空き家問題が時々、ニュースでも報じられることがあります。
人が生活する以上、必ず何らかの住居があります。
ホームレスのような極端なケースは国内では少ないです。
団塊の世代、団塊ジュニア世代が現在の住宅を必要とする大きな層です。
団塊の世代の住宅、高度経済成長期が中心です。
当時は人口が驚くほど増加し続けていました。
住宅が非常に不足していました。
そのため、住宅供給公社等が、全く同じ間取りの住宅を、大量に作りました。
建築確認を調べると分かります。
今ではあり得ない許可の仕方がされています。
50棟くらいを「一括、まとめて」許可しています。
確認の番号もどの家の番号なのか特定できません。
たぶん、これだろうな、という感じで把握することになります。
とにかく、住めればいい、という発想が中心になっています。
使いやすさがどう、とか考えられている間取りとは思えません。
それでも当時は、相当に喜ばれたと思います。
まず住居がない、あっても戦後の物件なのでロクなのがない、雨風も
まともに防ぐことができない、ような事例もありました。
その次元なので、一気に作られた物件であっても、とても嬉しかったことと思います。
それから40年以上が経過しました。
当時の住宅購入者が40歳くらいが中心だったので、今は80歳くらいになっています。
単純に建物も築40年以上経過しています。
さらに、居住地が変わりました。
当時は良かったのですが、今では需要が低い、不便な場所が多くなりました。
すると、空き家が出てきます。
需要がない、使えない、いらない家と変わってきました。
都心に居住していると、維持費も大したことない、と感じやすくなります。
そのため、ほったらかしにするケースが増えてきます。
ここで問題になるのは、維持管理と誰にその内容を言えばよいのか、ということです。
通常、所有者がいます。
当たり前、と思うはずです。
ところが、不動産の実務では、これが当たり前ではないことがよくあります。
誰が所有者なのか、分からないことが増えています。
一般的に、役所、特に固定資産税を徴収する税務課であれば、知っているはずと思うことがあります。
たしかに、登記はされていなくとも、連絡がつく場合はあります。
その税務課でさえも、分からないケースが増えています。
相続登記をわざとしないケースです。
連絡先、推定相続人などに全く連絡ができないケースです。
相続登記は相続人が対象になります。
相続なので、熟慮期間内であれば放棄をすることが家裁が認めれば可能です。
相続があったことを知り、3か月が経過すると、単純承認したことになります。
通常、ここで次の所有者が民法上は決まります。
これが面倒になる点です。
遺産分割協議などを全くせずに、権利だけ有しているケースです。
維持管理はしたくない、税金も払いたくない、でも売れるなら金銭は欲しい、という
厚かましい人が実際に一定数はいます。
一次相続であれば、まだ相続人は多くはないです。
これが二次、三次相続までほったらかしにしているケースがあります。
関係者は事の重要さ、面倒さを理解していないことが常です。
常と言い切るのは、理解していればほったらかしにしないから、です。
三次相続くらいまでになると、相続人全員を把握するのが大変な手間になってきます。
特に古い物件の場合、最初の被相続人の子が6人、7人いることがあるからです。
今のような核家族であれば、大したことはないといえるケースもあります。
しかし、子が多数いるケースで三次相続まで考えないといけない場合、考えたくないと
なってきます。代襲相続人がやたら多いことがあります。
全員が生存していればまだマシです。
途中で何人かが死亡している場合、相関図がいい加減にしてほしいと思うほど、増えます。
これは司法書士が専門に行う分野です。
司法書士だからできるのではなく、ものすごく根気がある司法書士でないと無理です。
おまけに各人の本籍地が重要になります。
まだ本籍地が移動していない場合、戸籍の附票で一気にたどることができます。
ところが、時々いますが、引っ越しを何度もし、しかも引っ越しのたびに本籍地を移動させた人の場合、
極めて面倒です。ゆりかごから墓場まで、一本でつながないといけません。
途中で切れると、そこから再びたどらないといけません。
連絡がつかない人が一人でもいると、実質、相続登記はできません。
登記不能となります。
売却を希望する場合は、所有者全員の合意が必須です。
一人でも欠ければ、売却はできません。
価値が低い場所なら、あきらめることも選択肢にでてきます。
ですが、価値が高い場合、意地でも登記したくなるはずです。
有名なのは、都心のビルの例です。
ここは相続が問題だったというよりも、所有者不明の土地、それもごくわずかな面積が
問題でした。隅っこなら無視できますが、そのビル建設予定地の中心に近い部分にありました。
この所有権を取得できないと、建てたくてもできません。
当時は法曹関係者が正規の方法で恐ろしいほどの手間と費用をかけて解決されました。
さて、地方の場合です。
単純にボロ家、ボロ地の場合です。
土地なら資材置き場か何か、まだ使えるかもしれません。
しかし、建物の場合、壊したくても壊せない、という問題が生じます。
所有者だけの問題ではありません。
隣接地も困ります。
火事が起きたら、不審者が入り込んだら、などの悩みの種になります。
自分さえよければいい、という考えの人には理解不能です。
ですが、やはり他人に迷惑をかけるべきではない、と強く思います。
この問題の解決には、義務教育での学習が必要と思います。
プログラミングの授業も時代には合っています。
ですが、全員が必要とするかは疑問です。
空き家問題の現況、民法の相続部分だけでも必須科目としておくと、
習っていません、という愚か者の言い訳がしずらくなります。
これは義務化すべきです。
知らないではなく、知るべきです。
知っていることで、問題を肥大化せずに済むことがあります。
理由を知ることができます。
相続登記は、知らん顔していると、あとで物凄く面倒なことになることを把握したほうが良いと思います。