シネフィルの映画・DVDレビュー -2ページ目

シネフィルの映画・DVDレビュー

映画狂(シネフィル)マメオによる

映画とDVDのレビューと批評です。

ゴールデンウィーク以来、全然記事が書けていない状況です。





いろいろ書きたいし、まだまだネタはたくさんあるんだけどなぁ…。





そういう意味では不完全燃焼な日々です。





そんな間にも僕のつたないレビューを読みにきてくださっている方々、





本当にありがとうございます





これからもちょっとずつ書いていきますのでよろしくお願いします。








とはいえ、レビューを書くのって意外にエネルギーがいるんです。





作品の選定から、今まで紹介してきた作品との関わり、





ジャンル的な偏りがないように…なんて考えると結構難しかったりします。




その上、ブログでのレビューにも限界があるような気がして





ちょっとページの引っ越しなども考えましたが…





なかなか大変そうなので、今のところその辺は封印です。





しばらくこのまま記事を書き溜めたいと思います。








レビューのつなぎと言っては何ですが、





「映画のつぶやき」という項目を追加しました。





僕なりの映画の見方なんかを書いていきます。





それにものんびりお付き合いください。


最近、アメリカ映画ばかりだったのでここらでヨーロッパものを。


アメリカ映画やインド映画というのは多くが

映画館で食べるライトミールのような手軽さはあります。

さっぱりとした、それでいてまた食べたくなるような。

コーラなんかとよく合いますよね。


それに比べればヨーロッパ映画ってのは結構重々しい感じがします。

料理でいうならばこってりしたソースのかかった固いステーキ。

美味しいけれど、時には疲れる感じがします。

それでもハマればワインなんかと一緒に食べて至福の一時を演出してくれるものです。

今日はそんな映画をおひとつ。


海を飛ぶ夢



【タイトル】海を飛ぶ夢 (Mar adentro 2004 西)

【キャスト】監督:アレハンドロ・アメナバール
         ハビエル・バルデム(ペドロ)
         ベレン・エルダ(フリア)
         ロラ・ドゥエニャス(ロサ)

【ストーリー】スペインのラコルーニャに暮らすペドロは若いときに四肢麻痺となり寝たきりの生活をおくっていた。そんな彼の願いはただ一つ自ら死を自らの意志で決定するという、いわば「尊厳死」であった。ところが、スペインの法律では尊厳死は認められていない。
そこでペドロは尊厳死の権利を合法的に獲得するため弁護士のフリアとともに活動を開始する。そのフリアも不治の病におかされ徐々に死にゆく身体であった。ペドロとフリアは活動を通し生活を共にすることで徐々に心を通わせてゆく。
ある時、ペドロがテレビで尊厳死を訴えている番組を見て彼の考えに関心を持ったシングルマザーのロサはペドロに会いに行く。ペドロの考えを理解しながらも「生きてほしい」と言うロサもまたペドロに惹かれていくのであった。
なかなか進まない活動にペドロは自分で書き溜めた詩を出版することで世論に訴える作戦に出ることにし、その手続きをフリアに託す。そして、出版された本をフリアが持ち帰ることが出来たなら、二人で生きていこうと誓いフリアはマドリッドへ出発するのだが…。

【みどころ】テーマ自体は重いですが、それでも観せてしまうのはいい映画の証拠でしょう。BGMも淡々としていて、全体的には単調な感じがしますが、役者がみんな上手いのでそれがかえっていい効果となっています。ペドロ、フリア、ロサを軸になるものの、それ以外の登場人物(ペドロの家族など)もいい感じで話にからんできます。
ペドロを演じるハビエル・バルデムは決してカッコイイという感じで無くとも魅力的な男性を演じています。有名なところでは『ノーカントリー』なんかにも出演していて華々しいという感じではなくともキラリと光る俳優です。もっといろいろ出てもよさそうなものです。フリアを演じるベレン・エルダは出演作多数の演技派女優ですね。『永遠の子供たち』などで有名です。僕はどちらかというとこの作品での彼女の方が好きです。なんとなく中年女性の魅力とでもいうのでしょうか、少し影のある役をさせたら一級品です。美人すぎない美人ってとこがイイ!
ストーリー展開も観る者を飽きさせないテンポのよさがあります。ただ、どちらにせよ悲しい(観る人によっては納得できない)ラストかもしれません。ヨーロッパ映画らしくて僕は好きな感じですけど。
監督のアレハンドロ・アメナバールは『アザーズ』『オープン・ユア・アイズ』(アメリカで『バニラ・スカイ』としてリメイク)のような緊張感のある映像を得意とする監督です。随所に「らしさ」は見えます。美しい映像(この監督はよく幻想的なシーンを入れます)よりも人間を撮るのが上手いと感じさせてくれます。これからの作品に期待する監督の一人です。

【総評】調べていたらこの作品はアカデミー賞の外国語映画賞をもらってますね。だいたい外国語映画賞はクオリティーとしてバランスはいいし秀作が多いです。この作品も僕は文句なしに傑作といえるでしょう。それぐらいの奥深さは充分あります。分析的に観ても、映画を楽しむという点においても多くの人を満足させるに足るものだといえます。
社会的倫理と個人の尊厳というのは難しい問題ですね。けど、この作品は説教臭くないところが映画としての独立性、芸術性を保っています。日本やアメリカでは社会的なものも含めてこの映画はなかなか作れないと思います。そう考えるとスペイン社会というのは絶妙な設定でしょう。
ただ、さまざまなことを考えさせられることは確かです。観て爽快感を得るとかというタイプではないですね。観るときはシチュエーションを考えた方がよさそうです。けれども是非観て欲しいと思える一本ですね。

海を飛ぶ夢


【評価】☆☆☆☆★ 4.5
僕好みの映画です。ラストは少し悲しいですけどね。
ただ、作品にのめり込むというタイプではなく、ある男の生き方という感じがします。
映画としては上質なものですしテーマに少しでも興味が持てるなら観ることをお勧めできる映画です。
キャスティング、特に配役というのは時として意外な効果を生みます。

たとえば、僕の好きな『Godfather』のマイケル役は

元々アルパチーノではなくロバート・レッドフォードだったらしいです。


それとか、『地獄の黙示録』でもマーティン・シーンのウィーラード大尉役が

ハーヴェイ・カイテルが予定されていたらしいです。


たぶん原案通りなら全然違った作品になっていたでしょうね。

そんなことを想像するのも楽しいものです。

本日、おとどけする映画も初めは「エっ??」って感じのする配役でしたが、

実際観てみると納得できる映画です。

アイアンマン



【タイトル】アイアンマン(2008,アメリカ)

【キャスト】監督:ジョン・ファヴロー
         ロバート・ダウニー・Jr.
         グイネス・パルトロウ
         テンレス・ハワード

【ストーリー】天才発明家で世界的な兵器製造メーカーの社長トニー・スタークは兵器の売り込みの為に訪れたアフガニスタンで武装テロ組織に拉致され、強制的に大量破壊兵器を作らされることになる。トニーはインセン医師の助けを借りパワードスーツを作り上げ、テロ組織から脱出するがその時、自社の製品がもたらす惨状を目の当たりにする。
帰国したトニーは兵器開発事業から撤退することを発表するが、先代からの重役であるステインは思いとどまるように説得する。一方、トニーは新型のパワードスーツによって平和な社会を目指そうと「アイアンマン」開発に没頭していく。
それぞれの思いが交錯する中で、アイアンマンやスターク社を取り巻く陰謀が繰り広げられていくのであった。

【みどころ】ロバート・ダウニーJr.が観たくて観たような映画ですが、とても満足できるものでした。ダウニーJr.の強烈な演技は期待できませんが大人のセクシーさが今までのヒーロー像とはひと味も違っています。元々の設定ではトニーはもっと若いはずなんですが、キャスティングの時にダウニーJr.の心意気で決定したらしいです。天才でいて、遊び人でもあるトニーらしさが上手く表現されています。というよりなりきってます
映像はアメコミ実写映画によくあるような感じですが、それでもアクションシーンだらけではなく俳優の演技が楽しめるというのは新鮮でしたね。感想としては映画がダウニーJr.に合わせて作られているのか、ダウニーJr.が映画に上手くフィットしているのか…。どちらにせよしっくりいっている映画であることは間違いないです。
グウィネス・パルトロウも相変わらず一瞬彼女とわからない演技でした。まだまだ綺麗でしたね。良く言えばクセがない、悪く言えば味がないってとこでしょうか。
ストーリーもシンプルなんですが、一貫性があるというのでしょうか。期待してイマイチだった『ハンコック』よりも僕は好感がもてましたね。

【総評】ダウニーJr.は僕の中で期待を裏切らない俳優No.1ですね。今回も充分に彼らしさを観せていただきました。それにしても彼は薬物中毒を克服したんでしょうかねぇ?
色々なレビューを見てると、原作を読んでいるとより楽しめるということですが、予備知識がなくても全然楽しめます。たぶんマニアの鑑賞にも堪えうるということなんでしょう。そういう意味ではしっかりした作りなんでしょうね。
ラストは完全に二作目を意識したものになっています。ただ、今時の映画にしては一作目からの間隔が開いているですよね。内容を忘れないようにしなければ…。
アメコミ実写が苦手という方も色んな面で充分に楽しめると思います。


アイアンマン (2枚組)



【評価】☆☆☆☆ 4
今年に入って「意外に楽しめた映画」部門ではトップでしょう。
期待してなかっただけに評価は高めです。
アメコミ好きはもちろん、そうでない人にもおすすめできます。


長い間、ごぶさたでした。

皆様、お元気だったでしょうか?

僕も仕事やら、何やらで全然更新出来ない状態でした。


今でもちょっと忙しいのですが、

このままだと忘れ去られてしまいそうなので

どうにか更新していきたいです。


仕事で海外に行っていたのですが、

そこでもシネフィル魂は忘れずに

しっかりと映画を観ておりました。


そんな中でたまたま観た名作を今日はお送りしたいと思います。

名作ってのはいつ観てもいいものだと感じさせてくれますね。

クレイマー、クレイマー



【タイトル】クレイマー・クレイマー Kramer vs Kramer

【キャスト】監督:ロバート・ベントン
         ダスティン・ホフマン
         メリル・ストリープ

【ストーリー】家族を顧みずに仕事ばかりしているテッド(ダスティン・ホフマン)はある日突然、妻のジョアンナ(メリル・ストリープ)から離婚を切り出される。そして、ジョアンナは家から出て行ってしまい、テッドと小さな息子ビリーとの二人だけの生活が始まる。
家事もしたことないテッドは、ビリーとの関係を大切にしていくが仕事と家事、育児の両立に苦闘する。そんな中で、時には衝突しながらテッドとビリーは親子の絆を深めていく。そんな生活にも慣れ始めたころ、失踪していたジョアンナが現われてビリーを引き取りたいと申し出る。テッドにとって到底受け入れられない主張に対してジョアンナは法廷闘争に持ち込むことを決める。ビリーの親権はどちらに渡るのか…。

【みどころ】何と言っても、ダスティン・ホフマンの演技が光っています。そりゃ、アカデミーの主演男優賞も取るっていうのがよくわかります。子供のために鬼気迫る表情で職を探したり、法廷での闘争。その全てが我が子を守るためというなんとも涙ぐましいところがまた彼の演技を引き立たせています。あぁ、人間ってこんなに強くなれるんだ…って思わせてくれます。こういう感じはオッサンになって初めて分かるんでしょうね。僕も最近観なおしてようやく分かる気がしました。
あと、子役のジャスティン・ヘンリーも上手いですが、それ以上にビックリしたのがメリル・ストリープ。昔、僕が高校生ぐらいに観た時には気づきませんでしたが母親役があのメリル・ストリープなんですよね。今や、ギリシャの海で「ダンシンクィーン~♪」なんて歌ってる人です。僕は、メリル・ストリープは歳をとってからの印象しかないので彼女の若々しさは単純に新鮮でした。それと、ただ若いだけではなくてちょっとイカレた母親もはまってましたね。やっぱり上手いわ~。
元来、監督は脚本方面で定評のあるロバート・ベントンです。何気ない日常をドラマにさせたら一級品の作品を撮ります。違う世界へ誘うというタイプではなく、日常生活が舞台になるので感情移入と言う点で上手い作品であることは確かです。
映像的には、当時(70年代)のニューヨークを描いた作品って色合いがなんとも落ち着いていて、綺麗なんです。シックな感じで。その映像が、父子家庭の悲喜こもごもと相まってとっても映える作品となっております。素朴なんですがよく計算された映画ですね。

【総評】アカデミー賞の主要部門をとった作品です。けれど決して大作というわけではありません。多分にアカデミーは世相の反映という面も持ちますが、79年ごろってそんなかんじだったのかな?明るい映画ではないですが、深い感銘を与えてくれる作品であることも間違いないです。一見、無駄に見える諸カットも僕はそんなところにこの作品の美しさが見えているような気がします。今から思えば豪華なキャスティングですので、そのあたりも楽しめるんじゃないでしょうか。
脚本としても、大きな抑揚があるわけではないです。それでも、なぜか深みを感じさせるところが普通の映画じゃないと言われるところです。単純な親子愛であったり、親権をめぐる法廷闘争をテーマにした映画というのではくくれない何かがこの映画にはあります。
もちろん、フレンチトーストを作る場面などの名場面も映画通としては観ておいて欲しいところです。ラストも好きだなぁ~。

しっとりした名作を観たいと言う方はどうぞ


クレイマー、クレイマー
シネフィル・マメオの映画・DVDレビュー-kramervskramer



【評価】☆☆☆☆★ 4.5
単純そうでいてしっかりした脚本や展開が魅力の映画。
大きな盛り上がりはなくても、出演者の演技力だけで充分楽しめます。
爽快感や楽しさとは無縁かもしれませんがヒューマンドラマとしてはやっぱり名作ですね。
ダスティン・ホフマンに見る「男の生き様」をじっくり楽しんでもらいたいです。


P.S.
この一ヶ月のバタバタしてた間に結構いろんな映画を観ることができました。
いいものも、そうでないものもありますが、またコツコツ紹介していきます。
これからもよろしくお願いします。
突然ですが当分の間、仕事につき更新ができません。。。
ちょっと海外へ行くことになりまして。
2週間ぐらい放置状態になると思います。

当分、このレビューも書けないということで
渾身のレビューをお届けしたい!
という思いでチョイスしていると、いろいろと迷ってしまいます。
さんざん迷ったあげくにお届けするのがこの作品です。

3月の末には戻って参りますのでみなさまポイしないでください!!(某アイドル風)


シネフィル・マメオの映画・DVDレビュー-gattaca

ガタカ Gattaca



【タイトル】ガタカ (Gattaca 1997 アメリカ)

【キャスト】監督:アンドリュー・ニコル
         イーサン・ホーク
         ユマ・サーマン(大好きやなぁ~)
         ジュード・ロウ

【ストーリー】遺伝子工学が発達し人々は遺伝子の優劣によって厳格な社会格差の確立した近未来。優れた遺伝子を持つ人間は「適正者」として社会的地位の高い職業に就けるが、それ以外の「不適正者」とされた者は、低い地位に甘んじなければいけなかった。「不適正者」として生まれたヴィンセント(イーサン・ホーク)は出生時に心臓に疾患があったが、宇宙飛行士になる夢を抱いて努力していた。宇宙局「ガタカ」の職員になるべく活動するもののいつも遺伝子テストで不合格となってしまう。それでも諦めきれないヴィンセントは遺伝子ブローカーによって、世界的にも優れた遺伝子を持つものの事故により歩けなくなったジェローム(ジュード・ロウ)を紹介され、あらゆる遺伝情報(髪の毛や指紋、ふけ、垢など)を買い取る。遺伝子により全てが判断される世界ではジェロームに扮したヴィンセントは一躍エリートとして念願の宇宙飛行士のチャンスが巡ってくる。そんな折に、ガタカ内で殺人事件が起きてそのそばに不適正者であるヴィンセントの髪の毛が発見されてしまう。
様々な疑惑の中でヴィンセントは徐々に追い詰められてしまう…。

【みどころ】最初、僕は確かテレビで観た記憶がありますがその後、即買いでDVDを買った一作でもあります。メインの出演者であるイーサン・ホークとユマ・サーマンの元夫婦はどちらも、そつのない演技をしています。全体的に淡々とした映像なので大きな演技は必要ないんでしょうね。そこに華を添えるのが天下のジュード・ロウです。主役としてよりも準主役として無類の存在感を放ちまくるジュード・ロウです。事故で歩けなくなってしまったスーパーエリートの微妙な屈折具合を上手く表現してくれています。
監督のアンドリュー・ニコルは『トゥルーマン・ショー』の脚本や『シモーヌ』『ターミナル』といった佳作をコンスタントに創り出す映像作家です。良く言えばすごくビッグな役者を自分の作品の中にマッチさせる人です。逆に言えば本当に淡々とした映像を創り出します。けれども、それがずっと続くわけではなくて要所要所で抑揚があったり激しい色遣いをするところが僕は大好きです。
話としてはサスペンスやドラマがそれぞれにあるので充分に楽しめるものですし、何度も観たくなるぐらいセリフの一つひとつがオシャレです。

【総評】はじめはユマ・サーマンが好きで(今でもそうですが)買った映画ですが、それ以上に良い映画と言えると思います。ストーリー的に小さな伏線がいっぱいあるので注意して観る必要があるのと、何度か観て分かるところもあります。ストーリーの紹介では、そのあたりを壊さないように書いたつもりですが、「百聞は一見にしかず」と今から言い訳しておきます。
映画の出来としてはみんなに受け入れられやすいと思います。深く観ることもできるし、映像やストーリーを楽しむこともできます。また、作品の背景となっている社会的な考察というのも倫理学では議論の題材になるでしょう。文学的にも詩的な要素が意外に多いので、そういう鑑賞にも堪えうるものです。
一説によると興行収入的には大当たりではないですが、そういう中でもいい映画があるということを教えてくれます。

観ていない人は是非ともどうぞ(かなりお勧めです)

ガタカ [DVD]



【評価】☆☆☆☆☆ 5
個人的な評価で五つ星。
好きな役者がそろっているというのもありますが、詩的な表現が全体にちりばめられています。
映像、脚本、テーマなどそれをとってもなかなかこれを超える映画って少ないです。
ジュード・ロウ、ユマ・サーマン好きの人は必見です。
今のように世知辛い世の中になると人と人の連帯とかってのはどうしても希薄になってきます。
日常生活なんか、カラカラにささくれだっております
都会なんて本当に人との繋がりなんて仕事とかに限られてますからね。
町内でワイワイ♪なんて田舎育ちの僕にしてみれば都会では皆無に等しい。

田舎のコミュニティーってのは繋がりが強い分、結構それが煩わしかったりもしますが、
それでもいろんな人間がいて楽しくもあります。
人間って本来はそんな中で生きるのが本当の幸せなのかな?と思ったりもします。

今日はそんなことを思わせる作品を紹介します。


シネフィル・マメオの映画・DVDレビュー-englishman
ウェールズの山


【タイトル】ウェールズの山(The Englishman, 1995イギリス)
【キャスト】監督:クリストファー・マンガー
         ヒュー・グラント
         タラ・フィッツジェラルド
         コルム・ミーニイ(この人好きだなぁ)

【ストーリー】20世紀初頭のウェールズの小さな村に、軍から二人の測量士がやってきた。彼らは各地の測量をし、国土の詳細な地図を作成するために各地の山の標高を測ってまわっていた。二人の測量士ガラードとアンソン(ヒュー・グラント)は、この小さな村のそばにある「フュノン・ガルウ」の標高も測りはじめた。すると村人たちは自分たちの誇りであるフュノン・ガルウが「山」としてどれぐらいの高さがあるのかという話題で盛り上がる。しかし、測量の結果フュノン・ガルウの標高は299メートルで、305メートル以上を「山」とする基準に従えば、村人の誇りは「丘」とみなされてしまうのだった。それを知った村人たちは大騒ぎ。自分たちの誇りをかけ、村中あげてフュノン・ガルウを「山」にしようと立ち上がるのであったが…。

【みどころ】すっかり年老いましたが、世界の恋人と言われるヒュー・グラントのそつのない演技がとっても光ります。『ブリジット・ジョーンズの日記』と見比べると、演技の幅は広いなぁ~と感じます。やさ男をやらせればナンバーワンでしょうな。
ヒロインのタラ・フィッツジェラルドもそんなに綺麗というわけではないですがなかなか華のある女優さんですね。後に紹介しようと思っている『ブラス!』と続けて観ると「どこがって訳ではないけど、なんとなく綺麗」という雰囲気が光る女優です。
監督のクリストファー・マンガーですが、いろいろ調べても意外に作品は少ないです。もともとは脚本畑の人ですが、ここまでいい映画を撮るのに作品数は少ないのは残念です。マンガー自身もウェールズ人ということで「ウェールズ魂」というのかウェールズへの愛着というのが映像に溢れていて、それが嫌味がない。こんな村でひと夏でも過ごしたいな~と思えてきます。ヨーロッパの古き良き田舎の感じがたまらなく心地いい映画となっております。
キャラクター設定の小さな登場人物もそれぞれにキャラが立っていてそれも映画のいいスパイスとなっております。

【総評】単純なストーリーで、ハッキリ言って「おらが誇りが山だろうが丘だろうがどうでもいい」って感じもしますが、その「どうでもいいことに血道をあげる」のが人間の素晴らしさなんですよね。
原題が『The Englishman』という通り、ウェールズというケルト人の土地にイングランド人がやってくるというイギリスの歴史(結構血みどろ)を下敷きとし、その「対立と融和」というテーマがあります。そういう意味でとっても深い映画です。それでいて、この映画の良いのは、悪者がいないというとっても心あたたまる映画に仕上がっているところでしょう。うまいな~と思わされます。ハートフルウォーミングの手法がとっても多く取り入られています。それでいて説教くさくないんだよなぁ~。
イギリスの映画って全体的に湿っぽい感じがしそうですが、この映画は映像的にも色合いもカラっとしてます。とっても清々しさのある映画となっております。ウェールズという土地が本当にこんな感じならば是非とも行ってみたいものです。
古き良き人とのつながりや、温かさを感じたいときににはもってこいの作品です。

つらい世の中に疲れた時にどうぞ

ウェールズの山



【評価】☆☆☆☆ 4
それぞれの役者が自己主張しすぎずに調和がとれています。
話の内容もほのぼの系でのんびりしていますので気楽に観れる映画です。
ヒュー様好きには物足りないかもしれませんが「やっぱ、うまいなぁ~」と思わせてくれますので。
たまに無性に観たくなる映画です。
僕は昔から「大人になるってどういうことなんだろう」と考えてきました。
人間なんてほっといても大人になっていくし、気付いたら妙にジェネレーションギャップを感じる。
けれども、「自分は大人なのか?」と問うとき、どちらとも言えない自分がいたりする…。

多くのものと出会う時代。
全てが新鮮で、全てが素敵な出会いのような「子供」という時代。

多くのものと別れる時代。
自分の意志とは関係なく、少しずつあらゆるものを失う「大人」という時代。
そして遂には何かを失ったことさえも忘れてゆく…
子供のころに考えていたよりも大人って楽しくないもんです。

だからこそ子供という時代は輝かしいんでしょうね。
今日はそんなことを考えさせて、憧れさせるような作品を。


シネフィル・マメオの映画・DVDレビュー-ytumamatambien
天国の口、終りの楽園。 [DVD]


【タイトル】天国の口、終わりの楽園(2001メキシコ)

【キャスト】監督:アルフォンソ・キュアロン
         ガエル・ガルシア・ベルナル(テノッチ)
         ディエゴ・ルナ(フリオ)
         マリエル・ヴェルドゥ(ルイサ)

【ストーリー】幼なじみのフリオとテノッチは大学進学を控えて、無為に遊び回っていた。マリファナを吸い、酒を飲み、未来に希望を抱きながらも「今」という時代を惜しむかのような生活。そんなある日二人はパーティーでフリオの従兄の妻であるルイサと知り合う。明るく、奔放ながらもどこか陰のあるルイサにフリオとテノッチは元気づけようととっさに誰も知らない美しい海岸「天国の口」を見に行こうと誘う。三人はありもしない「天国の口」へと向かう旅に出かけるのであった。

【みどころ】ロードムービーって基本的に大好きです。映画の醍醐味というのか、人生の投影というのか。だから色々なロードムービーを観てきましたが、その中でも俺ランキングで上位に入っています。
監督は有名なところでは『ハリー・ポッター アズカバンの囚人』を撮ったというアルフォンソ・キュアロン(全然気づかなかったなぁ~)。
テノッチを演じるガエル・ガルシア・ベルナルは『モーターサイクル・ダイアリーズ』にも出演しているメキシコの若手ナンバーワンらいしいです。確かに上手いですし、これからが楽しみな俳優です。個人的には『モーターサイクル~』の彼の方が好きかなぁ。
映画そのものもノスタルジックな色合いと適度なラテン系で、映像は観ている者になんとも言えない懐かしさを感じさせます。ストーリーも「年上の女性との小さな恋」という要素と、「少年から大人へ」「青春の輝かしさ」といった様々な要素が綺麗に重なり合っています。
風景も観ていて美しく、僕も思わずこんなのんきな旅に出かけたくなります。

【総括】日本ではあまり知られていませんが、南米って映画生産に関しては盛んなんですよね。それと中南米映画の特徴って社会的な背景をモロに反映している作品が多いのも特徴です。だから楽天的でいて物悲しい。そこがまた味となって何とも言えずやみつきになってしまいます。ラテン世界の光と影、それだけでなく人間の普遍的な問いへも足を踏み入れる懐の深さというのも魅力ですね。
興行的にもメキシコでは記録を塗り替える勢いだったというのも頷けます。いろんな見方ができる作品で、神話的でもあり叙情詩のようでもあり青春映画のようでもあります。ラストはちょっとしんみりしてしまうのも僕にとってはツボですね。

観たことないという人は観ておいた方がいいです!
Viva La Vida!

天国の口、終りの楽園。



【評価】☆☆☆☆★ 4.5
ロードムービー好きの人は必ず観たほうがいいです。
演技とかよりも、全体的なラテン映画の雰囲気を楽しんでほしいです。
光と影が展開、映像の全体に張り巡らされた傑作です。
何度も鑑賞するに値する映画です。
ここ数日来、花粉症のためにグロッキー状態でした。。。
本当にこの季節はキツイですね。
外に出るのも憂鬱になります。

というわけで、今日は爽快感のあるアクション物でいきたいと思います。

アクション映画は最近では単純にアクションの美しさを楽しむだけでなく、アクション映画特有の映像美や技術で魅せるものが主流になってきました。
そういう意味では『マトリックス』シリーズというのは画期的だったと思います。
『マトリックス』以前にもCGやVFXなんて技術もあったけど、特定の「世界観」というのを前提としたアクション物って無かったと思うんですよね。

今回、お送りするのはアクション界の至宝ジェット・リー主演の『ザ・ワン』です。

true-theone
ザ・ワン



【タイトル】ザ・ワン(The One ,2001アメリカ)

【キャスト】監督:ジェームズ・ウォン
         ジェット・リー

【ストーリー】この世には125の多元的宇宙が存在し、その一つ一つに違う自分が存在している。そして、それぞれの宇宙に住む自分を殺すことによって殺したものは、その力を吸収できる。それを知った多次元宇宙捜査官ユーロウ(ジェット・リー)はそれぞれの宇宙に存在する自分を抹殺しはじめた。
123人を抹殺したユーロウは最後の自分である、ゲイブ(ジェット・リー)を殺すべく、我々の宇宙にやってきたのだった…。

【みどころ】ジェット・リーはアクションだけなら当代随一といってもいいでしょう。ほぼ人間ではないような動きをします。一説によると『マトリックス』のオファーを断ってまでこの映画への出演を決めたらしいですから熱の入れようが違います。
ジェット・リー VS ジェット・リーというなんとも観ている方が混乱しそうなアクションですが、映画として充分に楽しめる内容になっています。ただ、この時期の特殊撮影にありがちなのですが全体的に映像が暗い感じがします。それが、この映画に不可欠な暗さなのか技術的な限界なのかというのはちょっと疑問になります。
最強対決のアクション映画ですので観ていて爽快であると同時に後に話す独特の「世界観」に頭を悩ます方もおられるかもしれませんね。

【総評】アクションもさることながら、僕がこの映画の生命線と思うのはその「世界観」です。「多元的宇宙に存在する自分を吸収する」という、突拍子もない発想というのはSFの世界観としては多分に哲学的でもありあます。
ただ、その「世界観」が最初から破綻をきたしているのも事実。それぞれの宇宙がどのように存在し、どのように関わることができるのか。そして、それぞの「自分」がどのように併存しうるのか。そんなことを考え出すと…???となってきます。
そのストーリー的な破綻ぷりと、ジェット・リーのアクションが妙な具合に溶け合っている映画でもあります。こういう考える映画というのも僕は好きですね。

いろんな見方のできるアクション映画を一観あれ

ザ・ワン [DVD]



【評価】☆☆☆★ 3.5
ツッコミどころは満載ですが、そのへんの破綻を恐れない製作に敬意を。
それでもジェット・リーのアクションはそれだけで画になります。
頭を使うアクション映画ですので、流して観ると訳がわからなくなる恐れあり。

「芸術とは狂気であり、それを垣間見るために人は芸術作品を求める」
と、誰かが言ってました。

そう考えると、芸術家なんて狂気を持ってる人じゃないとなれないんでしょうね。
ダヴィンチしかり、モーツァルトしかり。

僕のような凡人はその狂気をこっそり見て、驚き畏れるばかりです。
そういう意味で、僕にとって美というのは畏敬の対象であって癒しなんて生やさしいものではないっす。

「人は真の美の前では無力である」
って言って美を追究した哲学者の言葉を思い出します。

前置きが長くならないうちに今日の一本。
ちょっと昔の芸術的な白黒映画をどうぞ。


シネフィル・マメオの映画・DVDレビュー-montparnasse

モンパルナスの灯 [DVD]


【タイトル】モンパルナスの灯(1958フランス)

【キャスト】監督:ジャック・ベッケル
      ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチュラ

【ストーリー】20世紀初頭の芸術の都パリで実力を持ちながらも世間に認められない天才画家モディリアーニは酒や薬に溺れながらも創作を続けていた。ある日、美術学校で学んでいたジャンヌと知り合い恋に落ちる。ジャンヌの両親は売れない画家との交際に猛反対するが、二人は駆け落ち同然に結婚する。それは二人の苦難の始まりであった。天才ゆえの苦悩、それを支えようとする妻。しかし、モディリアーニは病魔にむしばまれつつあった…。

【みどころ】モディリアーニって名前は知らなくても絵は見たことあるって人は多いんじゃないでしょうかね?他には無い絵を描いている画家です。
個人的には白黒映像に抵抗のある方ですが、この作品にはその抵抗感が全くといっていいぐらいありませんでした。むしろ、当時のパリの雰囲気がそのまま出てると思います。モディリアーニ役のジェラール・フィリップですが、モディリアーニになりきっています。なりきり過ぎて、36才という同じ年齢で死んでしまうのですが…。実物のモディリアーニと見比べるとジェラールは男前すぎます。それでも、芸術家の狂気やパリの空気を感じさせる演技は夭折が惜しまれる俳優であることに間違いありません。ちょっと、榎本孝明に似てると思うのは僕だけでしょうか?
あと、ジャンヌ役のアヌーク・エーメも綺麗すぎてあまり貧困の匂いのしないぐらいですが、画商のモレル役をしているリノ・ヴァンチュラは怪演の名にふさわしいです。観れば分かりますが、この人がいないとこの映画は成り立ちませんね。

【総評】いい映画というのは時代を超えていいものです。ただ、この映画はフランス映画らしくカタルシスはありません。悲しい結末です。夫を支えようとするジャンヌのかいがいしさは涙なしには観ていられません。
伝説の芸術家を伝説の俳優が演じるという不思議な雰囲気を持った作品を是非とも観てください。鬼気迫る演技は迫力が違います。



これを観てあなたも芸術の狂気を堪能してください。


モンパルナスの灯 [DVD]


【評価】☆☆☆☆☆
とりあえずジェラール・フィリップの演技がいいです。
あと、僕好みのカタルシスの無さや人生の無情さを語る映画としては秀逸です。
心配なのが白黒映画に対して観る人がどういう反応をするかでしょうね。
そのへんがクリアできるならぜひ観て欲しいです。


追記
調べてると4月から名古屋でモディリアーニ展をやるようです。
是非とも観たいですが、名古屋か…、遠いなぁ…。
機会があれば本物のモンパルナスをブラブラしながら美術館でも巡りたいところです。
今年もアカデミー賞が発表されたらしいです。
映画界最高の栄誉といわれるだけに多くの人はそれに一喜一憂するようです。
多くの名優といわれた人たちもアカデミー賞欲しさにおかしくなる人もいるぐらいですから。
ところがそんなアカデミー賞に「クソ喰らえ!!」と言った人物がいます。
名実共に映画界のドン、マーロン・ブランド師匠です。
師匠の受賞拒否(正確には拒否ではないんだろうけど)の理由は政府のインディアン政策に対する抗議だそうで。
その上、悪ノリして授賞式に代理でインディアンの衣装を着た人を送り込むブラックジョークまでかましたので、その後映画界から完全に干されてしまいました
その師匠が、復活するきっかけとなったのが、かの『God Father』と『ラスト・タンゴ・イン・パリ』でした。
残念ながら、『God FatherⅡ』に出演予定も前作の屈辱的な出演契約のキズにより師匠の出演はありませんでしたが、改めてその存在感を世界に示しました。
そして、今回紹介する『地獄の黙示録』は『God Father』以来の師匠とフランシス・コッポラとのコンビによって、いろんな意味で魅力の詰まった作品です。

シネフィル・マメオの映画・DVDレビュー-apocalypsenow

地獄の黙示録 特別完全版 [DVD]


【タイトル】地獄の黙示録(Apocalypse now)
【キャスト】監督:フランシス・F・コッポラ
      マーティン・シーン(チャーリー・シーンの親父)
      マーロン・ブランド(師匠)
      ロバート・デュバル(『God Father』では弁護士してた人)
【ストーリー】ベトナム戦争の終盤、米軍特殊部隊に所属していたウィラード大尉は突如軍の上層部から呼ばれ特殊任務を受ける。それは、軍の命令を無視してメコン川上流で独立勢力を築いたカーツ大佐の暗殺である。その任務のためにウィラードは部下と共に哨戒艇でメコン川を遡る。戦争の矛盾や悲惨さを目の当たりにしながらカーツ大佐の王国に潜入するウィラードが見たものは…。

【みどころ】とりあえず映画が好きだという人は観ましょう。タイトルはおどろおどろしいですが、カットや台詞、映像、音楽、脚本というあらゆる点で高いレベルの映画です。
僕は、「特別完全版」を映画館で観たのですが、最初のファーストカットからドキドキしっぱなしでした。けれども、この映画は多くの批判があったのも事実です。ストーリー「展開」という点では、ドラマチックな要素は薄いですね。映画だからできる作品です。
出演のマーティン・シーン(ウィラード大尉)が撮影中に心臓麻痺になりながらも好演しています。それにしても、親子でそっくり。
我らがブランド師匠に至っては最後の1時間ぐらいぐらいで全てをさらっていく演技をかましてくれてます。撮影中は相当ワガママ放題だったらしいですが、観る方としては「カーツ大佐は師匠にしか無理だよな」と思わせてくれます。
それと忘れてはならないのが、作品中でギルゴア中佐(ロバート・デュバル)がワグナーの「ワルキューレの騎行」を鳴らしながらへり部隊を率いて村を攻撃(虐殺?)するシーンは圧巻です。そして最後にゃ、ナパームで森を吹っ飛ばして「朝のナパームは格別だ」って…。
まだまだ、いろんなシーンで観るべきところはたくさんあります

【総評】多くの批判を受けながらも、未だに傑作の呼び声たかい作品であなたは何を思うでしょうか。正直、僕も評価が分かれるだろうと思います。けれども、二度三度観てみると多くのものが見えて来る作品でもあります。そういう作品が名作なんでしょうね。
舞台裏もかなりセンセーションな話題満載な問題作です。
ちなみに、『地獄の黙示録』には「オリジナル版(1980)」と「特別完全版(2002)」があります。後者の方が53分長いとのこと。けど、僕は絶対「特別完全版」をお勧めします(たぶんその方がわかりやすいじゃないかな)。
アカデミー賞の話からマーロン・ブランド師匠を経て脱線してしまいました。
ちなみに、この作品はアカデミー賞においては評価は低かったです。
それでも映像から様々なインスピレーションを得たいとか考えさせられたいという方は是非とも何度も観てください。


『地獄の黙示録』を観ずして映画を語るなかれ!


地獄の黙示録 [DVD]



【評価】☆☆☆☆☆ 5
映画史に残る名作です。語るもおこがましいかも。
脚本、映像、音楽のどれをとっても計算され奥行きがあります。
いろんなことを考えさせられる映画で評価は二分されるでしょう。
それでも映画好きを自称するなら観ておかねばならない作品です。