神経質は真面目である。おまけに杓子定規で融通が利かない。
こういう人が、何か新しいことを始めようとすると、大変なことになる。
○○と、△△と、それから××が必要です。・・・などと聞くと、これらをすべてそろえないと始められない。何か不足があると、そこでストップしてしまう不安があるためだろう。また、道具をそろえることで、途中で投げ出さないための枷を作っておくという『読み』もある。
何気なくラジオを聴いていたら、あるカルチャー教室の講師の方が、インタビューの中で、新しい受講生に向けてメッセージを発していた。
春を迎え、新しいことにチャレンジする人が多い中で、その心構え的なものをお話していたように思う。
まずは、絵画教室の先生の話である。
そうですね。
とりあえず描きたくなったら描いてみる。モチーフは何でもいいですよ。鉛筆でもボールペンでも結構。専門的な画材をそろえないと絵がかけないと思ったら大間違いです。
最初は筆記用具一本で十分です。描いてみたいな! と思うものを描いてみてください。
もし、なんとなく物足りないな、色がほしいな。と感じたら、その時点で画材屋さんに行けば良いのです。
本格的に絵の勉強をするのであれば、それなりに段階を踏んで少しずつ難易度を上げていくのですが、プロを目指すのでなければ、とりあえず自分の感性を信じて、"描きたい"モチベーションの高いものから、書き始めるのが、長続きするコツではないでしょうか。
続いて、歌謡教室の先生の話である。
良くこんなこと聞かれるんですよ。
・・・歌の初心者なんですけど、初心者が一番初めに練習しておいたほうがいい楽曲って、何かありますか?
こんな質問をしてくる方は、例外なく真面目な方ですね。こういう人は教室も休まないで一生懸命練習しますから、必ず大成しますよ。
そうそう、始めの質問ですけど、確かに初心者が歌いやすい歌、と言うのはあります。だけれど初心者が歌いやすい歌が、そのまま初心者が"歌いたい"歌ではないんですね。
やはり歌の醍醐味は、気持ちよく歌うことです。楽しんで歌うことです。
てすからいくら上達のためとはいえ、歌いたくない歌を辛抱しながら歌う必要なんて、さらさら無いですよ。
上達のコツは歌いたい歌を如何にたくさん歌うかなんです。好きな歌なら歌ってて気持ちがいいし、何回も歌いたくなりますよね。だから上達も早いんです。自分が確実に上達していると感じられれば、今度は人前で歌いたくなります。そこでみんなから褒められれば、ますますやる気と自信が得られるものですよね。
お話くださったお二人の講師の先生は、たぶん『顔見知り』の間柄ではないと思う。けれども両者の主張していることは、ほとんど同じ事だと言ってよいだろう。
神経質者に最も欠けているのは『~したい』と言う気持ちである。
神経質者が何か新しいことを始めるときは、周囲が始めているとか、仕事の役に立つかもしれないからとか、あるいは暇でやることが無いからとりあえず、・・・と言うものが多い。
要するに『~したい』からするのではなく、『しなければならない』からするのである。これでは長続きしない。
そして挙句の果ては、長続きできない自分を責め、『何をやっても長続きしないダメな自分』と言うものを再確認するのである。
もうそろそろこの『負のスパイラル』から抜け出さなければいけないと考える人は多いだろう。
まだ春真っ盛りである。真剣に自分の『~したい!』を考えてみてはいかがだろうか。