FF10製作者インタビュー
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一部抜粋しています
『FFVII』と『FFX』はつながっていた!?
──前回の『FFX SCENARIO ULTIMANIA』でもいろいろとお話しをうかがいましたけど、あれから半年近く経過して、『FFX』に対する何か新しい思いみたいなものが生まれてたりしますか?
北瀬佳範:そうですねぇ……今回、『FFXインターナショナル』で後日談的なものを入れることになったわけですけど、あの世界で別の物語を考えるのが、意外にやりにくいというか。あまりにカッチリできてるんで、広げづらいんですよね。逆に言うと、『FFX』は結構しっかり作ってあったんだな、と改めて思いましたね。
野島一成:『FFVII』のときって、インターナショナル版でわりと気軽にザックスのエピソードとか追加できたんですよ。でも、『X』に関しては、本編がまとまっていたんで、そこに新たなエピソードを入れると、できあがってる世界を壊してしまう。語り過ぎちゃうっていうか。
北瀬:そう言えば、一時期、『VII』の続編作ろうかって話を野島さんとしていたことがあったよね。
──『VII』の続編ですか!!
北瀬:いや、なかば冗談だったんですけどね。ただ、『VII』のエンディングって、ホーリーがどうなったかとか決着つけずに終わらせて、後日談的なエピソードもなくて、いきなり『500年後』じゃないですか。そのあいだを埋める余地がある。想像の余地がある。野島さんにしても、鳥山にしても、『VII』から一緒に作ってきたわけだから、このメンバーならそれもアリかなってな話は、一瞬だけ盛り上がったことがありましたね。
──で、その『VII』の続編の話しはどうなったんですか?
野島:僕的には『VII』と『X』って、わりとつながってた気がするんで、『VII』は気がすんだかなと。
──えっ、『VII』と『X』がつながってる?
野島:いや、たいしたことじゃないんです。なんとなく、人が死んでどうなるのか、そのあたりが僕のなかでは基本的に同じだというだけで。どちらの作品も、そういう考えにのっとって物語を書いたんで。ときどき、僕の思っていることがチラリと出ちゃってるんですけどね。幻光虫が緑だったりとか、そういうことで。
──死んで緑色になるっていうと、もしかして……?
野島:うん。僕の中では、幻光虫は『VII』のライフストリームだったりするんですよ。
北瀬:『FFXインターナショナル』用の後日談を考えるときには、野島さんのそういった『生まれ変わりのアイデア』が候補に上がってたよね。ちょっと『VII』を意識してるのかな、と思った。
──生まれ変わりって……誰がどう生まれ変わるアイデアだったんですか?
野島:それは……ナイショ(笑)。
北瀬:意外な人が異界に行っちゃう話だったんですよ。
──今回の本のために野島さんからシナリオの初期プロットをお借りしましたけど、そのプロットといい、タトゥーシステムといい、『X』はいまの形になるまでにさまざまな返還があったんですね。
野島:そうですねぇ。でも、お渡ししたプロットの前にも、いろんなバージョンがあったんですよ。
鳥山:ユウナがティーダの妹ってバージョンのプロットもあったよね。職業は看護婦でさ。
北瀬:死に至る病気が流行っていて、ユウナがそれを治してまわる話だった。ユウナはエボンの教えに従って、世界を巡礼しながら治療していく。
鳥山:赤十字みたいな組織がエボンで、マイカ老師がその委員長みたいな。
北瀬:ところが、ユウナは治してたんじゃなくて、病気をバラまいていた。治療法自体が、じつは人を死に至らしめるものだったという。
──ダークな話ですねえ。
北瀬:ユウナが信じて行ってきたことが、裏切られて……っていうコンセプトはそこからきているんですよ。
最後のティーダのムービーは、もしかしたらまた会えるかもしれない、そのくらいの意味
──では、改めてうかがいます。前回の『SCENARIO ULTIMANIA』では、あえてボカしたままにしていたエンディングについてなんですけど……。
野島:やっぱり。
──読者から、あのエンディングの意味を知りたいっていう声が、ものすごく多いんですよ。で『Ω』の座談会としては、この話題を避けて通るわけにはいかないだろうと。もちろん、プレイヤーの想像にゆだねたいという野島さんの考えはわかりますけど、せっかくですから少しお話をうかがえませんか?
野島:最後のティーダのムービーはねえ……海外版の音声収録でアメリカへ行く1か月ぐらい前に、アレはないほうがいいんじゃないかなって北瀬さんに相談したことがあったよね。
北瀬:僕も入れたほうがいいのかどうか、かなり迷ってたんだけど……。でも、あのシーンを考えたのは、そもそも野島さんじゃない?
野島:そうなんだけど……。
──ムービーチームのかたに先日うかがったんですけど、最後のティーダのシーンは、じつは水面から顔を出すところまで作る予定だったんですってね?
野島:そうだった、そうだった。
北瀬:僕は、水中からでてきたっていうよりも、大海原を水平線に向かって泳いでいくようなイメージを思い描いていたんだけど。
鳥山:ただ、水面から顔を出そうが出すまいが、どこの場所だかわからないようにしたいとは思いますね。だからべつに、エンディングの意味は変わらなかったと思いますよ、顔を出しても。
野島:僕としては、あのラストシーンは、とにかくどこかに何らかの形でティーダがいるんだっていう、それ以上でも以下でもない……。どこでもいいし、どこかにいれば、もしかしたらまた会えるかもしれない、そのくらいの意味なんですよ。
鳥山:そう。含みを持たせて終わらせたかったという。でもさ、シヴァとようじんぼうの祈り子のセリフに関しては、どういう意味なのかなっていうのがちょっとあって。そのへんでユーザーの人たちもいろいろ考えてると思うんだけど。
野島:あれ書いたの、渡辺クンじゃなかったっけ?
渡辺:僕の記憶では野島さんだと思うんですけど……あれ、どうだったかな?ただ、否定的なニュアンスと、肯定的なニュアンスを両方入れようとしたのは、まちがいないです。『このエンディングをどうとらえるかが、お前の物語だ』とプレイヤーに問いかけようってことで。
北瀬:最後まで、あのラストシーンを入れることにこだわってたのは、鳥山だよね。
鳥山:僕はとにかくハッピーエンドにしたかったんで。
北瀬:でも、はたしてあれがハッピーエンドと言えるのかどうか……。
渡辺:あの顔を見てくれよって感じなんですけどね。
鳥山:水面に上がっていくティーダが笑顔なのは、そこに希望というものがあるからで。
野島:たしかムービーの台本には『力強いストロークで』って書いたんだよね。
鳥山:そう、決して悲しいラストシーンではない。
北瀬:その最後のティーダのシーンをやめて、かわりに飛空艇の甲板から走って飛び降りるときが笑顔だったらいいんじゃないかって話もあったよね。実際のゲーム中では、顔がクシャクシャの状態で泣いて飛び降りてるわけだけど。
鳥山:でも走ってるよね。そこで走ってるってのが、前向きな意味だと思ってほしいんですよ。僕らは決して暗いエンディングにしたかったわけじゃないんです。
──ということは、やっぱりティーダとユウナは、いつか会えるんですかね?
鳥山:うーん、あやふやな言い方に聞こえるかもしれないけど、信じていればいつか会えるんじゃないかなあ。ユウナが克服する問題だと思うんですよ。お互いに会いたいとは思ってるはずなんで、きっと。
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