「問題提起型」の研究のための文献調査 | ある日、タシケント@ウズベキスタンの大学の副学長になった私の日常

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先に紹介した「問題解決型」の研究では、あるコンフリクトの解消を目指した手段を提案することが目的であった。

 

したがって、そこでの文献調査は、主に先行研究により提案されているコンフリクト解消の手段ということになると私は考えている。

 

リンク:「問題解決型」の研究のための文献調査

 

 

これに対し、ここで紹介する「問題提起型」の研究では、あるコンフリクトに関連して、何らかの調査・分析を通じて、これまであまり重視されていないコンフリクトの存在を指摘することを目的としている。

 

つまり、「問題提起型」の研究では、ある意味、現状の議論に異を唱えることを目指す。

 

もし、あなたが「問題提起型」の研究に取り組んでいるのであれば、その存在を指摘しようとしているコンフリクトに気が付いているのは、世界の中でそれほど多くないという認識でいるはずだ。

 

なので、基本的に文献調査を通じて収集すべき情報は「問題解決型」のそれとは少し異なる。

 

あなたが、すでに、世の中に対して指摘したいコンフリクトについての考えがあるのであれば、文献調査を通じて行うべきなのは、それに関する議論が他の研究によってどの程度なされているかの調査であるはずだ。

 

文献調査した結果、実は、あなたが知らないところで、かなり議論が進んでいたことが分かる、といったことはまずないと思う。

 

つまり、どこまで議論が進んでいるのかを専門家として確認するというスタンスでいると良いだろう。

 

もしかしたら、なんの予備知識がない状態から、何かしらのコンフリクトに関する文献を詳しく調査していった結果、未だ他の研究者によって十分に議論がなされていないコンフリクトに突き当たるといったことはあるかもしれない。

 

その立証を目指すというのも、研究としてはありなのかもしれないが、私個人の意見としては、そういった問題意識は文献調査で発見すべきものではなく、あなた自身の体験を通じて得られたものであるべきではないかと思っている。

 

では、「問題解決型」の研究の文献調査はどのように行うか?

 

やはり、文献調査を始めるにあたり、その研究の関係者が把握しているコンフリクトをしっかり共有していることは前提になる。

 

その上で、世の中のそのコンフリクトの認識に異を唱える事を目指して文献調査を始めるということになるだろう。

 

 

これが、「問題解決型」の研究の主な文献調査の位置づけということになるだろう。

 

もし、読むべき文献が分からないのであれば、ここでも、まずは、先に示した方法で文献を選定することをお勧めする。

 

リンク:研究、調査する文献の取捨選択について

 

 

そこから得られる情報は、やはり、『「名詞が「名詞」&「動詞」様子を明らかにする(した)。』ということになるはずだ。

 

それらを、グルーピングしていくと、コンフリクトの原因となっているコンフリクトを示唆している研究はなにかしら存在しているはずだ。

 

あなたが興味の対象としているコンフリクトに関し、何が立証されていて、何が立証されていないのかを把握するようにしよう。

 

 

こういったコンフリクトの存在を、調査や分析を通じて立証していくのが「問題提起型」の研究ということであった。