六十一年前の昨日、四月二十八日、サンフランシスコ講和条約が発効して我が国は「被占領状態」から脱して「主権を回復」した。
 そして、「主権回復」を祝う式典が二つ行われ、二つに出席した。
 まず、午前十一時から憲政記念館で、
 天皇皇后両陛下のご臨席のもとに、政府主催の式典
  「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」
が行われた。
 これは我が国の国体を具現化した簡素にして厳粛な式典であった。式次第は以下の通り。四十五分間であった。
  
  天皇皇后両陛下御臨席
  開会の辞      式典副委員長 麻 生 太 郎
  国歌斉唱
  式 辞       式典委員長   安 倍 晋 三
  挨 拶       衆議院議長   伊 吹 文 明
            参議院議長   平 田 健 二
            最高裁判所長官 竹 崎 博 允
  合 唱               杉並児童合唱団
  閉会の辞      式典副委員長  菅   義 偉
  天皇皇后両陛下御退席
 以上の通り、天皇皇后両陛下の御臨席のもとで、
立法、司法、行政の三権の長が式辞を述べ挨拶をする、
 それだけ。
 安倍晋三総理の式辞は、昭和天皇の御製を述べ、敗戦から主権回復までの先輩諸氏の苦難に立ち向かう雄々しさと労苦を偲ぶ心のこもったものであった。一同は感動した。
 杉並児童合唱団の子ども達は、心にしみる澄んだ声だった。涙が流れたと述懐した議員もいた。
 合唱団が歌った歌は四曲で、まず、昭和三十年代、四十年代、五十年代に国民によく歌われた歌三曲、「手のひらを太陽に」、「翼をください」、「BELIEVE」。最後の四曲目は、東日本大震災の被災地そして避難所で歌われた歌一曲。その題は「あすという日が」。
 そして、天皇皇后両陛下の御退席で終了した。
 午後からの主権回復を祝う会は、民間主宰で日比谷公会堂で行われた。私は、他の場所での講演を終えて午後三時過ぎに公会堂に入った。そこは、熱心な聴衆でほぼ満席であった。
 入場してしばらくすると、前日の二十七日に同じ日比谷公会堂で「拉致被害者救出集会」を主宰した拉致被害者を救う会の西岡力さんが登壇し、
「主権の回復を祝うのもいいが、北朝鮮が拉致した同胞を救出できない主権国家でいいのか」という、まさにその通りの趣旨の話をした。
 その後に登壇した、自民党の女性議員は、ニューキャスター的上手さで、長々と自己宣伝をした。
 それを聞いていて私は、やはり、ドカンとやらなあかん、と思って登壇した。しゃべった要旨は次の通り。
(1)、まず、総理は本日よりロシアとアラブ諸国を歴訪するが、二月にロシアのプーチン大統領が、北方領土に関して「引き分け提案」をしてから日本側が浮き上がっている。
 よって、主権回復のサンフランシスコ講和条約前にソビエトロシアは、何をしたかをお伝えしておく。
 サンフランシスコ講和条約の交渉時、ソビエトのグロムイコ外相がサンフランシスコに乗り込んできて修正案を提示した。それは、第一に「日本は南樺太と千島列島に対するソビエトの主権を認めること」というものであった。
 しかし、アメリカらはこのソビエトの修正案を否決して、ソビエト欠席の上で、我が国と講和条約を締結したのである。
 従って、我が国は、全千島と南樺太の主権を未だ放棄しておらず、まずその返還を、堂々とロシアに主張できる立場にある。
(2)、主権回復を祝う日ができたら嬉しいだけでは、ダメだ。
 主権が回復する前には、主権が奪われていたのだ。
 従って、その奪われていたものを取り戻さなければダメではないか。それを取り戻さずに「祝う日」を祝っていてどうする。
 では、「奪われたもの」は何か。
 それは、「軍隊」ではないか。
 そして、「軍隊」を動かす「天皇大権」ではないか。
(3)、さらに、大日本帝国憲法を奪われた。
 皇室典範を奪われた。
 そして、民族の記憶である「祝日」を奪われた。
 皇室典範は「法律」ではないのだ。万世一系百二十五代の天皇家の「家憲」なのだ。
 新嘗祭、明治節、これらの日は何処にいった。奪われたままだ。勤労感謝の日、文化の日など、訳がわからんではないか。それらは新嘗祭であり明治天皇のお誕生日つまり明治の日だ。
 主権回復とは、奪われたこれらのものを回復することである。
 概略以上の通り話したが、その冒頭、付け加えたコメントは、「自民党に拍手していた聴衆の皆さん、主権回復を祝う日を無邪気に祝っているだけでは平穏だが、私は、これから、その主観回復とは具体的に何を回復することなのかをしゃべる。
 そうすれば、奪われたそれを回復しようとするならば、自民党は公明党と連立を組んでおれなくなるであろう。
 しかし、それを断固として回復しなければならない。日本維新の会とはその為に生まれたのだ。」
 なお、午前中に実施された政府主催の記念式典には、生活第一の党と社民党と共産党が欠席し、沖縄県知事も欠席した。
 理由は、天皇の政治利用だから、そして沖縄県知事は、この日は沖縄が本土から取り残された屈辱の日だからというもの。
 
 つべこべ言わず、一言で言っておく。
 こいつらは頭がおかしいだけだ。
 生活第一、社民共産の欠席で式典会場は清々したと思う。
 社民・共産は、もともと日本の政党ではなく、コミンテルン日本支部と分派。
 もっとも、民主党の過半数もそうである。
 生活第一もうさんくささでは負けない。
 思い出されよ、四年前、支那の習金平に箔を付けるために、
 中国共産党の走狗となって、まさに無理を押し通し、
 天皇陛下を無礼無道に政治利用して習金平との会見を実現させた者の党が、何を言うか。
 また、沖縄県知事は、マインドは日本人ではないのだろう。
 彼は、既に中国共産党を喜ばせ、沖縄と沖縄県民を辱める存在である。
「主権の回復」とは何か
 六十一年前の昨日、四月二十八日、サンフランシスコ講和条約が発効して我が国は「被占領状態」から脱して「主権を回復」した。
 そして、「主権回復」を祝う式典が二つ行われ、二つに出席した。

 まず、午前十一時から憲政記念館で、
 天皇皇后両陛下のご臨席のもとに、政府主催の式典
  「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」
が行われた。
 これは我が国の国体を具現化した簡素にして厳粛な式典であった。式次第は以下の通り。四十五分間であった。
  
  天皇皇后両陛下御臨席
  開会の辞      式典副委員長 麻 生 太 郎
  国歌斉唱
  式 辞       式典委員長   安 倍 晋 三
  挨 拶       衆議院議長   伊 吹 文 明
            参議院議長   平 田 健 二
            最高裁判所長官 竹 崎 博 允
  合 唱               杉並児童合唱団
  閉会の辞      式典副委員長  菅   義 偉
  天皇皇后両陛下御退席

 以上の通り、天皇皇后両陛下の御臨席のもとで、
立法、司法、行政の三権の長が式辞を述べ挨拶をする、
 それだけ。
 安倍晋三総理の式辞は、昭和天皇の御製を述べ、敗戦から主権回復までの先輩諸氏の苦難に立ち向かう雄々しさと労苦を偲ぶ心のこもったものであった。一同は感動した。
 杉並児童合唱団の子ども達は、心にしみる澄んだ声だった。涙が流れたと述懐した議員もいた。
 合唱団が歌った歌は四曲で、まず、昭和三十年代、四十年代、五十年代に国民によく歌われた歌三曲、「手のひらを太陽に」、「翼をください」、「BELIEVE」。最後の四曲目は、東日本大震災の被災地そして避難所で歌われた歌一曲。その題は「あすという日が」。
 そして、天皇皇后両陛下の御退席で終了した。

 午後からの主権回復を祝う会は、民間主宰で日比谷公会堂で行われた。私は、他の場所での講演を終えて午後三時過ぎに公会堂に入った。そこは、熱心な聴衆でほぼ満席であった。
 入場してしばらくすると、前日の二十七日に同じ日比谷公会堂で「拉致被害者救出集会」を主宰した拉致被害者を救う会の西岡力さんが登壇し、
「主権の回復を祝うのもいいが、北朝鮮が拉致した同胞を救出できない主権国家でいいのか」という、まさにその通りの趣旨の話をした。
 その後に登壇した、自民党の女性議員は、ニューキャスター的上手さで、長々と自己宣伝をした。

 それを聞いていて私は、やはり、ドカンとやらなあかん、と思って登壇した。しゃべった要旨は次の通り。

(1)、まず、総理は本日よりロシアとアラブ諸国を歴訪するが、二月にロシアのプーチン大統領が、北方領土に関して「引き分け提案」をしてから日本側が浮き上がっている。
 よって、主権回復のサンフランシスコ講和条約前にソビエトロシアは、何をしたかをお伝えしておく。
 サンフランシスコ講和条約の交渉時、ソビエトのグロムイコ外相がサンフランシスコに乗り込んできて修正案を提示した。それは、第一に「日本は南樺太と千島列島に対するソビエトの主権を認めること」というものであった。
 しかし、アメリカらはこのソビエトの修正案を否決して、ソビエト欠席の上で、我が国と講和条約を締結したのである。
 従って、我が国は、全千島と南樺太の主権を未だ放棄しておらず、まずその返還を、堂々とロシアに主張できる立場にある。

(2)、主権回復を祝う日ができたら嬉しいだけでは、ダメだ。
 主権が回復する前には、主権が奪われていたのだ。
 従って、その奪われていたものを取り戻さなければダメではないか。それを取り戻さずに「祝う日」を祝っていてどうする。
 では、「奪われたもの」は何か。
 それは、「軍隊」ではないか。
 そして、「軍隊」を動かす「天皇大権」ではないか。

(3)、さらに、大日本帝国憲法を奪われた。
 皇室典範を奪われた。
 そして、民族の記憶である「祝日」を奪われた。
 皇室典範は「法律」ではないのだ。万世一系百二十五代の天皇家の「家憲」なのだ。
 新嘗祭、明治節、これらの日は何処にいった。奪われたままだ。勤労感謝の日、文化の日など、訳がわからんではないか。それらは新嘗祭であり明治天皇のお誕生日つまり明治の日だ。
 主権回復とは、奪われたこれらのものを回復することである。

 概略以上の通り話したが、その冒頭、付け加えたコメントは、「自民党に拍手していた聴衆の皆さん、主権回復を祝う日を無邪気に祝っているだけでは平穏だが、私は、これから、その主観回復とは具体的に何を回復することなのかをしゃべる。
 そうすれば、奪われたそれを回復しようとするならば、自民党は公明党と連立を組んでおれなくなるであろう。
 しかし、それを断固として回復しなければならない。日本維新の会とはその為に生まれたのだ。」

 なお、午前中に実施された政府主催の記念式典には、生活第一の党と社民党と共産党が欠席し、沖縄県知事も欠席した。
 理由は、天皇の政治利用だから、そして沖縄県知事は、この日は沖縄が本土から取り残された屈辱の日だからというもの。
 
 つべこべ言わず、一言で言っておく。
 こいつらは頭がおかしいだけだ。

 生活第一、社民共産の欠席で式典会場は清々したと思う。
 社民・共産は、もともと日本の政党ではなく、コミンテルン日本支部と分派。
 もっとも、民主党の過半数もそうである。
 生活第一もうさんくささでは負けない。
 思い出されよ、四年前、支那の習金平に箔を付けるために、
 中国共産党の走狗となって、まさに無理を押し通し、
 天皇陛下を無礼無道に政治利用して習金平との会見を実現させた者の党が、何を言うか。
 また、沖縄県知事は、マインドは日本人ではないのだろう。
 彼は、既に中国共産党を喜ばせ、沖縄と沖縄県民を辱める存在である。

読売新聞  4月26日(金) 配信

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使った再生医療に対する国の責務を定めた「再生医療推進法」が26日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。

 同法は、政府の成長戦略の柱の一つとされる再生医療を推進する土台となる「基本法」と位置づけられており、再生医療の研究開発や実用化を国が全面支援することになる。

 推進法では国の責務を明確にし、「最先端の科学的知見を生かした再生医療を世界に先駆けて利用する機会を国民に提供する」と明記。迅速で安全な研究開発などを進めるための基本方針策定や、「必要な法制上、財政上、税制上の措置」などを義務づけた。具体的には〈1〉大学などの先進的な研究開発への助成〈2〉高度な技術を有する事業者の参入促進〈3〉再生医療製品などの早期承認・審査体制整備〈4〉専門知識を持つ人材の育成――などを挙げた。基本方針は医療の進歩などを踏まえ、少なくとも3年ごとに見直す。

原告と被告の医師意見書に相違、最高裁に判断仰ぐ

2013年4月26日 橋本佳子(m3.com編集長) 

 「判決は、私どもの主張をよく理解し、認めていただいた。私どもの協力医の鑑定意見書をほぼそのまま採用していただいた。満足すべき内容の判決になっている」(死亡女児の両親の代理人弁護士の澤藤統一郎氏の記者会見でのコメント)

 「重症大動脈弁狭窄症は稀な疾患で、新生児での心雑音は、音量も小さく、聴取は容易ではない。聴取できないことが産婦人科医の過失に結び付けられることには、大きな憤りを覚える。今回の判決が残されると、産科医は今後の診療に重大な支障を来す」(被告医師の代理人弁護士が記者会見で公表した、埼玉医科大学産婦人科教授の亀井義政氏のコメント)

 生後1カ月余りの女児が急性左心不全で死亡した事案で、東京高裁は4月24日、被告の清水産婦人科クリニック(東京都江東区)の控訴を棄却し、同クリニックの過失を認めた一審の東京地裁判決を支持、5880万円の損害賠償の支払いを命じた。控訴審判決を受け、同クリニックは同日、最高裁判所に上告受理申し立てをしている。

  「医療過誤訴訟が診療体制の向上に」

 24日の控訴審判決後、女児の両親は会見。父親は、「クリニックのレベルの低い診療や改ざん行為は絶対に許されない。新生児に対する知識がないだけでなく、ずさんな診療が子どもの命を奪った。改ざん、虚偽の証言をした医師は社会的制裁を受けるべき」とコメント。母親は、「クリニックで、最後までまともな診療を一度も受けなかったために、子どもは命を失った。院長はカルテを改ざんし、法廷では自分が診察してカルテを書いたという虚偽を述べ、責任逃れの隠ぺいを図ったことは、とても許されない行為」と涙を流しながら語った。

 両親が言及したように、原告は、診断・転送義務違反はあったことに加え、女児のカルテの改ざんがあったと主張していた。この点について、東京地裁判決は、「改ざんがあった」とは認めていないものの、「(カルテの)信用性は極めて乏しいものというべき」と指摘、判決の判断の際には「重きを置くことはできない」としており、東京高裁判決もこれを支持している。

 代理人弁護士の澤藤統一郎氏は、本判決の影響について、「控訴人代理人は、原審判決について、『とんでもない判決。医療現場の能力や体制を無視した不可能を強いるもので、こんな判決が出るようでは、産科、新生児科はやっていられない』などという極論を述べていた。しかし、私は全くそうではないと思う。現在の体制でやるしかないのか。そうではなく患者の意向をくんで、患者が納得する、患者のためになる治療体制に一歩でも近づけることができるかという問題だと思う」と述べた上で、次のように付け加えた。「患者にとって朗報の判決が出るたびに、『医療を荒廃させる』『不可能を強いるもの』などという医師側からの反論は随分あった。しかし、時が経つにつれ、判決の水準を全うすることが当然の医療水準になっていく。一つひとつの医療過誤訴訟が、現場の診療体制の向上につながるものだと思っている」(澤藤氏)。

 「重症大動脈弁狭窄は極めて稀」

 被告となった清水産婦人科クリニックの代理人弁護士は、控訴審から井上清成氏、小野英明氏らが担当。

 控訴審判決後の記者会見で、小野弁護士は控訴審の経過を説明。被告側は、前述の埼玉医科大学の亀井氏のほか、3人の小児循環器専門医の意見書を提出、それらを基に、(1)カルテ改ざんは一切ない、(2)本件の新生児は、重症大動脈弁狭窄症という極めて稀な先天性疾患(おそよ新生児9万6000人に1人)、(3)新生児の心雑音は聴取不能あるいは極めて困難、(4)重症大動脈弁狭窄症による突然死の可能性があり、1カ月健診で新生児の非特異的な心不全症状などをもれなくすくい上げるよう産婦人科医に求めることも、実践不能な規範を課すもので許されない――と主張していたという。

 本裁判では、出生時および1カ月健診で、清水産婦人科クリニックが重症大動脈弁狭窄症を診断し、専門病院に転送する義務があったか否かが問われたが、控訴審判決後の原告側と被告側、双方の関係者の受け止め方は大きく異なっていた。これは事案をめぐる医学的判断が双方で異なっていることを物語るとも言える。

 「経験が浅い医療者でも心雑音の聴取は可能」

 本件で死亡した女児は、2007年9月29日に清水産婦人科クリニックで出生、10月5日に退院している。10月29日に、同クリニックで1カ月健診を受けた。11月5日の夜に大量に嘔吐、その翌日に呼吸停止になり、救急搬送先で死亡した。東京都監察医務院での行政解剖により、直接の死因は急性左心不全であり、大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症が原因で、さらにその原因は二尖弁大動脈弁があるとされた。

 新生児の両親は、翌2008年4月に証拠保全、同12月に提訴、2012年10月25日に東京地裁が一審判決を言い渡している。

 争点は、(1)出生直後の心雑音の聴取、(2)1カ月健診における全身症状診察――により、大動脈弁狭窄症を診断し、専門病院に転送できたか否かだ。

 控訴審判決は、ほぼ原告側の主張を認めた一審判決を支持した内容だった。女児の体重変化や解剖の所見などから心不全の進行の状況を判断、(1)出生時から生後23日目までは十分な心拍出量があったものと推測され、たとえ経験が浅い医療者であったとしても、実際に聴診を行う、あるいは真剣に心雑音を聞こうとすれば、心雑音の異常を聴取することができたものと認めるのが相当、(2)遅くても1カ月健診時においては、体重増加不良とその他の全身症状の精密な観察によって、全身症状の悪化を把握して、心疾患を診断すべきだった――とし、清水産婦人科クリニックには、大動脈弁狭窄症の診断と専門病院への転送義務を怠った過失があると認定した。

 なお、カルテ改ざん問題について、小野弁護士は、「一審判決を受けた報道の一部には、同判決が『カルテ改ざん』を認定していないにもかかわらず、裁判所が改ざんを認めたとするものがあり、医師の名誉が不当に棄損された。控訴審判決でも、改ざんがあったという認定はなされていない」と述べ、否定している。

 「臨床現場の感覚から逸脱している」

 さらに、代理人弁護士で医師でもある、山崎祥光氏も、医学的観点を踏まえ、「判決のポイントは、一つは、重症大動脈弁狭窄症という疾患の特殊性を理解していない点。もう一つは、新生児の心疾患を退院時まで、また1カ月健診でいかにしてスクリーニングするかを全く考えずに出されたという点が挙げられる」と指摘する。

 「大動脈弁狭窄では、非特異的でやわらかい雑音しかせず、特に重症例では心雑音が消えたり、全く聞こえないこともあると教科書には書かれている。しかし、裁判所はどんなに経験が浅い医療者であっても、注意して聞けば聞こえたと判断している。これは全く現場感覚から逸脱していると言わざるを得ない。また臨床症状についても、呼吸状態の異常や、ミルクの飲みが悪いなど、他の病気でも出るような、また健康な子どもでも多少は見られるような非特異的な症状しか見られない」(山崎氏)。

 控訴審は、2013年2月27日に口頭弁論が開かれ、1回で結審した。井上弁護士は、裁判所が控訴審で十分な医学的な検討がなされなかったことを問題視、「当方の医学的知見に基づく主張を顧みることなく、再び誤った判決を下した」と指摘。新生児スクリーニングを担当する産科医や小児科医など、控訴審判決が医療の現場に混乱を来すことを懸念し、最高裁での判断を求めるために、上告受理申し立てをしたと説明している。

共同通信社  4月26日(金) 配信


 政府は26日、H7N9型鳥インフルエンザを感染症法に基づく「指定感染症」とし、強制入院や就業制限などの対策を可能にする政令を5月6日に施行すると閣議決定した。

 検疫所の検査や診察を実施しやすくする検疫法の政令改正も決定、同じ日に施行する。

 中国本土を中心に感染が拡大するH7N9型が日本に侵入することに備えた措置。政府はゴールデンウイークの帰国ラッシュで感染者が日本に入る危険性が高まるとみて、対策の整備を急いだ。

 感染症法では感染症を危険性に応じて五つに分類、H7N9型などの鳥インフルエンザは下から2番目の「4類感染症」に位置づけられる。指定感染症とすることで、東南アジアなどで広がっているH5N1型が含まれる「2類」と同様の対策を最大2年の期間限定で取ることができる。

 政令が施行されると、都道府県知事が患者や感染した疑いの強い人に入院を勧告でき、拒否すれば強制入院もあり得る。感染を広げる恐れの高い仕事に就いている患者へは休業の指示が可能で、従わない場合の罰則規定もある。

 田村憲久厚生労働相は26日の閣議後の記者会見で「指定の意義は大きく(H7N9型が国内に)入ってきた際には迅速に対応したい」と話した。

衆議院議員総選挙2012

2012年12月17日 星良孝(m3.com編集部) 

  2012年12月16日午後9時50分、予定よりも5分ほど遅れて、安倍晋三総裁が、自民党本部4階の開票速報場に姿を現した。場内はメディア、自民党関係者ですし詰めの状態。カメラのフラッシュがけたたましくたかれた。安倍氏は、厳しい表情を崩さず、石破茂幹事長と握手を交わした。既に優に100人を超えるほどの候補者の当選が決まった後。さらに、安倍氏は当選が決まった候補者の上の空欄に赤い花飾りを付けていく。

  来夏の参院選が試金石

 政権奪還が明確になり、安倍氏は1時間をかけてメディア各社とのインタビューに順に応えた。安倍氏は「迅速に期待に応えなければならない。今晩から、エネルギー、景気、安全保障をはじめ課題に取り組みたい」と語った。

 厳しい表情を見せるのも、メディア各社の分析が出ている通り、「自民党が圧勝したわけではなく、民主党が惨敗した」という状況があるからだ。石破氏は安倍氏が登場する前にインタビューで「民主党がだめですね、となった。第3極もよく分からなかった」と、敵失による自民党圧勝の流れを分析していた。

 では、安倍政権になった後、医療分野はどう動いていくか。政権公約を参考にすれば、民主党政権の医療政策の大きな違いはなかった(『医療、前回選挙と比べ“光”当たらず』を参照)。社会保障の税一体改革が、民主党と自公との3党合意で進んだことに象徴されるだろう。

 ただし、今回、圧勝したからこそ、医療に限らず当てはまることだが、時間をおかずに医療の面でも目に見える成果を見せなければ、有権者からの失望を招く可能性があるのも確かだ。政権公約から拾ったキーワードは、「医師の処遇改善」「医療機器の充実」「予防医療」「医療保険財政の健全化」「医薬品開発の支援」「在宅医療の促進」といった言葉が見て取れる。どこで自民党が動きを見せるか、決して具体的とは言えない政権公約の項目から一歩進めた具体的な施策に関心が移っていくだろう。来夏の参院通常選挙が自民党の初期の評価を見る上では試金石となる。

  TPP交渉参加、推進しづらく

 医療の面では、かねてTPP(環太平洋経済連携協定)への参加が注目されてきた。医療品や医療機器の価格規制の撤廃、株式会社の病院経営、混合診療の解禁といった動きにつながる可能性があることから、日本医師会をはじめ医療界から批判を受けてきた経緯がある。

 自民党は、「聖域なき関税撤廃を前提する限りTPP交渉参加は反対」と政権公約でうたっていた。今回の自民党圧勝の背景には、農業従事者の得票も下支えしたのは間違いない。TPP交渉への参加は今回の圧勝を踏まえると、軽々に推進しづらい状況になった。

 一方で、メディア各社のインタビューで、安倍氏は前回の首相就任時の最初の訪問先が中国だったことから問われたところ、「まずは米国に訪問したい」と明言した。米国との関係強化を重要課題にとらえている。米国は、日本のTPP交渉参加を求めてきた経緯があり、今後、安倍氏の米国との外交の行方は医療界にとっても関係が出てくることだろう。

  自民党の医師代議士8人に

 自民党は小選挙区、比例合わせて9人の医師資格を持つ候補者が立候補。東京13区の鴨下一郎氏をはじめ、全体としては有利な選挙戦を進めてきたと言える。日本維新の会の躍進を象徴する大阪10区の大隈和英氏を除くと、自民党の医師候補は全員が当選となった(『民主の医師候補全滅、自民飛躍の8議席』を参照)。

 政権を持った衆議院の自民党議員として医師候補が8人も誕生したのは医療界にとっては大きな動きだろう。今後、医療従事者から注目される機会も増えてきそうだ。

医師不足への処方せん

文科省告示改正を要望、地域への定着図る方法も模索

2013年2月27日 池田宏之(m3.com編集部) 

 自民党の「東北地方の医学部の新設を推進する議員連盟」(大島理森会長)は2月27日、東北地方に医学部の新設を求める決議を、出席した議員の全会一致で決議した。今後、自民党内の部会や政調会長の承認を経て、医学部の新設を認めていない文部科学省告示の改正を目指す。この日の議連の会合では、新しく設置された医学部の卒業生が東北に残るように縛りをかけることを求める声も上がった。

 決議では、医学部の新設を「東北地方の震災復興にあたって、医療体制の整備を重要課題と位置付ける」としていて、「特例」であることを強調。また、「卒業した医師が地域に定着し、地域医療に従事するための方策を踏まえたコンセプト設計を行う」とし、卒業生が、地域で働くことを前提としている。2013年度予算で新設の準備を行うための予算を確保し、計画の策定に速やかに着手するよう求めている。

 医学部の新設は、2003年の文部科学省告示第45号の「大学、短期大学、高等専門学校等の設置の際の入学定員の取扱い等に係る基準」で、「医師、歯科医師、獣医師、教員及び船舶職員の養成に係る大学等の設置又は収容定員増でないこと」となっており、医学部の新設を実質的に禁じている。

 この日の会合には、議連33人中、大島会長のほか、平沢勝栄氏や秋葉賢也厚労副大臣ら15人が出席し、14人は代理が出席した。冒頭で、宮城県石巻市長の亀山紘氏が、震災後の医師不足を訴え、「医師不足や偏在解消に向けて、市は20年間活動してきたが、対応してもらえなかった」などと話し、医学部の新設を求めた。議員は、医学部新設に理解を示した上で、新設に反対している地元医師会に対して「あくまで震災復興の旗印。医師会と対立するつもりはない」(出席議員の秘書)というスタンスとなっている。

 臨床の現場を担う医師が、大学の新設で取られることについては、「大きな影響は出ない」という見方。卒業生に東北に定着してもらうための方策としては、出席議員から「縛りをかける方法や奨学金を増やすなどの方法が考えられる」という意見が出た。場所については、「議連としては関知しない」(出席議員の秘書)としている。

 

風疹の抗体検査せず、7割近く
2013年04月17日 (m3ポイントとは)

 都市部を中心に例年にない風疹の流行が続く中、m3.com意識調査で、「風疹大流行、医療者の免疫は?」をお聞きしたところ、医療者が媒介になり、風疹感染が広がる可能性が示唆される結果になりました。

 「今の勤務先の入職時などに、風疹の抗体検査を受けていない」との回答は、医師会員の65%、医師以外の会員の68%と高率(Q3、詳細な結果はこちら)。

 「風疹に罹患したかどうか、記憶が曖昧」と答えたのは、医師会員の26%、医師以外の会員の23%(Q1)。風疹の予防接種の接種歴は、医師会員では、罹患歴や抗体価が高いかどうかが分からなくても「受けていない」との回答が24%、「受けたかどうか、記憶が曖昧」は22%で、合わせると46%で、半数近くに上ります(Q2)。医師以外の会員でも、両者の合計もほぼ同数。

 こうした現状にあっても、医療機関の対応が進んでいるとは言い難い状況です。「勤務先が、職員に対する風疹の予防接種費用を全額負担もしくは一部負担する」と回答した人は約3割(Q4)。

 風疹対策として、最も多かったのは、「職員への注意喚起(院内感染対策など)」で3割強ですが、「何もしていない」との回答の方が多く、4割を超えています(Q5)。

 風疹は、重症化する例が少ないために予防策に関心が低いかもしれませんが、風疹に伴う最大の問題は、妊娠前半期の妊婦の初感染に伴う先天性風疹症候群。医療者が媒介にならないよう、予防策の徹底が必要です。

池田宏之(m3.com編集部)  4月26日(金) 配信
 厚生労働省の「救急医療体制等のあり方に関する検討会」(座長:有賀徹・昭和大学病院院長)の第3回が4月25日、開かれた。初期救急医療や小児救急医療の現状が議題となり、小児向けの電話相談「#8000」の相談員の質を、疑問視する声などが上がった。

 厚労省医政局指導課は、初期救急医療機関の現状と問題点を報告した。2011年度の救急車の出動件数は約571万件で、過去10年間で約131万件、約30%伸びている。搬送人員の内訳としては、軽症患者が半数を超えているというデータを示した。現在、在宅当番医制を導入しているのが、全国で630地区、休日夜間急患センターを運営しているのが556カ所で、ほぼ横ばいの状態。両者で2011年度には約622万人を受け入れているが、365日24時間対応している地域から休日のみの対応まで、ばらつきがある現状を報告した。

  厚労省は、「軽症患者をさらに初期救急医療機関で担えるようにならないか」と問題提起。これに対し、市立堺病院副院長の横田順一朗氏は、「救急車で運ばれてくる患者を、『救急の患者』として計上する病院もあるだろし、『時間外の患者』として計上したりされているところもある」と述べた。日本医師会常任理事の石井正三氏も、「DPCの制度は、『救急の患者』で計上した方が良い制度になっている」と指摘し、データの前提を疑問視する意見が出た。

 安心を求めて、高次医療機関に行きやすいとされる患者の行動も議論となった。相沢病院救急総合診療科統括医長の許勝栄氏は、「ウォークインの患者は、自身に不安があって、いざとなったら入院できるところに来る」と指摘し、高次医療機関と離れた場所に、初期救急医療機関を作るのではなく、既存の高次医療機関に、地元医師会から応援を出し、トリアージ等を受け持つのが効率的との考えを示した。

 小児救急医療体制の現状についても議論となった。厚労省医政局指導課は、2010年の小児科医師数は1万5870人で、10年間で増加傾向にあることを報告。小児救急患者の多くは入院を必要としない軽症患者であることを報告した。休日夜間帯の家族判断を支援する「#8000」についても言及され、現在、全都道府県で事業展開されているものの、深夜帯では40%、休日は20%以下しか運営されていないことが報告された。『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会代表の阿真京子氏は、「同じ症例でも、人によって、救命救急センターへ行くことを指示したり、昼間にかかりつけ医に行くように指示したりすることがあり、ばらつきがある」として、相談員の質を一定に保つ必要性を指摘した。厚労省は、家族の実際の対応まで含めて、「#8000」の実態調査を進めていることも明らかにした。

 周産期・母子救急の議論では、診療所等から、総合周産期センター等に転院搬送された患者が、中等症になって搬送元に返す際、救急車使用が利用できる支援がないことが問題視され、有賀氏は、「医師が付いていくなど、引き続き医療が必要なこともある。移動も含めた社会的支援を考える必要があるのではないか」と指摘した。

共同通信社  4月26日(金) 配信


 放射線影響研究所(放影研、広島市、長崎市)は25日、親の被ばくが子どもに与える健康影響を分析する委員会の会合を開き、被爆2世が高血圧や脳卒中などにかかりやすい悪影響は見られなかったと報告した。

 調査は2002~06年に親が被ばくした男女約1万2千人を対象に実施した健康調査のデータを使用。被爆2世ではない集団と比較した。

 07年にいったん「影響がない」と結論付けていたが、病気をひとくくりにして分析していた点を指摘され、再検討した。

 今回は両集団の疾患を高血圧、心筋梗塞、脳卒中など6種類に分類して、それぞれについて統計学的に計算。放影研の大久保利晃(おおくぼ・としてる)理事長は「万全を期すために実施したが、発症のリスクを増加させるような証拠はなかった」と結論付けた。

 放影研は2010年から、被爆2世を対象とする追跡調査を始めている。

共同通信社  4月26日(金) 配信


 【台北共同】台湾政府は25日、中国から戻った男性が台湾初の鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)感染例として24日確認されたのを受け、中国への渡航について、警戒レベルを3段階のうち上から2番目に引き上げた。渡航すべきか検討し、渡航する場合は必要な対策を取るよう市民に求めている。

 感染確認を受け、台湾ではマスクや薬品の売り上げが増える一方、鶏肉の消費減少に拍車がかかるとの見通しが出ている。ただ人から人への感染は確認されていないため、今のところ市民はおおむね冷静だ。

 台湾メディアによると、男性は台湾の上場企業幹部。人工呼吸器をつけて台北市の病院で治療を受けており、容体は安定している。当局は、男性と接触のあった人を検査している。

 一方、衛生当局は25日、伝統的な市場での生きた家禽(かきん)の処分を5月17日から禁止すると発表した。衛生的な専門施設での処分を促す狙い。当初予定より1カ月前倒しした。