京極為教 うの花の | わたる風よりにほふマルボロ

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題しらず

うの花の露に光をさしそへて月にみがける玉川のさと

京極為教
玉葉和歌集夏304

 


 
 
【現代語訳】

卯の花に置く露に

己に反射する光を射し加え、
また己自身をも

月光に磨いているように輝く、

玉のように美しい玉川の里よ。

もちろん、露の玉も光に磨かれて。


(訳:梶間和歌)
 
 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

うの花:初夏に咲く花。

 「憂」と掛けて詠まれることも

 多いが、ここでは無関係。

 

露に光をさしそへて:

 露に光を射し加えて。

 ここでは主語が「月」ではなく

 「玉川」ないし「玉川のさと」

 であるはずなので、

 「己(川面)に注ぐ月光を

 反射させることで

 その光を露に射し加えて」

 と解釈。

 
月にみがける玉川:
 月光が露の玉などを

 輝かせるように降り注ぐさまを
 「月に玉みがく」などと
 表すことがあるが、
 「玉川」という地名に

 「月にみがける(露の)玉」、

 また「玉(のように美しい)
 などを掛けている。

 「みがける」は「磨く」の命令形

 「磨け」に

 完了、存続の助動詞「り」の

 連体形「る」の接続した形で、

 「磨いている」の意。

玉川:歌枕としては

 6箇所の「玉川」があり、
 「六玉川(むたまがは)」と言う。
 ここでは

 卯の花とともに詠まれているので
 摂津国の「三島の玉川」のこと。

 

 

京極為兼の父、京極為教の詠。

 

 

為教について調べていたところ、

 

露ふかき庭のあさぢに風過ぎてなごりすずしき夕立の空

続拾遺和歌集夏208

という歌について

 

歌才乏しかった為教ではあるが、清々しい夏の叙景に辛うじて京極派の歌風の予兆を見て取ることもできようか。

 

という評を見つけました。

 

 

 

た、確かに、ざっと探したかぎり

為教の和歌というものは

なかなか見つかりません……。

 

 

為教が歌才に乏しいというのは

共通認識なのでしょうか。

 

私はこの2首しか知らないので

断定は慎みますが、

 

この2首を読むかぎりでは、

韻律も美しく景も爽やかな、

それこそ

“京極派の歌風の予兆”の

感じられる歌かな、と感じます。

 

 

和歌については

為家嫡男で為教の同母兄である

為氏との対立があった、と

頓阿著『井蛙抄』にあるそう。

頓阿は二条派系歌人です。

 

為氏・為教間の対立は

次世代にも引き継がれ、

 

我らが(?)京極為兼は

いとこである二条為世

バチバチやるわけですが、

 

そのあたりはこのブログの

複数の記事で言及しているところ、

また私のブログ以外でも

為教について調べるよりは容易に

様々な情報にアクセスできます。

 

 

先に挙げた「露ふかき」は、

7月ごろ

ご紹介したいと考えています。

 

夏の終わりに近いころの

歌ですので。

 

 

うの花の露に光をさしそへて月にみがける玉川のさと

 

 

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