黒子のバスケ 紫原敦
「アーララ~?なんか前ここ通ったような…どこだここ?」
「てゆーかあー…やだやだバスケとか…つかれるし…
ってアララ…この新味は…いいぞう」
「アララ う~ん… も少しパンチがほしい味だわー
…てかそれより
うーん 見つかるかな~?」
「ゴメ~ン ちょおおっと待ってくんない」
「わるいわるい 迷っちゃって」
「アラー!?黒ちんじゃん なんで?
てゆか相変わらず …マジメな眼だねぇ…
マジメすぎて
ヒネリつぶしたくなる」
「相変わらずマジメな眼だねぇ…マジメすぎて…ヒネリつぶしたくなる
な~んて ウソウソっ」
「あれ~怒った?ごめ~んってば!」
「つーか急に会う場所変える方がわりーし!日本帰ってきて東京見物したいってゆーから来たのに… なんか結局バスケとかしてるしさ~」
「あー だってオレ出てねーし」
「さぁ…?てゆか赤ちんが言ったからそうしただけだし」
「あ ダメ 室ちんウチ確か草試合とか禁止 だから止めたんだ 忘れてた」
「だからほら!行くよー」
「!」
「それより そのマユゲどーなってんの?2本?」
「アラ?ごめ~ん うわぁ ながっっ」
「あーそれはやだ つかれるし」
「はあ?逃げてねーしっ」
「ムリじゃねーしっ
てゆーか ビビってねーし!!」
「そっち入れてー」
「えー?じゃあオレの相手は…」
「…誰?」
「中学時代やったっけ?忘れちゃった
それに弱い人わざわざ覚えたりしないし」
「お」
「いや…もういいよ ごめ~ん
思い出したし 木吉鉄平
おかげでやる気出ちゃったなぁ…忘れたままの方がよかったかもよ?」
『…ね――そんなに楽しい?バスケ』
『…ふーん』
《もちろん楽しそうに見えたのはヘラヘラしたりしてたからじゃない
ただ ナゾすぎでしょ 負けが確定してるのになんでそんな一生懸命になれんの?
イライラするんだよなー そーゆームダな努力
何事も全力とか 人のウン倍がんばるとか 暑っ苦しくてウザいんだよ
そーゆー熱血バスケ大好きっ子》
『ね―― じゃあもっとボロカスにするけど いい?』
「うん よろしく」
「暑っ苦しいなぁもーそんなウキウキ熱血しないでよ
ヒネリつぶしたくなる」
「こりないなー 前あんだけやったのに…」
「じゃーねー黒ちん」
「あ ゴメン 怒った?」
「その話 それ以上するなら ヒネリつぶすよ 黒ちんでも」
「楽しいとか 面白いとか そーゆーカンカクわからない
けど勝負に勝つのは好きだし 向いてるからやってるだけじゃダメなの?」
「ま 反論あるなら聞くよ ウィンターカップで」
「特別枠?」
「ふーん てゆか室ちんずいぶん熱心じゃん?」
「はあ?」
「…嫌いだよ練習なんて
ただ負けるのはもっと嫌いなの」
「峰ちんにもさっちんがいるじゃん お守り」
「あれー?空かない…ミドチンそのハサミ貸してよ」
「えー?黒ちん持ってる?」
「夏のストバス以来だね 今度は忘れてないよ
まずは アンタからひねりつぶそうかな 木吉鉄平」
「はいー?そんなターンでかわせると思ってんの?」
「そんな…バカな――」
「まさか 初失点が黒ちんとはねー」
(なあんだ)「そんなもん?」
「ふーん…」
(めんどくさいけど…こりゃあ オレもいかなきゃだめかもね…)
「黒ちん~~!!」
「しっかりね~~オレ あいつ(火神)きらい~~~木吉もだけど 両方暑苦しい」
「にらんだってなにもさせないよ あんたじゃ オレには勝てない」
『室ちんはなんであいつ(火神)とあんな約束したの?』
『その指輪の話 あれって要はどっちが勝っても兄弟やめるってことでしょ?
賭けになってないじゃん』
『ストバスの帰り!ごまかせてないよ』
「こりないねホントー 中学の時 あんだけボロボロにしたのに
いくらがんばっても あの差が埋まるわけないっしょー~?
やっぱり理解できないな 勝てないのに努力する人間の気持ちは」
「…はぁ?」
「そーゆーこと 平気で言うとこがウザいんだよ お前も 黒ちんも」
「どうせ負けるのに 小物が充実した気分になってんじゃねーよ」
「…はぁ てゆーか マグレでしょ?」
(やることが いちいちウザいんだよ――!!)「木吉ィ!!」
(跳ばなきゃいーんでしょ)
(そもそも木吉のこの距離なんて ほっといても)
「くそっ…」(何やってんだオレは これじゃさっきと同じ)
「ちょうどいいや あの時の決着がまだだっけ?
今度こそ ひねりつぶしてやるよ 火神ィ!!」
(!!!高い―― だがそれだけで勝てると思ってんなら)
「調子乗ってんじゃねーよ!!」
「あ…うん」
(なんだ今のは…
ブロックに行く直前… あいつは確かに何かをやろうとした…
おそらくあれはただのダンクじゃない…失敗だ
何か新しいシュートの――)
「あせりすぎでしょ
もーらい……」
(木吉――~~…)
(だったら教えてやるよ バスケがどんだけ残酷なスポーツかってことを……)
「…はぁ?なめてんの?
何人でこようが お前ら程度 まとめてヒネリつぶしてやるよ」
「不愉快すぎて吐きそうだ
お前等みたいなのが蠢いてるのは
努力だの
根性だの
信念だの
ヒネりつぶしてやるよ
すべて」
「教えてやるよ これから
どんなキレイ事もミもフタもなくなるような理不尽を」
「あー ごめーん そんなカンタンに散るとは思ってなかったよ」
「へぇー……だから?」
「来いよ 木吉」
「もうあきたし そのパターンは」
「そもそもバスケなんて欠陥競技じゃん
ゴールは3mの宙にある
その時点で公平なんて言葉はないんだよ
結局でかい奴が勝つようにできてる
それがこのクソスポーツの根本だろ
こんなもんの何が楽しいの?
小物がどんなに技術(スキル)をみがこうが
圧倒的破壊力に勝てるもんなんてない」
「どんな理想も オレにとっちゃあ
ただのゴミだ」
「なんだー結局そんなもん?つい イラついて本気になっちゃったけど 必要なかったわ」
「そういや プレイ中になんか…『守る』とか言ってた?なんも守れてないじゃん」
「えーと…こう?」
「あーあ もう限界だね これが現実でしょ
結局あんたは なす術なく あげく体力も尽きた
そしてひっこめばもう オレをどうこう以前にインサイドは完全に死ぬ
どうあがいても誠凛は負けだよ
で…どう?またなんも守れなかったわけだけど…
楽しかった?バスケ」
「?何怒ってんの?
ただ手を貸して少し本音を言っただけだよ?」
「オレを倒す?そんなこともし本気で言ってるんだったら
ヒネリつぶすよ 黒ちんでも」
『オレなんか間違ったこと言った?』
『その程度の才能でがんばれば何とかなるとでも思ってんの?
やめた方がいいんじゃない バスケ』
『いけないよ 無意味じゃん
がんばれば誰でも夢が叶うとでも思ってんの?
努力が実るとは限らない そんなもん常識でしょ』
「みんなで力を合わせて
結局そーゆーことでしょ いつも
けど言ったろ オレの前じゃ全部ゴミだって」
「だから そーゆーキレイ事がウザいっつってんだよ 黒ちんさぁ!」
「あのさあ ゴール下であんまふざけてるとケガするよ?黒ちん」
(……これは、か、軽う――――~…)
(こんなショボいの!?
軽すぎているかいないかわかんなくなるんだけど…わたあめか!!)
「いないも同然…ったく実際その通りだよ…!
初めて対戦したけどここまで手ごたえ無いなんて呆れる
たたきこんで終わらせる!」
(ちょっと待て…同然…どころじゃない
フリーでもないのになんで今オレは漫然とターンした?
いつの間にかいることも忘れて…マジでどこいった!?)
「やってくれんじゃん…!!」
「なんかみんなで仲良く気合入れてたみたいだけど
ヒネリつぶすよ そんなもん全部」
「まさか本気で一人で止められると思ってんの?
のぼせるのもたいがいにしなよ 火神ィ…!」
「黄瀬ちん」
「……そーだね てか今試合中なんだからあんま話しかけないでよ」
(どうなってんだ…火神…さっきまでと動きが違う…いや…)
(あーもう…うざくてしょーがねー)
(とどめさしてやる!!)
(ウソ―――… だろ?
なんであとに跳んだオレが先に落ちてんだよ…!?
言葉は聞いたことがある…けど 体現できる奴がマジでいるなんて…!!)
「だーかーらー」
「もういいや オレ やーめたー 交代してよ」
「うん だってもう誰も火神止めらんないじゃん どうせ負けんじゃん?」
「…てーな そーゆー熱血っぽいのが一番ウザいんだけど
そもそも室ちんなんてオレより火神に歯が立たないじゃん
才能が違うってわかんないの?」
「うーわー引くわー
そーゆーの心底ウザい
てかありえないわ 泣くとか
なんとなく気づいてはいたけど…ここまでとは思ってなかったよ
…初めてだよ
ウザすぎて 逆にすげぇと思うのは」
「…しょーがないから最後までコートには いてやるよ」
「まさ子ちん ヘアゴム一コくんない?」
「うん そーしよーと思ったけど
やめた
やっぱヒネリつぶすわ
めんどくさくなりそうでイヤだけど
負けるのはもっとイヤなの」
「言ったろ
負けんのはイヤなんだよ だから
勝つ!!!」
「ったく…あきれるよ
何回ヒネリつぶされれば気がすむの?しぶとすぎでしょ」
「勝つ…!!とどめさしてやる!!」
(コイツ… やべぇっ… このままじゃ
押し切られ…)
(ふざけんな……!ゴールはすぐそこだ
跳べなくても放ればいいだけ……)
「…はぁ?やだよ …だって オレもう バスケやめるし
室ちんがあんまりに必死だったから最後までやったけど
やっぱ つまんなかったしー
ただでさえ面白くないスポーツなのに
負けちゃったら これ以上やるイミなんてねーよ」
「はぁ?いや だから…やめるって言ってん…じゃん」
「あーらら」
「あーもー めんどくさー てか観たいなら一人で観にくりゃいーじゃん 室ちんさー」
「やっぱ帰ってい…」
「…くう」
「は?んー…さあ?…とりあえず将棋じゃ赤ちん負けたことないけど」
「よく二人で休み時間とかやってたの
主将と副主将でミーティングもよくしてたし
…けどまぁ…やっぱ 赤ちんが負けるトコは想像できないかな」
「あの眼がある限り…赤ちんが負けることは
少なくともオレには考えらんないな」
「やったことないトコもいくつかいるけど…
たいしたことなさそーうじゃね~~~?」
「ホントも~ 足だけはひっぱんないでよねー」
「ありえなんだけど?足ひっぱるどことかいきなりパンツ脱がされたキブン!!」
「あ」
「……」
「あのさ~ 何今の… ぶざけてんの?」
「ヒネリつぶすよ?」
「峰ちんー 何ソレ?」
「すげー いいじゃん」
「グロいからいい~」
「ちんちくりんだってーー」
「相変わらず仲悪いねー
あの二人」
「えー…」
「行く~~~」
「はぁ~~~?ミドチンこそこっちにパス入れろし んなメンドクサイことやんなくてもオレが決めりゃいーじゃん!」
「ゲロ吐きそうな奴が何言ってんの!?」
「ちょっと赤ちーん…
手ェ抜いてない?」
「なんかアホらしくなっちゃったー」
「ちょー吐いてたけど大丈夫ー?」
「最近さっちん 情報収集とかそーゆーの よく赤ちんにまかされてるねー」
「はーおなかへったー はやくおやつ食べたいー」
「初日からはさすがに初めてじゃないー?」
「ありゃ」(ミドチンがリングに当てるなんて)
「入ったけど」(…だけどオレも …今日は体重いなー…)
「なんかつかれたー もー」
「どしたミドチンー?」
「なにー?悪いのー?ちょっとカンベンしてよミドチーン」
「こーゆー時さー 峰ちんを追うの 黒ちんじゃないの~?」
(そーかな――?
確かにいつも通り…どころかいつも以上に点はとってるけど…)
「んー…早く終わらせておかし食べたい」
「ちょっと黄瀬ちーん カンベンしてよー」
「おっけー~~~」
「はー…やっとあと8分でおかし食べれる」
「これでもう食ってもいいっしょ~~ おかし
てか食うー!?」
「え!?マジで!?」
「別に…心配してないわけじゃないよー
ただ最近やたらおなかへるんだよね~」
「んー…そう?テキトーにやっただけだけど… けどなんか……
力が湧いてしょーがないんだよね~~…
本気出したらつい味方でもヒネリつぶしちゃうかもしんない」
「あー… そう?まーいーじゃん 別に決めたんだし」
「結局戻ってこなかったねぇー二人とも」
「そのことなんだけどさ~~~…
ねぇ 赤ちーん…
オレ負けるの嫌いだし~
だから今まで練習は出るようにしてたんだけどさー
練習しなくても勝てるんならオレだってしたくないんだよね~…
青ちんがいいなら オレも練習やめよっかなーって」
「だって――負ける気しないんだもん今オレ――
それに今まで赤ちんの言うことだけは聞いてたのはさぁ~~
赤ちんにだけは絶対勝てないと思ってたからなんだよねー
だけど最近だんだんそーでもないかもって思ってきたんだよね――
オレより弱い人の言うこと聞くのはやだなぁ」
「……だから~オレより弱い人の言うことは聞くのやだ って」
「どうなっても知らないよ 赤ち~ん」
「…………なーんだー もっと苦戦するかと思ったけど…
こんなもん?正直ちょっと… とゆうかかなりガッカリかも~
やっぱこの程度の人の言うこと聞くのはムリかな~
……まーいっか もうどーでも~
これ決めたらオレの勝ち~
約束通り これからはオレの好きなようにするから~」
「じゃーオレあがんね~ おつかれ~」
「だから~明日からもちゃんと来ればいいんでしょ練習~」
「なんかさー つまんなくない~~~?試合」
「しかもーなんだっけあれ…
なんか5人ぐらいマシな人達……」
「あーそうそれー めんどくさい相手だったけど今年はもういないんしょ?
いよいよ楽勝すぎてやる気なんかでないしー」
「んー… それなら…どーしよっかなー」
「いたってどーせ賭け参加できないじゃん
どーでもいーっしょー」
「もーらい―――」
「外す方が悪いんでしょー?」
「黒ちん どーかしたー?」
「まーとりあえず優勝してさ~
あとでみんなで報告しにいけばいーんじゃない-?」
「でも―――メンドクサイよそれ~」
「あいよー」
「点取り疲れて飽きるに決まってんじゃん~~
ボランティアすぎでしょ~ ねーミドチン」
「黄瀬ちんと峰ちんも来てるらしーねー色々なトコからスカウト
昨日とかオレ秋田から来たんだけど~~
ないわー あーでも監督は美人だったかも~
赤ちんは~~~?」
「なんかーフツーにこのままみんなバラけそうだねー いーのー?」
「だってー単純に勝ちたいんなら みんな同じトコ行くのが一番カンタンじゃん
つまんないだろーけど」
「たまたまバラけただけだしねー」
「黒ちんには わかんないだろーねー」
「…… だねぇ~~…」
「あー室ちん?なんか用事があるから少しおくれてくるんだってー
ねー峰ちん」
「どっちが勝つと思う?」
「両方ー」
「…かもねー 赤ちんに一泡吹かせることができるとしたら
考えられないけど まず火神(アイツ)でしょ」
「…へ―― 赤ちんにしては珍しく 一気にカタつけにきたね」
「……あ そーか
赤ちん あの位置だと アンクルブレイクできない……かも」
「…さっきさ~ 奇跡を起こすためには黒ちんが必要とか言ってたじゃん
手遅れでしょ もう
カゲのうすさ自体失った黒ちんが復活するなんて話がまずムリだし
仮に復活できたとしても開きすぎてる スコアも力も
奇跡は起きないし 起きても勝てない」
「…あのさ~悪いけど…
オレが『勝てない』って言ったのは状況だけを見た話じゃないよ~?」
(気合だけでなんとかなるほど 赤ちんは甘くないよ…?)
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