本項では、工蟲にまつわる特異な性質や、不可解な現象について解説する。
動画への記録が不可能
工蟲は動画に撮影することができない、ということが知られている。
周辺の生物への認識障害
重量を無視した歩行や飛行
栄養源
工蟲どうしでの短距離無線通信
前回の更新が一年以上前というサボり具合。
アカウント消してもいいかな、とも考えていましたが、まぁ作家活動はじめてからずっと使ってるので愛着はそれなりにある。
なので時たまこうやって工蟲の設定とかを書く場所にしていこうかな、と。
というわけで工蟲に関連する用語集。
五十山田是和さんの著書より抜粋。
という体裁で。
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(前略)本書をはじめとした、工蟲について書かれた書籍や論文を読んだり、工蟲を観察、調査するときなどに理解しておくと良さそうな語句をまとめてみた。
特に工蟲について語るときにのみ登場するであろう語句をまとめたので、通常生物について語るときに使われがちな「頭胸部」や「付属肢」などの語句に関する説明や節足動物の節の名称などは割愛してあることをご了承頂きたい。
擬生物
工蟲発見により提唱されるようになった新
たな分類。
生物としての定義といわれる「自己増殖能力」「エ
ネルギー変換能力」「自己と外界との明確な隔離」
の3つの内「自己増殖能力」のみを欠いているだけ
で、それ以外の生命現象を示すものを指す。
言葉の由来としては、「明らかな生命現象を見せるが、生物としての定義を満たしていない」ことからで、ウィルスとも異なり、細胞構造を持つために新たに提唱されるようになった。
分類としては工蟲は擬生物界に属することになるが、この説を認めていない学者も多く存在する。
鉄足動物
こちらも擬生物同様、工蟲発見に伴い提唱されるようになった。
擬生物界の下の階級である門に位置し、「鉄足動物門」となる。
工蟲は『外骨格が鉄で構成された、作業習性を持つ
擬生物』と定義され、「作業習性を持たない種」すなわち「工蟲と異なるが、外骨格が鉄で構成された擬生物」の存在が考えられることから提唱されている。
工蟲の分類は正確に記述すると
擬生物界(Regnum Pseudobiota)
鉄足動物門(Phylum Ferripoda)
工蟲綱(Classis Artifexida)
となる。
作業器
現在発見されている、全ての工蟲が備えている特有の器官。
種によって形態は様々で、腕のように多関節の構造のものや、腹部と一体となったもの、頭胸部に備えられたもの、電気などを動力源として動くもの、炎を噴出するものなどがある。
腹部と一体になった作業器を持つ種は割と多く、「腹作業器」と呼ばれる。
後述の作業行動を取るときに用いられる器官を指す言葉だが、その作業行動の内容によって「どこまでを作業器とみなすか」は意見が分かれるところであり、現状では大まかに使われている言葉である。
眼状器官
工蟲の頭胸部に備わった器官。
殆どが前方を向いていることが多く、眼のように見えるためにこの名がつけられている。
数や大きさは様々で、全く持たないものや7つ持つものも存在し、視覚器やその他の感覚器、発光器などの機能を持つものや、脳に接続されておらず、全くなんの役にも立たないと考えられているものも存在する。
作業行動、作業習性
工蟲特有の行動、習性。
工蟲は先述の作業器を使って、種ごとに決まった行動を取る。
穴を開ける、切断する、溶接する、釘を打つなどの工業的なものから、燭台やペン立て、蚊遣器などの雑貨のような機能を作業習性とするものも存在する。
現在発見されているすべての工蟲は、この作業習性をもっているとされているが、特に能動的に行動しない「雑貨的な」習性を持つものは、その判別が困難である。
発振器、受振器
それぞれ工蟲の持つ器官で、現在発見されている工蟲はすべてこの器官をもっている。
スピーカーのような形状の発振器から出した振動の反射を受振器で受けて、それによって周囲の障害物を把握したり、作業行動に必要な情報を集めたりなどする。
いわゆる「反響定位」を行う器官であり、同じく反響定位を行うコウモリやイルカの持つ器官とは大きく異なる構造をしている。
作業群
工蟲は、種ごとに孔を開ける、ネジを締める、緩める、溶接するなど、様々な作業習性を持っているが、それぞれ関連性のある作業習性を持った種どうしが群れを作り、一つの作業を行うことがあるが、その多種の工蟲で構成された群れを作業群と呼ぶ。
古い建物の解体などが良い例で、オオメダマやメクラベなどが内部を調査し、ビスなどで留められている箇所があればネジマワシが外して回る。
鉄の部材をヨウダンの仲間が溶断し、細かなゴミをザツエキやクギヒロイが拾い集める。
最後に残った建物をウチコワシが破壊し、ヒキマワシなどがその部材をさらに細かく切断し、そうして出たビスや釘、ゴミなどをまたザツエキたちが集めてどこかへ持ち去る。
このように、工蟲は種を超えた群れを作る、という特異な社会性を持っていることが知られている。
このように、数は多くないが工蟲にしか適用できない言葉や器官などが存在するため、これらの語句を覚えておくと本書も少しは理解しやすくなるのではないだろうか。
もちろん、擬生物(工蟲)は研究が進んでいるとは言えない分野なので、後に読み返すとここで記載した説明が間違っていた、ということもあり得るので、その辺りには留意されたい。
擬生物研究所所長 五十山田 是和著
「工蟲とわたし」13頁より抜粋
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といった感じです。
自分の作っていた作品に、数年前から『工蟲』と名付けて色々と設定を模索していましたが、ようやく「決定稿」と言えるようなかたちになったものをまとめてみました。
実物の工蟲標本を見るときの参考になればと思います。
年数回しか更新しないブログですが。
自分の名前で検索すると出てくるのはこっちなんですよね。
やっぱり活動初期から使っているからかしら。
3月に個展をやっていたので、そのときの画像を少し。







古い住宅をいじり倒したような内装がすてき。
会期中は書肆ひるねで月二回くらい開催している「こうさてん」というトークイベントでお話させて頂きました。
作品の方は、今回は新作2種と工蟲の内蔵の液浸標本、工蟲図鑑も作りました。
少しずつ工蟲の世界設定が可視化してきているような実感があります。
お知らせついでに、オンラインストアに作品を追加しました。





商品ページには工蟲の簡単な解説もあるので、見ていただけたらうれしいです。
まだ確定していないことばかりだけど、今年は色々仕掛けられそうな予感。
見てくださる方に楽しんで頂けるよう頑張ります。