ボクは一般企業で
会社員として
20年間過ごし
42歳で退職
今はフリーランスで
主に動画編集を
仕事にしている
1.はじめに:大学生のときの話
以前
ホームレスっぽいおじさんが
ヒッチハイクしてきた話を書いたが
【ある夏のこと】ホームレスっぽいおじさんを車に乗せた話〜前編
【ある夏のこと】ホームレスっぽいおじさんを車に乗せた話〜中編
【ある夏のこと】ホームレスっぽいおじさんを車に乗せた話〜後編
今回は渋谷にいた
ホームレスのおっちゃんと
飲んだ話を思い出したので
書いてみたい
2.ホームレスのおっちゃんと飲んだ話
①待ち合わせの相手が来ない
大学生の頃・・
ということは
30年くらい前だろうか
この単位で話ができることに
多少の恐ろしさを覚えるが
そこは一旦置いておいて
進めよう
ボクが
19歳か20歳のころの話だ
ある人と
待ち合わせをしていた
「ある人」とは
ちょっと気になっていた人で
背伸びして
普段は行かない
渋谷にお茶に誘った女性である
その頃はケータイ電話もなく
約束の場所や時間は
いまより重要な決めごとだったように思う
「渋谷の109の前に17:00」
とどこかで
聞いた歌のような待ち合わせをしていた
しかも
渋谷は詳しくないので
入り時間は30分以上前
相手がくるのを待った
約束の時間を少し過ぎたので
109の前といってもいろいろな「前」が
あるだろうから
考えられるあらゆる「前」を
想定しながら
ぐるぐる歩き回ったが
待ち合わせ相手の姿は見えなかった
その頃は
「留守電にメッセージを残すこと」ができた
そして
「出先からそのメッセージを聞くこと」が
すごい機能とされていた(と思う)
なので
その相手に電話をかけて
メッセージを残したりして
何とか連絡を取ろうとしていた
すでに約束の時間から
1時間以上が過ぎていた
②声をかけてくるおっちゃん
その様子を
ずっとみている人物がいた
ブルーシートの上に座ってる
ホームレスのおっちゃんである
本人に確認したわけではないが
街中にブルーシートの上に座っていたので
ホームレスと呼ばせてもらって問題はないと思う
何度かチラチラと目が合って
ニコっと笑ってくる
微笑みかけられたら
ボクも微笑みがえすという
微妙な距離感のまま
どんどん時間は過ぎていった
そして
もう今日は会えないかな・・
と諦めかけたとき
「もう来ないよ・・」
と声がしたのである
ずっと見ていた
さっきのホームレスのおっちゃんが
すべてを見透かしたように
「もう来ないよ・・」
と話しかけてきたのである
「いや、まだ来るかもしれないし
もうちょっと待ってみるよ」
何の説明もしてないのに
会話してる状況が
おもしろくて笑ってしまった
「こっちきて一緒に飲もうよ」
「いや、もうちょっと待ってみるよ」
だんだん強がってる自分が
恥ずかしくなっているこの状況
そしてなぜか
おっちゃんに興味が
湧いてきてしまっている自分
3時間くらい過ぎたあたりで(待ち過ぎやろ)
連絡もつかないので
もういいかと思って
おっちゃんに近づいていった
③終電まで飲む
おっちゃんは50代くらいだろうか?
派手な服でがんばって
おしゃれしていたのかもしれないが
みるからにホームレスという感じだった
「いつもここにいるの?」
「最近はね」
みたいな会話を交わした
「ボクもう3時間以上待ってるだけど
相手が来なくて」
「もう来ないよ、フラれたんでしょ、一緒に飲もうよ」
核心をついてくるおっちゃんに
動揺を隠しながらも
飲むことに決めた
ということで
近くのコンビニに一緒に
お酒を買いにいった
その途中おっちゃんは
公衆電話によって何やら探していた
「使用済みテレフォンカード」
を集めているらしい
「これイラン人に売るんだ」
なるほどこうやって
偽造テレフォンカードは
作られているんだな
コンビニ着くと
おっちゃんはお金を持っているはずもなく
当然のようにボクのおごりだ
おっちゃんは
遠慮なく500mlの缶ビールを2本
カゴに入れた
ボクは
チューハイ1本にした
買い物を済ませて
109前へと向かった
ブルーシートに
ふたりですわって乾杯した
渋谷の真ん中で
ひとりでブルーシートを
広げて座れと言われたら
多分できない
しかし
同志がいることで強くなれる
おっちゃんと話した内容は
ほとんど忘れてしまった
もう顔もおぼろげだ
ただ
おっちゃんも
普通に会社で働いていて
事情があって
いまこの状態という話だった
人には
それぞれストーリーがあって
いまここにいるんだと思った
ボクは
万が一待ち合わせの相手がきたら
そっちにいこうと思っていたが
途中からすっかり忘れて
おっちゃんとしゃべってしまった
結局周囲の
目も気にせずに喋っていたら
あっというまに終電の時間になった
おっちゃんに
「帰るね」
と告げると
「朝まで飲もうよ」
と捨て猫みたいな目で見てきたが
それを振り切って帰ることにした
オチはないが
この話は
以上である
3.まとめ:おっちゃんには人気がある
ほとんど忘れかけていた話を
掘り起こして書いてしまった
昔からおっちゃんには人気がある
早いもので自分が
おっちゃんになってしまった(笑)
ホームレスの人は間違いなく
おもしろいネタを持っているので
時間に余裕のある時は
一緒に飲んでみるのもいいかもしれない
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10.3