映像制作と翻訳の会社をやっています。
イタリアに行ったとき、クルマと同じように街中を疾走する元気なスクーターたちを見て、すっかりイタスクの虜に。
以来10年、ほとんど毎日イタスク乗って通勤や営業に出ます。
今日もイタスク乗って納品だ!
おっと、間に合うのか???
孫穎莎の顔が歪む時
重慶で行われているWTTチャンピオンズ女子シングルスは、おもしろくないほど順当にシードの8人がベスト8に勝ち上がり、上位4人がベスト4、そしてNo.1の孫 穎莎とNo.2の王 曼昱の決勝戦となった。
フルゲームの末、孫が優勝したが、最後の最後まで競り合った上での勝利だった。
それにしても、レベルが高い。
日本最高位の5位につけている早田ひなが、準々決勝で孫に敗れているが、この決勝戦のレベルをみたら、まだまだ差が大きい。
2回戦で孫と対戦した韓国のチョン・ジヒが、なかなかポイントが取れず、1ポイント取っただけで両手を突き上げガッツポーズをしたのが印象的だったが、孫は表情一つ変えず、多彩なショットを放ち、チョン・ジヒは翻弄されるがままだった。
決勝戦では、その孫が、顔を歪めるシーンが何度もあった。
中国選手と言えば、圧倒的なスピードが目に付くが、スピードの中に加えられる変化がポイントを分けるシーンが目立った。
日本の選手は、そのスピードについていくのもやっとだが、こういった変化を加えられると、ほぼ対応できない。
特にヘビートップスピンは、ラリーの中でも効果があるようだ。
日本の選手でヘビートップスピンを打つ選手は見かけないので、対策という意味でも取り組んでほしい。
それはそうと、この大会の一番の目玉は、男子ニ回戦、No.1シードの王楚欽からマッチポイントを得ながら勝てなかった松島 輝空だろう。
もう、世界に名前を轟かせた。
これからが楽しみだ。
長崎美柚WTTコンテンダーリオでシングルス優勝!!
さらに新世代の活躍を予感させる好ゲームだ。
同時期に中国太原でもWTTコンテンダーが開催されたため、有力な中国選手がいないというのは、日本人選手にとっては有利な状況のリオ。
そのとおりとなり、決勝は早田と長﨑のサウスポー対決となった。
早々に2ゲームを早田が獲り、このままいくかと思われた第3ゲームから長﨑が3ゲームを連取し逆転。
これは、世界戦初優勝の可能性があると思われた第6ゲームは、早田の反撃が実り奪取。
この時の早田は、さすがにギアアップしてきたと感じた。
これはこのまま早田がファイナルゲームを獲るのではないかと思われた。
そして、ファイナルゲームも早田が先行。
終盤7-9から踏ん張りたい長﨑はサーブをエッジに当てる痛いミスで早田のマッチポイントを迎える。
しかし、ここで決めきる集中力を見せたのは早田ではなく長﨑だった。
神経質になった早田から5連続ポイントで優勝を決めた。
勝った瞬間両手を上げ、客席に笑顔を振りまく長﨑とうなだれる早田は対照的だった。
早田にしてみれば、掴みかけたタイトルがするりと指の間から抜け落ちてしまったような感覚だろう。
しかし、盛り上がったパリオリンピックの代表選考でも、話題になるのは張本ばかりで、さらには長﨑のダブルスの盟友でもある年下の木原の方がポイントで上をいく状況で、ほぼニュースにもなることがなかった長﨑がここでシングルスのタイトルを獲ったというのは、すばらしいニュースだ。
数少ないサウスポー選手としても、今後の活躍が楽しみだ。
なお、同時開催の太原の方は、地元中国の王芸迪と陳幸同の対戦となり、フルゲームで格下の陳が優勝した。
第6ゲームでは、先に王にマッチポイントを握られるも、これを覆し、フルゲームにもちこんでいる。
勝った陳は、試合中は声を発することもなく、ガッツポーズをすることもない。
優勝を決めた瞬間もわからないていどに手を握ったくらいで、喜びを全身で表現した長﨑とは対象的だった。
いま、卓球界はこういった声出しやポーズで自らを鼓舞するというのが一般的になっているが、ぼくはこのとっても物静かな陳幸同が、静かなまま優勝を決めた瞬間がめちゃかっこよかったと思う。
美誠ちゃんが帰って来た
いまサウジアラビアで行われている卓球の大会サウジスマッシュ。
今年のパリ五輪代表を逃したかつての日本女子No.1の伊藤美誠が復調してきている。
昨日行われた世界三位のワンイディとの対戦はフルセットにもつれこむ接戦の末惜敗した。
しかし、開始2ゲームを先取されたところから、攻めどころを見出し、形勢を逆転していったところは、さすがである。
この試合を決めたのは、ワンイディのギアアップ。
流れが伊藤に傾いた第4ゲーム。
伊藤が10-7で先にゲームポイントを取ってから、ギアアップし、5連続ポイントでワンがこのゲームを取る。
そして、最終第7ゲーム。
行き詰まる接戦が展開される中、8-6で伊藤が先行しているところから、またギアアップ。
あっさりゲームを決めてしまった。
あらゆる手を尽くして戦った伊藤だが、逆に言えば彼女には上げるギアがもうなかった。
この課題を克服できればもう一度世界のトップが見えてくる。
それにしても、このギアとはなんなのだろうか。
この二人に関して言えば、技術は互角である。
あらゆる技術、知識を総動員しての互角の戦いは、観る者を魅了する。
中国のトップ選手は、とにかく速さでは負けない。
どんなトレーニングを積んているのか知らないが、早回しの映像を観ているようなスピードで展開する。
伊藤も負けておらず、この早いラリー中にもアイデアのあるショットを交えて、ポイントを取っていた。
こういった超スピードラリーになると、早田も平野も得意なのだが、それでも中国トップ選手とやれば、4回に1回くらいしかポイントが取れないイメージのところ、伊藤は五分五分だった。
伊藤のスピードには、打つタイミングの速さというのもある。
数値にすれば、コンマ何秒というちがいが、相手のミスを誘う。
そんな時間軸を縦に使うようなことができるところも伊藤のプレーの魅力だ。
話はギアの話に戻るが、これは卓球に限らない。
テニスでもトップ選手はこういったことができる。
特に、フェデラー、ナダル、ジョコビッチなどは顕著である。
通常のゲームは8割くらいでやっていて、ここぞというときに9割、10割を出してくるようなイメージだ。
特にテニスの場合は、同レベルの選手同士のゲーム(特に男子)の場合、サービスキープが基本に展開されるので、どこで相手のサービスをブレークするのか、がポイントになる。
それを確実にやってくるのがトップ選手である。
ここには、精神力も大いに関係していると思われる。
しかし、それだけではない何かがあるのではないだろうか。
昨日の試合中、伊藤は激しいラリーを制しても表情一つ変えず、やれて当たり前というふうに見えた。
少なくとも、観ている観客からすると、これはまだまだいけるんじゃないのか、と思う。
その観客の思念さえも、もしかすると利用するのかもしれない。
ところで、今回中東のサウジアラビアが舞台だが、世界中どこに行っても。中国人の応援団が大声援を送っている。
これは、中国選手にとっては、多かれ少なかれプラスになっているだろう。
現在、世界ランクでも張本に抜かれ、10位の伊藤。
かつて、中国選手から魔王と恐れられた伊藤。
東京五輪では、ミックスで金、団体で銀、シングルスで銅と各色メダルを獲得し、モチベーションが下がって(なくなって)精彩を欠いていた伊藤。
その間に、早田が中国を脅かす存在に成長し、平野、張本が中国の大物を倒すなど全体にレベルが上がってきている日本女子。
それでも、本気を出したらやっぱり伊藤美誠だ。
他の人ができない技も開発し、今後もファンを魅了するプレーを披露してくれることだろう。