ライター海江田の 『 シラフでは書けません。 』 -8ページ目

取材旅行

今日、モンテディオ山形関連の取材で仙台に入り、ぱぱっと山形に移動。
明日からの2日間は、千葉の館山キャンプを訪ねる。
でもって東京を通り抜け、土日は東京ヴェルディのつま恋キャンプだ。

なぜ、こんな無茶な日程を組んだ。
全部やりたい、やらせてくれと自分が言ったせいだ。
ゆえに、ったくあそこの編集部は人使いが荒いとぼやくこともできない。

問題は館山の2日間である。
周辺のホテルが満室で、民宿しか残ってなかった。
海まで徒歩30秒だそうだ。
夏ならまだ楽しみもあろうが、この激寒期である。
海なんか、いっこもうれしくない。

民宿は、合宿や貧乏旅行で友だちと過ごすからこその味わい深さなのに。
あいにく、ひとりだ。
独りであること噛みしめたい。
和室で布団を敷いて寝るのかぁ。
ぞぞぞ。


●掲載情報
『2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って。 第13回 いつでもどこでも誰とでも』(フットボールチャンネル)
南部健造(中京大4年)は実家が八王子で、近所だからごはんでも食べよっかと立川に呼び寄せたのだった。
あらかた話を聞き終えると、南部は意外なことを言いだした。

「おれ、けっこう本を読むんですよ」
「見えないね」
「よく言われます」
「どんなの好きなの?」
「えっと、自転車で赤道一周するやつとか」
「君な、赤道は海の上を走ってるんだよ」
「あ、違った。世界一周」
「でしょうね。旅ものが好きなんだ」
「はい、あとニーチェ的なやつとか」
「なんでもかんでも“的”を付けるんじゃない」
「ニーチェです」
「南部健造、ニーチェときたぞ」
「あと、こないだ読んだのは『本質をつかむ思考法』(伊藤真著・中経出版)」
「ほう、ビジネス書か」
「彼女のお父さんが親切で、いろいろ貸してくれます」
「そりゃいいことだね」
「読んでて楽しいのは旅行記かなぁ」
「あれは、沢木耕太郎の『深夜特急』(新潮文庫)」
「なんですか、それ」

しょうがねえなとうちまで連れて行き、全6巻を持たせた。

「やるよ。煙草くさくてごめんね。ファブリーズして」
「あざす!」

いやー、まさかあの『深夜特急』が南部の手に渡るとは。
世の中、何が起こるかわかったもんじゃない。

自分がトシくったなぁ、と感じるのはこういうときですね。
やたらとおせっかいを焼きたがる。
そんなのガラでもないのに。
自信なさげな人がいると、いやいやあんた自分が思ってるよりずっといいよ、大丈夫大丈夫、この本を読め、この映画はどうだ、なんか気づかないかと黙っていられない。
とはいえ、僕にできることなんてたかが知れてるわけで、ちょっとでも笑かしたい、きれいなものを見せたいとか、結局はその程度なのである。





TM ジュビロ磐田

新幹線のなかだ。
東京ヴェルディのキャンプ3日目、ジュビロ磐田とのトレーニングマッチを取材してきた。
30分×3本。

●1本目
--------高木----平本--------

永井---------------B・コウチーニョ

--------田村----中後--------

安在----木鈴----井林----安西

------------柴崎------------


●2本目

--------高木-A・ピニェイロ
-------(菅嶋)---------------
南----------------------中野

--------澤井----三竿--------

安在----木鈴----井林----安西
(福井)(畠中)(ウェズレイ)(大木)
------------ポープ------------

( )=17分、一斉に交代。

●3本目

--------菅嶋----北脇--------

      
安田--------------------中野

--------澤井----渋谷--------

福井----畠中--ウェズレイ--大木

------------佐藤------------

0‐0、1‐0、0‐0。得点は2本目のみ。
13分、高木大輔のシュートがポストを直撃、こぼれ球を中野雅臣が蹴り入れた。
この時期の練習試合だから、内容を語ることにあまり意味を見出せない。

驚かされたのは、三竿健斗だなぁ。
身体の強さ、クレバーなディフェンス。ちょっとものが違うよ。
高卒ルーキーとはとても思えない。
今季、どこかのタイミングで定位置を獲得するだろう。

「いや、自分ではそれほど良い出来とは思わないです。守備はできて当たり前。競り合いも勝って当然。攻撃でもっと正確な、いい仕事をしないと」(三竿)

どうです、このコメント。

澤井直人が小林祐希にバチバチいっていたのも、じつに面白かった。
ヴェルディユースの新旧10番対決である。

「ちょっと練習試合なんだからやめてよと(笑)。公式戦だったら一度もボールを取られない。彼に言っといてください」(小林)

「公式戦だったら、もっとバチバチいきます」(澤井)

どんどんやってください。
対戦したときは、小林が最高のパフォーマンスを見せ、それを澤井がさらに上回って潰す。
僕はこれが見たいですね。






2015シーズン始動

19日、東京ヴェルディは新体制発表会見を行った。
新加入選手は7名。
92年組のMF渋谷亮、DF大木暁。
ユースから昇格したMF中野雅臣、MF三竿健斗。
ブラジル人のFWアラン・ピニェイロ、MFブルーノ・コウチーニョ、DFウェズレイ。
それぞれ期待は大きい。

「またゲームを観たい、応援したくなるようなチームを作っていきたい」と語ったのは冨樫剛一監督。
今季の目標設定について竹本一彦GMは、「昨年、冨樫監督が指揮した11試合の成績で計算すると9位。それが基準になる。当然、J1に上がりたい気持ちは持っているが、目標としては9位以上が現実的だと捉えています」と話した。
つまり、ひと桁順位ならマル、上振れしてプレーオフに食い込めば花マル、下振れの許容範囲はマイナス3から5といったあたりか。
まあ、妥当な線だろう。

会見のあとは必勝祈願、そして今年初の全体練習だ。
ハツラツとピッチを駆ける選手たちのなかで、ひと際目をひいたのはオフにイングランドの風に吹かれてきた安西幸輝。
囲み取材を受ける様子からして、眼つきが違うんだよ。
面構えも甘さが消え、精悍さを増している。
なんだか相当高いとこまで、いっちゃいそうだなぁ。

一方、始動日に訪れるメディアの数は年々減少し、今年は特に少なかった。
昇格候補ではないし、昔から人を大切にして関係を広げていくのが上手でもないし、クラブの価値を客観的に判断すると、しょうがねえよなぁという感じである。


そこへ飛び込んできた、柴原貴彦さん(エルゴラッソ東京V担当)渡欧のニュース。
「ポルトガルに行ってきます。向こうに何年いるかわかんないっす。出発は明後日です」
おい、せっかく仲よくなったのにバイバイかよ。
毎年のように新しい人と名刺交換から始めるの、もうめんどくせえ。
ま、元気でやっておいで。

パソコンをいじりながら浮かない顔をしているのは、そこそこ付き合いの長くなった上岡真理江さん。
「年末年始いろいろあって、すっかり人間不信。それでもあたしは人を信じて、傷つくほうがいい。武田鉄矢でいきます」
まさかの『贈る言葉』を口ずさむ彼女を横に、
近くにいたフォトグラファーの松田杏子さんと、めでたい船出の日になんの話してんの? 勝手にしろよと大笑いしてしまったのだが、よく考えたらちょっと笑いすぎたかもしれないと反省している。





始まるよ

南武線の車窓から富士山がきれいに見えた。
府中本町あたりだ。
とても空気の澄んだ日に限られ、かつ電車に乗ってぼんやり外を眺めているときだけだから、めったにない。
幸先がよろしい、気がする。

13日、東京ヴェルディは若手の選手たちがひと足早く始動した。
平本一樹、田村直也、中後雅喜らベテランの姿もあり、宮地元貴(慶応大2年)や今春大学に進学するユース出身選手も参加。
新旧それぞれ、待ちきれないとばかりにボールと戯れるのは、いい光景である。
きりっと冷えた空気に、芝の匂いがかすかに香る。

締めは、2タッチのミニゲーム。
新人は初日から意欲全開だ。
渋谷亮の寄せの速さ、三竿健斗のボールを絡め取る巧さ、中野雅臣のタッチの柔らかさ、各々の特長が出ていると見ている側も楽しい。
いいトレーニングの条件であり、それをより鮮明に大きくしていけるかは、彼らの今後の取り組み次第である。

なお、大木暁は大学のテストで不参加。がんばれ。


●掲載情報
『フットボールサミット第27回 史上最強のガンバ大阪へ』(カンゼン) 1月9日発売
特集は「『GAMBA TV 青と黒』の魅力とは何か?」、「仮装の裏舞台 ファン感謝祭に懸ける男たち」を寄稿。
「日本サッカーの『土』をつくる」シリーズ第9回は、INAC神戸レオネッサの指揮官に就任した松田岳夫監督を取り上げている。
この人物がいなければ、日本の女子サッカーの歴史は大きく変わっていた。
そのことをどうしても書き残したかった。





『百円の恋』サイコー

元日の皇后杯、日テレ・ベレーザの戴冠はゴール裏から見届けた。
浦和レッズ・レディースを1‐0で下し(決勝点は田中美南)、5年ぶり11度目の優勝だ。
きらきら光る、巧い選手がごろごろいるんだよ。
なかでも印象に残ったのは、14番の長谷川唯だろうか。
見えているものや、やろうとしていることが特殊な感じである。
おめでとうございます。
小林弥生は今季をもって引退。おつかれさまでした。

正月休みをだらだら過ごし、今日はサイコーに楽しい一日。
昨年12月20日の封切りから、行きたくてじりじりしていた映画『百円の恋』をテアトル新宿で観てきた。
お客さん、これは観といて損はないよ。

※以下、ネタバレあり。近々、観るつもりの人は注意。

安藤サクラの演技が、すげえのなんのって。まさに圧巻。
身につけたパンチのコンビネーションと流れるようなフットワークに、ひっくり返りそうになった。
けだるい男をやらせたら右に出るものはいない、新井浩文もダメ男を好演。
ふたりとも好きな役者だが、もっと好きになったね。
物語終盤の疾走感とカタルシスは、しばらく味わったことのないものだった。

熱を出した一子(安藤)を狩野(新井)が看病し、でかい肉を食わせるシーンが一番よかったなぁ。
風邪っぴきで胃腸が弱ってんのに、何つくってんだよ。バカかよ。
それでも食らいつくんだね、うれしいから。
暗くてよく見えないんだけど、ひどく不器用な男と女のいろんな感情がないまぜになってスクリーンから溢れだす。

クリープハイプが書き下ろした主題歌『百八円の恋』も気に入った。
知らんバンドだったが、久方ぶりにアルバム買っちゃったよ。
『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』。
当分、こればっか聴き続けることになりそう。

では、本年もどうぞよろしく。


●掲載情報
『フットボール批評』issue03(カンゼン) 1月5日発売
「2014シーズン Jリーグ監督交代総決算 監督を代えた10クラブの悲喜こもごも」を寄稿。
今回、アポ取りがぜんぜんうまくいかなくて、気がついたら箸休めのページに。
これはこれで、アハハと楽しく読んでもらえればうれしい。

雑誌が未着でほかの記事はまだ読んでないんだけど、
ツイッターに上がっているセホーン氏(元ガンバ大阪監督)の扉写真が妙に笑える。
読むのが楽しみ。





これにて、仕事納め

大晦日、めでたいニュースが飛び込んできた。
マッチョんとこに、第一子が誕生したよ。
ミドリちゃん、ようやったね。おっめでとう!
僕とは高校からの友だちで、弟はオーストラリア在住のサッカーライター植松久隆である。
見に来いとうるさいので、年明けちょっくら病院に出かけてくる。

では、みなさん、よいお年を。


●掲載情報
『2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って。 第12回 一意専心と放浪と』(フットボールチャンネル)
大抵、年に一度、仕事でトチってしまう(遅刻)ことがあるのだけど、今年はなかったなぁ、あーよかったと思っていた。
したら、最後の最後にやっちまった。
山浦新(慶応大4年)と調布駅で11時に待ち合わせだったのに、起きたら11時40分。
すぐ電話して、「ごめん、すまん、申し訳ない!」。
「何かあったのかと思いましたよ。相手が僕でよかったですね」
ほんと大人だよ、君は。

ずっと気になっていた横内宏治(青学大4年)とも会うことができた。
胸のつっかえが取れた感じである。
「ヴェルディに入ったときは、怖いものしかなかった。柴田さん(峡・松本山雅FCコーチ)には、100万回くらい坊主にしろと言われました」
そいつは大変だったね。

横内は「僕なんかの話、需要があると思えないんですけど、いいんですかね」と恐縮していたが、そうじゃないんだよ。
僕は、こういう仕事が評価を受けられないのだったら、サッカーのフィールドで書くことなんかやめちまうね。
ただでさえ窮屈で、やってられっかバーローとトサカにくることが多いのに。

このシリーズは、来年桜の季節に終わりを迎える予定だ。
ちょっとさみしくなってきたぞ。





季刊レポ18号

『季刊レポ』18号が発売中だ。
特集は「フリーランス労働者」。
つくづく、いろんな仕事があって、働き方も人それぞれよね。
身につまされる話から、例のごとくひとつもタメにならない話がどっさりと。


季刊レポ18

『季刊レポ』18号の内容とご購入はこちら。


先日、西荻のタイ料理店「ぷあん」で、レポの忘年会がありましたよ。
相変わらず大人数の場は振るまい方がわからないのだけど、ここは気楽なもんです。

見習い占い師の和田靜香さんがみんなの手相を見てくれてさ。
これが、すげえテキトーなんだよ。

「あなたは若いうちから自分にできることをきちんと積み重ね、現在がありますね。ご立派です」
と言われた、えのきどいちろうさん。
こっち向いて、ほれ見ろってな顔をしている。
手相うんぬんではなく、一分の隙もないずるっこじゃねえか。
誰の手だかわかんないようにして、やってもらえばよかった。

僕の手相は、「大丈夫。いまが底ですよ!」。
その5分くらい前に「今年はマジで低空飛行。ふらっふらっすよ」と和田さんに話してたからね。
やさしさと受け取りました。

終刊まで、あと2号か。





忘年会の一夜

ひいひい言いながら原稿を入れ終え、穏やかな週末を過ごしている。
たまっている映画を観て、本を読んで、日が暮れる。
毎年のことだが、この時期にひまになっても遊んでくれる人がいない。

一昨日は、ごっちん、ノブオとの忘年会が恵比寿であった。
ふたりは高校の同級生である。
ごっちんは僕にパンクロックを教えてくれた人で、関西の立命館大に行き、音信が途切れていたが、何年か前に復活した。

ごっちん、20年勤めたアパレルメーカーを辞め、ついに焼き鳥屋さんを開業することになった。

「もうおれみたいなのが会社勤めできる時代やないとよ」

ちょっとさみしそうに語るごっちん。
聞けば、できの悪い会社の後輩をぽかぽか殴っていたらしい。
時代か、それは。

「ときどき問題になってからくさ。でも、おれの野郎ファンは社内にバリ多いけんね」

はいはい、そうかいな。

「こないだも内定が出て研修中の女の子が、入社取り消しよった。精神的ショックを受けましたって、ふざけンなおまえ」

事の経緯を聞けば、(女は黙っとれ文化の)九州育ちの僕でさえ女の子の肩を持ちたくなるような内容。
あんた、むちゃくちゃやん。パンクにもほどがあるやろ。
それを、「ごっちんらしかぁ」とノブオは笑っている。

「うち、親父が55で死んだけん、したらあと15年くらいやろ。好きなことやったがよかろうと思って。旨いの食わせるけん来てね」

オープンは来年3月の予定だそうだ。
さてさて、何が飛び出すやら。


●掲載情報
『週刊サッカーダイジェスト増刊 2014Jリーグ総集編』(日本スポーツ企画出版社) 12月18日発売

『フットボールサミット第26回 名古屋グランパス 新時代への挑戦状』(カンゼン) 12月16日発売
「田口泰士 内に秘める闘争心の源流」、「渡邉のおばちゃん」を寄稿。
グランパスを撮り続けるおばちゃんのことは、名古屋嬢のテジマールから教えてもらった。
この一編はけっこう気に入っている。感謝。

「日本サッカーの『土』をつくる」のシリーズ第8回は、アスルクラロ沼津の広報&スタジアムDJの杉山勝良さん。
おもろいおっさんである。





今日はインカレ

昇格プレーオフの決勝やら、石崎監督のことやら、明大博物館で「鉄の処女」を見たことやら、久しぶりに会ったモリータがいっぱしの社会人になってて感心したことやら、書きたいことはいろいろあったのに、年末進行のおかげで全部押し流されていくよ。

今日はインカレ2回戦だ。
Shonan BMWスタジアム平塚に出向き、早稲田大 vs 北海道教育大、慶応大 vs 阪南大の2試合を取材する。
僕の希望は、早稲田大と慶応大が勝ち上がり、16日に早慶戦をやってほしい。
ただ、阪南大がむちゃくちゃ強いらしいんだよ。
どうにかしてくれんかのう。
山浦新がひゅっと相手をかわして端山豪につなぎ、ピンポイントクロスを宮地元貴の豪快なヘッドでドカンと。


●掲載情報
『週刊サッカーダイジェスト』NO.1316 12月9日発売号
「JPFAトライアウトリポート 次なる道を求めて」を寄稿。

『2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って。 第11回 才能を引き受けて生きるということ』(フットボールチャンネル)
大木暁(駒澤大4年)と会ったときは、もともと取材のつもりがなかったせいか、びっくりするほど雑談だった。
以下、あまりにしょうもなくてカットした部分。
「いまの店員のコ、きれいだなぁ。どうすか、あのタイプ」
「ああいうキリッとしたのはちょっと」
「まじすか」
「ほらなんつうの、和風でふわっとしているほうがいい」

「ははん、さては可愛い系ですね。わかります」
「もう黙って、肉食えよ。君さ、そっち方面で痛い目に遭わんようにね」
「大丈夫です。何かと厳しい(キローラン)木鈴がいるんで!」

渋谷亮(中央大4年)はもうちょい早い時期に会うつもりだったのだが、まさかの水ぼうそうを発症。
仮契約のとき、クラブの担当者も予期せぬ事態にやや引き気味だったそうだ。
どんなタイミングだよ。





吉報を待ちます

今日は、JPFAトライアウト(第1回)の取材で、フクダ電子アリーナへ。
東京ヴェルディの常盤聡、田中貴大、舘野俊祐は午後の1本目に登場した。

びっくりしたのは常盤のゴールだね。
裏に抜け出してパスを受け、相手と競り合いながら左足でゴールに流し込んだ。
どうしちゃったんだい、見事すぎるよ。
態勢を崩しても無理が利く、彼の良さがよく出ていたプレーだ。
身体もキレてたねえ。
田中、舘野もまた、いいパフォーマンスを見せていた。
吉報を、待つ。

冨樫剛一監督や強化スタッフも視察に訪れていた。
どのポジションを重視して見ているか、補強ポイントについて訊ねる。
「前の選手については……」
やはり、まずはそこですよね。
「現有戦力を残せれば獲る必要はないと思っています。一切、リクエストは出していません」
しょ、正気ですか、監督!

冨樫監督はこういうところが面白いんだなぁ。
フツー言わないんだよ、そういうの。
言質を取られるみたいに警戒して。
記者が監督に向かって、マジっすかと訊くこともあまりない。
つうことは、菅嶋弘希、前田直輝、南秀仁、高木大輔といった若き面々を一本立ちさせるイメージ。
「絶対にさせます。ちゃんと点は取れるようになる」
そこまで言われちゃ、よろしく頼みますと言うほかない。

一方、長いシーズンを戦うわけで、チームのデザインは別角度からの視点が必要になる。
全体を俯瞰したうえで、リスクヘッジの発想も大事。
「主要な目的はセンターラインの強化。終盤の11試合で7得点。通常、強化の視点からここに手当てをしないのはありえない」(竹本一彦テクニカルディレクター)
どうやら攻撃的なポジションに、ブラジル人選手の獲得に動いている模様。
交渉がうまくいって、かつヒットであることを祈りましょう。


●掲載情報
『週刊サッカーダイジェスト』NO.1315 12月2日発売号
ブラインドサッカー世界選手権2014リポート「エポックメイキングな大会」を寄稿。
かねてより興味を覚え、この大会でばったり再会したドイツ大使館の須藤恒平さんにも登場してもらいました。
たぶんね、この人のドイツサッカー愛は日本一だよ。