AI自動翻訳の活用、「It…to…、It…that…構文」が多い英文を改善する | ある日、タシケント@ウズベキスタンの大学の副学長になった私の日常

ある日、タシケント@ウズベキスタンの大学の副学長になった私の日常

「最短ルートで迷子にならない!理工系の英語論文執筆講座」の著者が伝える、魅力的な論文の書き方、研究テーマの育て方。
もちろん、英語ライティングのことも。イギリス大学院、大手企業、大学教員を通じて得た知識と経験を紹介しています。

読みやすい英文を書くためには、3C(Clear 明確、Correct 正しい、Concise 簡潔)であることが重要であり、そのためにどのような事に意識すればよいかを説明した。

 

リンク:【まとめ】英文ライティングに関する記事

 

私はこれまで、英語論文やその他報告書の作成で、英文ライティングに悩む人には、こういったことに気を付けるように言ってきた。

 

一般的に、日本人が書く英語の問題点、つまり、3Cな英文を意識しないと読み難い英文になってしまうのには、いくつかの理由があるが、これらはAI自動翻訳をうまく使うと克服できると思っている。

 

リンク:AI自動翻訳の活用、読みやすい英文を意識して最大限活用する

 

ここでは、そのうちの、(3)「It…to…It…that…構文」が多い、の対策について。

 

日常的に仕事等で英文を書くようになってしばらくすると、辞書さえあればとりあえず言いたいことは英訳できるような気がしてくる段階があると思う。

 

そのくらいの人が陥る状況として、よく見てみると英文の殆どが「It…to…It…that…構文」になっているということがよくある。

 

多くの場合、To…するために), Thanks to…のお陰で),Due to…(…の原因により)For…のために)、With…によって)といった表現を伴う。

 

It…to…It…that…構文」も、無駄に語数を増やすことが多く、重要な情報が出てくるのが後になる為、英文を読み難いものにししまう。

 

It…to…It…that…構文」の乱用は、典型的な日本人の読み難い英文だと思うが、やはり、学校で習うだけのことがあり、日本語と相性が良いということなのだろう。

 

その対策として、動名詞を使ってSVOの文型に格納できないかを考えるとしていた。

 

リンク:3C、It…to…、It…that…構文は使わない

 

これも、AI自動翻訳に入力する日本語を、「主語」が「目的語」を「動詞」するの構造にすることにより解決される。

 

では、以下の日本語を英語にすることを考える。

 

「交通安全支援の要求の高まりに伴い、車両間センシングの為の情報共有プロトコルの開発が求められている。」

 

やはり、多くの日本人は意識していないと以下のように「It…to…構文」を使いたくなってしまうのではないだろうか?

 

With the growing demand for traffic safety support, it is required to develop information sharing protocols for inter-vehicle sensing.

 

このようにならないよう、「“Growing demand for traffic safety support” が~した」という発想で、以下のような英文にすると良いとしていた。

 

Growing demand for traffic safety support requires the development of information sharing protocols for intervehicle sensing.

 

次に、最初の日本語をグーグル翻訳により英訳するとどのようになるだろうか?

 

「交通安全支援の要求の高まりに伴い、車両間センシングの為の情報共有プロトコルの開発が求められている。」

 

結果は、以下のようになった。

 

With the increasing demand for traffic safety support, development of an information sharing protocol for inter-vehicle sensing is required.

 

It…to…構文」は解消されたものの、With...の表現は継承されており、受動態になっていて読みにくい。

 

そこで、入力する日本語を以下のように、「主語」が「目的語」を「動詞」するの構造にする。

 

「交通安全支援の要求の高まり(主語)」が、「車両間センシングの為の、情報共有プロトコルの開発(目的語)」を、「必要としている(動詞)」。

 

これを、グーグル翻訳で英訳すると以下のようになる。

 

The increasing demand for traffic safety support requires the development of information sharing protocols for intervehicle sensing.

 

これを、先ほど良いとした以下の英文と比較する。

 

Growing demand for traffic safety support requires the development of information sharing protocols for intervehicle sensing.

 

違いは冠詞の“the”の有無と、「高まり」を“growing”としたか “increasing”としたかのみ。まぁ、趣味の範囲だと思う。

 

もう一つ、別の例を見ていく。

 

以下の日本語を英語にすることを考える。

 

「近年のセンシング技術の発達のお陰で、ウェアラブルコンピュータによりられたデータの活用が実現された。」

 

やはり、多くの日本人は意識していないと以下のように「It…to…構文」を使いたくなってしまうのではないだろうか?

 

Thanks to the development of sensing technology in recent years, it has become possible to utilize the data obtained from wearable computers.

 

これも、“Recent advances in sensing technology”が~したという発想で書き直すと良いとした。

 

Recent advances in sensing technology have enabled us to use data obtained by wearable computers.

 

では、最初の日本語

 

「近年のセンシング技術の発達のお陰で、ウェアラブルコンピュータにより得られたデータの活用が実現された。」

 

をそのままグーグル翻訳するとどのようになるか?

 

Thanks to the development of sensing technology in recent years, utilization of data by wearable computer has been realized.

 

It…to…構文は解消されたものの、Thanks to...の表現は継承されており、受動態になっていて読みにくい。

 

そこで、入力する日本語を以下のように、「主語」が「目的語」を「動詞」するの構造にする。

 

「近年のセンシング技術の発達(主語)」が、「ウェアラブルコンピュータにより得られたデータの活用(目的語)」を「実現した(動詞)」。

 

これをグーグル翻訳により英訳したところ以下のようになった。

 

Recent developments in sensing technology have made it possible to use data obtained by wearable computers.

 

これを、先ほど良いとした以下の英文と比較する。

 

Recent advances in sensing technology have enabled us to use data obtained by wearable computers.

 

違いは「実現された」を“made it possible to...”としたか “enabled us to...”としたかのみ。

 

私の個人的な意見としては“enabled us to”の方が、語数を節約できるが、そう言われてみると、“made it possible to...”の方が多くの人が知っている表現のような気がする。

 

いずれにせよ、入力する日本語をあらかじめ、「主語」、「目的語」、「動詞」の構文に変更して、AI自動翻訳を活用すれば、「It…to…It…that…構文」が多いとう読み難い日本人の英文の原因の一つは改善されると思っている。