と、誰かが言ってました。
そう考えると、芸術家なんて狂気を持ってる人じゃないとなれないんでしょうね。
ダヴィンチしかり、モーツァルトしかり。
僕のような凡人はその狂気をこっそり見て、驚き畏れるばかりです。
そういう意味で、僕にとって美というのは畏敬の対象であって癒しなんて生やさしいものではないっす。
「人は真の美の前では無力である」
って言って美を追究した哲学者の言葉を思い出します。
前置きが長くならないうちに今日の一本。
ちょっと昔の芸術的な白黒映画をどうぞ。

【タイトル】モンパルナスの灯(1958フランス)
【キャスト】監督:ジャック・ベッケル
ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチュラ
【ストーリー】20世紀初頭の芸術の都パリで実力を持ちながらも世間に認められない天才画家モディリアーニは酒や薬に溺れながらも創作を続けていた。ある日、美術学校で学んでいたジャンヌと知り合い恋に落ちる。ジャンヌの両親は売れない画家との交際に猛反対するが、二人は駆け落ち同然に結婚する。それは二人の苦難の始まりであった。天才ゆえの苦悩、それを支えようとする妻。しかし、モディリアーニは病魔にむしばまれつつあった…。
【みどころ】モディリアーニって名前は知らなくても絵は見たことあるって人は多いんじゃないでしょうかね?他には無い絵
個人的には白黒映像に抵抗のある方ですが、この作品にはその抵抗感が全くといっていいぐらいありませんでした。むしろ、当時のパリの雰囲気がそのまま出てると思います。モディリアーニ役のジェラール・フィリップですが、モディリアーニになりきっています。なりきり過ぎて、36才という同じ年齢で死んでしまうのですが…。実物のモディリアーニと見比べるとジェラールは男前すぎます。それでも、芸術家の狂気やパリの空気を感じさせる演技は夭折が惜しまれる俳優であることに間違いありません。ちょっと、榎本孝明に似てると思うのは僕だけでしょうか?
あと、ジャンヌ役のアヌーク・エーメも綺麗すぎてあまり貧困の匂いのしないぐらいですが、画商のモレル役をしているリノ・ヴァンチュラは怪演の名にふさわしいです。観れば分かりますが、この人がいないとこの映画は成り立ちませんね。
【総評】いい映画というのは時代を超えていいものです。ただ、この映画はフランス映画らしくカタルシスはありません。悲しい結末です。夫を支えようとするジャンヌのかいがいしさは涙なしには観ていられません。
伝説の芸術家を伝説の俳優が演じるという不思議な雰囲気を持った作品を是非とも観てください。鬼気迫る演技は迫力が違います。

【評価】☆☆☆☆☆
とりあえずジェラール・フィリップの演技がいいです。
あと、僕好みのカタルシスの無さや人生の無情さを語る映画としては秀逸です。
心配なのが白黒映画に対して観る人がどういう反応をするかでしょうね。
そのへんがクリアできるならぜひ観て欲しいです。
追記
調べてると4月から名古屋でモディリアーニ展をやるようです。
是非とも観たいですが、名古屋か…、遠いなぁ…。
機会があれば本物のモンパルナスをブラブラしながら美術館でも巡りたいところです。