気象予報士のさくらコラム
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大型連休と東北の桜

杉江勇次です。

3月中旬に記録的な早さで咲き出した今年の桜(ソメイヨシノ)・・・

この時点では、
今年も大型連休の頃には
東北の名所、弘前公園の桜は終わってしまうのではないか?
という思いがありました。

しかし、3月下旬から予想をはるかに上回る低温状態が続き、
桜前線の北上は急激にペースダウン。

青森の桜はちょうど大型連休中の5月2日に満開となりました。

今まさに、東北の桜の名所で、見頃・満開を迎えています。
(弘前公園、北上展勝地、桧木内川堤など)

以前は、
東北の桜と言えば、
大型連休に合わせえるように満開を迎えることが多かったものですが、
近年はその傾向がはっきりと変わってきています。

例として、
青森の桜が満開になった日を、
昭和と平成の時代で比べてみましょう。

統計のある昭和31年以降(1956年以降)
①4月28日までに満開
②4月29日~5月5日の大型連休中に満開
③5月6日以降に満開
とします。

すると、
●昭和31年~昭和64年(33回)
①4回
②21回
③8回

に対して、
●平成元年~平成22年(22回)
①14回
②7回
③1回
となっています。

昭和の頃は、
3年のうち2年は大型連休と満開が重なっていましたが、
平成に入ってから
大型連休と満開が重なるのは今年を含めて3年に1度程度しかなく、
明らかに少なくなっています。

更に、
昭和の頃は大型連休が明けた後にも満開となることが多くありましたが、
平成に入ってからは、わずかに1度しかありません。

この理由はやはり温暖化によるところが大きいのでしょう。

果たしてこの先、
東北の桜が大型連休に満開となる年は、
いったいどれ位出現するのでしょう・・・。

気象的な面からも今年が最後にならないことを祈りたいと思います。

桜のフィナーレ

岡村真美子です。

「今年の冬~春にかけてはとにかく寒暖の差が激しい。」
2010年を現時点で振り返ってみると、とにかくこのような印象を受けます。

強い寒気によって随分と我々人間は振り回されていますが、
今年のサクラ前線も、例年にない北上模様を作り出しました。
というのも、サクラの開花前線のテンポが過去に例を見ないほど
西・東・北ではっきりと分かれています。

今年の開花日と過去10年間の開花日の平均との差を振り返ってみますと・・・
【西日本】
福岡 3月14日(-6日)
高知 3月10日(-10日)
大阪 3月21日(-5日)
名古屋3月18日(-6日)
【東日本】
東京 3月22日(-1日)
横浜 3月22日(-1日)
甲府 3月20日(-4日)
前橋 4月01日(+3日)
宇都宮4月02日(+4日)
水戸 4月02日(+4日)
新潟 4月11日(+4日)
【北日本】(4月26日までの開花地点)
秋田 4月24日(+8日)
盛岡 4月25日(+7日)
仙台 4月13日(+4日)
山形 4月19日(+5日)
(-は平年より早い、+は平年より遅い)

明らかにサクラ前線は北上と共に歩みが遅くなっていますよね。

これは、今年の波のある気温変化によるものと考えられます。

$気象予報士のさくらコラム
・2月下旬~3月上旬の暖かさ→西日本での早い開花
・3月下旬の寒さ→東日本で足踏み
・4月中旬の寒さ→北日本で遅い開花



さて、
「開花日の平年差」に南北で違いがあるのは過去にあまり例を見ないことですが、
一方、開花~満開までの日数は平年、北と南で違いがあるようです。

まず、平均気温を参考に大まかに地域を下記のように区切りました。
◆札幌
◆東北・北陸(17地点)
◆東日本(高地を除く16地点)
◆西日本(四国・九州を除く26地点)
◆四国・九州(11地点)

この区分で、開花から満開までの平均日数を
調べてみた結果がこちら↓

札幌・・・3日
東北・北陸・・・・4.8日
東日本・・・7.1日
西日本・・・7.6日
四国・九州・・8.3日

北へ行くほど開花~満開までの期間が短いのです。

北東北での桜の見ごろはまだまだこれから。
大型連休に弘前や角館、北上など北国の桜の名所へ行かれると言う方も多いのでは。

東北地方の開花は現時点で遅れているため、
満開も平年より遅めが予想されます。
ただし、現段階での一ヶ月予報を参考にしますと
満開の頃は気温も平年並みとなる予想。
例年通り、開花から満開までの期間は短いペースで進みそうです。
最新の開花状況と相談しながら
2010年桜のフィナーレをお楽しみください!


宇宙桜~サクラのチカラ~

小野塚千恵です。

きょう4月19日、宇宙飛行士の山崎直子さんが地球に帰還されますが、
『宇宙桜』というものをご存じでしょうか?

『宇宙桜』は2000年にスペースシャトル「エンデバー」で
毛利衛さんとともに宇宙を飛行し、
地球へ戻ってきた桜の種子を各地へ贈り、
地球上で咲いている桜のことです。

埼玉県川口市の科学館・太陽の広場にある宇宙桜は、
山崎さんが宇宙に飛び立った4月5日ごろから、
まるで山崎さんの旅立ちを祝うかのように次々と開花しました。

$気象予報士のさくらコラム
〈宇宙桜:川口市立科学館より)

科学館職員の方によると、今シーズンは花持ちが良いとのお話でした。


~新発見!長持ちの法則~


東京の桜も今シーズンは、とにかく長持ちしました。
満開を過ぎても花持ちが良く、
3週間ほどお花見を楽しむことができました。

ただ、気温の変化が激しく、
凍えるような寒さの中でのお花見姿をたくさん見かけました。
それもそのはずで、日々の気温変化が8℃以上※も
落差のあった日がなんと3月中で4日もありました。
(※最高気温における前日との差)

もともと春は気温変化が大きいのですが、
それでも一日で8℃以上も変化するというのは、
たった一日で2カ月分も季節が行ったり来たりしていることになります。

そこで、花持ちの良さは、この気温の乱高下にポイントがあるのではないかと考え、
過去約30年にさかのぼって検証してみたところ、とある傾向が浮かんできました。

$気象予報士のさくらコラム
(世田谷区池尻の桜)

今シーズンと同様に、開花から満開までに長くかかった年(10日以上)には、
約70%もの確率でこの『日々の気温差8℃以上』の法則が当てはまるのです。


~桜の本能ってホント?!~


ただ、私たちが注目する温度の裏には、桜が持つ、
植物本来のチカラがあるのではないかとも思うようになりました。

実は、ソメイヨシノは、クローン種であるため、自家受粉をしています。
つまり受粉のために虫を必要とせず、自己完結で受粉をおこなっているのです。
(なかには受粉せず、実をつけないソメイヨシノも多いです)

しかし、原種の桜は、温かくなり、虫が現れて受粉がおこなわれます。
そのために、急に寒くなったりせずに、温かさが定着するまで長持ちして、
虫たちを待っているのかもしれない…そんな風にも考えるようになりました。

つまり、人間が見ている温度の裏には、桜の植物本来の姿として、
虫をよんで実をみのらせたいという本能が、潜んでいるのかもしれませんね。
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