(11)IT会社を辞めて、塩の会社を起業した理由
私が、IT企業を辞めて、塩の会社を起業した理由をご紹介しています。
(1) (2) (3) (4) は、父が肝硬変で入院し、その病院で、「病気にならない生き方」と「食品の裏側」を読み、娘の未来の子供達の健康は、娘たちの食事を作る私に責任があるのだと思った、という話。
(5) (6) は、これらの本をくれた、今の会社の顧問・瀬川昌威と出会い、輪島の塩と出会い、ミネラルの重要さを知り、化学で作られたサプリメントの怖さを知り、輪島の塩のユーザになったという話。
(7) (8) (9) (10) は、リンゴの変色実験をしたことから、乳酸菌の育成実験にいたり、人間の血液の比率によく似ている輪島の塩は、精製塩や岩塩よりも、乳酸菌の育成量が多かったこと。発酵食品の決め手となる乳酸菌発酵には、ナトリウムとマグネシウムの微妙なバランスが関係していること。この発酵を促すミネラルバランスの塩は、輪島特有のものだろうと思ったという話でした。
もう一つ、わかったことがありました。
銀座の「リ・バール」というバーに、ヨーロッパで修業をしてきたという博学のバーテンダーさんがいます。「山の上ホテル」のバーマン、ソムリエを経て「シェ松尾」のシェフソムリエとしても勤務していたという小林直也さん。
カクテルを作るのは化学式だとおっしゃっているような方。果物の酸味、それにいろいろなアルコールを足すとどういう味になるか、化学式が頭に浮かぶとおっしゃるのです。
その方から、私がこのブログによく書いていること「ナトリウムは野菜や穀類の炭水化物の甘味を出し、マグネシウムは肉や魚のたんぱく質のうま味を出す」と教わりました。日本にはあまり馴染みのない知識ですが、ヨーロッパのソムリエはみんな知っていることだ、ということでした。
炭水化物が分解されるとブドウ糖になるので甘くなります。ご飯を長く噛んでいると甘くなるという現象です。
インターネットで調べてみると、たんぱく質消化酵素がたんぱく質を分解するということがわかりました。だいこんやじゃがいもや玉ねぎには、たんぱく質消化酵素が多く含まれているので、肉料理の付き合わせに使われます。
また、たんぱく質が分解されるとアミノ酸になるということ、うま味といわれている代表のグルタミン酸はアミノ酸の一種なので、たんぱく質が分解されると、うま味が出るという仕組みがわかりました。
また、マグネシウムが酵素を活性化するということもわかりました。
マグネシウムがないと酵素が働かない。つまり、マグネシウムのない塩では、肉や魚からうま味が出ないということになります。
フランス料理の巨匠・ロブションが日本に来たときに、精製塩を渡したところ、これは塩ではないと突き返されたという逸話があるのですが、その理由がわかります。彼らは肉料理がメインですから。
日本のように、昆布やかつおのグルタミン酸やイノシン酸のダシがない国で、肉でうま味のある料理を作ることは、精製塩ではできない、ということでしょう。
そして、うま味というのは、舌だけでなく胃にも受容体があり、うま味を感じると、脳に消化するように、という命令を出すということがアメリカの研究により実証されたそうなんです。
つまり、肉を食べるときにはマグネシウムを含む塩が、肉の自己消化を促進し、うま味を出し、さらに食べたときには、胃腸の消化を助ける、という仕組みです。
ただ、マグネシウムが多いと苦みを感じるので、野菜や白身魚の繊細な味を追求するようなお料理には、ちょっと合わない、ということになるのですね。