台湾の二二八事件を知るための書籍、映画、ドラマ | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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※2022年8月の記事に加筆しています。


  「昭和」を生きた台湾青年

サブタイトル➡️日本に亡命した台湾独立運動者の回想1924-1949。二二八事件の被害者、そして被害者家族(著者の実兄が殺害されている)としての実体験が綴られています。第9章がまるまる二二八事件についての回想。息が詰まるほどのリアルな記録です。

『「昭和」を生きた青年ーー日本に亡命した台湾独立運動者の回想1924-1949』

王育徳(草思社文庫)



  台湾

上記の著者、王育徳氏による台湾の歴史についての研究書。専門的で詳細な記録が特徴ですが、氏の筆力により極めて読みやすくわかりやすい内容です。二二八事件の前後の状況も詳しく描かれているので中上級者の方にもおすすめ!


『台湾』王育徳(弘文堂)

(1964年/1970年増補版)



  ​図説 台湾の歴史

台湾の基本的な歴史が学べる1冊、『図説 台湾の歴史』。初学者向けの書籍ながら、二二八事件や白色テロのことは比較的詳しく書かれています。

『図説 台湾の歴史』周婉窈(平凡社)



  『幌馬車の歌』

二二八事件のことが日本語で読める書籍の中で1番詳しいのは『幌馬車の歌』でしょうか。ドキュメンタリーのような小説のような不思議な読み物だけど(基本的にはノンフィクション)、その分ドラマを見ているような感覚に陥ります。本の4分の1を占める『付録』を読むだけでも勉強になる、台湾マニア向けの1冊です。
『幌馬車の歌』藍博洲(草風館)



  『臺灣歷史地圖』

中国語の読める方に(いや、読めない方にも)強力にお勧めしたいのが『臺灣歷史地圖』。二二八事件に関する資料ももちろん詳しいです。台湾の歴史ドラマを見る時にも大活躍します。



  映画『悲情城市』

映画はまず、なんと言っても『悲情城市』。ネット上でよく『非情城市』と書かれているのを見かけるけどそれは間違い。日本語で「ひじょう」と入れても「悲情(中国語で「悲しみ」という意味)」は出てこないために起きる変換ミスですね。悲情城市ケイサツ(誰?)として以前から何度も言ってるけど(過去記事 )、今でもよく見かけて「うっ」てなります。


それまで長い間タブーだった二二八事件を取り上げた作品としてよく知られていて、1989年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しています。作品に対しては賛否両論もちろんあります。

批判的意見としては、後半の、山奥に反政府勢力のアジトを作る場面などは50年代の白色テロの事件であり史実と齟齬がある、とか、街中で行われた外省人への暴力の場面や、穏やかすぎる獄中の描写などが外省人擁護に偏りすぎている、といったものです。

しかしそれまで1947年の二二八事件について何一つ知らなかった世界の人に、台湾の隠された事件、タブーだった歴史を知らしめた、という点で非常に意義のあるものだったと思います。




  台湾ドラマ『紫色大稻埕』

台湾ドラマ『紫色大稻埕』も二二八事件の場面が出てきますが、それほど詳しくはありません。ただ、最初から主要な登場人物として描かれていた画家の陳澄波が二二八事件で殺されてしまうのが本当に辛かった。(Netflixで見ました)




  客家語ドラマ『台北歌手』

今まで見た台湾ドラマの中で1番詳しく二二八事件が描かれていると思ったのが客家語ドラマ『台北歌手』。暗く重く深いドラマで、精神状態が良好な時でないと視聴は厳しいと思います。が、私は本当に見てよかったと思っています(YouTubeで見ました)。





他にもニニハ事件をテーマにしたり、事件が背景にある映画やドラマはあると思いますが、強く印象に残っているのは以上です。ものすごく大事なものを忘れているかもしれないのが怖い💧