カリカット(コージコード/コーリコード)は,インド南西部沿岸に位置する海港都市である。
カリカットとは
カリカットは,インド南西部のマラバール海岸で古くから栄えた海港都市で,インド洋に面し,ユーラシアの東西を結ぶ海の道における重要な交易拠点となってきた。
世界史ではこのカリカットという名でよく知られているが,実はこれはかつて使用されていた旧称であり,現在では現地語にしたがってコージコード(コーリコード)と呼ばれている。
海上貿易と外部からの来訪
カリカットは,8世紀頃から貿易を行うムスリム商人が進出したことで港市として発達し,14世紀頃からは香辛料などの交易拠点となって海上貿易で大いに繁栄した。
このこともあって,世界の名だたる旅行者や航海者が来訪しており,14世紀にはイスラームの大旅行家イブン・バットゥータが訪れ,15世紀初めには明の鄭和の艦隊が寄港し,そして15世紀末にはポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマが到来している。
ガマの来航以後,16世紀から18世紀に,カリカットではポルトガル,イギリス,フランスなどのヨーロッパ諸国が次々と進出して拠点をつくり,貿易を行った。
この地から輸出される商品のなかでも,特に綿布はヨーロッパで大きな評判を呼び,その綿布はカリカット(Calicut)の名にちなんでキャラコ(Calico)と呼ばれるようになって人気を集めた。
その後
その後,カリカットは,18世紀末にインドを植民地化していくイギリスの支配下に入り,以後は往時のような繁栄は失われていった。
それでも,カリカットは今なお港として海上貿易がさかんで,香辛料や木材などの取引が行われている。
また,ムスリムの人口が比較的多く,ポルトガル風の建物が見られるなど,国際的な交易で栄えたこの都市の歴史のおもかげが残されている。