医師不足への処方せん

文科省告示改正を要望、地域への定着図る方法も模索

2013年2月27日 池田宏之(m3.com編集部) 

 自民党の「東北地方の医学部の新設を推進する議員連盟」(大島理森会長)は2月27日、東北地方に医学部の新設を求める決議を、出席した議員の全会一致で決議した。今後、自民党内の部会や政調会長の承認を経て、医学部の新設を認めていない文部科学省告示の改正を目指す。この日の議連の会合では、新しく設置された医学部の卒業生が東北に残るように縛りをかけることを求める声も上がった。

 決議では、医学部の新設を「東北地方の震災復興にあたって、医療体制の整備を重要課題と位置付ける」としていて、「特例」であることを強調。また、「卒業した医師が地域に定着し、地域医療に従事するための方策を踏まえたコンセプト設計を行う」とし、卒業生が、地域で働くことを前提としている。2013年度予算で新設の準備を行うための予算を確保し、計画の策定に速やかに着手するよう求めている。

 医学部の新設は、2003年の文部科学省告示第45号の「大学、短期大学、高等専門学校等の設置の際の入学定員の取扱い等に係る基準」で、「医師、歯科医師、獣医師、教員及び船舶職員の養成に係る大学等の設置又は収容定員増でないこと」となっており、医学部の新設を実質的に禁じている。

 この日の会合には、議連33人中、大島会長のほか、平沢勝栄氏や秋葉賢也厚労副大臣ら15人が出席し、14人は代理が出席した。冒頭で、宮城県石巻市長の亀山紘氏が、震災後の医師不足を訴え、「医師不足や偏在解消に向けて、市は20年間活動してきたが、対応してもらえなかった」などと話し、医学部の新設を求めた。議員は、医学部新設に理解を示した上で、新設に反対している地元医師会に対して「あくまで震災復興の旗印。医師会と対立するつもりはない」(出席議員の秘書)というスタンスとなっている。

 臨床の現場を担う医師が、大学の新設で取られることについては、「大きな影響は出ない」という見方。卒業生に東北に定着してもらうための方策としては、出席議員から「縛りをかける方法や奨学金を増やすなどの方法が考えられる」という意見が出た。場所については、「議連としては関知しない」(出席議員の秘書)としている。