『高堂巓古 Officia Blog』 -89ページ目

東京四十八区 第十五区

 ドラマ『続 最後から二番目の恋』で「東京は近いか遠いかじゃないんだよ。棲んでいるかいないかなんだよ」というような台詞があったような氣がする。そんな東京で、私はほんの束の間ではあるものの、ちょいと散歩にでかけた。散歩といっても近所のラーメン屋和利道(わりと)でつけ麺を食べたあと、目黒川沿いのパン屋と古本屋、古着屋をひやかした程度である。パン屋では真っ黒なクロワッサンをもとめ、そのまま古書店でとおもったのだが、売れ過ぎてしまったのであろうか。本の陳列の質が落ちていて、やや残念な氣持ちで店を辞した。ここ二三日つづいた莫迦みたいな暑さはなく、かわりに雨が降る直前の厭な強風が吹いていた。
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 ふと目黒川をのぞくと、相も変わらず人工的ではあるが、水は意外なほど澄んでいた。手前にある茶の手すりには、


Tokyo is Yours.(東京は君のもの♪)


と落書きが記されてあった。英語のうしろに花びらがあったから、もしかすると、満開の桜のもとで書かれたものなのかもしれない。なんだかホッとする落書きである。怒涛のように春が終わり、台風のように夏がやってきたかとおもえば、瞬く間に秋が過ぎ、氣がつけば今年もひとつ年を重ねるのだろう。少なくとも今年は、共に生命の灯を燃やせる仲間とともに、ここ東京でひとつギアをあげてゆきたいとおもう。