3C、It…to…、It…that…構文は使わない | ある日、タシケント@ウズベキスタンの大学の副学長になった私の日常

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もしあなたが英語で情報を発信するのであれば、出来るだけ誰にでも伝わるように配慮した英文を書くべきである。

 

そのためには、同じ情報量であるならば、出来るだけ少ない語数にするように心がける必要がある。

 

リンク:3C、同じ情報量であるならば、出来るだけ少ない 語数にする

 

論文や報告書等、英文をある一定量書くと、おそらく、辞書さえあれば基本的にどのような日本語でもなんとか、英語に直せるなと思えるようになってくる。

 

そのくらいの人によく見受けられるのが、気が付くと、書いた英文がIt…to…It…that…構文ばかりになっているという状況である。

 

多くの場合、To…するために)、Thanks to…のお陰で)、 Due to…(…の原因により)For…のために)、With…によって)といった表現を伴っている。

 

なぜ、このようになるのだろうか?

 

それは、やはり、学校で習うだけのことはあって、とりあえず直訳するだけなら、非常に日本語と相性が良いということであろう。

 

しかし、残念ながら、これは典型的な読みにくい英文である。

 

実は、it toやthatには伝達する情報が含まれていない。

 

そのため結果として無駄に語数を増やしてしまう。

 

その上、英文の中で重要な情報が出てくるのが後になるので、読者を疲れさせてしまう。

 

ということで、とりあえず、It…to…It…that…構文は封印するくらいの気持ちでも良いかもしれない。

 

その為にはどうすればよいか?

 

その答えは、動名詞を使ってSVOの文型に格納できないか、少し発想を変えて考える習慣をつけることである。

 

例えば、次の英文。

 

It is important to monitor the influence of radiation near the affected area. (患部付近の放射線の影響をモニター することが重要である。)

 

「○○することが」を動名詞を使ってS(主語)にするという発想で書き直すことを考える。すると、以下のように修正することができる。

 

Monitoring the influence of radiation near the affected area is important.

 

この英文は少し頭でっかちになっているので、It…to…構文をあえて使うという意見もあるかもしれないが、語数を減らすことには成功しているので良しとしたい。

 

次の英文。これは、日本語につられて素直にIt…to…構文を使って訳してしまった典型的な例。

 

With the growing demand for traffic safety support, it is required to develop information sharing protocols for inter-vehicle sensing.(交通安全支援の要求の高まりに伴い、車両間センシ ングの為の情報共有プロトコルの開発が求められている。)

 

ここでは、Growing demand for traffic safety supportS(主語)とし て、requiresV(動詞)にすることを考えてみる。すると、以下のように修正することができる。

 

Growing demand for traffic safety support requires to develop information sharing protocols for inter-vehicle sensing

 

次の英文。これも、日本語につられて素直にIt…to…構文を使って訳してしまった典型的な例。

 

Thanks to the development of sensing technology in recent years, it has become possible to present pieces of information based on human situations by using data from wearable computer and other devices. (近年のセンシング技術の発達に より、ウェアラブルコンピュータ等によるデータを活用し、人の状 況に基づく情報提示が可能となった。 )

 

ここでは、The development of sensing technology in recent yearsS(主 語)とし、~を可能とするという意味のenableV(動詞)にすることを考えてみる。すると、以下のように修正することができる。

 

The development of sensing technology in recent years has enabled us to present pieces of information based on human situations by using data from wearable computer and other devices.