新課程の世界史(世界史探究)の教科書・用語集で新たに採用された語句を順に紹介していきます。
今回は,モンゴル帝国・元の歴史で追加された「オルトク商人」を紹介します。
オルトク商人は,モンゴル帝国・元の時代に,国家と結びついて商業・金融・徴税などで活躍したムスリムやウイグルの商人である。
モンゴル帝国・元と色目人
モンゴル帝国および元のもとでは,支配の中心になったモンゴル人のほかに,行政や財務に長けたウイグル人やイラン人などの西アジア・中央アジア出身の民族が,行政や経済において活躍したことが知られている。
このような西アジア・中央アジア出身の民族は,元においては総称して色目人と呼ばれ,彼らは財務官僚などとしてモンゴル人の支配に協力して統治に貢献した。
オルトク商人
さらに,イラン系などのムスリム商人あるいはウイグル商人は,しばしば組合や会社をつくって,国家と結びつきながら事業を展開したが,このような商人はオルトク商人と呼ばれた。
オルトク商人の名は,トルコ語で「仲間」を意味する「オルトク」または「オルタック」から来ており,中国では斡脱という漢字が当てられた。
オルトク商人は,組合あるいは会社の組織をつくり,国家から事業の特権を与えられたり,モンゴル人の皇族・貴族からの出資を受けたりしながら,遠隔地商業・高利貸し・徴税請負などの事業を展開して,莫大な利益を上げた。
このオルトク商人は,帝国の統治を支えるとともに経済の活性化に寄与したが,その一方で特権商人として権力と癒着して人民からの搾取を行ったことで民衆からの怨嗟の的にもなった。