写経屋の覚書-フェイト「今回も朝鮮人の集団不法行為の話なの?」

写経屋の覚書-なのは「うん。今回は富坂警察署襲撃事件について見るよ」

写経屋の覚書-はやて「あー、ウィキにも載ってたやつやな」

写経屋の覚書-なのは「そうだね。ウィキの参考文献にある警視庁編さん委員会『警視庁史 第4巻 昭和中編上』(警視庁編さん委員会 1978)のp719~721を引用するよ」

写経屋の覚書-警視庁史719
写経屋の覚書-警視庁史720
写経屋の覚書-警視庁史721

         一 朝鮮人の富坂警察署襲撃事件
(一)事件の発端
 昭和二十年も押し迫った十二月二十六日と二十九日、連続して小石川駕籠町二五一番地先道路で、同一手口によるけん銃強盗事件が発生した。所轄富坂警察署と捜査第一課が合同捜査の結果、同月三十日、都下北多摩郡三鷹町二七六朝鮮人岩崎享吉(二三)、長谷川隆(二八)、金村某の三人を容疑者として逮捕した。
 当時、富坂警察署庁舎は戦災で全焼したため、小石川国民学校(小学校)の一部を仮庁舎としていたので、留置場は板張り急造の不完全なものであった。このため通謀や逃走のおそれがあったので、主犯と目される岩崎と金村は本部の留置場に、長谷川は隣接の大塚警察署の留置場に嘱託留置しておいた。
 翌年一月二日、富坂署司法主任鈴木警部補は、長谷川を自署に引き取って取り調べた後、そのまま自署の留置場に留置しておいた。

(二)事件の概要
 翌一月三日午後零時十五分ごろ、春日町交差点で交通整理に当たっていた同署の交通巡査が、朝鮮人らしい者約八十人がトラック二台に分乗して、富坂署方面に向かって疾走していくのを認めて不審を抱き、本署に速報した。
 報告を受けた宮坂警察署では、朝鮮人、台湾人による不法要求事件等が各所に続発していたときであったので、速やかに在署員三十名をもって万一に備えた。
 間もなく、トラック二台に分乗した朝鮮人約八十人が同署に乗り付け、警戒員の制止を無視して一挙に署内に殺到し、衆をたのんで署員を威迫し「留置中の朝鮮人を即時釈放しろ」と要求し、極めて不穏な形勢を示した。そこで、細野署僚警部は、数人の代表を署長と面会できるように取り計らうことを約し、しばらく廊下で待つように説得したうえ、自ら電話室に入り、この状況を警備隊中央大隊に通報し、応援隊の即時派遣を要請し、続いて警備課に急報しようとした。ところが、これに気付いた約二十人の朝鮮人が、電話室に乱入して送受話器を奪取、同室を占拠し、外部との通信連絡を絶ってしまった。署僚警部は、やむなく、署員に自動車で各派出所を回り、署員を本署に招集することと、隣接各警察署に対し応援急派を要請することを命じた。
 一方、朝鮮人代表と会った田國署長は、長谷川を自署に移監した旨の報告を受けていなかったため、被疑者の朝鮮人釈放を迫る彼らに対し「朝鮮人は留置していない」と要求を拒否した。
 しかし、彼らは、事前に長谷川が留置されていることを察知していたらしく、あくまで朝鮮人が留置されていると主張して、署長との話合いは意外に長引いた。このため、廊下で待機していた朝鮮人が騒ぎ出し「留置場はどこだ。案内しろ」とわめきながら署内を探し始め、これを制止する署員に対し、いす、棍棒等を振るって襲い掛かり、殴る蹴るの暴行を加えて、ついに留置場を探し当て、警戒に当たっていた司法主任以下数名が全力を挙げて阻止に努めたが、圧倒的多数の彼らの暴力を受けて負傷者が続出し、ついに留置場に乱入されてしまった。
 留置場に乱入した彼らは、留置中の長谷川を見つけると朝鮮語で合図し、監房の施錠を破壊し、長谷川を場外に連れ出した。
 長谷川を連れ出した朝鮮人は「署長は、朝鮮人は留置してないと我々を欺いた」などと署長をつるし上げ、午後一時十五分ごろ、署前に集結し、通りかかったトラックを停車させ運転手にけん銃を突き付けて脅迫し、そのトラックに乗って逃走した。
 一方、富阪署及び警備課から応援要請を受けた警備隊中央大隊は、応援のため直ちに一個中隊を出動させたのであるが、現場に到着した時には、犯人らは既に逃走してしまっていた。
 その後、富坂署はもちろん、手配を受けた各署がこの犯人の捜査に当たったが、前述のように終戦直後の混乱と当時の朝鮮人、台湾人に対する捜査権の問題などから不徹底なものに終わってしまった。

写経屋の覚書-はやて「ウィキはほとんどこれの丸写しなんやね」

写経屋の覚書-フェイト「ここにも『朝鮮進駐軍』なんて単語は出てこないね。あれ?『富坂警察署100年史』は引用しないの?」

写経屋の覚書-なのは「所蔵が東京都立中央図書館だからね、複写できてないんだよ」

写経屋の覚書-はやて「なのはちゃん。これって、田國署長はほんまに長谷川を自署に移監した報告を受けてへんかったん?なんか疑ってまうで」

写経屋の覚書-なのは「うーん、報告を受けていたけどしらを切ったって可能性もあるよね。ほんとのところはどうなのかな?」

写経屋の覚書-フェイト「ちょっと、なのは、はやて、思考が黒くなってるよ(汗) でもたしかに可能性はあるよね…」

写経屋の覚書-はやて「ま、署長が嘘ついとったとしても、朝鮮人集団が留置場を襲撃して暴力で容疑者の身柄を奪還したんは事実やし、それ自体の不法性は消えへん。せやけどこれは『朝鮮進駐軍』の所業いう証明にはならへん」

写経屋の覚書-フェイト「そうだね。朝鮮人が集団で警察署に押しかけて犯罪者を奪還したってことだけど、彼らが『朝鮮進駐軍』と名乗った証拠もないし、だいたい、体系的に組織化された集団っていう証拠もないしね」

写経屋の覚書-なのは「そうなんだよね。そういうわけでこの事件も『朝鮮進駐軍』の実在を証明するものじゃないってのが結論。じゃ、今回はここまでにするね」

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