1966年7月に アニマルズ(The Animals)のベーシストだった チャス・チャンドラー(Chas Chandler)に見いだされた ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)は,その後にイギリスに渡り,ロンドンに於いて行ったオーディションで,ベーシストの エル・レディング(Noel Redding),ドラマーの ミッチ・ミッチェル(Mitch Mitchell)と共に ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスThe Jimi Hendrix Experience)を結成し,1966年10月から活動をスタートします.
 そして,1967年6月には母国アメリカで有名となる切っ掛けとなり,3日間(1967年6月16日~18日)に渡り30組以上が出演した モンタレー(モントレー)・ポップ・フェスティバル(Monterey Pop Festival)への出演を果たします.
 この モンタレー・ポップ・フェスティバルでのパフォーマンスにより本国アメリカでも人気を博した ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)は,翌年の 1968年2月3日カリフォルニア州はサンフランシスコのウィンターランド公演を皮切りに12月1日イリノイ州はシカゴのシカゴ・コロシアム公演までブレイクを挟みつつ北米ツアーを行います.
 最初にイギリスで人気が出て,その後,アメリカで人気が出るという言わば逆輸入的な感じでしょうか.

 人気を博した ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスThe Jimi Hendrix Experience)も,他の人気バンド同様に人気が出た故の過密スケジュールや精神的プレッシャー等からバンドや周辺の人間関係は悪化,先ず プロデューサー的な役割の チャス・チャンドラー(Chas Chandler)が去り,1969年6月にはメンバーでベースの ノエル・レディング(Noel Redding)も去ってしまいます.
 その後,ノエル・レディング(Noel Redding)の代わりに軍役時代の親友であった ビリー・コックス(Billy Cox)が加入,これまでのトリオ編成から少し大きめなビッグ・バンド的な編成でサイド・ギターやパーカッション等を加えた ジプシー・サン&レインボウズ(Gypsy Sun & Rainbows) を結成し活動開始.
 この ジプシー・サン&レインボウズGypsy Sun & Rainbows)で 1969年8月15日~17日に ニューヨーク州サリバン郡ベセルのヤスガーズ・ファームで開催され 約40万人の観衆を集めた野外フェスティヴァル:ウッドストック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)への出演を果たしたものの,その後,マネージメント側がそれを望まなかったことや,ジミ・ヘンドリックスが多人数をまとめあげるには経験不足だったことも重なって長続きせず自然消滅.

 その後,1969年10月にはベースの ビリー・コックス(Billy Cox),ドラムの バディ・マイルス(Buddy Miles)とで、3人編成の バンド・オブ・ジプシーズ(Band Of Gypsys)を結成し,1969年12月31日〜1970年1月1日ニューヨークの フィルモア・イースト公演でデビューし始動するも,ジミ・ヘンドリックスのマネージメント側は黒人だけのグループに難色を示した事や,マディソン・スクエア・ガーデンでの大規模な公演が失敗に終わった事などもあって1970年初頭には解散と短命に終わります.

 バンド・オブ・ジプシーズ(Band Of Gypsys)解散後は,再度 ドラムの ミッチ・ミッチェル(Mitch Mitchell)とベースの ビリー・コックス(Billy Cox)をバックに活動を再開し,アメリカやヨーロッパなどでコンサートを開催.
 そして 1970年8月30日(出演は31日未明)にはイギリスのワイト島のイースト・アフトン・ファームで開催された 「 ワイト島フェスティヴァル(Isle of Wight Festival)」 への出演を皮切りに 9月6日ドイツはフェーマルン島で行われた メクレンブルク・ベイ(Mecklenburg Bay / Love & Peace Festival)出演で幕を閉じた英国・欧州ツアーを行いますが,このツアーが終了した12日後の 9月18日に 27歳の若さで他界してしまうため,このツアーが自身最後のツアーとなってしまいます.

 本商品は,1970年4月25日カリフォルニア州ロサンゼルスのザ・フォーラム公演を皮切りに,9月6日ドイツはフェーマルン島で行われたメクレンブルク・ベイ(Mecklenburg Bay / Love & Peace Festival)出演で幕を閉じた 「 The Cry Of Love Tour 」 から,ツアー初日の 4月25日ザ・フォーラム公演の複数のオーディエンス録音をマトリックス収録した 『 L.A. Forum 1970 (No Label) 』 で,今回も最終マスタリングは,マスタリングに定評のある Graf Zeppelinレーベルが担当しています.

 私的に,既発盤を所有していませんし,聴いたこともありませんが,本商品は,各パートの出音のバランスも良く,非常に聴き易いオーディエンス録音と言えますし,録音された年代を考えれば非常に高音質のオーディエンス録音です.

 メーカー情報では
 『ジミ・ヘンドリックスは晴れてオフィシャル・リリースされた1969年だけでなく、実は翌年にも、ほぼ一年後のタイミングでLAフォーラムでショーを開いていました。この時の模様は古の名レーベル、Rubber Dubberによってリリースされた「LIVE AT THE LOS ANGELES FORUM 4-25-70」LPのおかげでジミが晩年に残した名演の一つに数えられています。同レーベルが生み出したアイテムの多くがそうだったように、当時としては非常に聞きやすいオーディエンス録音であったこともその秘訣。
 ところが当日はジミ久々のライブ・コンサートであったことから大きな注目を集め、後に複数のオーディエンス録音が存在していたことが判明したのです。音の近さという点ではRubber Dubberソースが抜きんでていたのですが、その他の音源もまた十分に聞きやすく、例えば懐かしのWhoopy Cat による「LIVE AT THE FORUM 1970」CDに使われたソースなども70年のオーディエンス録音としては十分なクオリティでした。

 さらなるオーディエンス録音ソースまで発掘された結果、それらのマトリクスによるステレオ・バージョンを作ろうとする動きが生まれるのは当然の事。複数の音源が存在しつつもすべてがモノラル録音(70年のオーディエンスですし)ともなればなおさら。そこで21世紀を迎えるとジミの音源トレーダー・サークル「ATM」の間でそれらの音源を駆使したステレオ化が実現します。このバージョンをすかさずCD化したのが「L.A. CONFIDENTIAL」というタイトルでした。その際には「LAフォーラムが実はステレオ録音だった」と喧伝されてしまったのが今となっては懐かしい。
 そんな画期的なステレオ・マトリクスではありましたが、当時のマトリクス技術というのはまだまだ稚拙な部分が多く、確かにステレオチックな分離は可能となったものの、複数のオーディエンス録音を使用したが故の音質の変化や音量の浮き沈みが攻め切れておらず、特にヘッドフォンでリスニングする上での違和感はかなりのものでした。何よりこの時のバージョンはステレオ化することに重きを置きすぎ、全体的には骨のない仕上がりとなってしまっていたことが当時から気になったもの。

 そんな試みながらも完成度という点ではまだまだだった「L.A. CONFIDENTIAL」から十年以上の歳月が経過を経て2010年代にはマトリクス技術も大幅に向上。ジミのトレーダー間に複数音源が存在する公演を「merged(=組み合わせる)」マトリクス化のブームが巻き起こります。そんな中でも積極的に複合化バージョンを発表したのが「funkydrummer」なるマニア。中でも彼が自信作として公開してくれたのが70年のLAフォーラム。彼としても思い入れのあるショーなのか、何度もマトリクス化をやり直しており、今回はfunkydrummerがファイナル・バージョンとして発表したものを元に限定プレスCDリリースいたします。
 彼によるマトリクスは技術の進歩もあるのですが、例の「L.A. CONFIDENTIAL」よりもはるかに洗練された仕上がりがお見事。そのメインとなるRubber Dubberソースはジミのギターの音圧の迫力が魅力であった一方、他の音が弱くバランス的にイマイチな感があったので、そこに他のオーディエンスを組み合わせることでグッと聞きやすい状態に生まれ変わっています。それでいて演奏の迫力がマシマシという点が「L.A. CONFIDENTIAL」とは大きく異なる印象。
 中でも一種類の音源でしか捉えられていない場面になると当然モノラルになってしまうのですが、その違和感がほとんどなくまとめ上げられたという点がこれまた「L.A. CONFIDENTIAL」とは別次元の完成度。そこではステレオ化にこだわり過ぎたが為にモノラル・パートとの落差が生じてしまった訳ですが、今回はそこまで極端にステレオ化させなかったことが勝因でしょう。それでいて演奏やジミの歌の輪郭が浮き彫りになっている点もfunkydrummerバージョンの大きな成果。それでもなお散見された粗をGraf Zeppelinが調整してくれ、限定プレスCDリリースに相応しい最後の一手を加えてくれました。

 それにしてもこの日のジミのイキイキとした演奏ぶりは圧巻で、ライブ前半はキレッキレな勢いで畳みかける。ライブに明け暮れた感のあるジミのキャリアですが、70年前半はバンド・オブ・ジプシーズがあっけなく解散した結果、三か月近くもライブが行われないという珍しい時期でした(代わりにスタジオ・ワークに没頭)。それだけに久しぶりのステージに戻れたという喜びが溢れており、なおかつバックにはジプシーズとエクスペリエンスのいいとこどり(ミッチとビリー)をした頼もしいトリオ編成のクライ・オブ・ラブ・バンドがいる。
 そうした状況がこの日の快演へとつながったことは疑いようもありません。しかし何と言ってもCD2から始まる怒涛の新曲&アドリブメドレーは圧巻。ジミとしては当時スタジオで作り込んでいた新曲をステージで披露したくてうずうずしていたのでしょう、手始めに「Room Full Of Mirrors」を弾いたところから新曲メドレーがスタート。そこからウッドストックの名演でおなじみ「Villanova Junction Blues」に移るなど変幻自在ながらも勢いが止まらない。
 そして必殺の「Star Spangled Banner」へと切り替わるのですが、すかさず始まった「Purple Haze」では演奏が始まっているのにイントロを弾き直すというレアな爆笑パターンも勢いが余ったからこそ。この代表曲を待ち望んだフォーラムの観客たちによる手拍子の盛り上がりと豊かな臨場感も是非ヘッドフォンにて味わってみてください。何よりアナログ時代には定番中の定番だった70年のLAフォーラムも最近はアップグレードされたタイトルが無さすぎた。だからこそ2022年に相応しい新たなバージョンでジミ晩年の名演を!

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REMASTERED BY GRAF ZEPPELIN
(リマスター・メモ)
 ★位相修正
 ★潰れた波形を復旧
 ★トラック変わり目のプチノイズ除去
 ★複数音源が編集されてるっぽいですが、繋ぎが唐突だったりした箇所や音が片側に偏っていた箇所を数ヶ所補正。
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L.A. Forum 1970 (No Label)
 
 Live At The Forum, Inglewood, CA, USA
 25th April 1970
 [UPGRADE]

  Disc 1
   01. Introduction
   02. Spanish Castle Magic
   03. Foxy Lady
   04. Lover Man
   05. Hear My Train A Comin'
   06. Message To Love
   07. Ezy Rider
   08. Machine Gun
   TOTAL TIME (46:00)

  Disc 2
   01. MC
   02. Room Full Of Mirrors
   03. Hey Baby (New Rising Sun)
   04. Villanova Junction Blues
   05. Drum Solo
   06. Freedom
   07. Star Spangled Banner
   08. Purple Haze
   09. Voodoo Chile (Slight Return)
   TOTAL TIME (40:01)

 Jimi Hendrix : Guitar, Vocal
 Billy Cox : Bass
 Mitch Mitchell : Drums

 Foxy Lady
 
 Room Full Of Mirrors
 
 Purple Haze
 

[参考]
 因みに,こちらの白黒ジャケも50セット限定でリリース.
 
 
 1970 Tour Dates
 April
  [North American Tour]
  25 The Forum,Inglewood,CA,USA
  26 California Exposition & State Fair,Sacramento,CA,USA

 May
  01 Milwaukee Auditorium,Milwaukee,WI,USA
  02 Dane County Coliseum,Madison,WI,USA
  03 St. Paul Auditorium,St. Paul,MN,USA
  04 Village Gate,New York City,NY,USA
  08 University Of Oklahoma,Norman,OK,USA
     ⇒ [Two Shows]
  09 Will Rogers Auditorium,Fort Worth,TX,USA
  10 HemisFair Arena,San Antonio,TX,USA
  16 Temple University,Philadelphia,PA,USA
  30 Berkeley Community Theatre,Berkeley,CA,USA
     ⇒ [Two Shows]

 June
  05 Dallas Memorial Auditorium,Dallas,TX,USA
  06 Sam Houston Coliseum,Houston,TX,USA
  07 Tulsa Assembly Center,Tulsa,OK,USA
  09 Mid-South Coliseum,Memphis,TN,USA
  10 Roberts Municipal Stadium,Evansville,IN,USA
  13 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
  19 Albuquerque Civic Auditorium,Albuquerque,NM,USA
     ⇒ [Two Shows]
  20 Swing Auditorium,San Bernardino,CA,USA
  21 Ventura County Fairgrounds,Ventura,CA,USA
  23 Mammoth Gardens,Denver,CO,USA
  25 Stanley Theatre,Pittsburgh,PA,USA
  27 Boston Garden,Boston,MA,USA

 July
  04 Middle Georgia Raceway,Byron,GA,USA
     ⇒ [Atlanta International Pop Festival 1970]
  05 Miami Jai-Alai Fronton,Miami,FL,USA
  05 Miami Jai-Alai Fronton,Miami,FL,USA
  17 Downing Stadium,New York City,NY,USA
     ⇒ [New York Pop Festival 1970]
  25 San Diego Sports Arena,San Diego,CA,USA
  26 Sicks Stadium,Seattle,WA
  30 Seabury Hall,Makawao, HI,USA
     ⇒ [Two Shows]

 August
  01 Honolulu International Center,Honolulu,HI,USA
  [European Tour]
  30 Afton Down,Freshwater,UK
     ⇒ [Isle of Wight 1970,UK]
  31 Gröna Lund,Stockholm,SWEDEN


 Septmber
  01 Liseberg,Gothenburg,SWEDEN
  02 Vejlby-Risskov Hallen,Risskov,DENMARK
  03 KB Hallen,Copenhagen,DENMARK
  04 Deutschlandhalle,Berlin,GERMANY
     ⇒ [Super Concert 1970]
  06 Flügger Strand,Fehmarn,GERMANY
     ⇒ [Open Air Love & Peace Festival Insel Fehmarn 1970]


 























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#2022-11-22