はじめに
実績額によって出資可能頭数はどの程度変化するのか調べてみました。
また、実績額と出資可能頭数は直近数年間、どのように推移しているのか、これからどのように変化していくのか分析しました。
また、キャロットとの比較も行っています。
なお、念のため付言すると、シルクの実績額は3年間の総額なので、例えば実績150万円であれば年間で50万円出資する計算になります。
また、データは客観的なものですが、そのデータを受けて掛け持ちをするかしないかは、当然人によって意見が分かれるところで、ここに書いたことは私ならどうするかという話でしかありませんので悪しからず。
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実績額と出資可能頭数の推移
この表をベースに実績別にみていきましょう。
新規参入&低実績層(0~50万円)
実績効率
0 → 50万円 33%(+9%)
50 →100万円 57%(+24%)
第一のボリュームゾーン。
10頭10口制限と募集頭数が増えた影響で、実績0万円or超低実績でも無風で選べる馬の頭数は大きく増えました。
しかし、10頭10口制限の影響で富豪層に配られていた実績が、低実績層&中実績層にも流れてきた影響で、実績50万円を持っている意味は薄くなっています。
基本的に高実績になればなるほど募集価格増の影響を受けやすいので(理由割愛)、このゾーンは募集価格増による出資可能頭数の増減の影響を受けにくく、募集頭数が維持される限り2024年度の水準は大きくは変わららず、0万円で20%~25%、50万円で30%~33%という割合は維持されると思われます。
低中実績層(100万円前後)
実績効率
50 →100万円 57%(+24%)
100→150万円 71%(+14%)
第二のボリュームゾーン。
50万円から100万円に実績を積み増すことによって、30~33%から55%前後にまで選択肢を広げることができ、この部分は実績を積む効率が最も高いといえます。
私は、シルクとほかのクラブを掛け持ちするかどうかのラインは年間40万円弱(会費含)を支出してもほかのクラブに出資する予算があるかどうかだと思っているのですが、その理由がこのデータで、ほかのクラブを掛け持ちして低実績にとどまるぐらいなら、掛け持ちせずに3年間で実績100万円を積んで、シルクでの選択肢を広げた方が楽しいと思うからです。
実績100万円を積むと、一般抽選対象馬はほぼ自由に選ぶことができます。
後述のとおり、ちょうど実績100万円がキャロットよりもシルクの方が快適かどうかの分水嶺だと思います。
このゾーンも募集価格増の影響はそこまで大きくないと思うので、これから募集価格増の影響で実績額が上がっていくとしても、募集頭数が変わらなければ100万円で50%~55%程度で推移することになるのではないかと思います。
中実績層(200万円前後)
実績効率
100→150万円 71%(+14%)
150→200万円 76%(+5%)
200→300万円 82%(+6%)
ここまで実績を積むと、ボリュームゾーンは超えており、大きく選択肢が広がります。
200万円実績を積むと、75%前後の馬を自由に選ぶことができるようになります。
後述のとおり、ここまで実績を積むことができるのであれば、キャロットよりもシルクの方が選べる範囲は明確に広いと言えます。
ちなみに実績を積む効率が高いのは150万円ぐらいまででです。これを見るとボリュームゾーンといえるのは150万円ぐらいまでの層と言えそうです。
このゾーンぐらいから若干募集価格増の影響を受け始めると思います。とはいえ、直近2、3年で70%を割ることはないかなと思います。
高実績層(300万円~500万円)
実績効率
200→300万円 82%(+6%)
300→400万円 87%(+5%)
400→500万円 89%(+2%)
400万円ぐらいまでは実績の意味がそこそこありますが、400万円を超えると100万円上積みしても1、2頭しか出資可能頭数が増えないので、これ以上は実績を増やしても効率が良いとは言えません。とはいえ、ここから募集馬の質も上がり、1頭増える価値が高くなるのでここは価値観次第だと思います。
募集価格増の影響をかなり受けるゾーンで、募集頭数が増えたにもかかわらず、出資可能割合が下がっており、これからも募集価格が上がる限り出資可能割合は少しずつですが減っていくと思われます。
超高実績層(500万円以上)
実績効率
100万円ごとに2頭(2%強)程度
募集価格の影響を顕著に受け、10頭10口制限の恩恵も少なかったゾーンです。
制度改革によりほかのゾーンは多かれ少なかれ出資可能割合が増えているにもかかわらず、600万円以上の実績が必要な出資可能頭数は減っています。
これは10頭10口制限により中位の馬にも回っていた票が上位に集中したことで生じた現象だと思われます。
今後も募集価格が上がる限り、ある程度のところ(600万円で90%程度)まで出資可能頭数は減ると思います。
シルク・キャロット実績別出資可能割合比較
疑似的ではありますが、抽優抽選確率33%が3年に1回取れる×2と、抽優抽選確率50%が2年に1回取れる×1と同じ価値だとして比較していきます。
なお、ここでは母優は考慮しておらず、すべて母優なしとして仮定します。
実績0万円仮定
●上位人気馬への出資のしやすさ
×2抽選以上(=33%未満)は、シルク5頭に対してキャロット2頭
×1抽選以上(=50%未満)は、シルク9頭に対してキャロット5頭
×0抽選以上(=抽優抽選)は、シルク34頭に対してキャロット22頭
と人気のある馬の取りやすさに関してはキャロットが圧倒的に優位です。
これに抽優を外してもバツがもらえるという安心感も加えると大差と言ってよいでしょう。
●出資可能馬の割合
特に抽優を使わなくても出資できる可能性のある馬の割合がシルク下位59%(上位41%~76%が一般抽選)、キャロット下位76%(上位24%~84%が一般抽選)となっており、圧倒的にキャロット優勢です。このあたりは選ぶ楽しみという意味ではかなり大きな差になってきそうです。
一方、確実に出資できる馬の割合はシルク24%、キャロット16%となっており、こちらはシルクに軍配が上がります。
しかし、無風の馬の頭数が多少多くても、上位の取りやすさを踏まえると、実績0万円なら圧倒的にキャロット優勢ということになりそうです。
どの程度の実績額からシルクの方が優勢になるのか
●上位人気馬への出資のしやすさ
実績100万円までは上位人気馬への出資のしやすさに変化はありません。
実績150万円までいくと、×2、×1の割合は変わりませんが
×0抽選以上(=抽優抽選)は、シルク24頭に対してキャロット22頭
と頭数はシルクとキャロットが概ね同水準になります。同じように
200万円 ×0抽選以上が シルク20頭、キャロット22頭
300万円 ×0抽選以上が シルク15頭、キャロット22頭
400万円 ×0抽選以上が シルク11頭、キャロット22頭
となり、×2、×1を考慮しても、300万円ぐらいから上位人気への出資のしやすさも同水準となり、400万円ぐらいから逆転するように思います。
●出資可能馬の割合
シルクは実績額が上がるにつれて無風で出資できる馬が増えていきます。
実績 0万円 シルク下位24% キャロット下位16%(出資可能性有76%)
実績 50万円 シルク下位33% キャロット下位16%(出資可能性有76%)
実績100万円 シルク下位57% キャロット下位16%(出資可能性有76%)
実績150万円 シルク下位71% キャロット下位16%(出資可能性有76%)
実績200万円 シルク下位76% キャロット下位16%(出資可能性有76%)
実績300万円 シルク下位82% キャロット下位16%(出資可能性有76%)
実績400万円 シルク下位88% キャロット下位16%(出資可能性有76%)
これを見ると、実績200万円あるとシルクで下位76%に確実に出資できる一方、キャロットでは出資可能性がある馬が下位76%なので、実績200万円だと、出資可能性馬の範囲は、シルクが圧倒的に優勢と評価できそうで、ほとんど割合が変わらない実績150万円もシルク圧倒的優勢と評価してよいでしょう。
下位馬の選びやすさに関しては、ちょうど実績100万円(確実に出資可能シルク57%、キャロット16%。出資可能性有シルク59%、キャロット76%)ぐらいからシルクの方がキャロットよりも優勢と言えそうです。
整理と結論
ここまで上位馬への出資しやすさと下位馬への出資のしやすさで比較してきましたが整理すると以下のようになります。
実績 0万円
上位馬:キャロット圧倒的優勢 下位馬:キャロット圧倒的優勢
実績 50万円
上位馬:キャロット圧倒的優勢 下位馬:キャロットやや優勢
実績100万円
上位馬:キャロット圧倒的優勢 下位馬:シルク優勢
実績150万円
上位馬:キャロット優勢 下位馬:シルク圧倒的優勢
実績200万円
上位馬:キャロットやや優勢 下位馬:シルク圧倒的優勢
実績300万円
上位馬:同水準 下位馬:シルク圧倒的優勢
実績400万円
上位馬:シルク優勢 下位馬:シルク圧倒的優勢
上位馬と下位馬の選びやすさのどちらを優先するのかは価値観次第だと思いますが、選べる幅というのは一口馬主にとっては非常に大きな要素だと思うので、下位馬の選びやすさを重視すると
・実績50万円だとあらゆる面でキャロット優勢
・実績100万円ぐらいだとシルクとキャロットの総合的な選びやすさが同程度となり
・実績150万円だとシルク優勢になる。
・実績300万円あれば、あらゆる面でシルク優勢
という結論になると思います。
掛け持ちの可否(私見)
掛け持ちは、選べる範囲が倍になる分、一つのクラブにかけられる予算が減少するため、特にシルクで選べる範囲が非常に狭くなるというデメリットがあります。
以上のデータを基に方針を決めます。
・シルクは実績額が100万円から50万円に落ちるデメリットが大きすぎるので、分散投資のデメリットが最大化する。よって、掛け持ちにおいては実績100万円以上を絶対とする。
・キャロットの年間予算は最低15万円はないと複数頭申し込むのに大きく制限がかかるので、キャロットの年間予算は15万円を最低額とする。
なお、言うまでもありませんが、この基準は私の価値観をベースにしているので、絶対の正解があるわけではありません。出資できるかはともかく、出資の検討それ自体が好きな人はどんな予算であれ複数クラブ掛け持ちという結論になるでしょうし、それは各々の価値基準に従って決めればよいと思います。
これからお話しすることは、これまでのデータの話とは違って、私の意見です。
年間予算30万円以下
掛け持ちはやめておいた方がよいでしょう。
両方に配分すると、シルク15万円、キャロット15万円ということになりますが、シルク実績50万円は実績額が落ちるデメリットが最大化するゾーンなので、キャロットかシルクに集中投資した方が楽しいような気がします。
実績90万円(年間30万円)以下であればキャロの方が若干有利なので、キャロットへの集中投資をおすすめします。
年間予算50万円
ギリギリ掛け持ち可能だと思います。
配分は、シルクで実績額100万円を確保しつつ、キャロットも年間1~2頭購入できるシルク35万円、キャロット15万円がベストでしょう。
個人的には年間予算40万円~60万円ぐらいはシルクへの集中投資がおすすめです。
シルクで選べる幅が非常に大きくなる実績額なので。
年間予算70万円以上
掛け持ちでも快適です。
配分は自由がきき、シルクに年間35万円以上、キャロットに15万円以上を確保すればどのような配分でも可能だと思います。シルクで当たらなかったときはキャロット多め、シルクで当たりすぎたときはキャロット少な目といった調整も可能だと思います。
まとめ
シルク実績額
実績 0万円 下位24%
実績 50万円 下位33%
実績100万円 下位57%
実績150万円 下位71%
実績200万円 下位76%
となり、それ以上実績を積んでも、伸びは鈍化するので、実績は150万円まで効率が大きいと言える。
ただし、上位馬は1頭伸びる価値が高いのでそこは各々の価値判断次第。
シルク・キャロット比較
上位、下位の選びやすさを総合すると、ちょうど実績100万円がシルクとキャロットが同水準になる。
実績が50万円以上あるならば、基本的に下位馬はシルクの方が選びやすく、上位馬はキャロットの方が選びやすいが実績300万円以上だと上位馬の選びやすさもシルクが優勢となる。
掛け持ちの可否
年間予算30万円以下ならキャロットに絞った方がよい。
出資馬代のみで年間予算50万円以上が掛け持ちしてても不自由を感じないボーダーだと思われる。
年間70万円以上予算があるとシルク・キャロットの2クラブのみで快適な一口馬主ライフを送れる。