レッド・ツェッペリンの 2度目の来日最終日の1972年10月9日の音源を収録した,あの有名な日本製(OGレーベル)のアナログ・ブート 『 LIVE 』 のアナログ落とし盤 『 LIVE : 2017 Transfer (No Label) 』 の登場です.
 このアナログ・ブート落とし盤は,2015年にリリースされたヴァージョンの再発では無く,最近ネット上にアップされた音源を使用したもの.

 この 『 LIVE 』 は,1972年10月9日の大阪フェスティバル・ホール公演のみの収録では無く,何故か10月9日には演奏されなかった "Bron-Yr-Aur Stomp" に関して,10月4日の同会場の音源が付け加えられいています.これは昔から不思議だったのですが,メーカー情報に記載されている内容で合点がいきました.

 有名なアナログ・ブートなので,色々書きませんが,レッド・ツェッペリンの "Stand By Me" はレアですよね.

 メーカー情報では
 『日本におけるレア音源リリースのパイオニア、OGレーベルの重要性は21世紀を迎えて力説されるようになってきています。
 何しろ今から40年以上も前に(!)ZEPやビートルズのレア音源を作り出し、なおかつそれらでしか未だに聞かれないという極めてレアなライブ音源ばかりをリリースしてきたという活動ぶりが伝説の域にまで昇格しました。
 しかし40年以上前のリリース、謎が多いのも確か。もっとも囁かれた説は「プレス工場が王子にあったからOGというレーベル名だった」というもの。ところが実際には大阪のレコード店がプレスと販売を担当しており「OG」とは王子ではなくて店名の一部をマトリクスに記した結果だったのです。
 その理由からOGはあくまでプレスと販売のみの担当に徹しており、それぞれの企画や音源に関してはすべてがお店の常連客からの持ち込みであったということも判明しています。その証拠にOGがリリースしたアイテムはレーベルのデザインやレイアウトがほぼ統一されていた一方、アルバム・カバーのデザインに関してはてんでバラバラ。この件に関しては、今から十年以上前に出版されたマイルス・デイヴィスのブート本の中において、ビートルズの「LIVE AT SHEA-STADIUM」を作った(当店からもCD復刻版をリリース)という人物からの証言が掲載されていました。
 そういった状況で生み出されたのがOGアイテムであり、実質的に一つのまとまったレーベル組織ではなかった。同レーベル名義で出されたZEPのアイテムに関しても、1971年の初来日では東京と大阪でまるで音質やデザインの違うアイテムがリリースが生み出されたのには、そういった理由があったのです。つまり「IN CONCERT」と「LIVE IN JAPAN 1971」では企画した人物が別人であるということ。

 そう考えてみると1972年の大阪公演を収録した「LIVE」、これがまた独自のデザインと内容でリリースされたのにも合点がいくというもの。何と言っても切り抜きにスプレーを吹き付けたかのようなデザインが実に不思議な表カバー。それは先に挙げた「IN CONCERT」や「LIVE IN JAPAN 1971」とはまったく違うジャケット・センス。さらにはLP一枚でのリリースというフォーマット。これは企画者の予算の関係であったのだと推測されまます。
 そのLP一枚にまとめようとしたセンスは実に解りやすい。収録時間の制約はもちろんですが、既にリリースされていた曲を省き、当時はまだリリースされていなかったアルバム「HOUSES OF THE HOLLY」に収録されることになる曲ばかりをまとめている。つまりリリースされる前のZEPの新曲をレコードとして出したい…そんなマニア心から一枚にまとめられたのは明らかでしょう。そこへ10月9日には演奏されなかった「Bron-Yr-Aur Stomp」を10月4日の音源から付け加え、自身が聞きたい形にまとめたのだと。

 こうして作られた「LIVE」は音質がまた実に素晴らしい。それは2015年に当店から復刻版CDをリリースした際に実証済み。72年の大阪二日間は非常に音質の優れたオーディエンス録音が存在しており、それぞれが当店からもリリース済。それらと比べれば「LIVE」は50分にも満たない収録時間。それでもなお「LIVE」の肉欲的な質感は他の音源と比べてもまったく引けを取らない素晴らしさ。中でも10月9日における最大のサプライズとなった「Stand By Me」はこのLPで聞くのが一番。
 日本人にとっても馴染み深いスタンダード・ナンバーをZEPが長いライブ史の中において、しかも大阪だけで披露したという事実は我々が大いに誇るべきこと。それに1972年までのZEPならではの余裕たっぷりな雰囲気の中で演奏されるのがまた素晴らしい。ボンゾが「ドゥビドゥビ」とR&B調なバックコーラスを付けていますが、これもまた72年ならではの自由な光景なのです。
こうした時期「Bron-Yr-Aur Stomp」のような通常レパートリーで彼が歌うのは当然。例えば同年のシアトル二日目(「SEATTLE 1972」がリリース済)では「Only The Lonely」や「Money」でバックコーラスを務めるに留まらず、遂には「Louie Louie」でリードボーカルまで取ってしまう事態(LAフォーラムの同曲では残念ながらボンゾが歌いませんでしたが)。そう、72年の夏から秋にかけてはシンガー、ボンゾの旬だったのです。その締めくくりとも呼べたのがこの「Stand By Me」。

 そして先にも触れたように「LIVE」は二年前に一度LP復刻CDをリリースしていますが、今回はネット上に現れた「2017 Transfer」バージョンを限定のプレスCDにてリリース、その違いは歴然。前回があくまでLPを素直にCD化していたのに対し、今回はノイズを緻密に削除してみせた点がポイント。
 例えばA面1曲目の「Over The Hills And Far Away」では音の立ち上がりでレコードのトレース・ノイズと盤に入ってしまった傷と思われる音が入っていましたが、今回のバージョンはそれらのレベルが極端に下がっている。そこで今回のバージョンが目指しているものを理解してもらえることでしょう。ただし、どちらもそのノイズが同じ位置で入ることから、もしかしたら同じ盤が元になっているのかもしれません(実際に「LIVE」はここ数年の間に何度か首都圏の中古ショップで見かけたものです)。
 またOG盤は先の理由から、自分が録音したテープを盤にしたくて持ち寄られた結果のリリースです。「LIVE」に関しても一枚のLPで出すべく手前にあるオーディエンス録音をまとめただけであり、マスタリングなどは全く施されていない(フラット・カッティング状態)。それ故に静かな曲になるとヒスノイズが目立ちやすかったのですが、それも劇的に解消されている。それでいてイコライズ感を覚えることなくLPの音質を保った仕上がりなのだから驚きでしょう。つまり、OG盤の音質を最大限に活かしつつ、よりノイズが少ない優等生な仕上がりとなっているのが今回のバージョン。そうなると大音量でプレイバックして1972年の大阪フェスティバル・ホールにタイムスリップするしかない!』

LIVE:2017 Transfer (No Label)
 
 Live At Festival Hall,Osaka,JAPAN 09th October 1972

  1. Over The Hills And Far Away
  2. Misty Mountain Hop
  3. Since I've Been Loving You
  4. Bron-Yr-Aur Stomp [Osaka 1972 1st Night (04th October)]
  5. Dancing Days
  6. The Song Remains The Same
  7. The Rain Song
  8. Stand By Me
  TOTAL TIME (47:58)

 Since I've Been Loving You
 
 The Song Remains The Same
 
 Stand By Me
 


[参考]
 1971 Japan Tour
  September
   23 Budokan Hall,Tokyo,JAPAN
   24 Budokan Hall,Tokyo,JAPAN
   27 Municipal Gymnasium,Hiroshima,JAPAN
   28 Festival Hall,Osaka,JAPAN
   29 Festival Hall,Osaka,JAPAN

 1972 Japan Tour
  October
   02 Budokan Hall,Tokyo,JAPAN
   03 Budokan Hall,Tokyo,JAPAN
   04 Festival Hall,Osaka,JAPAN
   05 Kokaido,Nagoya,JAPAN
   09 Festival Hall,Osaka,JAPAN
   10 Furitsu Taikukan,Kyoto,JAPAN

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