今年2022年に入ってから急速な円安が進行しており,1990年以来32年ぶりとなる円安の水準を繰り返し更新するなど,現在,円が激しく下落しています。
今回,変動為替相場制に移行した1970年代前半から2022年までの米ドル/日本円の為替レートの推移を追ってみたいと思います。
円の強さの高低を見るには,米ドル/日本円レートは上下反転させた方がわかりやすいので,通常のグラフにくわえて,縦軸を反転させたグラフも掲載します。
第二次世界大戦後~21世紀初め
第二次世界大戦末期の1944年にブレトン・ウッズ体制が形成され,その体制のもとで1940年代末から1970年代初めまでは固定相場制がとられ,ドル/円は1ドル360円のレートで固定されていました。
ところが,1971年にアメリカ大統領ニクソンが金・ドルの交換を停止したことを契機としてドル・ショックが起こり,いったん1ドル308円へとドルを切り下げて調整した後,結局は固定相場制を放棄して変動相場制へと移行し,以後は円高が進行していきます。
1985年には先進5カ国によってドル高を是正することを決めたプラザ合意が行われ,いっそう円高ドル安が進行しました。
2008年のリーマン・ショック後には円高がさらに進み,2011年には史上最高となる1ドル75円をつけました。
2010年代~現在
2012年末に日本で第2次安倍内閣が成立した後,2013年から日本銀行の黒田総裁によって異次元緩和と呼ばれる金融緩和政策が実施され,そのなかで為替は円安方向に動くようになってきました。
それ以降,だいたい100円から125円の範囲でドル円レートは推移していましたが,2021年からは円安が加速し,そして今年2022年には急激な円安が起こっています。
まとめ
このように,変動相場制への移行から21世紀初めまで,円は短期的な上下動を繰り返しつつも長期的には上昇トレンドを継続してきたと言えます。
しかし,2010年代から円安に転じつつあり,そして現在では急速な円安が進行しつつあります。
日本経済と連動して,日本円は近年は大きな曲がり角を迎えているようです。
なお,今回取り上げた米ドル/日本円のレートは,2つの通貨の取引の額面だけを見た単純な為替レートです。
次の記事では,通貨の実際の競争力を知るための実質実効為替レートについて見てみたいと思います。