イギリスの首相、ボリス・ジョンソンが新型コロナウイルスに感染した、というニュースの後、イギリスは大丈夫かと心優しいメッセージをいくつかいただきました。

 

さらに退院後のボリスのスピーチに対し、イギリスとは対照的に日本の多くの人から「日本の首相と比べて、なんと素晴らしいスピーチだ!」という多くのコメントが寄せられていたのを見かけ、「これがよく見えるくらい、日本の人たちは日本の政治に対して怒っているんだろうな」と驚きました。

 

たしかに、日本では国民がこの異常事態の中でコロナ疲れを感じ、経済的に十分な補償もなく、国民の意志を完全に無視したぬるい対策が進められる中、いら立ちや不安を募らせているように見えます。 さらに火に油を注ぐ勢いでの「マスク二枚配布事件」「アッキーのセレブお花見事件」が続いていました。

 

また最近でも「アッキーの九州旅行事件」国民への給付金を渋る中、全議員に300万円ものボーナス給付事件までもが起きています。 

 

漢字どころか、国民の空気すら読めないこの人たちが、普段の政治はもちろん、この異常事態を先導していけるかと怒り、不安は募るでしょう。でもそういった、まったく頼りにならない政治に対する怒りや不安は、イギリスでも同様に強くになっています。

  

 

★NHSを崩壊寸前に追いやったのはコロナではなく保守党

 

ボリスの入院を聞いた時、これまで保守党政権の元、NHS(イギリスの国立病院)に対しては予算削減や各セクター毎のこっそり民営化が進められ、コロナ以前の段階ですでにリソース不足で崩壊寸前状態でずっと何年も持ちこたえてきていたことを考えると、「よく入院できたものだ。居心地悪かろうに」と思えるほどでした。
 
NHS職員の多くは普通に生活できるとされる給与基準以下の給料が支払われ、ベッドも(コロナ以前は)なかなか空きがなく、一部のがん患者では手術も何か月待ち、救急医療部門に行っても、半日近く待たされるのがざらという状況です。
 
(うちの旦那もNHSのサービスの一環を民間企業の職員として働いていたこともありますし、うちの大家さんは引退した内科医で、会うたびに保守党批判の会話になってしまいます。
 
うちのすぐ裏の総合病院でも、一時はよく、NHSをさらに追い詰める政策を進める保守党に対する抗議活動が、プラカードを持った医療スタッフによって行われているのを見かけました)
 
 
またボリス入院の直前の仕事の様子を見ていても、もう国民から浴びせ続けられる罵声に疲れ果て困惑し、なんのビジョンも方向性も持ってなさそうだったこともあり、私たちも含めた一部の国民からはその時点で、「ずる休みだな」と思われていました。そういう「お人柄」ということです。
 
 
 
「仕事が難しくなりすぎた?
 
 
ずる休みしたらいいじゃない!」
 
 
 
 
 

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★人気のなかった「集団免疫」構想

 

コロナ大流行の始まりの段階で、イギリスでは最初、集団免疫という考えが採用されていましたが、それにもかなりの批判が集まっていました。

 

 

ボリス・ジョンソン:「ひょっとしたら、(皆さんには)我慢できるんじゃないかと。

ぜんぶまとめて受け止めて、人口全体に病気が広がるのを許すんですよ」 

 

 
 

それに対するアイリッシュ・タイムズのコメント:

「これほどの危険な時期において、あれほどまでに限定的な能力で、あれほどまでに悪質な欠点を持ち、あれほどまでにお粗末な業績を持つ、お墨つきの嘘つき・詐欺師の芸人に政府を導かせるなんて、機能不全の政治文化にしか出せない結論だ」

 

 

これを、日本の政治に当てはめて考えてみても・・・まったく同じくらい通用しそうですね( ゚Д゚)

 

 

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★官邸でトイレットペーパー買い占め事件
 
 
「パニック買いの客が、トイレットペーパーを巡る口論でナイフを取り出す」
 
 
イギリスがパニック買いの真っ最中で、スーパーでも略奪事件が相次ぎ、さらにトイレットペーパーを巡って他のお客さんにナイフを突き出した事件が起きるような大混乱の中、この事件は起きました。
 
 
 
3月19日付のデイリーメール紙より。
 
ダウニング街の官邸へ、大量のトイレットペーパーや食料、簡易ベッドなどが運送されることが目撃され、パニック買いで大変な思いをしていた国民の怒りを買ったのです。
 
 

 

 

4月7日の入院前のニュースがこちら。

 

「ボリスに陽性反応が出たものの、肺炎でもなく人工呼吸器も不要」

4月7日 【Metro】https://metro.co.uk/2020/04/07/boris-johnson-not-pneumonia-isnt-ventilator-12521788/

 

要は、それほど重症ではなかったということです。

 

 

 

 

画像左には、PPEと書かれたプラカードを持った抗議活動者がいます。

PPEとは「感染を予防するための防具」で、現在、NHSで感染を予防するための「防御具」が大幅に不足していることを批判しているものです。

 

 

「コロナウイルスの最前線で戦うために祖父の葬儀を諦めた看護師・

11時間勤務後のマスクのあざのついた看護師・・・

しかし防具不足について口外することが『禁止』されているNHS(英国国立病院)の職員」(英語)
4月9日【Mail Online】
https://www.dailymail.co.uk/news/article-8204299/NHS-medics-claim-gagged-speaking-journalists.html

 

 

イギリスのNHSではこれだけでなく、その他いろいろなレベルで「かん口令」(外部に情報を漏らすこと)が禁止されているとのことで、病院内部で起きていることを理解するのが難しくなっています。 

それでもたまに、友達の看護師さんなどから、おそらくかん口令の対象になっていないことだけだと思いますが、情報を聞けることもありますが。。。

 

 

コロナウイルスに関して外部に話すことが一切禁止されているNHSの職員

NHS staff forbidden from speaking out publicly about coronaviru

【Guardian】https://www.theguardian.com/society/2020/apr/09/nhs-staff-forbidden-speaking-out-publicly-about-coronavirus

 

 

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ともかく、「驚異的な回復力」により、彼は無事に退院しました。

 

しかし一部の国民だけではなく、いくつかのメディアですら、彼の入院について怪しいと思っているようです。

 

「エコノミスト誌の編集者がボリス・ジョンソンの集中治療入院に対して『何かが怪しい』と発言」

4月13日【the publica】

https://truepublica.org.uk/united-kingdom/something-fishy-about-boris-johnsons-intensive-care-stay/

 

 

この記事では、時系列で彼の入院から退院までを説明し、
 
・入院から退院までの時間がコロナにしてはやたら短い
 
退院直後のスピーチで咳の一つも出ていなかった
 
ところなど怪しい点がいくつかあると説明されています。
 
その他、コロナから回復したとされる市民(博士)などからも「私もコロナになったけど退院から2週間たった今でも、倒れそうになるのに」と例のスピーチを見て「怪しい」と思う人続出です。
 
 
でも・・・NHS職員が病院の中のことを話すことは禁止されていますので、真実を見つけることは難しいでしょう。
 
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さらに、彼に陽性反応が出たことに対してすら、批判もありました。
 
政府高官や王族には数少ない検査キットが用いられ、最前線で命をはって働いている医療スタッフに対しては「症状が発症した場合に限り」検査が行われていたからです。
 
 
 
 
また、深刻な防具不足で「医療スタッフ支援のための拍手よりも、防具を!」という声のNHS職員からあがっています。当然のことです。

 

 

 

 

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またスピーチや画像で、「外国人系の看護師さんたちにも友好的でいい感じ」という印象を受けた人もいるようですが。。。

 

彼のこれまでの度肝を脱ぐような「一般人侮辱発言」「外国人見下し発言」の連発を知っていると、その風景もまったく違ったものに見えます。

 

 

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イギリスで洪水の被害が続出していた際、ボリスがようやく現地に行ったと思ったら、そこで村民たちに「お前は来るな!」「頼むから帰ってください」とテレビの前で言われていましたが、病院のスタッフもそう感じていたのかもしれませんね。

 

 

 

さらに最新では、これだけ「感染防護具」やワクチンなど自らの命を守るために必要な物を切望しているNHSやソーシャルワーカーに対して、「マスク二枚」ではなく、「Care」と書かれたバッヂを配布(しかもたしか有料だったと思います)をすることにし、これに対してもまた、大きな批判を集めています。

 

マスク二枚で家族を養えないのと同様に、バッヂで感染症は・・・防げませんからね!