研究は、ある『問題』の解決に貢献するために、『課題』を設定し、それに取り組む活動であるとした。
この『問題』と『課題』に関する理解に基づいて、研究に行き詰っている人をカテゴリー①~④の、4つのカテゴリーに分類した。
この中でも特に問題なのは、カテゴリー②と④の人であろう。ここに属する人たちは、下手すると研究に費やした時間が無駄になる可能性が高いと思う。
そして、私は、このような状況に陥る理由は、研究の関係者と明確に『問題』が共有できていないからであると思っている。
ここで言う『問題』とは、以下のようなコンフリクト(ある「システム」が「望ましい状態」を発生すると、同時に「望ましくない状態」も発生する)に関する扱いを意味する。
そこで、ここでは、『問題』を設定して、VE・TRIZを用いて、研究テーマを考え、それを提案する手順を示す。
私は、あらゆる研究は、「問題解決型」、「問題提起型」「学術的意義探求型」の三種類に分類され、それぞれの研究を定義するためのテンプレートを提案している。
ここには、さまざまな意見が存在するのかもしれないが、私に言わせれば、「研究テーマを設定する」とは、あなたなりの問題意識と調査に基づき、これらのテンプレートに挿入されうる無限の『名詞』と『動詞』の組み合わせの中から、価値あるものを見つけ出す作業に他ならない。
そこで特に、重要になるのは、結局は、あなたが研究を通じて解決を目指す『問題』が本当に『問題』だと思えるかどうかということ、また、それに伴い、適切な調査を実施できているかどうかであろう。
私は、特に多くの理工系の研究室では、学生が自律的に研究テーマを決めるようなことはあまりないと思っている。
しかし、そこでの研究に取り組むには、ある程度、テーマの設定に参加するべきだと思っているし、それは不可能ではないと思う。
そこで以下では、私が、VE・TRIZの理論に基づいてまとめた『問題解決型』と『問題提起型』の研究テーマの設定の手順を紹介していきたい。
これに従えば、おそらく、ある程度は、テーマの設定の議論にも参加できるし、その後研究を進めていく上で抑えるべきポイントを抑えることができるのではないかと思っている。
では、具体的な手順について。
それは、およそ以下のような流れとなっている。
手順1:あなたが解消しないといけないと思うコンフリクトを設定する
手順2:コンフリクトに関連する要素を分析する
手順3:「望ましい状態」を分析する
手順4:「望ましくない状態」を分析する
手順5:手順1で設定したコンフリクトを構成する詳細なコンフリクトを設定する
手順6:手順5で設定したコンフリクトから、あなたが着目するコンフリクトを決める
手順7:手順6で着目したコンフリクト解消に向けたアイディアを創出する
手順8:『課題』を設定する(『問題解決型』の研究)
手順9:『課題』を設定する(『問題提起型』の研究)
手順10:『課題』を設定する(『学術的意義探求型』の研究)
手順11:テンプレートを用いて研究テーマを設定する
このそれぞれについて、実例と共に説明していく。
以下、「学術的意義探求型」の研究につい手の補足説明。
「学術的意義探求型」の研究における研究では、先にも説明した通り、「システム」を学術分野、「望ましい状態」を『「名詞」が「名詞」&「動詞」様子を明らかにする』、『「望ましくない状態」を「名詞」が「名詞」&「動詞」様子を明らかにする』とすることによりコンフリクトを設定することができる。
このコンフリクトに関して、上記の手順を適応することは可能であると考える一方、それが成り立つかどうかは、最終的には、あなたが明らかにしたいこと(「名詞」が「名詞」&「動詞」)に、所属するコミュニティがそれなりの意味をを見いだすかどうかにかかっていると思っている。