(10)IT会社を辞めて、塩の会社を起業した理由
私が、IT企業を辞めて、塩の会社を起業した理由をご紹介しています。
(1) (2) (3) (4) は、父が肝硬変で入院し、その病院で、「病気にならない生き方」と「食品の裏側」を読み、娘の未来の子供達の健康は、娘たちの食事を作る私に責任があるのだと思った、という話。
(5) (6) は、これらの本をくれた、今の会社の顧問・瀬川昌威と出会い、輪島の塩と出会い、ミネラルの重要さを知り、化学で作られたサプリメントの怖さを知り、輪島の塩のユーザになったという話。
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は、いろいろな産地の塩を使い、リンゴの変色実験をやったところ、茶色くなるもの、黄色くなるもの、変色しないもの、いろいろあり、それが、ナトリウムとマグネシウムの比率に関係しているということがわかり、輪島の塩は、人間の血液の比率によく似ていることがわかった、ということ。そして、輪島の塩は、精製塩や岩塩よりも、乳酸菌の育成量が多かった、という話でした。続きです。
塩の役割の中に、殺菌効果というのがあります。菌は、塩には弱いのです。ただ、好塩菌と呼ばれるものがあり、ある程度の薄い塩分濃度では生きられる菌もいます。その一つが乳酸菌。
発酵食品の決め手となるのが乳酸菌です。善玉菌である乳酸菌が増えてくると、乳酸菌が他の悪玉菌・腐敗菌をやっつけてしまい、そのため、食物が腐らなくなり、保存食になります。
糠漬けを作っている方はご存じでしょう。糠漬けが酸っぱくなりすぎたときは、乳酸菌が増えすぎたから。その対策には、冷蔵庫に入れて菌の発育を止めるという方法がありますが、他にも、塩を入れるという対策もあります。
ということは・・・。
殺菌効果のある精製塩が、乳酸菌を殺しはしないまでも、その育成・働きを弱めてしまっていたとしたら?
当然、発酵時間がかかり、発酵のうま味がなかなか出なくなります。その結果・・・、味噌や醤油や梅干しや浅漬けの素にまで、うま味をつける化学調味料が入れられるようになってしまった、ということになるでしょう。
腸に届く乳酸菌は、動物性乳酸菌よりも植物性乳酸菌だと言われていますが、その発見は、京都のスグキの糠漬からだったそうです。それは、乳酸菌の生きている糠漬けを食べていた時には、腸に乳酸菌が住みついていたということを示します。
ところが、化学調味料と保存料で、味だけうま味をつけた漬物や味噌には、乳酸菌がたくさん住んでいませんね。
そして、今や、花粉症やアトピーや癌まで直すという研究が進められている乳酸菌です。ヨーグルト売り場には、乳酸菌入りのものばかり。歯周病菌を退治するために、歯磨き粉にも乳酸菌入りのものが出るぐらいです。
日本が、本物の発酵食品を食べている時代には、日本人の口の中、腸の中に、その乳酸菌はごく普通に住んでいたのではないでしょうか。
昭和47年から塩化ナトリウムだけの塩に切り替わり、本当の発酵をしなくなり、化学調味料と保存料とで、発酵食品に乳酸菌がいなくなってしまったと考えられはしないでしょうか。
フランスのゲランドの塩も、輪島の塩も、乳酸菌を育成する塩です。
輪島は、昔から発酵食品のルーツ「魚醤」を作れる土地。「魚醤」はどこでも作れるものではありません。いわしを塩漬けしておくと、腐らずに、発酵して、うま味の強い調味料ができるという現象。これは、昔、輪島で作っていた塩の発酵力だったのではないでしょうか。
輪島沖は、大河から流れる暖流と寒流がぶつかり混じり合う海域。フランスのゲランド地方の海と似ていて、海藻が豊富で、プランクトンが多く、魚介類が豊富。舳倉島付近は、海流も早く、淀むことなく流れ続けていて、とてもきれいです。
酵素の働きを抑制せず、乳酸菌がよく育成し、発酵を促すという現象。それは、微妙なナトリウムとマグネシウムのミネラルバランスに依るもの。きっと、これは、数ある塩の中でも、いまや日本では、輪島の海水でしかできないものでしょう。そして、世界的に見ても、珍しいものではないかと思ったんです。
