覚助法親王 時やいつ | わたる風よりにほふマルボロ

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「源氏で紡ぐ和歌便り」

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(題しらず)

時やいつ空にしられぬ月雪の色をうつしてさける卯の花

覚助法親王
玉葉和歌集夏305

 


 
 
【現代語訳】
 

いったいいまはいつなのだろう。

季節は秋なのか冬なのか。

空に知られることのない、

現在の空と無関係の月や雪の色を

己に移し、また映して咲いている

初夏の真っ白な卯の花よ。


(訳:梶間和歌)
 
 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

時わかず月か雪かとみるまでにかきねのままにさける卯花

詠み人知らず 後撰和歌集夏155

 

時やいつ:季節はいつなのだろう

 

空にしられぬ:空に知られない、

 空の与り知らない。

さくらちるこのした風はさむからでそらにしられぬゆきぞふりける

紀貫之 拾遺和歌集春64

 

月雪の色:和歌ではどちらも

 「白」と捉えられ表される

 

うつして:移し、また映して

 

さける卯の花:咲いた卯の花、

 咲いている卯の花。

 「さける」は

 「咲く」の命令形「咲け」に

 完了・存続の助動詞「り」の

 連体形「る」の接続した形。

 

 

覚助法親王。

後嵯峨院の皇子だそうで、

後深草院や亀山院の弟なので

伏見院の叔父に当たりますね。

 

和歌では二条派に近く、

また自身も

複数の百首歌を詠んだり

しています。

 

二条派の歌人を招いた歌会を

主催した記録もありますが、

 

京極派の伏見院ともしばしば

歌の贈答をしているそうで、

 

二条派系だけでなく

京極派系の勅撰集にも

「時やいつ」をはじめ

複数入集を見ています。

 

 

 

これは

京極派とか二条派とかの議論を

脇に置いて、一般論として

言えるかと思いますが、

 

初句切れは難しい。

 

 

その難しい初句切れを採用した

「時やいつ」ですが、

 

二句から結句まで

スムーズに係る体言止めで

韻律のバランスを取り、

 

初句で読者に与えた衝撃を

二句以降で

きれいに回収している印象。

 

 

私は、初心者に初句切れなど

まず勧めませんが、

 

三句切れも二句切れも

ある程度やり込んだぞ、

違った型もそろそろ学びたいぞ、

 

と意欲的に臨む方には

こうした初句切れの例も

たくさん読み、吸収してほしいです。

 

 

現代短歌の初句切れなど

手本にしてよいものを探すほうが

難しいですからね。

 

古典和歌にさえ

たくさんはないのに。

 

 

歌の構造から見る型の習得

についてはこちらもどうぞ。

 

 

最近サボりがちですが。

(型を学ぶ「ウタレン」以外の

 グループ内投稿自体は、続けています)

 
 
また、オンライン講座「歌塾」の
「初級」クラスの私の担当回でも
そのあたりについて
今後触れてゆきます。

 

 

そちらを学びたい方は

「基礎」ではなく「初級」を選んで

ご入会くださいね。

 

7月回あたりから

そのあたりに触れてゆけるかな、

と考えております。

スケジュール変更の可能性も

もちろんありますが。

 

 

時やいつ空にしられぬ月雪の色をうつしてさける卯の花

 

 

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