FF10リマスター 野島一成 インタビュー

 

 

 

 

ティーダ 小説

 

一部抜粋しています

出典元 ファイナルファンタジーX HD リマスター アルティマニア

ファイナルファンタジーX HD リマスター アルティマニア (SE-MOOK)

 

──HDリマスター版に合わせて、野島さん執筆による小説『FFX-2.5~永遠の代償~』も発売されましたが、これはどんな経緯で手掛けることになったんですか?

野島:スクウェア・エニックスさんの出版部から「『FFX-2』のつづきの話しを書きませんか」と声をかけてもらったのが、執筆のきっかけです。『FFX-2』の製作当時に、ゲーム内で描かれた物語とはちがうストーリーが僕の頭のなかにあって、そこから派生させたものを今回小説としてまとめた、というイメージですね。あとはこの機会に『FFX』のころから気になっていた謎を整理しておきたい、との思いもありました。たとえば、祈り子はどうやって誕生するのか、ティーダとは結局何者なのか、みたいなことに説明をつけたいなと。

──それ以外にも、機械戦争以前のことやアルベド族の秘密など、ファンには興味深い話が満載でした。あと、ティーダとユウナの恋愛感情が真正面から描かれている印象を受けましたが、そこは意識したんですか?

野島:大前提として、「せっかく小説なんだから、ゲームでは表現できないものにしたい」と考えていました。たとえば「最初にライバルが登場するけど、そのキャラクターはじつは中ボスで、裏には真のボスがいて……」みたいなゲーム的なフォーマットではない話がいいかなと。さらに、恋愛に代表されるような、「表現するのに時間がかかるのでゲームでは省略されがちな部分」をしっかり描こうと思ったんです。

──『ほくろ』にはドキッとさせられました。

野島:あれは、編集の段階でカットされると思っていたんですけど、なぜか通りましたね。

──ティーダを2年間待ったユウナについて、以前のインタビューで野島さんは「17歳くらいの女の子が2年も待つものだろうか」と疑問をお持ちでしたが、今回の小説では「私は2年待ちました」というユウナのセリフがあり、逆に肯定しているように感じました。

野島:自分も年をとって、いろんなことを優しく大きな心で見られるようになったんですよ(笑)。いま考えると、むしろ17歳だからこそ2年間も待てたんでしょうね。「一途に待つことが大事」と打算もなく思えるのは、17歳のころでないと難しいのかもしれません。

──思い返せば、もともと野島さんは『FFX-2』でティーダを復活させることをためらっていたんですよね。

野島:そうだったんですけど、実際に『FFX-2』が発売されたら、多くのみなさんがティーダの復活を望んでいたとわかって、自分がまちがっていたんだと反省しました。ただ、復活したティーダは問題を抱えていて、これからユウナとふたりで足並みをそろえて生きていけるのかどうかとなると……そこを描いているのが今回の小説ですね。本当は、書きはじめるときに「ユウナとティーダの関係に何かしらの決着をつけたい」と考えていたんですけど、「このふたりに決着をつけるのは無理だ」とあきらめました(笑)。で、小説後の物語として構想していたプロットの一部をもとに、HDリマスター版に収録されているボイスドラマ『WILL』が作られたんです。

──そのボイスドラマではユウナが「ほかに好きな人ができた」と告白しますが、あれは誰のことなんですか?

野島:誰ですかね?まあ、ユウナにはユウナなりの考えがあって、ティーダにそんなことを言ったのでしょう。

──最後には『シン』が復活して、ユウナが『FFX』のときと同じように「私、『シン』を倒します。かならず倒します」と宣言するのは衝撃的でした。

野島:「どこまで追いこまれるんだ、この人は」って思いますよね(笑)。一応、その後のお話のプロットは考えてあって、小説化するならこんな感じ、ゲーム化するならこんな感じ、といったプランは個人的に持ってます。

 

 

 

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