「イースター蜂起」 | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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イースター蜂起

<イースター蜂起を題材とした絵画>

イースター蜂起」は,1916年4月,アイルランドのダブリンで発生した,アイルランド人によるイギリスからの独立を目指す蜂起である。

アイルランドの民族運動

19世紀初めにイギリスに併合されたアイルランドでは,同世紀にはアイルランド人の民族意識が高まり,彼らによって宗教,土地,独立などをめぐるさまざまな民族運動が展開されることになった。

これに対して,イギリスは立法による改革を通じての解決をはかり,19世紀にカトリック教徒解放令アイルランド土地法を制定し,そして20世紀には1914年についにアイルランド自治法が成立した。しかし,1914年の夏に第一次世界大戦が勃発し,そのために自治の実施は延期されることになった。

「イースター蜂起」

第一次世界大戦でイギリスが戦闘を続けるなか,1916年,アイルランド共和主義者同胞団(IRB)やシン=フェイン党などの急進的民族主義者は,これを完全な独立を実現するための好機と見て,キリスト教のイースター(復活祭)の日にあわせて,決起することを決定した。

1916年4月,武器を運ぶ船が撃沈されたことや指導者が逮捕されたために当初の予定は狂うことになったが,それでもイースター明けの月曜日,アイルランドのダブリンにおいてアイルランド人による蜂起が開始された。彼らは市の中心部などを占拠し,アイルランドの独立を訴え,一週間にわたってイギリス軍に立ち向かった。これを「イースター蜂起」という。

この蜂起は,まもなく圧倒的に強力なイギリス軍によって粉砕され,蜂起の首謀者たちは軍法会議によって即座に処刑された。こうしてイースター蜂起は完全な失敗に終わった。しかし,この際のイギリスによる過酷な処分はアイルランド人の民族感情に火をつけ,これを機に多くのアイルランド人がイギリスからの独立を支持してその実現を求めるようになっていった。