10時に苅田駅前に集合し、月夜美さんの運転する車で出発した。
なんとこの時点で、月夜美さんが私のメールを見ていなかったことが判明。
先にピックアップしていた佳世ちゃんから聞かされ、かなり驚いたらしい。
「今日は門司にも行くのよ」
有無を言わせぬ2人の態度に、反論の余地はなかった…。
なぜか、今日は一段と強気の佳世ちゃん。
リュックを背負い、足元はスニーカー、ウインドブレーカーも着ている。
こんな姿の佳世ちゃんは初めて見た。
やる気満々だ

「鳴り物を持ってくるように」と天界から指示があったそうで、
音叉とハーモニーボールを持ってきていた。
そして、たくさんの精油も。
さすがアロマセラピスト。
青龍窟の前に、まずは白山多賀神社を目指す。
3月は迷いに迷ったが、今回はスムーズに辿り着いた。
白山多賀神社は普智山の中腹、標高約300メートル地点にある。
豊前六峰の一つに数えられる山伏たちの修験の霊山で、
伊邪那岐命、伊邪那美命、豊玉姫命を祭神とする歴史深い神社だ。
車を降りると、美しい鳥の鳴き声が聞こえた

幸先の良いスタート!
なんか、気持ちい~い。
鳥居をくぐり、佳世ちゃんが音叉を鳴らしながら階段を上がった。
階段の途中で、ムカデを見つけた。
どんどん上がっていくと、お社が二つ。
奥のほうが白山多賀神社だった。
曇りだったのに、写真には強い光が映った。
何度撮っても同じだった。

木立ちの中に、月夜美さんが気持ちのよい場所を見つけた。
ちょうどそこに立つと景色が見渡せて眺めがよく、
地面からぐんぐん力強い山の鼓動を感じる。
山が生き物のように感じられ、生命の循環がイメージできる。
その循環の中に自分も入ってエネルギーをチャージできるような
不思議な一角だった。
緑豊かな白山多賀神社は、素晴らしいパワースポットだった。
山の神様と一体化したような、力強くて清々しい気がみなぎっていた。
すっかり気分を良くしたところで、青龍窟に向かう。
青龍窟は、白山多賀神社の奥の院。
カラスが一羽、道の真ん中にいて、スーッと飛び立った。
まるで道案内をしているようだった。
数週間前は草ぼうぼうだったそうだが、草が刈られた跡があり、
地面も乾いていて歩きやすかった。
私と佳世ちゃんが、青龍窟の入口にある祭壇に手を合わせていると
月夜美さんが奥のほうから2人を呼んだ。
「白い龍が見えるよ!」
拝んでから…と思っていたが、何度もしつこく呼ぶので行ってみた。
すると、真っ暗な洞窟の先に、白い龍の姿が浮かび上がっていた

「本当だ…。龍だね」
壁面の石の模様がそう見えるのだろうか。
でも、真っ暗なのにどうして見えるんだろう。
龍脈を繋ぐミッション。
さて、どうする?と思った瞬間、
佳世ちゃんが龍に引き寄せられるように、前に進みだした。
なんだか今日は佳世ちゃんが先頭を切って動き出し、
リーダーシップを発揮する日だ。
えーっ!真っ暗だよー。行くのぉー!?
携帯の明かりも全く役に立たない。
佳世ちゃんに続いて私も一歩ずつ、白龍に向かって進む。
「痛っ!」
後ろにいた月夜美さんが叫んだ。
足をくじいたのか?
「アホやない?何もないところで頭ぶつけた~」
頭~!?
こんな広いところで…。
とりあえず、ケガをしたわけではないと知って安心。
遠くに見えた白龍は、行ってみると案外近かった。
右わきに洞窟口があり、そこから差し込む光が
龍を描き出していたのだった。
守護霊的な高次の存在である龍は、3次元の世界では
光や雲など自然現象を通して姿を見せてくれる。
さて、どうする?
とにかく、ここで何かしなくちゃ。
誰が言うともなく、みんなで龍の壁面に両手をつけた。
そして目を閉じて祈った。
私が感謝の言葉を捧げ、今日のミッションを無事達成できるよう
導いてくださるようにお願いをした。
すると、ふわ~っと爽やかな風が吹き込んだ。
あ、通った!と思った瞬間、光が差し込んで辺り一面が明るくなった

「できたね!! よかった~」

よ~し!
まずは第1のミッション完了。
振り返ってみると、洞窟内がよく見える。
あれーっ?普通に歩ける明るさじゃないか。
さっきまでの暗さが嘘のようだった。
ホ~ッとした瞬間、
ピカッ!と鋭く光るものが見えて、
「ギャー!」と叫んだ私たち

心底びっくりしたが、光った相手も驚いていた。
洞窟の中にいるはずのない人が、いるのだから。
光っていたのは頭に付けたライト。
洞窟探検ツアーの一行が、横穴から突如現れたのだった。
相手の正体がわかり、「こんにちは」と愛想よく声をかけたが、
おじさんからは「危ないですよ。何してるんですか」と注意された。
ツアーのガイドさんだと思う。
ひゃ~、ここは早く退散しなくては。
そそくさと洞窟を出て、さっさと車に乗り込み、
門司の瀧の観音寺に向けて出発

駐車場に平尾台の車が停まっていたのは、このツアーだったのか~。
実はここでお昼を食べるつもりで、千両巻きとパンを買っていたのだが、
のんびりしているわけにはいかなくなった。