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2日 ミャンマーメディア─王外相、スーチー氏と面会◇台湾総統、エスワティニ訪問
6日 中国イラン外相会談(北京)
7日★軍事法院、李尚福前国防相と魏鳳和元国防相に猶予付き死刑判決◇パラグアイ大統領訪台
11日★米大統領─「習主席と台湾への武器売却問題を話し合う」
12日 中パ外相電話会談
13日★米大統領訪中(~15日)─9年ぶり、共同記者会見なし、中国首相との会談なし◇米中閣僚級貿易協議(韓国)
14日★中国外務省─習主席、米大統領に台湾問題で「衝突」警告◇★米大統領─習主席夫妻を9月24日にホワイトハウスへ招待◇黄川田男女共同参 画担当相、APEC会合で訪中
15日★米大統領─台湾への武器売却「習主席と極めて詳細に話し合った」「近く決断する」(記者団に)◇★米大統領─台湾への武器売却承認「するかもしれないし、しないかもしれない」「交渉の切り札になる」「米の後ろ盾があるので、独立しようと誰かが言うのは望まない」(FOXインタビュー)◇王外相─台湾問題で「米側は中国の立場を理解」
16日 中国商務省─米と関税引き下げで一致
中国の習近平国家主席(共産党総書記)は「思想整風」と称して、軍内の思想統制強化を開始した。反腐敗闘争による大粛清で混乱に陥った軍の指導体制を立て直し、自身の中央軍事委員会主席としての威信を回復する狙いがあるとみられる。
■「整風」で引き締め
全軍高級幹部養成班の始業式が4月8日、北京の国防大学で行われ、習氏が軍のトップとして演説した。公式報道によると、習氏は演説で「思想整風を展開し、政治整訓(政治的引き締めと教育)を深める」と強調し、党への忠誠を求めた。
「整風」は仕事などのやり方や態度を正すことで、中国共産党では昔から非主流派排除の政治運動として行われてきた。毛沢東による日中戦争中の「延安整風」がよく知られている。
習氏は「新時代の中国の特色ある社会主義思想を指針として、新時代強軍思想を深く貫徹する」ことも指示。前者は「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」、後者は「習近平強軍思想」を指す(本人が言う場合は名前を省く)ので、要するに、軍人は習氏に対する忠誠を徹底せよということだ。
軍のこの種の学習活動はこれまで、党大会など重要会議の精神を学ぶ全軍高級幹部研修班として行われ、始業式は中央軍事委の政治工作部主任が主宰して、中央軍事委副主席が演説していた。
今回は、習氏が自ら演説し、行事の格が上がった。軍機関紙の解放軍報(10日)は「習主席が自ら政治動員を行った」と紹介して、習氏主導の活動であることをアピールした。何か重要会議があったわけではないが、習氏が整風のために招集したということだ。政治工作部主任は既に粛清されて、後任がまだ任命されていないことから、始業式は中央軍事委の張昇民副主席が主宰した。
■上将の出席者わずか3人
習氏が出席する大規模な会合は通常、その左右に数人の指導者が並ぶが、今回は陪席者が張氏1人だけという珍しい光景が見られた。今期6人いた中央軍事委の軍人メンバーのうち5人が失脚し、補充が全くないからだ。
国営中央テレビのニュース映像によれば、養成班始業式に出席した数百人の軍人のうち、最高位の上将(大将に相当)は何とわずか3人だった。張氏以外は董軍国防相と中部戦区の韓勝延司令官だけ。約3年前に始まった軍内の粛清がいかにすさまじいかが分かる。董氏は慣例に反して、国防相就任後も中央軍事委に入れず、上級閣僚の国務委員も兼ねていないので、習氏の横に座ることはできない。
昨年12月、韓氏と同時に昇進した東部戦区の楊志斌司令官の姿はなかった。欠席したのか、それとも、地方からオンラインで参加したのかは分からない。楊氏は養成班始業式当日の4月8日、中央党校機関紙・学習時報に論文を発表しているので、この紙面が印刷される時点まで政治的に健在だったのは間違いない。
戦区は五つあり、それぞれに上将級の司令官と政治委員がいるので、戦区首脳は計10人。始業式に出た韓氏以外の首脳の動静は不明である。
■軍幹部の「私心・雑念」批判
習氏は演説で「軍隊各レベルの幹部は、大衆から遊離した私心・雑念をすべて克服し、高級幹部は率先して、わが党・わが軍の優れた伝統を回復し、大いに発揚しなければならない」とも述べた。軍内に「大衆から遊離した私心・雑念」があり、「わが党・わが軍の優れた伝統」がきちんと保たれていない、と習氏は認識しているということだろう。
その後も、解放軍報の一連の論評が次のように指摘している。
一、(指導幹部にとっては)忠誠が一貫して最重要である。党への忠誠という根本問題で、軍隊各レベルの幹部、特に高級幹部は必ず、頭を特にはっきりさせ、態度を特に鮮明にし、行動を特に断固たるものにしなくてはならない
一、敵対勢力はあの手この手で中国の西洋化や分裂を図る戦略を実行しており、党の軍隊に対する絶対的指導に影響し、人民軍隊の政治的本質を侵食する多くの要因が現実に存在する。
一、思想指導の掌握はすべての指導掌握の基礎だ。しかし、一部の同志は現在、党が銃(軍隊を指す)を指揮することの極端な重要性を切実に感じておらず、複雑なイデオロギー闘争の中、方向があいまいになる者や立場が不安定になる者、さらには堕落・変質する者もいる。われわれは、習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想を指針として堅持し、習近平強軍思想を深く貫徹して、政治面の揺るぎなさを保証しなければならない。
以上の文章は、習氏の意向を反映していると思われる。習氏が3月7日、全国人民代表大会(全人代=国会)の軍代表団全体会議で「軍内に党への二心がある者は絶対いてはならない」と警告したことと合わせて考えると、習氏と軍人たちの間の溝がいかに深いかが想像できる。軍の立て直しは容易なことではなさそうだ。(2026年4月26日)
中国共産党指導部メンバーの政治局員がまた粛清された。習近平政権3期目の政治局では軍人2人が既に失脚していたが、今回は文官で、国家主席(党総書記)の習氏が軍需産業の国有大企業から抜てきした高官の一人。兵器調達に絡む軍の汚職に関連して「反腐敗闘争」の標的になったとみられる。習派の将軍が多数連座した軍の大粛清が習派の党指導者にも及んだ形だ。
■4代続けて左遷
党幹部の汚職を取り締まる中央規律検査委員会は4月3日、馬興瑞政治局員を重大な規律・法律違反の疑いで調べていると発表した。馬氏は昨年7月、新疆ウイグル自治区党委書記(自治区トップ)解任が発表され、11月以降は公式行事に全く出席しなくなったことから、粛清説が流れていたが、今回の発表で失脚が確定した。
馬氏の粛清説が出た経緯は、本欄「習政権要人、重要行事欠席相次ぐ」(昨年12月15日配信)で取り上げた。
中国高官の不正摘発は権力闘争の一環なので、中央規律検査委の調査対象になったことが公表された高官が処分を免れることはなく、調査発表の時点で政治生命は絶たれる。
馬氏の調査発表で、新疆トップ更迭後のポストが党中央農村工作指導小組の副組長という閑職だったことが判明した。
新疆は難しい少数民族問題を抱えていることもあり、馬氏以前の自治区党委書記も3代続けて左遷されていた。前任者の異動先は馬氏と同じポスト。ただ、3人とも規律・法律違反で失脚することはなかった。
多くの高官の汚職が摘発された山西省の党委書記が監督責任を問われる形で中央農村工作指導小組副組長に左遷されたケースでも、失脚は免れた。
一方、1990年代以降、反腐敗で打倒された地方トップの政治局員(北京、上海、重慶各市の党委書記)はいずれも現職のまま失脚している。
これらの前例から、馬氏は当初、閑職をしばらく務めてから静かに引退するコースだった可能性がある。
■公式発表文で格下扱い
ところが、馬氏は新疆自治区書記の左遷4人目で初めて失脚に追い込まれた。前の3人と違って、馬氏は政権主流派の有力者だったのに、処遇は最悪になった。
さらに、馬氏に対する調査開始を伝えた公式発表文には、慣例に反して、「党中央の決定」という文言がなく、文章の形式が政治局員より格下の高官(閣僚など)のケースと同じだった。社会主義体制の中国では、何事においても、企業で言えば取締役に当たる政治局員かどうかで扱いをはっきり分けるので、非常に珍しい発表文だ。この段階でなぜ、不自然な形で格下扱いしたのかは判然としない。
新疆自治区党委や新疆生産建設兵団は4月4日、馬氏の調査に関する党中央の決定を断固として擁護すると表明した。慣例に沿った態度表明ではあるが、1月に中央軍事委の張又侠副主席(当時の制服組トップ、政治局員)に対する中央規律検査委の調査が発表された後、軍から党中央の決定に対する擁護声明は全く出なかったので、ちぐはぐな印象を与えた。
習氏の側近軍人グループと対立して粛清された張氏の調査決定は擁護の声が上がらなかったのに、習氏が重用した馬氏の調査決定には直ちに擁護が表明されたのは不思議なことである。
なお、改革・開放を本格的に進める体制が確立した第14期政治局(1992~97年)以降、同期で複数の政治局員が失脚したのは今期(第20期=2022~27年)が初めて。3人という今期の失脚者数は習政権以前の20年間の数と同じで、最近の政局がいかに不安定になっているかが分かる。
■次期指導部人事に影響も
今回の軍粛清では、張氏がかつて部長を務めた中央軍事委の装備発展部やロケット軍が取り締まりの重点対象となった。前者は武器調達を担い、後者はミサイルを運用する部隊なので、ミサイル調達絡みの汚職が特に問題視されていると思われる。
したがって、ミサイルやロケットを製造する国有大企業、中国航天(宇宙)科技の経営者だった馬氏が連座するのは当然のように見える。同社を含め多くの兵器メーカー関係者が既に取り調べられている。
ただ、馬氏が新疆自治区書記を解任されたのは、軍粛清の矛先が張氏周辺から習氏側近グループに移った後。党指導部でも異変が相次いだ時期だった。
昨年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)閉幕後、軍内で習氏側近の筆頭格だった中央軍事委の何衛東副主席(当時、政治局員)が公の場に姿を見せなくなり、事実上失脚した。翌4月には、党中央で人事を担当する組織部長が習派から外様の幹部に交代したことが公表された。さらに、政治局は6月、党中央の各種調整機関を使った習氏の独断専行に歯止めをかける新規定を審議した。馬の同書記解任発表はその直後だった。何氏ら習氏側近軍人グループの上将(大将に相当)9人は10月、党籍・軍籍剥奪が発表された。
つまり、馬氏は、習派の勢力減退もしくは分裂を示す現象が続く中で、地方トップから追い落とされたのだ。即失脚としなかったのは習氏の意向であろう。
軍内の権力闘争で勝者になったかのように見えた張氏も今年1月に失脚。習氏は党・軍の最高指導者としての権力を誇示した。しかし、何氏らのケースと同様に、自分が抜てきした馬氏を「軟着陸」させることはできなかった。
政権を握った頃、無派閥で権力基盤が弱かった習氏は、江沢民元国家主席や胡錦濤前国家主席に近い要人を次々と粛清したり左遷したりするとともに、かつて自分が勤務した福建、浙江両省などの地方人脈や母校・清華大学の関係者を要職に引き上げた。さらに、国有企業重視の方針に沿って、党・政府の支配下にある兵器メーカーなどにも人材を求めた。
馬氏はその典型で、来年後半とみられる第21回党大会で最高幹部の政治局常務委員に昇進する可能性もあったが、習氏は自ら引き起こした軍の大混乱の結果、またも「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」形となった。現政治局では、重慶市党委の袁家軍書記と張国清副首相も元兵器メーカー経営者。しかも、袁氏は馬氏と同じ航天科技出身だ。政治局員がさらに失脚する事態になれば、次期指導部人事の見通しは一層不透明になるだろう。(2026年4月12日)
中国の習近平国家主席(共産党総書記)は3月下旬まで4カ月以上、地方視察も外国訪問もしなかった。中国の最高指導者の行動としては極めて異例。健康に大きな問題があるようには見えないので、政局もしくは自身の安全について何らかの懸念があることから、できるだけ北京にとどまっている可能性がある。
■久しぶりの視察は首都近郊
習氏は毎年12月から翌年2月の冬の時期も地方か外国を訪れてきたが、昨年11月上旬に広東省を視察した後は、ほとんど北京から離れなかった。春節(旧正月)前に恒例となっている民情視察は北京市内、部隊視察はオンラインで行った。英仏独やカナダ、韓国などとの首脳外交も、すべて外国首脳を北京に招いた活動だった。12月上旬に1日だけ四川省へ赴いたものの、マクロン仏大統領に同行して観光名所を訪れただけで、視察ではなかった。
2023年の春節前の視察もオンラインだったが、これは、ゼロコロナ政策の撤廃で新型コロナウイルスの感染が広がっていたからだ。その前の22年12月にはサウジアラビアを訪問している。
習氏は今年3月23日、河北省の雄安新区を視察した。ただ、同新区は北京から約100キロしか離れていない。日本で言えば、東京から宇都宮か水戸に行くようなもので、地方視察と言っても、日帰りで首都郊外の様子を見に行っただけだ。
しかも、国営中央テレビのニュース映像を見る限り、前回(23年5月)の習氏の同新区視察と違って、今回は屋外での活動がほとんどなかった。前回は、高速鉄道に乗って現地入りして、住宅地で大勢の市民の前で話をしたり、各種施設の建設現場を視察したりした。だが、今回は、学校の校舎の前で生徒や教職員に対して発言したのが唯一の屋外活動だった。
■不安要素は軍の動揺か
新型コロナのような感染症が広がっているわけでも、党中央や中央政府に緊急事態が生じているわけでもないのに、なぜ遠出を避けるのか。不安要素として考えられるのは軍高官の大量失脚による軍内の動揺だろう。
軍の大粛清は23年夏に始まったが、昨年10月以降、習氏が率いる中央軍事委員会の副主席2人をはじめ多くの軍高官の失脚が正式発表された。いずれも習氏の側近や盟友のグループに属する軍人だった。習氏が「反腐敗」を口実に自ら断罪し、党の軍に対する優位を誇示した形だが、補充人事がなかなか進まず、軍の要職の大半は空席のままだ。
軍のこのような異常事態が続く中、習氏は今年3月7日、全国人民代表大会(全人代=国会)の軍代表団全体会議で「軍内に党への二心がある者は絶対いてはならない」と演説。軍人たちに対し、「政治」を重視して「党の軍隊に対する絶対的指導を揺るぎなく堅持、強化する」よう要求した。軍内に「二心がある者」、つまり、裏切り者がいる可能性を前提として、軍人たちに直接警告する異例の公式発言だった。
■異例の忠誠要求キャンペーン
この演説を受けて、軍機関紙の解放軍報は「政治建軍(政治面の軍隊組織建設)」キャンペーンを開始し、大量の論文を発表。次のような見解を示した。
一、政治建軍は人民軍隊建設の基礎だ。政治整訓(政治的引き締めと教育)を深めて、政治建軍の成果を挙げていかねばならない。
一、強軍はまず政治的に強くなければならない。政治的な強さは最も根本的な強さなのだ。わが軍は党の政治的任務を執行する武装集団であり、軍隊建設をしっかり進めるには、必ず政治的に見て、政治的に把握し、政治的に建設していかねばならない。
一、(習氏が総書記に就任した12年の)第18回党大会以後、われわれはわが軍の幾つかの根本的なものを回復して発展させ、多くの宿痾(しゅくあ)・積弊を打破し、党の軍隊に対する絶対的指導を弱める状況は解決され、一部の党組織が軟弱で力不足だった問題は改められ、わが軍における党の指導と党の建設は全面的で深刻な変化が生じ、強軍事業が歴史的成果を挙げ、歴史的変革を起こすために強固な政治的保証を提供した。これらの成績は、習主席がかじ取りしたものであり、習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想が導いたものである。
一、習近平同志を核心とする党中央は、これまでにない決意と強さで政治整訓を進めることにより、党の軍隊に対する絶対的指導に影響し、党による執政の基礎を損なう重大な政治面の潜在的危険を取り除いた。第15次5カ年計画においても、必ず政治整訓を深め、人民軍隊の絶対的忠誠、絶対的純潔、絶対的信頼を確保していかねばならない。
一、(全人代の軍代表団全体会議に参加した)皆は一致して、党に対する絶対的忠誠は必ず唯一、徹底的、無条件で、中に何の異物もなく、何の水増しもないものでなくてはならないと考えた。
一、「口先だけの忠誠」「偽の忠誠」「言うこととすることが違う」。この種の政治的に表裏のある人は、党の事業に対する危害が極めて大きい。
一、各レベルの指導幹部は率先して、習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想と習近平強軍思想の確固たる信仰者、積極的な伝播者、忠実な実践者にならねばならない。
中国共産党政権では昔から「政権は銃口から生まれる」といわれるほど軍事が重視されており、中国軍は「党の軍隊」なので、政治指導者が軍のコントロールを重んじるのは当然ながら、軍人に対する忠誠要求キャンペーンがこれほど集中的に展開されるは珍しい。しかも、上記の引用から分かるように、忠誠の対象は事実上、党と言うよりも習氏個人だ。異例のキャンペーンは、自分に対する軍人たちの忠誠が足りないと習氏が感じていることを示している。
■個人独裁志向の弊害
今の中国には、習氏の地位を直接脅かす人物や勢力はなく、社会主義流の政治統制でがんじがらめになっている「党の軍隊」が党の最高指導者に正面から歯向かって危害を加える可能性はそもそも全くない。
習氏の不満は「腐敗」が主な理由とされているものの、権力チェックの仕組みを欠く独裁体制で汚職がまん延するのは当たり前なので、軍人の不正だけを組織ががたがたになるほど徹底的に取り締まるのは不可解である。
解放軍報の一連の論文で一つ気になるのは、軍人の「革命化」と「専業化」に関する記述だ。前者は政治的忠誠心を強めること、後者は軍事専門家としての実務能力を高めることを指すようだ。
この二つは併記されることが多いが、必ず革命化が先に置かれる。また、同紙の一部の論文は「政治面で不合格なら、すべてが不合格になる」「人材が専業化すればするほど、革命化が必要になる。武器・装備が現代化すればするほど、革命化人材がそれを掌握する必要がある」と指摘。また、「技術を重んじて政治を軽んじる、業務を重んじて思想を軽んじる、能力を重んじて品格を軽んじる傾向」を警戒するよう呼び掛けており、革命化を優先しているのは明らかだ。
つまり、習氏に対する忠誠が何よりも大事ということである。年がら年中、習氏をあがめる政治活動に多大な労力を費やしながら、部隊の戦闘力向上を図るのは大変なことだろう。習氏の個人独裁志向の弊害である。
革命を指導した毛沢東や鄧小平と違って、ポスト革命世代の江沢民元国家主席は現役時代に革命世代の軍人たちの影響から脱することができなかった。後任の胡錦濤前国家主席は、江氏が抜てきした軍人たちに軍内の運営を事実上任せて、中央軍事委主席としてのリーダーシップをあまり発揮できなかった。ただ、党と軍の関係は安定を保った。
江・胡時代は、共産党が政治を全面的に支配する政権としては正常とは言えない状況であり、習氏がそれを是正して、党の指導を強め、中央軍事委主席責任制を徹底しようとすること自体は正しい。ただ、ひたすら忠誠を求めて、箸の上げ下ろしまで口出しするようなやり方で、巨大な伏魔殿である中国軍をうまくコントロールするのは難しいのではないか。
中国軍の現状はプロ野球に例えると、野球をやったこともない球団経営者が監督やコーチをすべて首にして、自らチームを指揮しているようなものだ。そのようなチーム運営が球団全体の経営に悪影響を与えるのは言うまでもない。習氏は政権全体の利益のため、何らかの政治的手打ちにより、できるだけ早く事態の正常化を図るべきだろう。(2026年3月30日)
防衛省が長射程ミサイルを近く熊本に初配備すると発表したことに対し、中国と北朝鮮が相次いで、「日本軍国主義」が復活して周辺諸国への脅威になっているとの認識を示し、高市政権の防衛政策を非難した。関係改善が進む中朝が反日政策で共同歩調を取った形だ。
■「赤裸々な現実の脅威」
中国国防省報道官は3月11日、自衛隊の長射程ミサイル配備(同31日の予定)について、日本領土の範囲を大きく越える「進攻用兵器」だとした上で、日本はこれにより「『専守防衛』『受動防御』『自衛』の偽装を徹底的に捨て去り、日本の『新型軍国主義』が既に危険な兆候というだけでなく、赤裸々な現実の脅威になったことを十分証明し、地域の平和と安全を甚だしく破壊している」と決め付けた。
中国共産党政権は昨年11月の高市早苗首相による台湾有事発言に反発して、日本軍国主義復活論を展開。国防省報道官も日本を非難してきたが、これまでは「日本が軍国主義の邪悪な道を再び歩もうとたくらんでいる」(2月10日)、「国際社会は日本の『新型軍国主義』策動を強く警戒し、断固として排撃しなければならない」(2月28日)といった言い方で、日本軍国主義が既に復活したと断定はしていなかった。中国外務省も同様である。
これに対し、今回の国防省報道官のコメントは「日本の『新型軍国主義』が既に赤裸々な現実の脅威になった」と明言しており、日本軍国主義が新たな形で再登場したとの判断が読み取れる。
■北朝鮮に擦り寄った中国
北朝鮮の国営通信社である朝鮮中央通信も3月13日、「地域の安全保障環境は日本軍国主義によって過酷さを増している」と題する論評を配信し、次のように主張した。
一、日本の軍国主義復活策動が先制攻撃手段の本格的な実戦配備段階へと突き進んでいる。
一、このミサイルは明白に長距離攻撃型兵器であると評価されている。
一、日本は靖国神社参拝などを通じて、過去の罪悪に満ちた侵略戦争を賛美する雰囲気をことさら鼓舞している。
一、実戦能力を多角的に練り上げてきた日本が、長距離打撃手段の開発と購入に熱を挙げると同時に実戦配備を急いでいる事実は、その使用時期が現実のものとして近づいていることを物語っている。その長距離打撃手段の着弾点がわが国(北朝鮮)をはじめとする周辺諸国であることは、言うまでもない。
一、地域の安全保障環境は、再侵略の野望に血眼になっている戦犯国の軍国主義復活によって、より過酷なものとなっている。
自衛隊の長射程ミサイル配備に対する見解が中国と完全に一致していることが分かる。「日本は第2次世界大戦の敗戦国であるにもかかわらず、過去の侵略を反省しなかった結果、軍国主義が復活した」というストーリーも、中国と同じである。
あたかも中朝が話し合って、日本をいかに非難するかを決めたかのようだが、北朝鮮は以前から日本を最大限に罵倒しているので、中国側が北朝鮮に擦り寄ったというのが実情だ。
■中国の朝鮮化
中朝関係は、北朝鮮とロシアが「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結し、軍事同盟を復活させた2024年6月ごろから冷却化。一時は高官交流がほとんど途絶えた。北朝鮮が露骨にロシアへ接近して、中国離れの姿勢を見せたためとみられる。
しかし、金正恩労働党総書記が昨年9月、「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」行事に出席するため訪中して、習近平国家主席と会談したことで、関係は修復され、翌10月には習政権ナンバー2の李強首相が訪朝した。金氏の訪中は6年半ぶり、中国首相の訪朝は16年ぶりだった。
今年に入ってからも、中朝間の国際旅客列車の運行が3月12日、6年ぶりに再開された。中国のナショナルフラッグキャリアである中国国際航空も同30日から北京─平壌便の運航を6年ぶりに再開することを決めるなど、関係改善が進んでいる。
習政権の左傾化で、中国国内の政治情勢が北朝鮮に少し似てきたという事情も影響しているのかもしれない。保守派のワンマンである習氏には、北朝鮮にイデオロギー面での違和感はないのだろう。今の中朝は、過度な政治的締め付けに起因する国内経済低迷の常態化も共通している。
習氏が18年、憲法改正で国家主席の任期を廃止して、個人独裁志向を明確にした時、多くの在外中国人がインターネット上に「中国の朝鮮化が進む」「中国は『西朝鮮』になる」といった自虐的な意見を投稿した。西朝鮮とは、朝鮮の西方にある似たような国という意味だ。
筆者は当時、「大げさではないか」とやや懐疑的だったが、筆者の考えは甘く、在外中国人の悲観論が正しかったと認めざるを得ない状況である。(2026年3月16日)
3日 马兴瑞涉嫌严重违纪违法正接受中央纪委国家监委纪律审查和监察调查
马兴瑞涉嫌严重违纪违法正接受中央纪委国家监委纪律审查和监察调查————头条——中央纪委国家监委网站
8日 拜謁中山陵 鄭麗文主席:傳承總理革命精神 促進兩岸和解和平
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3日★中央規律委─馬興瑞・前新疆自治区書記を調査
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8日★国民党主席訪中(~)─南京で「日本帝国主義」批判
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10日★国共首脳会談(北京)─「日本」触れず◇★王外相、北朝鮮総書記と会談◇日本の外交青書─中国の位置付けを「最も重要」から「重要」に変更
11日 スペイン首相訪中(~15日)─4年で4回目
12日 台湾弁、台湾向け10項目優遇措置を発表◇アブダビ皇太子訪中(~14日)
13日 中国政府、「反外国不当域外管轄条例」の施行(7日付)発表
14日 越主席訪中(~17日)◇ロシア外相訪中◇孫衛東外務次官の退任発表◇3月の中国輸出、2.5%増─1~2月の21.8%増から鈍化◇米財務長官─レアアース問題などで「中国は信頼できない」
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16日★1~3月期の中国成長率5%─前期より0.5ポイント高く/不動産開発投資11.2%減少◇中伊外相会談(北京)
17日★海自護衛艦、台湾海峡を通過─高市首相の台湾有事発言後初めて/中国外務省「強く抗議」◇中央規律委─重慶市両江新区党委書記(市党委常務委員)を調査
21日 中国外務省─高市首相の真榊奉納で異例の抗議◇中国外務省─「日本は防衛産業持てない」◇台湾総統、22日からのエスワティニ訪問延期
22日 中国とカンボジアが「2プラス2」初会合(プノンペン)
23日 中国国防相、ロシア・キルギス訪問(~28日)
27日 人民日報、東京裁判80周年で論文─「敗戦国」強調
28日★農業省─省党委書記が交代◇党政治局会議─「エネルギー安保を強化」
29日★国家金融監督総局、公式サイトから李雲沢局長削除◇中豪外交戦略対話(北京)◇中国軍縮局長─「日本の核兵器取得阻止を」(NPT会議)
30日 米中外相電話会談◇明報─国家金融監督総局長、28日解任
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)と国政諮問機関の人民政治協商会議(政協)で上将(大将に相当)の軍人メンバー計8人が解任された。これで、習近平政権3期目の軍内大粛清により、陸海空軍とロケット軍(ミサイル部隊)の全軍種で司令官と政治委員の両首脳ポスト経験者が失脚したことが公式に確認された。凄まじい権力闘争が展開された毛沢東時代の文化大革命でさえなかった中国軍史上初の事態だ。
■軍人の議員激減
全人代常務委員会は2月26日、軍人の全人代代表(国会議員)9人が罷免されたと発表した。うち、李橋銘、沈金竜(元海軍司令官)、秦生祥(元海軍政治委員)、于忠福(前空軍政治委員)、李偉の5氏は今の中国軍で最高位の上将(退役者を含む)。李橋銘氏は陸軍司令官、李偉氏は情報支援部隊政治委員だが、既に解任されたとみられる。
政治委員は思想教育、人事など政治工作の最高責任者で、司令官と同格。大部隊は、作戦を指揮する司令官と政治委員のツートップ体制になっている。
習氏が国家主席3期目に入った2023年の第14期全人代第1回会議の時に281人だった軍人の全人代代表は、今回の第4回会議(3月5~12日)では243人に減った。軍内の粛清がいかに激しいかが分かる。
また、政協常務委も3月2日、韓衛国(元陸軍司令官)、劉雷(元陸軍政治委員)、高津(元中央軍事委後勤保障部長)3氏の政協常務委員を解任した。いずれも上将である。
韓氏は、既に失脚した何衛東(前中央軍事委副主席)、苗華(前中央軍事委政治工作部主任)の両氏と同じ旧第31集団軍(福建省)出身。しかも、苗氏が旧第12集団軍(江蘇省)の政治委員だった時期に同軍の軍長を務めた。軍内の習派の中核となっていた福建閥の有力者で、17年の軍事パレードでは中部戦区司令官として参加部隊を指揮した。福建閥と対立していた中央軍事委の張又侠副主席が今年1月に失脚したが、福建閥たたきは続いているようだ。
■無事はごく少数
中国軍は長年、「陸軍」という部隊編成がなく、習政権下の軍制改革でようやく発足した。陸軍司令官経験者である中央軍事委連合参謀部の劉振立参謀長(参謀総長に相当)も1月に共産党中央規律検査委の不正調査対象になったので、歴代司令官4人の中で政治的に健在なのは初代の李作成氏だけだ。陸軍政治委員も、劉雷氏の後任の秦樹桐氏は既に党籍を剥奪されている。現政治委員の陳輝氏も失脚説が出ている。
海軍は、習政権下の政治委員4人のうち、難を逃れているのは1人だけ。前出の秦生祥氏の前任だった苗氏と後任の袁華智氏はいずれも党籍を剥奪された。前司令官の董軍国防相は、粛清説が流れたことがあったが、今のところ無事。一方、現司令官の胡中明氏は最近、公式行事に参加していない。
空軍では、丁来杭・前司令官が23年に全人代代表を罷免された。現職の常丁求司令官と郭普校政治委員も公式行事を欠席している。
ロケット軍は同年、李玉超司令官と徐忠波政治委員が同時に更迭され、これを機に一連の大粛清が始まった。前者はその後、党籍を剥奪された。後者は事実上、引退させられたようだ。同軍の歴代司令官4人は全員失脚した。
なお、これら4軍の上級機関である中央軍事委は、習氏以外の軍人メンバー6人のうち5人が失脚し、1人も補選されていない。地方の5大戦区は、中部戦区と東部戦区の司令官が昨年、更迭された。他にも公式行事に姿を見せない司令官や政治委員がおり、計10人の戦区首脳の大半は失脚した可能性がある。規律検査委の調査を受けていると思われる。
■「党への二心」警戒
中国では昔から、権力闘争の常道として「拉一派、打一派」という手法があるといわれる。ある勢力を引き付けて手を組み、別の勢力をたたくという意味だ。毛沢東や鄧小平もそうだった。毛は、軍内のまとめ役だった彭徳懐を切ると、林彪を引き上げ、林亡き後は葉剣英を起用した。いずれも元帥だ。軍人ではないが、軍事指導者として大きな功績がある鄧までも一時復活させて利用した。共産党独自の軍隊の主な創設者である毛ですら、やみくもに有力軍人を打倒していたわけではなく、軍内の勢力バランスをよく考えて、その掌握に努めていた。
これに対し、3期目の習氏による軍の粛清は、本欄「習主席迷走の謎─1強体制下で軍が大混乱」(2月11日)で詳述したように、行き当たりばったりで、成り行きまかせという印象が強い。
そのため、粛清人事で最も重要な後任選びがなかなかできない。中国軍は現在、中央も地方も多くの要職が空席もしくは代理であり、組織として正常に機能しているのか疑わしい状態だ。
昨年12月に就任した東部戦区司令官は前任者より1歳上、中部戦区司令官は同年齢であり、世代交代を重視しているようにも見えない。また、トップが本当に絶対的権力を握っているのであれば、北朝鮮の金正恩労働党総書記が今年2月の党大会で断行したように、通常の手続きで人事異動を行えばよいのであって、政治的粛清を延々と続ける必要はない。
そもそも、終身制を志向しているといわれる習氏は、高官の若返り人事自体に積極的ではない。22年の第20回共産党大会人事では、1953年生まれの自分より3歳上で、72歳になっていた前出の張氏を中央軍事委副主席・政治局員として続投させ、自分と同年齢の王毅氏を政治局員に抜てきした。70歳前後での政治局入りは慣例に反する人事である。また、党・政府の香港・マカオ担当部門はいまだに、習派の浙江閥に属する夏宝竜氏(73)が率いている。夏氏は名誉職的な政協副主席を辞めた後も、実権のある党・政府の要職は続けている。
習氏は3月7日、全人代の軍代表団全体会議で演説し、自分が総書記に就任した2012年の第18回党大会以後、軍における「政治整訓(政治的引き締めと教育)」と「政治建軍(政治面の軍隊組織建設)」が大きな成果を挙げたと自賛。同時に「軍内に党への二心がある者は絶対いてはならないし、腐敗分子が身を隠す場所は絶対あってはならない。必ず確固として揺るぎなく反腐敗闘争を進めていかねばならない」と強調した。
ワンマンとして君臨しながらも、軍人たちの政治的忠誠心に対する猜疑心(さいぎしん)がますます強まり、反腐敗を口実とする粛清を続けていかないと、安心できないという心境が読み取れる公式発言である。(2026年3月8日)
中国の習近平政権が「日本軍国主義復活」に対する非難を強化し、関係各国に警戒を呼び掛けている。日本を敵国のように扱っており、同政権下での日中関係改善は想像しにくい状況だ。
■「台湾侵略の野心残る」
中国の王毅外相は2月14日、ドイツのミュンヘン安全保障会議で演説し、出席者からの質問に答えた。習政権の外交政策全般について、欧州諸国などに直接説明する機会となった。中国外務省の発表によると、「アジア太平洋情勢が緊張する中で中国はどのような責任を果たすのか」と問われた王氏は「アジア太平洋情勢が日増しに緊張しているとは思わない。世界を見渡すと、アジアだけが依然として全体的に平和を保っている」と回答した。
ただ、王氏は同時に「アジアも、順風満帆で、風がなく波も静かだというわけではない」とした上で、「日本で最近出現した危険な動向を警戒しなければならない」と主張。高市早苗首相の台湾有事発言を厳しく批判し、次のように日本軍国主義復活論を展開した。
一、戦後80年で日本の首相が公然とこの種の放言をしたのは初めてであり、中国の国家主権と、台湾が既に中国へ復帰した戦後の国際秩序に直接挑戦し、日本側の中国に対する政治的約束に背くものだ。
一、われわれはきょう、ドイツにいる。ドイツは戦後、ファシズムを全面的に清算し、ナチズム宣伝を禁止する法律を制定した。一方、日本はいまだにA級戦犯を神社に祭って、政界要人が絶えず参拝し、「英霊」として奉っている。このような現象は欧州では想像できない。これこそがあらゆる問題の根源なのだ。
一、日本指導者の台湾問題に関する誤った言論は、日本には台湾を侵略して植民地にしようとする野心が残っており、軍国主義復活の亡霊が消えていないことを暴露した。
一、日本はかつて、いわゆる「存立危機事態」を理由に中国を侵略し、米国の真珠湾を攻撃した。殷鑑遠からず。もし悔い改めなければ、必ず昔の失敗を繰り返すことになる。
一、まず日本人民に対し、二度と極右勢力や極端な考えに欺かれて引きずられないよう注意を喚起したい。また、平和を愛するすべての国は日本に対して「かつての道を歩めば、自滅する」「再び賭けに出れば、より速く、より悲惨に敗北する」と警告する必要がある。
王氏のこれらの発言から、習政権が(1)日本は軍国主義が復活しつつあるだけでなく、現実に台湾侵略の危険があると判断した(2)歴史問題で日本を欧米を分断し、日本を孤立させようとしている─ことが分かる。
王氏の論法はロシアのプーチン政権のゼレンスキー・ウクライナ大統領に対する「ネオナチ」批判によく似ている。国際社会で説得力を持つとは思えないが、今の中国にとって、日本はロシアにとってのウクライナのような敵対的存在ということであろう。
■「戦後体制の束縛から離脱」
中国の情報機関である国家安全省のシンクタンクも同様の見解を明らかにしている。同省傘下の中国現代国際関係研究院は1月30日、「台湾海峡に照準─日本が急速に軍事力を強化する意図とリスク」と題する大論文をSNSで公表。同研究院の副院長を含む4人が共同で執筆した。
論文は「日本の軍事力強化の主な意図は台湾海峡に介入する準備だ。それは日本社会で強い反対に遭っていない」「日本は既に平和憲法を含む戦後体制の束縛から実質的に脱しており、再び戦える国になりつつある」と断定した。
また、最後に米国に言及。「日本の軍事大国化とその破壊的影響について、米国は責任から逃れることができない」とした上で、「米国はかつて、ファシズムと軍国主義に対抗するため犠牲を払った。(日本対策に)当然ながら責任を負って、日本の軍事力発展制約で真の役割を果たし、戦後の国際秩序とアジア太平洋の平和を共に守らなくてはならない」と訴えた。
米国は中国と同じ第2次世界大戦の主要戦勝国として、日本軍国主義の封じ込めに協力する義務があると言いたいようだ。対日政策への同調を、自分が日ごろ「覇権主義」と批判している超大国(しかも、日本の軍事同盟国)に求めるのは矛盾も甚だしいところだが、そのような点に構っていられないほど、習政権の「反日」欲求は強烈だということなのだろう。
王氏は外相だけでなく、政権指導部の共産党政治局メンバー。習近平国家主席(党総書記)の大国外交路線を10年以上、忠実に執行してきた。また、国家安全省は習政権下で影響力を拡大し、前国家安全相は現在、治安部門全体を統括する政治局員だ。王氏のミュンヘン発言や前記の論文は習氏や党中央の現状認識を紹介したものだと考えてよい。
■総選挙の自民圧勝で警戒強化
高市首相率いる自民党の総選挙圧勝で、中国側は警戒を一層強めたとみられる。中国外務省報道官は「日本国内のことだ」として、詳しい論評を避けたが、中国最大級の公式シンクタンクである社会科学院の日本研究所幹部は2月19日公表した総選挙結果に関する論文で「日本の政局は保守勢力が全面的に掌握し、日本政治の右傾化がさらに加速する」と分析。「日本は今後、地域安保情勢の緊張や陣営間の対立、軍備競争、さらには核拡散リスクの面で波乱を大きくする可能性が高い」と決め付けた。日本研究所は対日政策について政権ブレーンの役割を担っている。
中国側の対日非難はもはや、正常な2国間関係におけるレッドライン(越えてはならない一線)を完全に越えており、習政権には、近い将来に国際会議での首脳会談を機に日中関係を修復するという過去のパターンを繰り返すつもりは全くないように見える。(2026年2月24日)