出典元 クライシスコア-ファイナルファンタジーVII-アルティマニアより一部抜粋しています

 

 

CCFF7 ザックス ティーダ

 

 

 

 

 三部作なんて話が出たこともありましたね(笑)


──野島さんは今回のシナリオを書く上で苦労したことはありますか?

野島一成:結末がすでに決まってる物語でしたから、そこに向けて一直線に向かっていく感じで作りやすかったですね。テーマは『継承』だと聞いたので、『剣が継承されていく』という流れにしました。登場するのがなじみ深いキャラクターだというのもあって、話の内容とは裏腹に楽しく作っていけましたね。

田畑端:最初に野島さんからあがってきたシナリオがすごく良かったので、携帯機だからといって軽い作りにするのはやめようという話になり、そこからプロジェクトの規模が大きくなっていったんです。

──『CC』は相当長い時間楽しむことができますが、作品のボリュームはどのように決めたのですか?

野島:アニメ番組っぽくしたいというオーダーだったので、シナリオは章ごとに短く区切れるようにして、毎回見せ場を作れるよう、小道具などに焦点を置く内容にしていましたね。

田端:ただ、野島さんからあがってきたシナリオを読んだら、30分とかでこまかく区切るのがもったいないと思うようになって。それで、メインのストーリ部分はふつうの『FF』として楽しんでもらい、ミッションなどの遊びこみたい部分は時間をこまめに使えるような形にしたんです。

──製品版の物語は序章をのぞいて10章に区切ることができますが、当初はもっと章が多かったんですか?

田端:12章くらいでしたが、野島さんのシナリオ案に野村のアイデアなどを足すと、かなりの長編になったんです。『こではUMD1枚じゃ無理だな、前後編の2枚組の形で出そう』という話になったんですけど、会社からNGが出まして。

今泉英樹:ぜひ二部構成を実現したくて、綿密な企画書を手に理論武装してお願いしに行ったのですが、まだ1本にもできてないのにそれはないといってあっさりとNG(笑)。

野村:三部作なんて話が出たこともありましたね(笑)。

野島:当初は、ニブルヘイムでつかまるまでとそのあとで、前後編にわかれていましたね。製品版のシナリオは、つかまったあとがダイジェスト版になっているような感じです。
 

 僕の中では『FFVII』を作った当時からザックスのイメージはできていた


──ザックスが主人公ということで、やはり『FFVII』でのザックスの行動をいろいろと思い返しながらシナリオを書いていったんですか?

野島:直線に『AC』や『BC』に関わっていて、すでにいろいろなことを思い出している状態で『CC』を作っていったので、振り返るのに苦労はしませんでした。それに、ザックスは登場シーンがすごく少ないぶん、スクワットだとか落ち着きのない動作といった印象的なことをしていたんです。『こいつはこう動く』というのが最初からわかっていたので、キャラクター造形という点ではラクでした。

北瀬佳範:僕は、『FFVII』の製作から関わってきたくせに、これまでザックスの人物像があまりつかめなかったんです。『FFVII』では出番も少ないし、ボイスもないし。インターナショナル版で追加されたザックスがらみのイベントは 僕が作ったんですが、それでも彼のことがよくわからなくて。クラウドに近い感じを ずっとイメージしていたんですけど、今回はじめて『こんなキャラクターだったんだ』 と知った感じで新鮮でしたね。ザックスは昔から人気があって、その理由が僕には 理解できなかったんですが、10年来の謎が解けました(笑)。

野島:僕の中では『FFVII』を作った当時からキャラクターのイメージはできていたんですが、今回北瀬さんに伝わったのは、やっぱり声がついたおかげですかね?それと、ザックスのことを書きながら思ったんですけど、きっと、ザックスのキャラクター性が、あとで『FFX』のティーダになったんだな、と(笑)。

 

 シスネとエアリスのあいだでザックスが揺れ動く描写


──登場人物のなかでは、もともとは『BC』のキャラクターであるシスネがいい味を出していますね。

田端:シスネは、『BC』でプレイヤータークスを追加する検討をしていたころに、『CCがからむことになるから、その物語のキーになる人物を『BC』に出そうということで作ったキャラクターなんです。

野島:名前の候補はたくさんあって、僕もいくつか提案したんですが、最初は『ティアン』に決まりかけたんですよ。だけど哲さんに、『ティファと混合するからダメだ』と却下されました(笑)。

田端:『シスネ』というのは野村の案ですね。

野島:コスタ・デル・ソルでは水着姿のシスネとザックスが出てきますが、じつはあそこでは、海辺で戦ったあとにもうひと騒動起こるはずでした。だけど仕様上、着替えさせられないから水着で街を歩かせることになりかけて、それはヘンだというので、あのあたりのイベントはいったんカットされたんですよ。

田端:野島さんが『あそこは雰囲気が変わるところだから』と言うので全部削除するのはやめて、一連のイベントの後はすぐにジュノンへ行くことになったんです。

──シスネとエアリスのあいだでザックスが揺れ動く描写をするつもりはあったんでしょうか?

野島:いや、それはないですね。いろいろな出来事を経てちょっとすさんでしまったザックスに、『あなたはひとりじゃない』と励ましてあげられるキャラクターとしてシスネを出しました。シスネ自身も孤独というか、任務優先で苦しいこともあると思うんですが、そんなときでも人としての優しいものの見かたを忘れない人物、という感じですね。物語中では殺伐とした人ばかり出てくるし(笑)、やわらかいところを担当するエアリスもスラムを離れないので、機動力がありつつ優しい言葉をかけられる人物として登場させています。

 

 

 

関連記事