮮の方は断つて居たところ今度のやうに内地人ををとりに使つて借りに来たのです。中には常習的に立退料をせしめるためにこの手段を使つて借家から借家へ転々としてゐる者も少くないさうです。
朝鮮人側の話
我々はこんな手段でも取らなければ内地人の家主は中々家を貸して呉れません、兎に角敷金は立派に支払つてゐるのですから当然この家に住む権利があります。

写経屋の覚書-なのは「ここで紹介されている記事はこれだよ」

写経屋の覚書-300322大毎

大阪毎日新聞 1930年(昭和5年)3月22日付
内地人が借りに来て朝鮮人が住む
  『それは約束が違ふ』と家主が家を釘づけ
廿日午後六時ごろ大阪天満の薬種行商人藤原義夫の妻と称する四十歳位の女が東淀川区豊崎東通三ノ一五煙草商原安恵所有の同町南通四ノ六〇の空屋を借りに来て敷金六十円を置いて去つたが翌日同借家には前記の藤原でなく鮮人数名が移転して来てゐるので家主は約束が違ふとて退去を求め表戸を釘付にしたが間もなく十数名の鮮人が押よせて表ガラス戸を破つて侵入したので中津署では関係者を引致して取調べてゐる
家主側の話 あの人たちには気の毒ですが、鮮人に貸すと家を荒される上に附近の借家人がだんゝゝ減るので朝鮮の方は断つてゐたところ今度のやうに内地人ををとりに使つて借りに来たのです、中には立退料を取るためこの手段を使つて転々としてゐる者もあるさうです
鮮人側の話 吾々はこんな手段でも取らなくては家を貸してくれません、敷金は払つてあるのですから当然この家に住む権利があります

写経屋の覚書-フェイト「記事引用と記事原文とでは所々で文章表現が違うね」

写経屋の覚書-はやて「うん。引用は『この手段を使つて借家から借家へ転々としてゐる者も少くないさうです』になっとるけど、原文やと『この手段を使つて転々としてゐる者もあるさうです』やで。引用の方は大げさに書いとるって突っ込まれるかもしれへんで」

写経屋の覚書-なのは「そうだねぇ。正確な引用をしないといけないよね。たしかに以下に見るようにこういう事件は少なくなかったんだけどね」

写経屋の覚書-270119大朝

大阪朝日新聞 1927年(昭和2年)1月19日付
家主脅迫の鮮人四名に体刑の判決
朝鮮人李春植(二十八)ほか同志の玄斗錫、実兄李鐘植、金洪紳らが鮮人住宅問題の解決を標榜して
 南大阪方面で新築の二階家とか洋館三階建などを借りうけ、表に蛇をつるしたり路次の入口や屋内に人糞を積み、あるひは大かまを据江家屋内を煙でくすべるなど家主をいやがらせ立退を命ずると五千円乃至一万円といふ法外な立退料を請求し、結局四十二件総計四万五千円を恐喝して昨年阿部野署に検挙されたが、十八日大阪区裁判所辻判事より李鐘植、李春植の兄弟は懲役一年半に、金洪紳、玄斗錫は各一年に処せられた

写経屋の覚書-はやて「いきなりえげつないのがあるで。『表に蛇をつるしたり路次の入口や屋内に人糞を積み』って…まるで地上げ屋やん」

写経屋の覚書-なのは「借家人が立ち退く際には家主のほうが立退き料を払わなきゃいけないの。で、それを目当てにわざと家を借りて迷惑行為を繰り返し、家主から立ち退きを要請されるようにもっていくんだよ。ただ、この場合は恐喝で逮捕されたっていうから、よほど下手を打ったんだろうねw」

写経屋の覚書-280627大朝

大阪朝日新聞 1928年(昭和3年)6月27日付
借家を封ぜられ 必死の苦肉策
  紛議の絶えぬ鮮人借家問題
 鶴橋署でも取締に悩む
大阪鶴橋署管内の鮮人居住者は現在六千人余を数へ府下第一位にあるが鮮人特有の借家紛議も一番猛烈で鶴橋署が昨年度に取扱かつた紛議件数は二百五十三件で三年度(六月二十日)までの現在件数は八十五件にのぼつてゐる、昨今は家主連も鮮人とみるとなか〱貸さぬので鮮人居住家屋は減少する一方であるが
 鮮人にとつて借家を封ぜられるのは死活問題とて必死になつて苦肉の策をめぐらし家主連に鮮人であることを感ずかれぬ巧妙な新手段を案出してまんまと借家を手に入れるやうになつてきた、四月末ごろから昨今に至る間頻々として丸髷姿の日本女が先家賃の契約で家を借りたがそれらは手数料を種に鮮人の手先をつとめてゐたものであることがわかつた、また康琪元といふ男は四月末から東成区猪飼野町吉田千代所有の空家に無断で住み込み明渡を要求されても尻を据えたまゝ動かぬので、家主が鶴橋署に訴へ出、同署で早速取調べたが、康は空家の守をする積りで入つたので畳、建具も自分で入れた、守賃を当方から貰ふべきで立ち退く必要はちつともないと嘯いて平然としてゐる有様にさすがの係官もあつけにとられたといふ
同署では今後このやうな新手段にそなへる一方家主連の同胞観念と鮮人の境遇に対する理解の涵養に努め鮮人達に対しては内地同化を力説指導して借家問題の解決をはかると

写経屋の覚書-281004大毎

大阪毎日新聞 1928年(昭和3年)10月4日付
立退料目あてに借家を渡り歩く
 内地人を手先に使つた
  家主泣かせの鮮人
借家受難の朝鮮人借家明渡問題で取調べ中、網島署に端なくも朝鮮人なるがゆゑに貸さないといふことを逆用して八人の家主から数百円の立退料を取りそれを生活費にして次ぎから次ぎへと転宅してゆく朝鮮人のあることが判つた――朝鮮人全羅南道生れ当時大阪市北区南同心町一丁目二九青木幸一事金学奉(二四)同杉本松太郎事林基成(三四)の両名は失業で困つてゐる内地人大阪市北区沢上江町十丁目四岡崎竹次郎(四六)及び大阪市東成区中浜町一三二横井定治(三七)を手先に使ひ紳士風を装はせ「友人の某会社員が借るのだ」と詐り契約させて住込んだが、家主が行つてみると内地人に貸したはずの家に朝鮮人が廿七、八人もゴロ〱してゐるといふ始末に驚いて「出てくれ」といふと「立退料を出せ」頑張り結局家主は早く出て貰ひたいから泣き寝入りとなつて立退料を出すそれをいゝことにして本年二月ごろから

住吉区東天下茶屋岩橋、北区東野田町二丁目竹村、同中野町三丁目中島、同与力町田節、東成区国分町島田、同小橋町大鋸等の

家主から立退料をせしめたのであるが岡崎、横井の両名は三円乃至十円の手数料を貰つてゐたもので同署ではまだ他にも被害がある見込で取調べ中である

写経屋の覚書-フェイト「朝鮮人だと警戒されるから日本人を手先に使うんだね。あ、手先っていうか、日本人の方も手数料を取って請け負うんだね」

写経屋の覚書-はやて「空家に勝手に住み込んどいて留守番料もらう方や!って開き直るのはちょっと笑えるなぁ」

写経屋の覚書-なのは「この時期の大阪では内地人も含めて全体的に借家争議が盛んだったんだけど、朝鮮人の借家争議の急激な増加もやっぱり問題になってたんだよねぇ」

写経屋の覚書-フェイト「当然、内地に来住する朝鮮人が増えたことも一因だよね」

写経屋の覚書-なのは「うん。で、朝鮮人に特有の争議が、この朝鮮人であることを隠して借家契約する事例だったの」

写経屋の覚書-フェイト「朝鮮人だから貸してくれないっていうこと自体は、それはそれでよくないと思うよ。でもそれに居直って強請り・(たか)りのタネにするのは、余計朝鮮人のイメージが悪くなるよね」

写経屋の覚書-はやて「つか、初期に来阪した朝鮮人が借家問題でよっぽどひどいことしたから、朝鮮人お断りになったいう可能性あるん(ちゃ)うん?なんぼ内地人に差別感情があるいうても、善良つか普通の朝鮮人の方が割合としては多いはずやろし」

写経屋の覚書-なのは「本文に戻ると、明白に「借家人の正当ならざる行為」として挙げられているのが「無断転貸」「契約違反」だよ」

写経屋の覚書-はやて「無断転貸?ああ、要するに又貸しやな。他人から借りた家を貸して銭取ろうっちゅう算段かいな」

写経屋の覚書-フェイト第7回に『来住朝鮮人労働者の中でも、唯、単に家を借り得たてふ一事で、成金になつたといふ話もある位である。即ち、家を借り得たものは、早速下宿屋をやる。さうすると、千客万来で、下宿人が殖江るといつたやうなものであつたのである』ってあったよね。下宿屋を営業するためなんて言わずに賃貸契約して借りるって事例なのかな」

写経屋の覚書-なのは「それは契約違反の方になるんじゃないかな。こっちは、家を丸ごと他人に貸して、その家賃収入と本来の家主に払う家賃の差額を自分の収入にしようってことだと考えるよ」

写経屋の覚書-はやて「表の「解決」欄にある「居据」って何なん?そのまま居座ったってことなん?」

写経屋の覚書-なのは「んー、「居座り」じゃなくて、滞納家賃の支払い猶予や減免、契約違反条項の改善等で問題を解決して、立ち退かずにそのまま居住を続けることになった、って意味に解釈する方が妥当だろうね」

写経屋の覚書-はやて「そやなぁ。でも、立退料を渡して立ち退いてもらうんが圧倒的に多いんやね。そら立退料目当ての商売もできるわ」

写経屋の覚書-フェイト「裁判などの争議が長引くくらいだったら、お金を払ってでも出ていってもらうほうがダメージが少ない、って判断なんだろうね」

写経屋の覚書-なのは「事業主としては裁判にかかる費用と時間と立退料を天秤にかけて、そう判断せざるを得ないってことはあるだろうね。じゃ今回はここまでにするね」

大阪に於ける朝鮮人問題(1)  大阪に於ける朝鮮人問題(2)  大阪に於ける朝鮮人問題(3)
大阪に於ける朝鮮人問題(4)  大阪に於ける朝鮮人問題(5)  大阪に於ける朝鮮人問題(6)
大阪に於ける朝鮮人問題(7)  大阪に於ける朝鮮人問題(8)  大阪に於ける朝鮮人問題(9)
大阪に於ける朝鮮人問題(10) 大阪に於ける朝鮮人問題(11) 大阪に於ける朝鮮人問題(12)
大阪に於ける朝鮮人問題(13)

写経屋の覚書-なのは「今回は大阪市社会部調査課編纂の『本市に於ける朝鮮人住宅問題』を見るよ。昭和5年の発行だから、前回見た住宅年報の翌年の発行なんだよ」

写経屋の覚書-第120号_07
写経屋の覚書-第120号_08
写経屋の覚書-第120号_09
写経屋の覚書-第120号_10
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写経屋の覚書-第120号_12
写経屋の覚書-第120号_13
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       二 住宅の需給事情
        A 朝鮮人労働者の借家難
 職業、収入、交通その他の関係より余儀なく都市の最悪地域に居住する下層労働者階級が過密居住と住宅過密になやまされつつあるは各都市共通の現象である。これを本市の実情に見るも特に最近における失業苦と収入減は彼等にのこされたる唯一のもの、それは普通貧民屈の名に於いて呼ばれてゐる彼等の安住境さへも奪はんとする極めて逼迫せる現状にある。
 就中、生存線上を徘徊する多数の来住朝鮮人労働者にとつては如何にしてもいづくに職を求むべきかよりも、いかにして何処に今宵の雨露を凌ぐべきかがもつと切実な問題であり、要するに来住朝鮮人の住宅難即ち借家難家賃難は彼等の激増によつて益々社会問題的色彩を強めつつあるものと観測し得る。


年(昭和4年12月末特高課調査)
1戸を構へて居住する朝鮮人26,994人40%
同一地区に90日以上居住する朝鮮人30,281人44%
その他10,697人16%
67,972人100%

 上表はきわめて簡単であるが、これを仔細に吟味することによつて来住朝鮮人がいかに借家難と家賃難とに苦しんでゐるか、居住の不安定がいかに彼等の移動性を刺戟してゐるかを容易に察知し得るのであつて、要するに来住朝鮮人の住宅問題は過密居住と住宅過密、借家難と家賃難、居住の不安定による浮浪人の増加その他を原因として、今後さらに熾烈な燃焼をつづけるであらうし、一層その火勢を強むべきものは在住朝鮮人に固有な特種原因と見られる。

写経屋の覚書-フェイト「前に見た大正13年の『労働調査報告28号 朝鮮人労働者問題』のころより、定住する朝鮮人の割合が増えているね」

写経屋の覚書-はやて「短期の出稼ぎやなくて、定住して職に就くもんが増えてきたんやね。住宅難・借家難も相変わらずみたいやけどなぁ」

        B 朝鮮人労働者の借家難
         (一)一般原因
 言ふまでもなく借家難は本市に於ける人口増加と新築家屋敷の不均衡に基く問題であり、多面住宅の需要供給の調節を困難ならしむる家賃に関連をもつ問題でもある。
 今仮りに一世帯一戸を要するものとすれば大正十四年より昭和三年に至るまでの本市に於ける増加世帯数は左表の如く一ヶ年平均二万五百となつてゐるから、ほぼこれと同数の住宅即ち年二万内外の住宅を必要とするわけである。

年次戸数世帯数戸数100戸に対する世帯数
大正14年441,811483,990109.5
昭和元年459,938503,700109.5
昭和2年470,524524,200111.4
昭和3年485,455545,500112.5
1ヶ年平均増加数12,21420,5001.0

 然るに他方本市に於ける実際の新築家屋敷と取毀家屋敷とは左の如く前者に於いて一ヶ年平均一万三千三百戸の増加を現してゐるから、一年平均二万五百の増加世帯数に相当する住宅の純増加を得るがためには新築戸数に対する取毀戸数の割合二割六分を考慮に入れて、一年平均約二万七千七百戸の新築家屋を必要とすることとなる。
年次新築戸数取毀戸数増加数新築戸数100に対する取毀戸数
昭和元年18,4195,53212,88730.0
昭和2年16,3634,47611,88727.4
昭和3年19,2784,13215,14621.4
1ヶ年平均18,0204,70013,32026.1

 更に空家数の増加は一戸内に於ける世帯数の増加即ち過密居住を意味し、一方収入に適応せる住宅の欠乏を裏書するもので左に本市に於ける空家数の増加を示すこととする。
年次空家数増加数戸数1000戸に対する空家数
  (△減) 
昭和元年19,1391,97841.6
昭和2年24,0844,94551.2
昭和3年24,76968551.1
昭和4年24,197△57248.1

 而して上述する如く住宅需給の調節を困難ならしむることによつて借家難を招致する最も有力なる要素は家賃であるが、都市に於ける急激なる人口増加の下に於いては家主側において有利に家賃を決定し得るは容易に首肯し得るところであり、不況時代においても尚ほ好況時代と同様の家賃を維持し得るは家賃の弾力性乏しきためであるから結局家賃の早急な値下はのぞめない訳である。
 家賃の弾力性については独乙経済学者フツクスが「家主は経済上の強者として借家人より持久力が強いから弾力性に富むものは家賃ではなく借家人の住居に対する慾望である。従つて不況時代が来ると家主が家賃を引下げるより以前に、労働者はたとへ劣悪なものであらうとも努めて低廉なる住居を求むることとなり益々家賃難と過密居住を招来する」といつてゐるが事実その通りである。


写経屋の覚書-フェイト「つまり、人口は増えているのに家屋はじゅうぶんに増加していない、しかも空き家が増えているということだね」

写経屋の覚書-はやて「収入減のせいで、別個に一戸に住まんと、一戸内に同居する世帯数が増えとるいうこともあるんやな」

写経屋の覚書-なのは「うん。人口増で需要過多だから、家主側が強気に家賃を設定しても困らないし、だいたい家賃はそう簡単に引き下げられるものでもないしねぇ」

写経屋の覚書-フェイト「そんなに簡単に家賃って値下げできないの?」

写経屋の覚書-なのは「自分の住んでるアパートが、住人が少なくなったからと言って簡単に家賃を値下げしたらどう思う?それまで住んでる人は不公平だと思うよね。それが弾力性に乏しいってことなの」

写経屋の覚書-フェイト「そっか。たしかにそうだね」

写経屋の覚書-はやて「ほんで、借り手側はしゃぁなしに少々ボロくても安い住居に引越して、複数世帯で同居までするもんやから、空き家が増えると」

         (二)特種原因
 極端なる在阪朝鮮人の借家難は固より住宅供給状態の不良に基因するものではあるが、この傾向を一層助長するものは在阪朝鮮人の大多数が家賃の支払能力をもたないことと、内地人家主中には一般に朝鮮人借家人に対して自己の借家を解放することを欲しない者が少くないことである。
 家賃の支払能力が経済生活と密接なる関係をもつことはいふまでもないことである。多数朝鮮人が経済生活の伸展を目的として来住する以上、彼等の生活標準を決定するものは当然その収入であり彼等の実生活も亦これに依つて牽制される故に、内地人に比し概して賃銀低き多数朝鮮人労働者が家賃支払能力の点に於いても前者に劣り、家賃の弾力性に富まざることと相俟つて益々家賃難と過密居住を招致することは普通の状態に於いても容易に想像し得るところであるが、更に彼等の失業に依る家賃難を説明する為めに最近府社会課で行つた失業調査中から失業朝鮮人の推定月収を掲げることとする。

写経屋の覚書-なのは「表は省略するね。朝鮮人の借家難は、朝鮮人の家賃支払い能力の欠如と家主が貸したがらないことだといっているんだけどね…」

 更に新聞紙の報ずるところによれば昨今本市内の一部家主間では家主同盟までつくり朝鮮人には家をかさぬ決議をしてゐるものさへあるさうであるが、一体何が彼等をさうさせたのであらう。これについては社会部報告第一〇六号「大阪市住宅年報」においてもすでに述べた通り、その主なる理由を挙ぐれば左の如くである。
   一、家賃を滞納すること
   二、家屋の使用が乱暴不潔なること
   三、一戸に群居すること
 先づ家賃滞納に就いて窺ふに、在阪朝鮮人にして失業その他により生活に困窮しつつある者は勿論、比較的生活に余裕ある者に於いてすらも往々常習的に家賃の滞納を繰り返へし、家主より再三支払の催促をうくるも馬耳東風と聴き流す風があるので、温情的な家主でさへも彼等に対し余儀なく合法的または非合法的の明渡手段を講ずる有様である。更に悪性なものになると常に内地人を手先に使ひその名義で手附金を渡して片つぱしから借家しては種々の口実を設けて家賃及び敷金を踏み倒し、或は気弱い家主を恐喝して金壹封を巻き上げたり、一部家主が朝鮮人を敬遠する態度あるを逆用して五、六ヶ月分の延滞家賃を免除させた上に法外な立退料をもせしむる者が相当に多いやうである。

写経屋の覚書-なのは「『社会部報告第一〇六号「大阪市住宅年報」』は昭和3年版の住宅年報なんだけど、第12回で見たよ」

写経屋の覚書-はやて「善管義務っちゅうもんを知らんのと(ちゃ)うか?いう話やったね」

写経屋の覚書-フェイト「知らなかったなら、それはそれで仕方ない部分もあるけど、住居を借りるんじゃなくて、強請り(たか)りの手段にしているみたいだよ」

写経屋の覚書-はやて「社会的弱者を自ら任じて、「弱者」の位置に居直るいうか逆用しとるような感じやな。ほんまたち悪いで…」

写経屋の覚書-なのは「そのへんは実例を見ないと何とも言えないんだけどね」

 次に朝鮮人はその家屋使用上謂ふところの善管の注意を欠くところ多く、家賃の支払はおろか雨戸、襖、天井板などまでも燃料として焚く乱暴さを平気でやつてゐる。その上一般に文化的意識の低い彼等は殆んど例外なく家屋の清潔に対する感受性を持たないために彼等の家屋は常に不潔な雰囲気内に放任され、朝鮮人街といへば直ちに不衛生地帯なる悪感を想ひ起こさす風がある。

写経屋の覚書-はやて「ひょっとして、ホテルの洗面台やベッドを汚したり歯ブラシやタオルを持って帰るのと(おんな)しで、家賃払とるんやから好きに使て当たり前やん。何が悪いねん?っちゅう程度の意識なんかもしれへんけど…」

写経屋の覚書-フェイト「さすがに、全部の朝鮮人がそんなことをしてるとまでは思わないけど、ひどい例はあったんだろうね」

写経屋の覚書-なのは「うーん。現代社会でいうと。一部の禁煙者のマナーが悪いせいで喫煙者全体が批判されるようなものなのかもねぇ…」

 第三に来住朝鮮人は男子単身移入者数の絶対的優勢、低廉な賃銀による経済的圧迫、経済的不況に基く失業の固定化などを諸契機として必然的に一家屋内に群居し、極端なものになると一家屋内に三十人乃至四十人といふ大多数が混然と雑居し、延いては犯罪発生の導因としての飲酒、賭博の悪癖に沈淪し、或は感情的衝突による口論喧嘩、或は一人の異性をめぐる男子間の葛藤によつて住宅地区に好ましい静かさを破壊してゐる。

写経屋の覚書-フェイト「『一家屋内に三十人乃至四十人』が雑居するってのは第7回で見た下宿屋がそんな感じだったね」

写経屋の覚書-はやて「男子単身移入者が多いんやから、下宿屋でも一般家屋でもこういう雑居が多くなるいう話なんやろねぇ」

写経屋の覚書-なのは「作者は真っ先に『安下宿共闘会議』という単語を思い起こしたそうだけどねw」

写経屋の覚書-フェイト「『一人の異性をめぐる男子間の葛藤』って、なんだか想像したくないよ…」

写経屋の覚書-はやて「あー、『ラブひな』の逆バージョン…ってそんなきれいなもんやなさそうやな…考えるのやめとこ…」

かくて在阪朝鮮人の家賃を延滞する悪習は、近隣借家人の家賃支払に悪影響を及ぼして家主の立場を困難ならしむると共に彼等の非社会的、非文化的生活の展開は恰も悪化が良貨を駆逐する如く善良な近隣借家人を駆逐するのみならず善良な一般借家人の来住を阻止することによつて家主の経済的損失を倍加するに至つては進歩的な家主すらも彼等朝鮮人に一顧を与へざるに至るは当然であり、この意味に於いて彼等は彼等自身を葬る墓穴を自ら掘るの愚を敢へてしてゐるのではあるまいか。これ識者をして「朝鮮人住宅問題は何処に行く」を深憂せしむる所以でもあらう。

写経屋の覚書-はやて「悪貨は良貨を駆逐するかぁ…そら、悪質な朝鮮人住人のせいで環境が悪なって普通の借家人が逃げ出したら、そこに入るのは悪質な朝鮮人しかおらへん。ほんでまた環境悪なって他の借家人も逃げ出す…ほんでそこに入るのは悪質な朝鮮人…負のスパイラルやんなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「善良な朝鮮人まで悪質な朝鮮人と思われて迷惑したり、借家を断られたりするようになるもんね…」

写経屋の覚書-なのは「だよねぇ。今回はここまでにして、次回も『本市に於ける朝鮮人住宅問題』を見ていくよ」

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