ダイカンプラザ 9F の某店で予約完売続出のツェッペリン関連ブートですが,今回はアナログ・ブート落としでは無く,マスターを使用した "Unprocessed" シリーズとしての発売です.

 前年に引き続き,1972年の 2度目来日を果したツェッペリンの日本公演から,10月9日大阪はフェスティバル・ホール公演をオーディエンス収録したものです.
 音源的には既発で H-BOMB Music レーベルからリリースされた 『Tapes From The Dark Side (HB-9301/2/3)』 で使用されているものですが,今回はタイトルに "Unprocessed" とあるように,殆ど加工されていないものです.

 この時期になると,プラントもハイ・トーンが出なくなってきており,演奏的にも一時期の切れが無くなってきていますが,されどツェッペリンです.
 何と言っても,この日はアンコールで "Stand By Me" が演奏されている事でも有名な日ですが,30分弱の "Whole Lotta Love" メドレーや,アンコールでたたみかける "Immigrant Song" は圧巻.

 メーカー情報では
 『おかげさまで大好評の内に Sold Out となりましたOG盤「LIVE JAPAN」からの「THE UNPROCESSED 929」に続き、1972年10月9日の大阪フェスティバル・ホール公演もOG盤「LIVE」からの連動企画である「THE UNPROCESSED 109」が遂に登場します。
 OG盤「LIVE」のリリースとSold Out直後から109のTHE UNPROCESSED盤はリリースされないのか?というリクエストが多数寄せられていました。

 オーディエンス録音とサウンドボードの違いはあれど、どちらもZEP来日公演を後世に伝えてくれる貴重音源として、現在まで定番中の定番という地位を揺るぎないものとしています。109に関してもOG盤以外にも別格のクオリティを誇るステレオ・オーディエンス録音が存在し、特にCDでは多数のアイテムがリリースされてきました。中でも「TAPES FROM THE DARK SIDE」とその再発盤である「LET ME GET BACK 1972」はこの音源をマスターテープから忠実に収録したものとして、現在でもマニアの間で高い評価を受けています。

 実を言いますと、今回の音源は当店も録音者がマスター・テープからCD-Rに収録した状態で以前から入手していたものなのですが、あまりに定番な音源であることを原因としてリリースに躊躇していたものです。ところが、それほど定番な音源であったにもかかわらず、2010年代に入るとベストなタイトルの入手が困難になってきました。さらに複数ソースとの組み合わせによる完全収録という手法がポピュラーとなり、なおさら109音源本体の存在価値が見過ごされてしまったように感じます。

 そんな中で今回の109音源はネット上などにもマスターから収録したという段階のファイルが出回っていますが、それらと一線を画すのは、今回の音源がまだネットを介した音源入手が普及する以前に録音者から(もちろんネットを介さずに)入手したマスター・コピーを元にしているということなのです。そんな状態の音源をリリースする日が遂にやってまいりました。

 今回の音源にしろOG盤の音源にしろ、1972年のオーディエンス録音としては信じられないほどクオリティの高いレベルで録音されているという点が共通しています。どちらも高音質でオンな音像イメージなども似通った状態なのですが、OG盤が「骨太」な印象を与えるのに対し、こちらの音源は「繊細」と表現したくなる高音の伸びが際立っています。それでいて大阪フェスティバル・ホールという会場の空気感を見事にキャッチしているという点もOG盤音源とは違った魅力です。ここで聴かれる歓声の臨場感やボンゾのドラムの響きなど、まさにフェスティバル・ホールでしか味わえないウォーミーで奥行きのある音質。それを1972年当時にここまでリアルにキャッチできた音源の価値は計りしれません。

 演奏面に関しては海外のマニアなどが「Japan Warm-Ups」などと揶揄された二度目の来日公演は、あの強烈だった初来日公演とまったく違った雰囲気から正当な評価が得られないでいたツアーでもあります。確かにプラントの声の調子の過度期がこの来日のタイミングに重なってしまいましたし、随所で声が出切らない場面が見受けられたのは事実。それがツアー序盤の武道館などでは特に顕著でした。

 しかし夏のアメリカ・ツアーの合間では次のアルバム「HOUSES OF THE HOLLY」のレコーディングが進行しており、ZEPの音楽性自体が劇的な変化を迎えようとしていたのです。プラントの声の衰え以前にZEPはデビュー当初からのアッパーなハードロック・サウンドから脱皮し、名盤「VI」で推し進めた多種多様な音楽性にリズム志向の新たなエッセンスが加えられてアルバムは制作されています。むしろ、初来日公演でみられたようなハードなサウンドは1971年の時点で終焉を迎えていました。
 
 そうしたサウンドの変化を初めて前面に押し出したのが二度目の来日公演だった、という事実が見直されるようになってきたのは、つい最近のことかもしれません。ZEP側からすればサウンドを探求した果ての変化だったのですが、ファンからすれば戸惑いを覚えたことも無理はありません。オープニングこそ「Rock And Roll」のアッパーな幕開けが印象的ですが、その後は「Over the Hills and Far Away」や「Dancing Days」といったリリース前の新曲が大量投入され、しかもそれらがゆったりとした雰囲気の曲調だったことが変化に対して重要な役割を果たしています。

 さらに変化は従来のレパートリーにも現れました。「Dazed And Confused」は71年のUKツアーからグルーブ志向のインプロビゼーションの駆け引きが目立ち始めましたが、それがここにきて第一段階の完成を遂げているのです。プラント以外の三人による激しいリズムやフレーズの応酬はこの後更なる進化と高みを迎えるのですが、既にこの時点でもかなりの完成度を見せています。やはり当時の新曲であった「The Crunge」が導入される展開は72年ならではの魅力的なパターン。

 71年の来日公演ではロックンロールやオールディーズを盛り込んでエスカレートした「Whole Lotta Love」も二度目の来日公演からはスロー・ブルースを中心としたメドレー構成へと変わっていますが、これもまた73年のヨーロッパで頂点を迎えるパターンの基礎が盛り込まれた瞬間です。このような73年のライブでより効果的に作用する展開が初めてライブに投入されたのが72年来日公演だったのです。それでいてプラントの声はキレが悪いながらも、それでもなお若々しさや艶が保たれているというのもこの時期しか味わえない魅力でしょう。

 72年の来日公演は間にいきなり三日間のオフが設けられるという不思議なスケジュールで行われましたが、そこで鋭気を養ったメンバーがツアー前半より明らかにボルテージの高い演奏を聴かせてくれたという点も109ライブの大きな魅力でしょう。しかもこの来日公演からボンゾの「Moby Dick」がしばらく封印されてしまうのですが、この日の限ってそれを披露したところからもグループの好調さが伺えます。それどころかメンバーがアンコールに戻ってきた際にはボンゾが観客に向かって話しかけるという珍しい場面まで登場するのだから驚き。

 そして極めつけはアンコールで演奏されたまさかの「Stand By Me」のカバー!訃報も記憶に新しいベン・E・キングの名曲をZEPが演奏してみせたのは後にも先にも109大阪だけ。こういったR&Bカバーとなれば待ってましたとばかりにプラントやボンゾ(しかもバックコーラスまで務めてます)が本領発揮、和気あいあいとした雰囲気が会場をさらにヒートアップさせます。

 今回UNPROCESSEDバージョンのリリースに当たっては本音源最大の欠点であった「Rock And Roll」途中までに起きる回転数の変動(慌ててレコーダーのスイッチをオンにしたのでしょう)を完璧にアジャスト。ライブ開始から落ち着いて聴けるように仕上げ、限定のプレスCDリリースはもちろん、名音源をUNPROCESSEDかつ抜群の安定感でお届けいたします!』

Unprocessed 109 (No Label)
 
 Live At Festival Hall,Osaka,Japan 9th October 1972

 Disc 1
  1. Rock And Roll
  2. Black Dog
  3. Over The Hills And Far Away
  4. Misty Mountain Hop
  5. Since I've Been Loving You
  6. Dancing Days
  7. The Song Remains The Same
  8. The Rain Song
  9. Dazed And Confused
  TOTAL TIME (74:09)

 Disc 2
  1. MC
  2. Stairway To Heaven
  3. Moby Dick
  4. Whole Lotta Love
  5. Stand By Me
  6. Immigrant Song
  TOTAL TIME (68:43)

 The Song Remains The Same
 
 Stand By Me
 


 本商品の初回ナンバー入りステッカー付きに限って,1972年10月2日の武道館初日公演をオリジナル・マスターより約80分収録した「Live At Budokan 1972 1st Night (Special Bonus CDR)」が付属しています.
 本ボーナス・アイテムは,今回新たにリマスター処理を施し,よりスケール・アップした高音質で収録されている模様ですが,私は元々の音源を聴いた事がないので,その辺は良く分かりません.

 メーカー情報では
 『以前、ギフトアイテムとして登場し、過去に出回ったことの無い、完全なニューソースということで話題となった1972年10月2日武道館公演初日のオーディエンス録音タイトルの、注目のリマスター・エディション(2009年にリリースされています。)。
 マスターカセットを再度使用。ヒスノイズを原音に影響が出ない程度に抜き、耳に不愉快な低音を緩和、音像を高域を中心にを整え、くぐもっていたサウンドをより聴きやすくアップグレードしました。
 結果として、同じマスターとは思えない程の、より聴きやすいクリアーな優良サウンドで、数年前に新たに登場したこの日のテイクを楽しむことができます。勿論、本公演には「Budokan Oct 2, 1972」(PATRIOT)、「No Use Greco」(TARANTURA) などの優秀なタイトルが複数存在しており、本盤は音質も決定版に比べ劣っており、1枚モノタイトルであることで分かる通り、内容的にも Dazed And Confused 未収録、Whole Lotta Love 後半から Heartbreaker ~ Immigrant Song ~ Communication Breakdown まで欠落といった不備な点も多く、コレクターやマニアの方々以外には不要かもしれません。
 しかしながら、音に篭りが感じられない、分離感良好なサウンドで収録された、既発盤のイメージを払拭するようなクリアーなサウンドは素晴らしく、これ1枚で考えれば、じゅうぶんに「聴ける」、ビギナーにも楽しめる一枚に仕上がっています。ぜひとも、この機会に、聴いて頂きたいマスターカセット音源です。』

Live At Budokan 1972 1st Night (Special Bonus CDR)
 
 Live at Budokan,Tokyo,Japan 2nd October 1972

  1. Rock And Roll
  2. Over The Hills And Far Away
  3. Black Dog
  4. Misty Mountain Hop
  5. Since I've Been Loving You
  6. Dancing Days
  7. Bron-Y-Aur Stomp
  8. The Song Remains The Same
  9. The Rain Song
  10. Stairway To Heaven
  11. Whole Lotta Love
  TOTAL TIME (79:58)

 Stairway To Heaven
 

[参考]
Tapes From The Dark Side (HB-9301/2/3)

Live (No Label)


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Unprocessed 929 (No Label)
 
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